下痢の原因は加熱しない生の小麦粉
下痢の原因というと悪いものを食べたかな、などあれこれ考えるものです。とはいえ、悪いものを何も食べていなくても下痢になることはありますし、自分では悪いと思っていない食品が実は、下痢の原因となっていることもあります。
こうした場合の多くは、日常生活に潜んでいる習慣的なものが下痢の原因ということが多いようです。例えば、生の小麦粉。意外に思われるかもしれませんが、小麦粉に火を通さず生のまま食べてしまう、生の小麦粉がおいしいという人も存在するのです。
そのままで食べてはいけない生の小麦粉
世の中には焼く前のクッキー生地だとか、クレープの種だとかをそのまま食べてしまうという人が一定数いるそうです。これらの生地は火が通ってなくても甘く、舐めたら意外とおいしかったから癖になってしまう、なんてこともあるんだとか。また、インスタントラーメンの麺を、お湯で戻さず乾麺のまま食べる人もいます。
なぜ生の小麦粉が下痢になるのか
圧倒的な消化不良
小麦粉に含まれるでんぷん質は、非加熱の時「βデンプン」という状態になっています。そのβデンプンに水分を加えて加熱すると消化しやすい「αデンプン」という状態に変化し、消化しやすい状態に変化します。
非加熱の「βデンプン」の状態では消化酵素が働かないため、人が消化できない状態のまま腸に送られてしまい、それが腸を刺激し、おなかを壊す原因になります。
これはお米や豆類にも同じことが言えるので、生のまま食べないようにしましょう。
サルモネラ菌、大腸菌などが混入している可能性
アメリカやカナダで、小麦粉を加熱調理せずに食べること(小麦粉の生食)が原因とされる微生物による健康被害が発生しています。
なお、現時点では日本において同様の事例は発生していません。
アメリカやカナダでは、クッキー生地やホットケーキ生地などを加熱せずに食べる人々が一部存在し、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、小麦粉の生食のみならず、使用した卵のサルモネラ菌汚染や、生地の不衛生な取扱い(汚染された手や道具の接触、常温での放置)による食中毒が発生しています。
生地に使用される小麦粉の原料である小麦には、畑で栽培される他の農作物同様に、土壌由来の微生物が存在していますが、通常の加熱調理を行えば問題はありません。
生小麦粉を含む生地を食べたり触ったりすると、腸管出血性大腸菌(志賀毒素産生性大腸菌 O121)に感染する恐れがあります。
またアメリカでは、知育道具の一つとして使用される自家製の「小麦粉粘土」に関して、子どもが生地を触った手を通じて大腸菌に感染する可能性があるため、親や幼稚園などに対して小麦粉粘土を子どもに与えないよう警告しています。
生の小麦粉による下痢の症状
アメリカでは、2016年に24州で63人が、小麦粉製品を加熱せずに摂取して大腸菌に感染しました。
小麦粉は生で食べることを想定しておらず、一般的に殺菌処理が行われていません。もし生の小麦を食べて腸管出血性大腸菌(志賀毒素産生性大腸菌 O121)に感染すると、血便を含む下痢、腹部のけいれんなどの症状が約1週間続きます。
場合によっては長期化することもあり、長引けば最終的に劇症化する可能性もあります。一部の患者では溶血性尿毒症症候群と呼ばれる重篤な腎不全状態に至る可能性もあるそうです。
更に脳症など合併症を引き起こし死に至る場合もあります。一方で軽い下痢や諸症状ですむ人もあり、感染に気が付かないうちに家族などへ二次感染する可能性があります。
症状が消失した後も排菌は続き、5歳以下の年少者では発症後17日間排菌したとの報告もあります。溶血性尿毒症症候群はどの年齢でも起こりますが、特に5歳未満の幼児・高齢者など、免疫が弱い人は発症しやすい傾向にあるとのことです。
一方、サルモネラ菌に汚染された生の小麦粉を摂取すると通常6~48時間後に発症しますが、それ以降に発症することもあるようです。サルモネラ菌感染を伴う典型的な症状は発熱や下痢、激しい腹痛などで、症状は4~7日間にわたって続きますが、ほとんどの患者が抗菌薬投与なしで回復します。
アメリカ食品医薬品局は、サルモネラ菌は高齢者や乳幼児、免疫力が低下した人に感染するとより危険であるとして注意を呼び掛けています。
小麦粉は加熱調理してから食べましょう!
基本的なことですが、小麦粉は生で食べることを想定されていません。そのため、小麦粉のメーカーやブランドにかかわらず、生のクッキー生地などには大腸菌などの細菌が残存している可能性があります。煮る・焼く・揚げる・電子レンジで加熱するなど、しっかり調理すれば、これらの危険は予防できます。
また、小麦粉は生の状態では消化されにくいものであることも、忘れてはなりません。小麦粉を使用して家庭で作る半生タイプのお菓子なども、十分に加熱調理をして下さい。
現代ではグローバルな社会となり世界各国の商品が出回っています。生の小麦粉を食べないよう、あるいは子供達に小麦粉粘土を与えないようにしましょう。
腸内環境を整えよう
「元気の元は胃腸から」と昔から言われています。腸内が元気であれば、有害なものを食べたり、感染したりしても、腸内はそれらを適切に処理し、体外に排出する機能が備わっています。
なので、いかに腸内環境を整えておくかで下痢になるかならないかが決まるのです。下痢になったとしても、乱れた腸内環境を早く整えることができれば、下痢は一段と早く改善します。
乱れた腸内では、下痢によってそれまで腸内にすんでいた善玉菌が極端に減っている場合があります。この時、良質な善玉菌やそれを手助けする有益な菌を、意識しておなかに補給してあげると、その後の回復のスピードが全く変わってきます。
最近では腸活を牽引する善玉菌ブームが巻き起こっています。睡眠の質を上げる、目の疲れを軽減するなど、菌の種類によってさまざまな効果が期待できる商品が次々と出てきています。腸内環境の良し悪しがそれだけ、身体のパフォーマンスに影響するとわかってきているのです。
善玉菌を補給するのに効率的なのは、サプリメントです。高品質、高濃度の善玉菌を誰でも手軽に補給できる点が魅力です。ぜひ、自分の善玉菌を増やす活動をしてみてください。