執筆・監修:箕浦雅子(薬剤師)|株式会社健将 代表取締役
「コンビニ弁当を食べると下痢になる気がする」
「お昼にコンビニ弁当を食べたら、急にお腹が痛くなった」
「添加物が多いから、お腹を壊すの?」
そんな疑問を持つ人もいるかもしれません。
結論からいうと、コンビニ弁当そのものが、誰にでも下痢や腹痛を起こす食品というわけではありません。
コンビニ弁当には、ご飯だけでなく、
- 揚げ物
- 肉料理
- 魚料理
- 卵
- 乳製品
- 野菜
- ソースやドレッシング
- 香辛料
など、さまざまな食品が組み合わされています。
そのため、食後にお腹の調子が悪くなった場合には、
- 一度に食べた量
- 脂質の多さ
- 乳製品や小麦など特定の食品
- 一緒に飲んだ飲み物
- もともとの腸の敏感さ
- 食後に起こる胃結腸反射
- 保存状態や食中毒
などを分けて考える必要があります。
この記事では、コンビニ弁当を食べたあとに下痢や腹痛が起こった場合、何を確認すればよいのかを薬剤師が解説します。

コンビニ弁当で下痢・腹痛が起こる主な原因
コンビニ弁当を食べたあとにお腹を壊した場合、まず次のような点を確認します。
- 揚げ物や肉料理など脂質が多かった
- 一度に食べる量が多かった
- 乳製品など自分が消化しにくい食品が入っていた
- 小麦・玉ねぎ・にんにくなどで症状が出やすかった
- コーヒーなど一緒に飲んだものが関係していた
- 食後の胃結腸反射が強く起こった
- 保存状態や食中毒が関係していた
「コンビニ弁当を食べた=コンビニ弁当そのものが原因」とすぐに決めず、何を食べたかを一つずつ確認することが大切です。
原因① 揚げ物や肉料理など脂質が多かった
コンビニ弁当には、
- 唐揚げ
- とんかつ
- フライ
- ハンバーグ
- 炒め物
- マヨネーズを使った副菜
など、脂質の多い料理が入っているものがあります。
脂質の多い食事が、すべての人に下痢を起こすわけではありません。
ただし、急性の下痢があるときには、揚げ物やファストフードなど脂質の多い食品が症状を悪化させることがあります。[1]
また、IBSの人10人と健常者11人を対象にした小規模なヒト試験では、脂質から60%のエネルギーを摂る液体食のあとに、IBS群で直腸の不快感・痛みの閾値が低下し、腹痛の評価も上昇しました。[2]
この研究だけで「脂質が下痢の原因」と断定することはできませんが、腸が敏感な人では、高脂肪食が食後症状を強める可能性があります。
そのため、
「おにぎりだけなら平気だけれど、唐揚げ弁当ではお腹がゆるくなる」
「揚げ物の多い弁当のときだけ症状が出る」
という場合には、コンビニという場所ではなく、食事の脂質量との関係を確認してみましょう。
原因② 一度に食べる量が多かった
同じ食品でも、食べる量によってお腹の反応は変わります。
お腹が空いていると、
- 弁当
- カップ麺
- 揚げ物
- デザート
- 飲み物
などを一度に組み合わせることもあります。
食事をすると胃が広がり、それをきっかけに大腸の動きが活発になることがあります。
これは「胃結腸反射」と呼ばれる生理的な反応です。
食後すぐに便意が起こった場合、
「今食べた弁当が10分で便になった」
というわけではありません。
食事をきっかけに、すでに大腸にあった内容物が押し出された可能性があります。
胃結腸反射については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
カップ焼きそばで下痢・腹痛になるのはなぜ?食後にお腹を壊す原因と対処法
原因③ 乳製品が関係していることもある
コンビニ弁当や一緒に購入する食品には、
- チーズ
- クリームソース
- ホワイトソース
- 牛乳
- カフェラテ
- 乳製品を使ったデザート
などが含まれることがあります。
乳糖を十分に消化できない人では、乳製品を摂ったあとに、
- 下痢
- 腹痛
- お腹の張り
- ガス
などが起こることがあります。
乳糖をどの程度まで消化できるかには個人差があり、乳糖不耐症でも少量なら症状なく摂れる人もいます。[3]
また、急性下痢のあとには、一時的に乳糖を消化しにくくなる場合があります。[1]
「弁当だけでは平気だけれど、カフェラテや乳製品を一緒に摂ったときにお腹を壊す」
という場合には、弁当だけを原因と考えず、一緒に食べたものも確認してみましょう。
乳製品や乳糖と下痢の関係については、こちらの記事も参考になります。
原因④ 小麦・玉ねぎ・にんにくなどが関係する人もいる
コンビニ弁当には、
- 小麦を使った揚げ物
- 麺類
- ソース
- 玉ねぎ
- にんにく
などが使われることがあります。
IBSなど腸が敏感な人では、FODMAPと呼ばれる一部の発酵性糖質を含む食品によって、腹痛・膨満感・便通の変化などが起こることがあります。
小麦製品や玉ねぎ、にんにくなどもFODMAPを含む食品です。[4]
ただし、
「コンビニ弁当を食べると下痢する=小麦が悪い」
「玉ねぎが入っているから下痢になる」
と自己判断することはできません。
同じ材料を使ったほかの料理でも症状が出るかどうかを確認することが大切です。
FODMAPとお腹の不調については、こちらの記事でも触れています。
フルグラ・グラノーラで下痢・腹痛になるのはなぜ?お腹を壊す原因と対処法
原因⑤ 一緒に飲んだコーヒーや飲料も確認する
コンビニで弁当を買うときに、
- コーヒー
- 紅茶
- エナジードリンク
- 炭酸飲料
- 甘い飲み物
などを一緒に購入する人もいるでしょう。
下痢があるときには、
- カフェインを含む飲料
- 大量の単純糖質を含む飲料
- 糖アルコールを含む食品・飲料
などが症状を悪化させる場合があります。[1]
そのため、
「弁当を食べると下痢する」
と思っていても、毎回一緒に飲んでいるコーヒーや飲料が関係している可能性もあります。
コーヒーと下痢については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
コーヒーを飲むと下痢になるのはなぜ?すぐトイレに行きたくなる原因と対処法
コンビニ弁当の「添加物」が下痢の原因?
コンビニ弁当などの加工食品には、商品によって食品添加物が使われています。
ただし、
「添加物が入っているから下痢になる」
「pH調整剤が腸内の善玉菌を殺すから下痢になる」
と一括りに説明することはできません。
食品添加物は、それぞれ性質も使用目的も異なります。
日本では、食品添加物について食品安全委員会が科学的なリスク評価を行い、その結果をもとに使用できる食品や使用量などの基準が定められています。[5][6]
食品添加物などに使われる許容一日摂取量(ADI)は、「人が一生涯にわたって毎日摂取し続けても、健康への悪影響がないと考えられる量」として設定される指標です。[6]
また、食品添加物の実際の摂取量を確認するため、市販食品を購入して摂取量を推定する調査も行われています。[5]
もちろん、
「食品添加物ならいくら摂ってもよい」
という意味ではありません。
一方で、
「食品添加物が入っている」という理由だけで、食後の下痢の原因と判断することもできません。
特定の商品で繰り返し症状が出る場合には、
- 原材料
- 使用されている甘味料
- 乳製品
- 香辛料
- 脂質量
- 一緒に食べた食品
などを具体的に確認する方が、原因を考える手掛かりになります。
保存状態や食中毒も忘れない
コンビニ弁当を食べたあとの下痢では、食中毒も別に考える必要があります。
ただし、
「コンビニ弁当=食中毒になりやすい」
という意味ではありません。
重要なのは、購入後の保存状態や食べるまでの時間です。
冷蔵が必要な食品は、購入後できるだけ早く冷蔵することが大切です。
厚生労働省では、家庭での食中毒予防として、
- 冷蔵庫は10℃以下
- 温かく食べる料理は65℃以上
- 冷やして食べる料理は10℃以下
- 調理済み食品を室温に長く放置しない
- 加熱する食品は中心部まで十分加熱する
ことなどを案内しています。[7]
そのため、
- 購入してから長時間持ち歩いた
- 暑い車内や室内に置いていた
- 開封後に時間が経っていた
- 消費期限を過ぎていた
といった場合には、保存条件も確認しましょう。
なお、電子レンジで温めれば、保存状態が悪かった食品が必ず安全になるというわけではありません。
表示された保存方法や消費期限を守り、少しでも異常を感じる食品は食べないことが大切です。
こんな症状があるなら食中毒も考える
食後に一度だけ便がゆるくなったからといって、すべて食中毒というわけではありません。
一方で、
- 発熱
- 強い腹痛
- 繰り返す嘔吐
- 水のような下痢
- 血便
- 同じ食品を食べた人にも症状がある
といった場合には、感染性胃腸炎や食中毒も考える必要があります。
腹痛、下痢、吐き気などが続く場合には、医療機関へ相談してください。[7]
コンビニ弁当を食べると毎回下痢するときの確認ポイント
同じような症状を繰り返す場合には、
- どの弁当を食べたか
- 揚げ物が多かったか
- 食べた量
- 乳製品が入っていたか
- コーヒーやカフェラテを一緒に飲んだか
- 香辛料が多かったか
- 食後どのくらいで症状が出たか
- 同じ材料を使ったほかの料理でも症状が出るか
- 弁当を食べない日にも下痢があるか
を記録してみましょう。
慢性的な下痢では、食べたもの、症状、症状が起きた時間を記録することが、症状を悪化させる食品を見つける手掛かりになります。[1]
特に重要なのは、
「どのコンビニ弁当でも症状が出る」
のか、
「揚げ物の多い弁当だけ」
「乳製品を含む商品だけ」
「コーヒーを一緒に飲んだときだけ」
なのかを分けることです。
コンビニ弁当で下痢になったときの対処法
一度だけ便がゆるくなり、その後すぐに戻った場合には、まず水分を摂りながら様子をみます。
下痢があるときには、
- 脂質の多い食品
- カフェインを含む飲料
- 大量の糖質を含む飲料
- 乳糖を含む乳製品
などが症状を悪化させる場合があります。[1]
無理に絶食する必要はありません。
症状がある間は、一度に大量に食べず、体調に合わない食品を無理に摂らないようにしましょう。
こんな場合は医療機関へ
次のような場合には、
「コンビニ弁当が合わなかっただけ」
と自己判断せず、医療機関へ相談してください。
- 強い腹痛がある
- 下痢が続いている
- 血便がある
- 黒い便が出る
- 高熱がある
- 嘔吐を繰り返す
- 水分が取れない
- 尿が少ないなど脱水が疑われる
- 体重が減ってきた
- コンビニ弁当を食べていない日にも下痢が続く
まとめ|コンビニ弁当でお腹を壊しても「添加物だけ」が原因とは限らない
コンビニ弁当を食べたあとに、下痢や腹痛が起こることはあります。
ただし、
「コンビニ弁当だから悪い」
「添加物が入っているから下痢になる」
と一つの理由だけで説明することはできません。
考えられるのは、
- 脂質の多い料理
- 一度に食べた量
- 乳製品
- 小麦など特定の食品
- 一緒に飲んだコーヒーなど
- 胃結腸反射
- もともとの腸の敏感さ
- 保存状態や食中毒
などです。
大切なのは、
「コンビニ弁当が良い・悪い」
と決めることではありません。
「何を、どのくらい、何と一緒に食べたときに症状が出るのか」
を整理していくことが、原因を考える手掛かりになります。
参考文献・参考情報
[1] National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK).
Eating, Diet, & Nutrition for Diarrhea.
下痢と脂質、カフェイン、糖質、糖アルコール、乳糖などについて参照。
NIDDKの資料を確認する
[2] Simrén M, Agerforz P, Björnsson ES, Abrahamsson H.
Nutrient-dependent enhancement of rectal sensitivity in irritable bowel syndrome (IBS).
Neurogastroenterol Motil. 2007;19(1):20-29.
DOI: 10.1111/j.1365-2982.2006.00849.x. PMID: 17187585.
PubMedで確認する
[3] National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK).
Eating, Diet, & Nutrition for Lactose Intolerance.
乳糖不耐症と乳製品の摂取について参照。
NIDDKの資料を確認する
[4] National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK).
Eating, Diet, & Nutrition for Irritable Bowel Syndrome.
IBSと小麦、乳製品、FODMAPについて参照。
NIDDKの資料を確認する
[5] 厚生労働省.
食品添加物.
食品添加物の使用基準や摂取量調査等について参照。
厚生労働省の資料を確認する
[6] 食品安全委員会.
「食の安全ダイヤル」に寄せられた質問等Q&A(化学物質系・リスク評価全般).
食品添加物のリスク評価、許容一日摂取量(ADI)について参照。
食品安全委員会の資料を確認する
[7] 厚生労働省.
家庭でできる食中毒予防の6つのポイント.
食品の保存温度、室温放置、加熱、食中毒予防について参照。
厚生労働省の資料を確認する
執筆・監修
箕浦雅子(薬剤師)
株式会社健将 代表取締役
薬剤師としての専門知識を基盤に、長年にわたり健康・食品分野に携わり、腸内環境や食品と体調との関係をはじめとする健康情報の発信を行っています。
株式会社健将は健康食品の企画・開発・販売も行っています。本サイトでは、公的機関・医学論文などを確認しながら、一般の方にも分かりやすい健康情報の提供に努めています。
利益相反(COI)について
執筆者は株式会社健将の代表取締役であり、同社は健康食品の企画・開発・販売を行っています。
本記事は、特定のコンビニエンスストア、弁当商品、食品メーカー等を批判・推奨することを目的としたものではなく、公的機関・医学論文等をもとに一般的な健康情報を提供することを目的としています。
※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を目的とするものではありません。症状が続く場合や気になる症状がある場合は、医療機関へご相談ください。
