執筆・監修:箕浦雅子(薬剤師)|株式会社健将 代表取締役
「烏龍茶は体に悪いって本当?」
「ウーロン茶を飲むとお腹がゆるくなる」
「下痢のときに烏龍茶を飲んでもいいの?」
そんな疑問を持つ人は少なくありません。
結論からいうと、烏龍茶そのものを「体に悪い飲み物」と考える必要はありません。
ただし、烏龍茶にはカフェインや茶由来のポリフェノールが含まれています。飲む量や濃さ、体質、体調によっては、お腹の調子が悪くなったり、カフェインによる不快症状が出たりすることがあります。
特に、
- 一度にたくさん飲んだ
- 濃い烏龍茶を何杯も飲んだ
- カフェインに敏感
- すでに下痢をしている
- 鉄不足や貧血を指摘されている
- 妊娠中でカフェイン摂取量に注意している
といった場合には、少し注意が必要です。
この記事では、「烏龍茶は体に悪いのか」という疑問から、下痢・腹痛、カフェイン、茶ポリフェノール、鉄の吸収、妊娠中の飲み方まで、薬剤師が整理して解説します。

- 烏龍茶は本当に体に悪い?
- 烏龍茶で下痢・腹痛になることはある?
- 原因① 烏龍茶に含まれるカフェイン
- 原因② 冷たい烏龍茶だから下痢になるとは限らない
- 原因③ 濃い烏龍茶を何杯も飲んだ
- 烏龍茶の「タンニン」は胃腸に悪い?
- 烏龍茶は鉄の吸収を妨げる?
- 「烏龍茶は脂を流す」は本当?
- 下痢のときに烏龍茶を飲んでもいい?
- 烏龍茶を飲むとすぐトイレに行きたくなるのはなぜ?
- 妊娠中に烏龍茶を飲んでもいい?
- 烏龍茶は紅茶や緑茶より体にやさしい?
- 烏龍茶を飲むと毎回お腹を壊すときは?
- 烏龍茶で下痢になったときの対処法
- こんな場合は医療機関へ
- まとめ|烏龍茶は「体に悪い」のではなく、量と体質がポイント
- 参考文献・参考情報
- 執筆・監修
- 利益相反(COI)について
烏龍茶は本当に体に悪い?
通常の範囲で飲む烏龍茶を、一律に「体に悪い」と考える必要はありません。
烏龍茶は、緑茶や紅茶と同じチャノキ(Camellia sinensis)の葉から作られるお茶です。製造工程によって成分組成は変わりますが、烏龍茶にもカフェインやポリフェノールなどが含まれています。
重要なのは、
「烏龍茶だから危険」なのではなく、飲む量や濃さ、体質、体調によって合わない場合がある
ということです。
健康な成人では、カフェインは1日400mg程度までであれば、一般に大きな問題につながらない量とされています。ただし、カフェインへの感受性には個人差があります。[1]
烏龍茶で下痢・腹痛になることはある?
あります。
ただし、
「烏龍茶を飲めば下痢になる」
という意味ではありません。
急性の下痢があるときは、コーヒーやお茶などのカフェイン飲料が症状を悪化させることがあります。[2]
そのため、普段は問題なく飲めている人でも、
- すでに下痢をしている
- 胃腸炎のあとでお腹が敏感
- 一度に大量に飲んだ
- 濃い烏龍茶を何杯も飲んだ
- もともとカフェインに敏感
というときには、お腹の調子が悪くなることがあります。
原因① 烏龍茶に含まれるカフェイン
烏龍茶にはカフェインが含まれています。
ただし、その量は一定ではありません。
烏龍茶のカフェイン量は、茶の種類だけでなく、抽出温度や抽出時間によっても変化します。[3]
同じ条件で比較した場合、烏龍茶のカフェイン量が比較的低めだった例もありますが、抽出条件によって値は変わります。
そのため、
「烏龍茶は必ずカフェインが少ない」
と決めつけるのではなく、商品や茶葉、抽出条件によって変わると考える方が適切です。
カフェインを多く摂ったときには、人によって、
- 胃の不快感
- 吐き気
- 動悸
- 落ち着かなさ
- 頭痛
- 睡眠への影響
などが起こることがあります。[1]
また、下痢があるときには、カフェインを含む飲料を控えた方がよい場合があります。[2]
カフェインと下痢については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
コーヒーを飲むと下痢になるのはなぜ?すぐトイレに行きたくなる原因と対処法
原因② 冷たい烏龍茶だから下痢になるとは限らない
冷たい烏龍茶を飲んだあとに、お腹がゴロゴロした経験がある人もいるでしょう。
ただし、
「冷たい飲み物で体が冷えるから下痢になる」
と一般化する十分な根拠はありません。
冷たい飲み物を飲んだあとに便意を感じる人がいることと、冷たさそのものが下痢の直接原因であることは分けて考える必要があります。
烏龍茶を飲んだあとに症状が出る場合には、
- 飲んだ量
- 濃さ
- 一気に飲んだか
- カフェインへの感受性
- 食事との組み合わせ
- その日の胃腸の状態
なども一緒に確認しましょう。
原因③ 濃い烏龍茶を何杯も飲んだ
同じ烏龍茶でも、抽出条件によってカフェイン量は変化します。
抽出時間が長くなることでカフェイン量が増える茶があり、烏龍茶でも抽出温度による変化が確認されています。[3]
そのため、
「普段は平気なのに、濃い烏龍茶を何杯も飲んだときだけ調子が悪くなる」
という場合には、烏龍茶そのものよりも、量や濃さとの関係を確認してみましょう。
烏龍茶の「タンニン」は胃腸に悪い?
お茶について調べると、
「タンニンが胃を荒らす」
「タンニンは毒」
といった説明を見かけることがあります。
しかし、「タンニン」という言葉だけで烏龍茶の健康影響を一括りにするのは適切ではありません。
お茶には複数のポリフェノールが含まれており、その組成は茶の種類や製造方法によって異なります。
本記事で確認した範囲では、通常の飲用量の烏龍茶について、
「タンニンが直接胃腸を傷つけ、下痢を起こす」
と単純に断定できる十分な根拠は確認できませんでした。
そのため、烏龍茶を飲んでお腹の調子が悪くなった場合には、「タンニンが毒だから」と考えるよりも、
- カフェイン
- 飲んだ量
- 濃さ
- 体調
などを先に確認する方が現実的です。
烏龍茶は鉄の吸収を妨げる?
ここは、ある程度根拠があります。
茶などに含まれるポリフェノールは、食事に含まれる非ヘム鉄の吸収を低下させることがあります。
ポリフェノールを含む飲料を食事と一緒に摂ると、非ヘム鉄の吸収が低下することが報告されています。[5]
ただし、
「お茶を飲むと鉄がまったく吸収されなくなる」
という意味ではありません。
一度の食事では鉄の吸収が低下することがありますが、長期的な鉄の状態については結果が一貫しておらず、食事全体の内容や、鉄の吸収を助ける食品なども影響します。[4]
そのため、鉄欠乏や貧血を指摘されている人では、
- 食事中に濃いお茶を大量に飲まない
- 必要に応じて食事と飲む時間をずらす
- ビタミンCを含む食品など、鉄吸収を助ける食品を組み合わせる
といった工夫を検討してもよいでしょう。[6]
一方で、健康な人が通常の量の烏龍茶を飲むたびに、鉄不足になると過度に心配する必要はありません。
「烏龍茶は脂を流す」は本当?
烏龍茶には、
「脂っこい食事に合う」
「脂を流してくれそう」
というイメージがあります。
しかし、
飲んだ烏龍茶が、食べた脂肪をそのまま洗い流すわけではありません。
烏龍茶を飲んだからといって、食べた脂質が帳消しになるわけでもありません。
また、
「烏龍茶を飲んで下痢をすれば、脂肪が排出される」
という考え方も適切ではありません。
下痢は、体脂肪を減らすための健康的な方法ではありません。
下痢のときに烏龍茶を飲んでもいい?
普段、烏龍茶を問題なく飲めている人でも、下痢をしている最中は少し別に考えた方がよいでしょう。
急性の下痢があるときは、カフェインを含むコーヒーやお茶が症状を悪化させることがあります。[2]
下痢では水分や電解質が失われるため、まずは適切な水分補給が大切です。
そのため、
「水分補給のために烏龍茶をたくさん飲もう」
と考える必要はありません。
症状が強いときには、水や必要に応じて経口補水液などを利用し、体調が戻ってから普段の飲み物に戻していきましょう。
烏龍茶を飲むとすぐトイレに行きたくなるのはなぜ?
烏龍茶を飲んで10分、20分ほどで便意が起こると、
「烏龍茶がそのまま腸を通過したのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、飲んだ烏龍茶が数分で便になったわけではありません。
飲食をきっかけに胃が刺激されると、大腸の動きが活発になる胃結腸反射が起こることがあります。
もともと大腸にあった内容物が、飲食をきっかけに押し出された可能性もあります。
胃結腸反射については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
カップ焼きそばで下痢・腹痛になるのはなぜ?食後にお腹を壊す原因と対処法
妊娠中に烏龍茶を飲んでもいい?
妊娠中は、烏龍茶だけでなく、コーヒー・紅茶・緑茶・チョコレートなどを含めた総カフェイン量を意識しましょう。
妊娠中のカフェイン摂取は、1日200mg程度までを目安とする考え方があります。[7][8]
烏龍茶のカフェイン量は商品や茶葉、抽出条件によって変わるため、
「烏龍茶○杯までなら必ず大丈夫」
と一律には決められません。
ほかの飲み物や食品から摂るカフェインも含めて考えることが大切です。
烏龍茶は紅茶や緑茶より体にやさしい?
一概には言えません。
烏龍茶、紅茶、緑茶は同じチャノキの葉から作られますが、製造工程が異なります。
同じ抽出条件で比較した場合、烏龍茶のカフェイン量が紅茶や黄茶、緑茶より低かった例もありますが、抽出温度や時間によって値は変化します。[3]
したがって、
「烏龍茶だから必ずカフェインが少ない」
あるいは、
「紅茶より烏龍茶なら必ず下痢しにくい」
と一般化することはできません。
烏龍茶を飲むと毎回お腹を壊すときは?
何度も同じ症状を繰り返す場合には、条件を整理してみましょう。
確認したいのは、
- どの烏龍茶を飲んだか
- どのくらい飲んだか
- 濃さ
- ホットかアイスか
- 空腹時だったか
- 食事と一緒だったか
- 飲んでからどのくらいで症状が出たか
- 他のカフェイン飲料でも同じ症状が出るか
- 烏龍茶を飲んでいない日にも下痢があるか
です。
特に、
「少量でも毎回症状が出るのか」
それとも、
「大量に飲んだときだけなのか」
という違いは重要です。
烏龍茶で下痢になったときの対処法
症状が出たときには、原因を確かめるためにさらに烏龍茶を飲む必要はありません。
いったん控えて、症状の経過をみましょう。
下痢では水分や電解質が失われるため、少量ずつ水分を補給します。
症状が落ち着いてから再び飲む場合には、
- 量を減らす
- 薄めにする
- 一気に飲まない
- 他のカフェイン飲料と重ねない
など、一つずつ条件を変えると原因を整理しやすくなります。
こんな場合は医療機関へ
次のような場合には、烏龍茶だけが原因と考えず、医療機関へ相談してください。
- 強い腹痛がある
- 下痢が続いている
- 血便がある
- 黒い便が出る
- 高熱がある
- 嘔吐を繰り返す
- 水分が十分に取れない
- 尿が少ないなど脱水が疑われる
- 体重が減ってきた
- 烏龍茶を控えても症状が続く
症状が続く場合には、感染症、食品不耐症、過敏性腸症候群、薬剤など、別の原因も考える必要があります。
まとめ|烏龍茶は「体に悪い」のではなく、量と体質がポイント
烏龍茶そのものを、体に悪い飲み物と考える必要はありません。
ただし、
- カフェイン
- 飲む量
- 濃さ
- その日の胃腸の状態
- 下痢をしている最中かどうか
- 鉄不足の有無
- 妊娠中の総カフェイン摂取量
などによって、注意した方がよい場合があります。
特に、烏龍茶を飲むたびに下痢や腹痛が起こる場合には、
「烏龍茶が良い・悪い」と決めるのではなく、どのくらい、どんな条件で飲んだときに症状が出るのか
を整理することが大切です。
参考文献・参考情報
[1] U.S. Food and Drug Administration(FDA).
Spilling the Beans: How Much Caffeine is Too Much?
一般成人のカフェイン摂取量と、過剰摂取時の注意について参照。
FDAの資料を確認する
[2] National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK).
Eating, Diet, & Nutrition for Diarrhea.
急性下痢時のカフェイン飲料や食事について参照。
NIDDKの資料を確認する
[3] Ayakdaş G, Ağagündüz D.
Determination of L-Theanine and Caffeine Contents in Tea Infusions with Different Fermentation Degrees and Brewing Conditions Using the Chromatographic Method.
Foods. 2025;14(13):2313.
DOI: 10.3390/foods14132313. PMID: 40647065. PMCID: PMC12248710.
PubMedで確認する
[4] Delimont NM, Haub MD, Lindshield BL.
The Impact of Tannin Consumption on Iron Bioavailability and Status: A Narrative Review.
Curr Dev Nutr. 2017;1(2):1-12.
DOI: 10.3945/cdn.116.000042. PMID: 29955693. PMCID: PMC5998341.
PubMedで確認する
[5] Hurrell RF, Reddy M, Cook JD.
Inhibition of non-haem iron absorption in man by polyphenolic-containing beverages.
Br J Nutr. 1999;81(4):289-295. PMID: 10999016.
PubMedで確認する
[6] Zijp IM, Korver O, Tijburg LBM.
Effect of tea and other dietary factors on iron absorption.
Crit Rev Food Sci Nutr. 2000;40(5):371-398.
DOI: 10.1080/10408690091189194. PMID: 11029010.
PubMedで確認する
[7] European Food Safety Authority(EFSA).
Caffeine.
健康な成人および妊娠中のカフェイン摂取量について参照。
EFSAの資料を確認する
[8] American College of Obstetricians and Gynecologists(ACOG).
How much coffee can I drink while I’m pregnant?
妊娠中のカフェイン摂取量について参照。
ACOGの資料を確認する
[9] World Health Organization(WHO).
Restricting caffeine intake during pregnancy.
妊娠中の高カフェイン摂取について参照。
WHOの資料を確認する
執筆・監修
箕浦雅子(薬剤師)
株式会社健将 代表取締役
薬剤師としての専門知識を基盤に、長年にわたり健康・食品分野に携わり、腸内環境や食品と体調との関係をはじめとする健康情報の発信を行っています。
株式会社健将は健康食品の企画・開発・販売も行っています。本サイトでは、公的機関・医学論文などを確認しながら、一般の方にも分かりやすい健康情報の提供に努めています。
利益相反(COI)について
執筆者は株式会社健将の代表取締役であり、同社は健康食品の企画・開発・販売を行っています。
本記事は、特定の烏龍茶商品、飲料メーカー、飲食店等を批判・推奨することを目的としたものではなく、公的機関・医学論文等をもとに一般的な健康情報を提供することを目的としています。
※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を目的とするものではありません。症状が続く場合や気になる症状がある場合は、医療機関へご相談ください。
