執筆・監修:箕浦雅子(薬剤師)|株式会社健将 代表取締役
「たまごサンドを食べると下痢になる」
「コンビニのサンドイッチを食べるとお腹を壊す気がする」
「卵が悪いの?マヨネーズ?それともパン?」
そんな疑問を持つ人は少なくありません。
結論からいうと、たまごサンドやサンドイッチそのものが、誰にでも下痢や腹痛を起こす食品というわけではありません。
ただし、サンドイッチは複数の食品が組み合わさった料理です。
たまごサンドなら、
- 卵
- マヨネーズ
- パン
- バターやマーガリン
- チーズ
- ハム
- 野菜
- 調味料
などが一緒に使われます。
そのため、食後にお腹の調子が悪くなった場合には、
- 一度に食べた量
- 脂質の多さ
- 乳製品
- 小麦
- 食品の保存状態
- もともとの腸の敏感さ
- 食中毒
などを分けて考える必要があります。
この記事では、たまごサンドやサンドイッチを食べたあとに下痢・腹痛が起こる主な原因と、どこを確認すればよいのかを薬剤師が解説します。

- たまごサンド・サンドイッチで下痢になる主な原因
- 原因① マヨネーズや具材の脂質が多かった
- 原因② 牛乳・チーズ・クリームなど乳製品が入っていた
- 原因③ パンや小麦で症状が出やすい人もいる
- 原因④ たまごサンドの食中毒
- 「マヨネーズが原因で食中毒になる」は本当?
- 手作りたまごサンドは何に注意する?
- 食後すぐに下痢したなら、今食べたサンドイッチがそのまま出たわけではない
- 「添加物が入っているから下痢」ではない
- たまごサンドを食べると毎回お腹を壊すときの確認ポイント
- こんな症状があるなら食中毒も考える
- たまごサンドで下痢になったときの対処法
- こんな場合は医療機関へ
- まとめ|たまごサンドでお腹を壊しても、原因は卵や添加物だけとは限らない
- 参考文献・参考情報
- 執筆・監修
- 利益相反(COI)について
たまごサンド・サンドイッチで下痢になる主な原因
サンドイッチを食べたあとに下痢や腹痛が起こった場合、主に次のようなことを確認します。
- 一度に食べる量が多かった
- マヨネーズや揚げ物など脂質が多かった
- 牛乳・チーズ・クリームなど乳製品が入っていた
- パンや小麦製品で症状が出やすい体質だった
- 食後すぐの便意に胃結腸反射が関係していた
- 保存状態や食中毒が関係していた
- サンドイッチ以外の飲み物や副菜が影響していた
「たまごサンドを食べた=卵が原因」とすぐに決めるのではなく、何をどのくらい食べたのかを整理することが大切です。
原因① マヨネーズや具材の脂質が多かった
たまごサンドには、卵だけでなくマヨネーズが使われることが多く、商品によってはバターやマーガリン、チーズなども加わります。
脂質の多い食事は、人によっては下痢を悪化させることがあります。
急性の下痢があるときには、揚げ物やピザ、ファストフードなど脂質の多い食品が症状を悪化させる可能性があります。[1]
そのため、
「卵料理は平気だけれど、たまごサンドだとお腹がゆるくなる」
という場合には、卵だけでなく、
- マヨネーズの量
- バターやマーガリン
- チーズ
- 揚げ物系の具材
- 一緒に食べたポテトや唐揚げ
なども確認してみましょう。
卵料理そのものと下痢の関係については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
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原因② 牛乳・チーズ・クリームなど乳製品が入っていた
サンドイッチの種類によっては、
- チーズ
- ホワイトソース
- クリームチーズ
- ミルク入りの卵フィリング
- カフェラテなど一緒に飲んだ乳製品
が関係することがあります。
乳糖を十分に分解できない人では、乳製品を摂ったあとに、
- 腹痛
- お腹の張り
- ガス
- 下痢
などが起こることがあります。
また、急性下痢のあとには一時的に乳糖を消化しにくくなる場合もあります。[1]
たまごサンドを食べたときだけでなく、
「牛乳やカフェラテ、チーズでも同じようにお腹がゆるくなる」
という場合には、乳製品との関係も確認してみましょう。
原因③ パンや小麦で症状が出やすい人もいる
サンドイッチにはパンが使われます。
パンに含まれる小麦そのものが、すべての人に下痢を起こすわけではありません。
ただし、IBSなど腸が敏感な人では、小麦製品を食べたあとに症状が出ることがあります。
IBSの食事療法では、症状によってはグルテンを避ける方法や、FODMAPを減らす食事が検討されることがあります。小麦製品もFODMAPを含む食品の一つです。[2]
ただし、
「パンを食べるとお腹が痛い=グルテンが原因」
と自己判断するのは適切ではありません。
ほかの食品や食べる量、脂質、乳製品なども一緒に確認しましょう。
原因④ たまごサンドの食中毒
ここは、通常の「お腹が弱い」という話とは分けて考える必要があります。
たまごサンドや卵を使ったサンドイッチは、調理や保存状態によっては食中毒の原因になることがあります。
実際に、卵マヨネーズサンドイッチを原因食品としたSalmonellaの集団発生は報告されています。[3]
また、サンドイッチに関連した食中毒では、卵由来と考えられるSalmonellaが関与した事例も報告されています。[4]
ただし、
「たまごサンド=危険」
という意味ではありません。
大切なのは、
- 卵や具材の衛生管理
- 十分な加熱
- 調理後の温度管理
- 作ってから食べるまでの時間
- 手指や調理器具からの二次汚染
です。
調理後の食品は室温に長く放置せず、冷蔵が必要な食品は速やかに冷蔵することが大切です。[5]
「マヨネーズが原因で食中毒になる」は本当?
マヨネーズだけが食中毒の原因とは限りません。
市販のマヨネーズは酢やレモン汁などで酸性に調整されており、細菌が増えにくい性質があります。
チキン、ツナ、卵サラダなどで食中毒が起こった場合、マヨネーズそのものよりも、肉・魚・卵などの具材や、冷蔵せずに長時間置かれたことが問題になることがあります。[9]
つまり、
「たまごサンドでお腹を壊したからマヨネーズが悪い」
とすぐに決めるのではなく、卵や具材、保存状態を含めて考える必要があります。
手作りたまごサンドは何に注意する?
手作りの場合は、調理から食べるまでの管理が大切です。
卵やその加工品では、
- ひび割れた卵は長く置かない
- 生卵・半生卵を使った食品は室温に長時間置かない
- 液卵は加熱殺菌されたものを使うか、調理時に十分加熱する
といった点に注意が必要です。[7]
また、テイクアウトや持ち帰り食品についても、調理後は速やかに冷やし、購入後は早めに食べることが大切です。[6]
そのため、
「朝作ったたまごサンドを常温のバッグに入れたまま昼まで置く」
といった状況は避けた方がよいでしょう。
保冷バッグや保冷剤を使い、必要に応じて冷蔵しましょう。
食後すぐに下痢したなら、今食べたサンドイッチがそのまま出たわけではない
サンドイッチを食べて10分、20分ほどで便意が起こると、
「さっき食べたたまごサンドがすぐに出た」
と思うかもしれません。
しかし、今食べたものがそのまま短時間で便になったわけではありません。
飲食によって胃が刺激されると、大腸の動きが活発になる胃結腸反射が起こることがあります。
つまり、食事をきっかけに、もともと大腸にあった内容物が押し出された可能性があります。
胃結腸反射については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
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「添加物が入っているから下痢」ではない
コンビニや市販のサンドイッチには、商品によってさまざまな食品添加物が使われることがあります。
ただし、
「pH調整剤が入っているから下痢になる」
「添加物が善玉菌を殺すからお腹を壊す」
と一括りにすることはできません。
食品添加物は、それぞれ性質も使用目的も異なります。
大切なのは、「添加物」という大きなくくりで怖がることではなく、特定の商品を食べたときに繰り返し症状が出る場合には、
- 原材料
- 乳製品
- 糖アルコール
- 香辛料
- 脂質
- 食べた量
などを具体的に確認することです。
たまごサンドを食べると毎回お腹を壊すときの確認ポイント
何度も同じ症状を繰り返す場合には、条件を整理してみましょう。
確認したいのは、
- コンビニ、市販、手作りのどれか
- たまごサンドだけか、他のサンドイッチでも症状が出るか
- 食べた量
- マヨネーズの量
- チーズや乳製品が入っていたか
- 一緒に牛乳やカフェラテを飲んでいなかったか
- 作ってからどのくらい時間が経っていたか
- 常温で長時間持ち歩いていなかったか
- 発熱や嘔吐があるか
- サンドイッチを食べていない日にも下痢があるか
です。
特に、
「特定の商品だけで毎回症状が出る」
のか、
「たまごサンド以外の脂っこい食品や乳製品でも症状が出る」
のかで、原因の考え方は変わります。
こんな症状があるなら食中毒も考える
食後の下痢がすべて食中毒というわけではありません。
ただし、
- 発熱
- 強い腹痛
- 繰り返す嘔吐
- 水のような下痢
- 血便
- 同じものを食べた人も体調を崩している
といった場合には、感染性胃腸炎や食中毒も考える必要があります。
サルモネラ菌による食中毒では、下痢、腹痛、嘔吐、発熱などがみられることがあります。[8]
症状が強い場合や長引く場合には、自己判断せず医療機関へ相談してください。
たまごサンドで下痢になったときの対処法
一度だけ便がゆるくなった程度で、その後すぐに戻った場合には、まず水分を取りながら様子をみます。
下痢があるときには、脂質の多い食品や乳糖を含む乳製品が症状を悪化させる場合があります。[1]
症状が落ち着くまでは、
- 脂っこいものを控える
- 一度に大量に食べない
- 水分を少しずつ摂る
- 体調に合わない食品を無理に食べない
といった対応がよいでしょう。
また、原因を確かめるために、症状が続いている最中に同じたまごサンドを繰り返し食べる必要はありません。
こんな場合は医療機関へ
次のような場合には、サンドイッチだけが原因と決めつけず、医療機関へ相談してください。
- 強い腹痛がある
- 下痢が続いている
- 血便がある
- 黒い便が出る
- 高熱がある
- 嘔吐を繰り返す
- 水分が取れない
- 尿が少ないなど脱水が疑われる
- 体重が減ってきた
- サンドイッチを控えても症状が続く
まとめ|たまごサンドでお腹を壊しても、原因は卵や添加物だけとは限らない
たまごサンドやサンドイッチを食べたあとに、下痢や腹痛が起こることはあります。
ただし、
「卵が悪い」
「マヨネーズが悪い」
「添加物が悪い」
と一つの原因だけで説明することはできません。
考えられるのは、
- 脂質の多さ
- 乳製品
- 小麦
- 一度に食べた量
- 胃結腸反射
- 保存状態
- 食中毒
- もともとの腸の敏感さ
などです。
特に、たまごサンドは加熱後に冷やして食べることが多く、調理後の温度管理や保存状態も重要です。
大切なのは、
「たまごサンドが良い・悪い」と決めるのではなく、どの商品を、どのくらい、どんな条件で食べたときに症状が出るのか
を整理することです。
参考文献・参考情報
[1] National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK).
Eating, Diet, & Nutrition for Diarrhea.
下痢時に症状を悪化させる可能性のある脂質、乳糖などについて参照。
NIDDKの資料を確認する
[2] National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK).
Eating, Diet, & Nutrition for Irritable Bowel Syndrome.
IBSと小麦、グルテン、FODMAPについて参照。
NIDDKの資料を確認する
[3] Mason BW, Williams N, Salmon RL, Lewis A, Price J, Johnston KM, Trott RM.
Outbreak of Salmonella indiana associated with egg mayonnaise sandwiches at an acute NHS hospital.
Commun Dis Public Health. 2001;4(4):300-304. PMID: 12109399.
PubMedで確認する
[4] Ortega-Benito JM, Langridge P.
Outbreak of food poisoning due to Salmonella typhimurium DT4 in mayonnaise.
Public Health. 1992;106(3):203-208.
DOI: 10.1016/S0033-3506(05)80537-2. PMID: 1603924.
PubMedで確認する
[5] 厚生労働省.
家庭でできる食中毒予防の6つのポイント.
食品の冷蔵保存、調理後の放置、衛生管理について参照。
厚生労働省の資料を確認する
[6] 厚生労働省.
テイクアウト・デリバリーにおける食中毒予防.
調理後の温度管理、早めの喫食について参照。
厚生労働省の資料を確認する
[7] 厚生労働省.
卵及びその加工品の衛生対策について.
卵・液卵・半生卵を含む食品の衛生管理について参照。
厚生労働省の資料を確認する
[8] 食品安全委員会.
「食の安全ダイヤル」に寄せられた質問等Q&A(生物系物質).
鶏卵とSalmonella、主な症状について参照。
食品安全委員会の資料を確認する
[9] USDA Food Safety and Inspection Service.
Does mayonnaise cause foodborne illness?
マヨネーズとサンドイッチの食中毒リスクについて参照。
USDAの資料を確認する
執筆・監修
箕浦雅子(薬剤師)
株式会社健将 代表取締役
薬剤師としての専門知識を基盤に、長年にわたり健康・食品分野に携わり、腸内環境や食品と体調との関係をはじめとする健康情報の発信を行っています。
株式会社健将は健康食品の企画・開発・販売も行っています。本サイトでは、公的機関・医学論文などを確認しながら、一般の方にも分かりやすい健康情報の提供に努めています。
利益相反(COI)について
執筆者は株式会社健将の代表取締役であり、同社は健康食品の企画・開発・販売を行っています。
本記事は、特定のコンビニエンスストア、サンドイッチ商品、食品メーカー等を批判・推奨することを目的としたものではなく、公的機関・医学論文等をもとに一般的な健康情報を提供することを目的としています。
※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を目的とするものではありません。症状が続く場合や気になる症状がある場合は、医療機関へご相談ください。
