カレーみたいな下痢・便は大丈夫?ドロッとした泥状便になる原因と受診の目安

執筆・監修:箕浦雅子(薬剤師)|株式会社健将 代表取締役

「便がカレーみたいにドロドロしている」

「水のような下痢ではないけれど、形がなくペースト状になっている」

「キーマカレーみたいな便が続いているけれど、大丈夫?」

そんな便が出ると、何か病気なのではないかと心配になることがあります。

結論からいうと、カレーのようにドロッとして形がはっきりしない便は、一般に「泥状便(でいじょうべん)」と呼ばれる状態に近く、軟らかい便・下痢の範囲に入ることがあります。

一度だけで、その後いつもの便に戻るのであれば、食事やその日の体調などによる一時的な変化の場合もあります。

一方で、

  • カレー状の便が何日も続く
  • 水のような下痢になってきた
  • 血が混じる
  • 真っ黒でタールのような便が出る
  • 強い腹痛や発熱がある
  • 体重が減ってきた

といった場合は、「もともとお腹が弱いから」と自己判断せず、原因を確認することが大切です。

なお、この記事では、「カレーを食べた」のではなく、便そのものがカレーのようにドロッとしている場合について解説します。

カレーを食べたあとに下痢になった場合はこちらをご覧ください。

「カレーを食べると下痢になるのはなぜ?家庭のカレーでお腹を壊す原因と対処法」

インドカレーを食べた後の下痢・腹痛についてはこちらです。

「インドカレーで下痢になるのはなぜ?食後すぐの腹痛・下痢の原因と対処法」


カレーみたいな便は「泥状便」に近い状態

便の状態を表現するときには、

  • 普通便
  • 軟便
  • 泥状便
  • 水様便

などの言葉が使われます。

「カレーみたい」

「おかゆみたい」

「ペースト状」

という表現は、ドロッとして形が崩れた便、いわゆる泥状便をイメージすると分かりやすいでしょう。

医学や研究では、便の形を客観的に評価する方法としてブリストル便形状スケール(Bristol Stool Form Scale)が広く使用されています。[1]

このスケールでは便を1型から7型までに分類します。

  • 1~2型:硬い便
  • 3~4型:比較的正常な形の便
  • 5型:やや軟らかい便
  • 6型:形が崩れた、ドロッとした便
  • 7型:固形物のない水のような便

ブリストル便形状スケールの検証研究では、1~2型を硬い便、3~5型を正常域、6~7型を軟らかい便として評価しています。[1]

そのため、

「カレーのように形がなく、ドロッとしている」

という便は、ブリストル便形状スケールの6型に近い状態と考えると分かりやすいでしょう。

ただし、便の見た目だけで病気を診断することはできません。


軟便・泥状便・水様便はどう違う?

「下痢」とひとことで言っても、便の状態には幅があります。

軟便

普段より軟らかいものの、ある程度は形が残っている便です。

泥状便

形が崩れて、ドロッとした状態です。

「カレーみたい」「おかゆのよう」「ペースト状」と感じる便は、この状態に近いと考えられます。

水様便

ほとんど固形物がなく、水のような状態です。

NIDDK(米国国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所)は、下痢を軟らかい・水様の便が1日3回以上出る、または普段より頻繁に出る状態と説明しています。[2]

つまり、

「カレーみたいな便=必ず重い下痢」ではありません。

便の形だけでなく、回数や症状、その状態がどのくらい続いているかも合わせて考えることが大切です。


一度だけカレーみたいな便が出た。大丈夫?

一度だけドロッとした便が出て、その後いつもの便に戻るのであれば、それだけで病気と決まるわけではありません。

便の状態は、

  • 食事
  • 飲酒
  • その日の体調
  • 胃腸炎などの感染症
  • 特定の食品への不耐症
  • 腸の動き

など、さまざまな要因によって変化します。

NIDDKでは、急性下痢の主な原因として、ウイルス性胃腸炎、食中毒、薬の副作用などを挙げています。[2]

大切なのは、その1回の便だけではなく、その後どう変化するかを見ることです。

たとえば、

「昨日だけカレー状だったけれど、今日は普通便に戻った」

という場合と、

「何日もカレー状の便が続いている」

という場合では、考え方が違います。


カレーみたいな泥状便になる主な原因

ドロッとした便になる理由は一つではありません。

一時的な胃腸炎や感染症

ウイルスや細菌などによる感染症では、急に軟便や下痢が起こることがあります。

腹痛、吐き気、嘔吐、発熱などを伴うこともあります。[2]

NIDDKでは、急性下痢の代表的な原因としてウイルス性胃腸炎や食中毒を挙げています。

急に普段と違う泥状便や水様便になった場合は、

「昨日食べたものだけが原因」

と決めつけず、感染症などの可能性も考える必要があります。


食べ物や飲み物が合っていない

特定の食品を消化・吸収しにくいことで、下痢が起こる場合があります。

NIDDKでは、慢性的な下痢に関連するものとして、

  • 乳糖
  • 果糖
  • ショ糖
  • 糖アルコール

などの消化・吸収の問題を挙げています。[2]

たとえば、

「牛乳を飲んだあとに毎回便がゆるくなる」

「特定のお菓子や飲料を摂ると下痢になる」

といった場合は、食べ物との関連を確認することが原因を探す手がかりになります。

何を食べたかだけでなく、どのくらい食べたか、何時間後に便が変わったかも記録してみましょう。

特に、

「カレーを食べた後に下痢になる」

という方は、脂質・乳製品・香辛料・玉ねぎやにんにく・作り置きなど、別の要因も考えられます。

「カレーを食べると下痢になるのはなぜ?家庭のカレーでお腹を壊す原因と対処法」


過敏性腸症候群など、腸と脳の働きが関係することも

ドロッとした便や下痢を繰り返す原因の一つとして、過敏性腸症候群(IBS)などの腸と脳の相互作用に関係する病態があります。

たとえば、

  • 緊張すると下痢になる
  • 外出前になると何度もトイレへ行きたくなる
  • 腹痛と便通の変化を繰り返す

といった症状がみられることがあります。

ただし、

「下痢が長く続く=IBS」ではありません。

慢性的な下痢の原因には、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、膵臓の病気、感染症、食品不耐症、薬の影響など、さまざまなものがあります。[2]

症状が繰り返す、長く続く、日常生活に支障が出ている場合は、自己判断でIBSと決めつけず、消化器内科などの医療機関へ相談してください。


薬や一部の成分が原因になることもある

薬の副作用として下痢が起こることがあります。

NIDDKでは、抗菌薬、マグネシウムを含む制酸薬、一部のがん治療薬などが急性下痢の原因になる場合があるとしています。[2]

また、液体の薬などに含まれることがある、

  • ソルビトール
  • マンニトール
  • キシリトール

といった糖アルコールでも、人によっては下痢が起こることがあります。[2]

症状が始まった時期と、

新しく飲み始めた薬や健康食品、サプリメント

の時期が重なっていないかも確認してみましょう。

薬を使用している場合は、自己判断で中止せず、医師や薬剤師に相談してください。


「カレー色」なのか「カレー状」なのかを分けて考える

「カレーみたいな便」という表現には、

便の色がカレーのように見える

という意味と、

便の形・やわらかさがカレーのようにドロドロしている

という意味があります。

この記事で中心に扱っているのは、後者の便の形ややわらかさです。

便の色については、食べたものや薬などによって変化することがあります。

一方で、

真っ黒でタールのような便
赤い血が混じった便

などは、消化管からの出血などが関係する場合があるため注意が必要です。

いつもと明らかに違う便色が続く場合や、血液が混じっている可能性がある場合は、医療機関へ相談してください。


カレーみたいな下痢が続く場合は?

一度だけではなく、ドロッとした便や下痢が続いている場合は、どのくらい続いているかも重要です。

NIDDKでは、

急性下痢は通常1週間未満で自然に改善することが多い

としています。

一方で、

2週間を超えて4週間未満続くものを「持続性下痢」

4週間以上続くものを「慢性下痢」

としています。[4]

また、AGA(米国消化器病学会)の慢性水様性下痢に関するガイドラインは、4週間以上続く水様性下痢を対象としています。[5]

そのため、

「カレー状の便が何週間も続いている」

という場合は、一時的な食事や体調の変化だけではなく、別の原因がないか確認することが大切です。

ただし、

4週間経つまで受診しなくてよい、という意味ではありません。

血便、黒い便、強い腹痛、発熱、脱水などを伴う場合は、期間にかかわらず医療機関へ相談してください。


下痢のとき、水分を控えた方がいい?

いいえ。下痢だからといって水分を控えるのはおすすめできません。

下痢では便とともに水分や電解質が失われるため、脱水を防ぐことが重要です。

NIDDKも、下痢の際には失われた水分と電解質を補うことを勧めています。[6]

水分補給には、

  • スープなどの水分
  • 電解質を含む飲料
  • 必要に応じて経口補水液

などがあります。

特に下痢の回数が多い場合は、脱水に注意してください。

NIDDKでは、高齢者や持病のある人などでは経口補水液の種類や量について医師への相談が必要な場合があるとしています。子どもの下痢についても、医師への相談を勧めています。


こんな場合は医療機関へ

カレーのようなドロッとした便が一度出ただけで、その後いつもの便に戻る場合は、経過をみられることもあります。

一方で、

  • 血便がある
  • 真っ黒でタールのような便が出る
  • 強い腹痛がある
  • 高熱がある
  • 嘔吐を繰り返す
  • 脱水が疑われる
  • 下痢が長く続いている
  • 体重が減ってきた
  • 同じ症状を何度も繰り返す

といった場合は、自己判断だけで済ませず医療機関へ相談してください。

NIDDKも、下痢では脱水、血便、発熱、嘔吐などを伴うことがあり、重い症状の場合には医療機関への相談が必要としています。[2]


まとめ|カレーみたいな便は、ドロッとした「泥状便」の可能性

「カレーみたいな下痢」

「キーマカレーみたいな便」

と感じる場合は、形が崩れたドロッとした便、いわゆる泥状便になっている可能性があります。

一度だけなら、食事やその日の体調などによる一時的な変化の場合もあります。

確認したいのは、

「一度だけか、何日も続いているか」

「泥状か、水のようになっているか」

「腹痛や発熱を伴っていないか」

「血便や黒い便ではないか」

「特定の食品や薬と関係していないか」

という点です。

また、下痢だからといって水分を控えるのではなく、失った水分と電解質を補うことが大切です。[6]

カレー状の便が長く続く場合や、血便・黒い便・強い腹痛などを伴う場合は、医療機関へ相談してください。


参考文献・参考情報

[1] Blake MR, Raker JM, Whelan K.
Validity and reliability of the Bristol Stool Form Scale in healthy adults and patients with diarrhoea-predominant irritable bowel syndrome.
Alimentary Pharmacology & Therapeutics. 2016;44(7):693-703.
DOI:10.1111/apt.13746
PMID:27492648
PubMedで確認

[2] National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK).
Symptoms & Causes of Diarrhea.
NIDDK「Symptoms & Causes of Diarrhea」

[3] National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK).
Symptoms & Causes of GI Bleeding.
NIDDK「
Symptoms & Causes of GI Bleeding

[4] National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK).
Definition & Facts for Diarrhea.
NIDDK「Definition & Facts for Diarrhea」

[5] American Gastroenterological Association(AGA).
Laboratory evaluation of functional diarrhea and diarrhea-predominant irritable bowel syndrome in adults (IBS-D).
Published July 11, 2019.
AGAガイドライン

[6] National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK).
Treatment of Diarrhea.
NIDDK「Treatment of Diarrhea」


執筆・監修

箕浦雅子(薬剤師)
株式会社健将 代表取締役。

薬剤師としての専門知識を基盤に、長年にわたり健康・食品分野に携わり、腸内環境や納豆菌をはじめとする健康情報の発信を行っています。

株式会社健将は健康食品の企画・開発・販売も行っています。本サイトでは、健康や身体に関する一般的な情報について、公的機関・学会・医学論文などを確認しながら、できる限り正確で分かりやすい情報提供に努めています。

利益相反(COI)について

執筆者は株式会社健将の代表取締役であり、同社は健康食品の企画・開発・販売を行っています。本記事は特定商品の販売を目的としたものではなく、上記の公的機関・医学論文等に基づく一般的な健康情報の提供を目的としています。

※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を目的とするものではありません。症状が続く場合や気になる症状がある場合は、医療機関へご相談ください。