納豆と納豆菌はどう違う?

腸内環境を整えるのに欠かせない善玉菌

下痢の原因は様々ありますが、どんな下痢でも、あるいは便秘でも、おなかのトラブルにおいて共通して考えられることは「腸内環境の悪化」です。

下痢、便秘、排泄物の悪臭などはすべて、腸内環境が悪いために起こります。

悪い腸内環境とはすなわち、悪玉菌が多くなっている腸内のことです。

悪玉菌は腸の中で、運ばれてきた食物を分解する際、臭い匂いの素となる成分を産生します。また、悪玉菌は肉類や油脂を好む傾向があるため、肉中心の食事をしていると悪玉菌が増えやすくなるのです。

このため、肉をよく食べる人はおならが臭う(=悪玉菌が増えている)ということになります。

また、肉食中心の生活の人は往々にして、野菜をあまり摂取していないため、食物せんいが不足気味であり、このため便秘になる人が多いのです。

臭いの原因は腐敗物質にあり

悪玉菌はおなかの中で臭いの素となる成分を産生すると前述しましたが、これらは「腐敗物質」などとも呼ばれます。毒性のあるアンモニアやアミン、硫化水素などの有害物質や、発がん性物質などがこれにあたります。

こうした腐敗物質がおなかの中で増えると、それらは腸から血液内へと吸収され、全身へと巡ることになります。便秘のために便が腸内で長く滞留してしまう人ならなおさらです。

腸内環境が悪くなると便秘もひどくなり、さらに腸内環境が悪くなり、便秘が悪化し……と何も手を打たなければ負のループに陥ります。

また、増えすぎた悪玉菌を排出するために下痢を起こす人もいます。この場合、一時的にはよくなりますが、食生活を変えない限り腸内環境は変わりません。どこかで悪玉菌の増殖を抑えなければ、悪玉菌が下痢によって減る→肉を食べて悪玉菌が増える→再び下痢が起きて悪玉菌が減る→増える……と、このように定期的に下痢を繰り返すようになります。

悪玉菌の増殖を止める、ただ一つの方法

一度悪くなってしまった腸内環境を、食事から改善して立て直すのは簡単ではありません。

一番簡単で、しかも確実な手段は「善玉菌を増やす」こと。これに尽きます。

なぜなら善玉菌が増えることによって、悪玉菌が増えづらい環境へとおなかの中が変わるからです。善玉菌とは乳酸菌納豆菌といった菌のことを指します。なかでも納豆菌は、悪玉菌ばかりのお腹の中でも元気に増え続け、乳酸菌をはじめとする他の善玉菌が増える手助けもしてくれます

悪玉菌より善玉菌が優勢となったおなかでは、腐敗物質の産生が減るため、便やおならが臭うといったことがなくなります。また、腸内が整っていくにつれて、下痢、あるいは便秘といった排泄の異常も落ち着いていきます。

善玉菌を育てるなら納豆菌がおすすめ!

これはとてもシンプルな理由からです。納豆菌は圧倒的に生命力が強いからです。芽胞と呼ばれる殻を被った状態で摂取すれば、胃酸で死滅する数も少なく、生きて腸まで届いてくれます。

乳酸菌ももちろん優れた善玉菌ですが、胃酸でほとんどが死滅してしまうため、腸内で爆発的に増えるということはありません。

その点、納豆菌は生きて腸内に届き、おなかの中で急速に増えていきます。納豆菌が増えることで、腸内の環境が悪玉菌の棲みにくい環境へと変わりますので、善玉菌がどんどん増えていくのです。

納豆と納豆菌はどう違う?

さて肝心の納豆菌ですが、納豆とどう違うのでしょうか。納豆を食べていれば、納豆菌を摂取していることになるのでしょうか?

答えは「NO」です。

納豆1パックあたり約50gとすると、”500億個”の納豆菌が存在しているといわれています。やっぱり納豆菌が入ってるんだ!と思われたと思いますが、この納豆の納豆菌は「栄養型」とよばれるもので、大半が胃酸で死滅してしまいます。その数は実に全体の99.9%。500億個の菌のうち、わずか100万個ほどが、なんとかおなかまで辿り着きます。

 

このような栄養型の納豆菌に対して、胃酸に強く、生きて腸まで届くのは「芽胞型」と呼ばれる納豆菌です。この芽胞型の納豆菌はサプリメントなどで摂取することのできる、いわば納豆菌の種のようなものです。

 

芽胞と呼ばれる殻を被った状態で摂取すれば、ほとんどの菌が胃酸で死滅することなく、生きて腸まで届いてくれます

その数は納豆(約50g)に換算すると、サプリメント1粒でおよそ10〜30パック分にもなります。

 

10パックもの納豆を毎日食べることは不可能ではないかもしれませんが、かなり難しいことです。その点サプリメントは、手軽に良質な納豆菌を大量におなかに送り込むことのできる、優れた栄養補助食品なのです。