下痢の種類とその原因について2

前回に引き続き、下痢の原因4つの型のうち、最後の一つについて詳しく見ていきたいと思います。

 腸管運動異常

腸管のぜん動運動の活発化が原因で起こる下痢と、腸管のぜん動運動の低下が原因で起こる下痢を腸管運動異常性下痢といいます。

ぜん動運動とは、食べた物を肛門方向へと移動させる収縮運動のことです。

 

ぜん動運動が低下する場合の下痢

ぜん動運動の低下の場合は、小腸内容物の通過遅延によって脂肪や水の吸収障害が起こり下痢となります。

下痢便に粘液が混入することはあっても、血液、膿の混入はみられません。

 

ぜん動運動が活性化する場合の下痢

一方、ぜん動運動が活発化すると、体内に取り入れた水分が十分に吸収される前に排泄物として肛門に到達してしまうため、下痢となります。

ぜん動運動が活発化する原因はいくつかありますが、最も大きな原因は「ストレス」です。

ぜん動運動が異常に高まると、腸の内容物が急速に通過するため、水分の吸収が充分に行われなくなります。そのため、軟便や下痢便となるのです。

排便後も腸のぜん動運動が残ると腹部の不快感や腹痛があります。

代表的な病気として「過敏性腸症候群」がよく知られています。

検査を行っても炎症や潰瘍など目に見える異常が認められないにもかかわらず、下痢や便秘、ガス過多による下腹部の張りなどの症状が起こります。

腸を動かしている自律神経

自律神経には副交感神経と交感神経の二つの神経があります。

そのうち、副交感神経はぜん動運動を活発化する働きがあります。

逆に、交感神経はぜん動運動を抑制する働きがあります。

このように、腸は脳からの指令を受けて腸管運動を制御しています。

実際、腸には他の臓器と比べて多くの神経細胞が集まっています。

そのため、腸は「第二の脳」と呼ばれることがあるのです。

そして、過度なストレスがかかると自律神経は正常に働かなくなることがあります。

 

腸内細菌が原因の場合

過敏性腸症候群の原因はストレスだけでなく、腸内そのものに原因がある場合があります。

その一番の原因はズバリ、”腸内細菌”です。腸内細菌(悪玉菌)の異常繁殖によるとも言われています。

食生活の栄養バランスが乱れミネラルが不足すると、腸内の善玉菌が増えなくなり、悪玉菌が異常に増え、腸内細菌、特に悪玉菌が異常増殖して小腸にまで広がります。この小腸まで広がった細菌を異物とみなすため、腸はぜん動運動を活発化させて異物を早く通過させようとします。その結果、他の未消化のものもどんどん送られることになり、下痢となってしまうのだそうです。

つまり、腸内細菌の異常によって過敏性腸症候群が起こるという事です。

 

☆下痢の原因の見極めが重要

下痢は、どのような原因で起こっているかを見極めることがとても重要です。

神経性の下痢などの場合には、腸の異常なぜん動運動を正常にすればよいのですが、ウイルスや食中毒などの細菌によるものだと、下痢によって菌を排出しているので無理に薬などで止めてしまうと熱が出たり病気がひどくなったりしてしまいます。

急性下痢の治療の基本は、無理に下痢をとめずに脱水症状にならないよう、温かい飲み物を少しずつ補給し、消化の良い物を食べることです。

下痢が続くときや、発熱または腹痛があるとき、便に血が混じるとき、便秘と下痢を繰り返す場合は、病院を受診してください。

1時間以内に大量の便が出た場合など、ちょっと異常だな?と思った場合は非常に注意が必要となりますのですぐに病院へ行き、医師に診察してもらうようにしてください。

腸内が整っているおなかは、下痢をよせつけない

生活習慣病の原因の9割は腸内環境の悪化とも言われています。

下痢が起こる原因も同様です。ここまで見てきたように、食生活の乱れから腸内環境が悪化すると、有害物質が腸壁を傷つけることになり、結果として腸内での水分調整をする機能が弱るためです。

また、有害物質や食中毒菌が入ってきても腸内ではそれらを速やかに排出することが出来る機能が備わっています。下痢にならないためにも、下痢を早く改善するためにも、腸内環境をしっかりと整えましょう。

腸内環境を整えるのに欠かせないのが、腸内細菌の存在です。

最近では「腸内の菌を育てる活動」=「腸活」という言葉も盛んに叫ばれるようになってきました。

腸活には良い腸内細菌が必要です。乳酸菌、納豆菌、ビフィズス菌といった善玉菌をおなかに届けることで、腸内環境は着実に改善されていきます。腸活をうたう食品やサプリメントなどが、様々な企業から販売されていますので、ぜひ一度試してみて、自分のおなかに合う菌を探してみましょう。

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