カレーを食べると下痢になるのはなぜ?家庭のカレーでお腹を壊す原因と対処法

執筆・監修:箕浦雅子(薬剤師)|株式会社健将 代表取締役

「家でカレーを食べたあと、急にお腹が痛くなった」

「カレーを食べるとなぜか下痢になる」

「昨日作ったカレーを食べたら、家族みんながお腹を壊した」

そんな経験はありませんか?

結論からいうと、家庭のカレーを食べたあとの下痢には、ひとつではなく複数の原因が考えられます。

たとえば、

  • 脂質の多さ
  • 辛味や香辛料への反応
  • 牛乳など乳製品に含まれる乳糖
  • 玉ねぎ・にんにくなどの食材
  • もともとの腸の敏感さ
  • 食べる量
  • 作り置きカレーによる食中毒

などです。

特に、

「カレーを食べると毎回下痢になる」のか、
「今回だけ突然下痢になった」のか

によって、考えるべき原因は変わります。

この記事では、家庭で作るカレーやレトルトカレー、学校や職場の給食など、一般的な日本のカレーを食べたあとの下痢について解説します。

なお、インドカレーを食べた後の下痢・腹痛については、別記事で詳しく解説しています。

「インドカレーで下痢になるのはなぜ?食後すぐの腹痛・下痢の原因と対処法」


カレーを食べると、なぜ下痢になる?

「カレーが下痢の原因」と聞くと、まずスパイスを思い浮かべるかもしれません。

しかし、家庭のカレーの場合はそれだけではありません。

一般的なカレーには、

  • 油脂
  • 香辛料
  • 玉ねぎやにんにくなどの野菜
  • 小麦粉などを使用したカレールー
  • 商品やレシピによっては乳成分

など、さまざまな材料が使われています。

さらに、カレーは一度に多めに作り、翌日以降まで保存して食べることも多い料理です。

そのため、

「カレーの材料や食べ方による反応」と
「保存状態による食中毒」

を分けて考えることが大切です。


脂質の多いカレーで、お腹がゆるくなることがある

家庭のカレーには、カレールーに含まれる油脂に加えて、

  • 肉の脂
  • 炒め油
  • バター
  • チーズ
  • 揚げ物のトッピング

などが加わることがあります。

そのため、作り方や組み合わせによっては、一食あたりの脂質量がかなり多くなることがあります。

NIDDK(米国国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所)は、急性下痢の際に症状を悪化させる可能性がある食品として、脂肪の多い食品を挙げています。[1]

ただし、

「脂っこいカレーを食べれば、誰でも下痢になる」

という意味ではありません。

体調、食べる量、もともとの消化器の状態などによって反応は異なります。

たとえば、

「少量なら平気なのに、大盛りだとお腹を壊す」

「普通のカレーは平気なのに、カツカレーだと下痢になる」

という場合は、カレーそのものよりも、脂質の量や一度に食べる量が関係していないか確認してみましょう。


辛口のカレーでは、唐辛子の刺激が関係することも

家庭のカレーでも、甘口・中辛・辛口・激辛など、辛さには大きな違いがあります。

唐辛子に含まれる辛味成分の一つがカプサイシンです。

下痢型過敏性腸症候群(IBS-D)の患者20人と健康な人38人を対象にした研究では、IBS-Dの人で唐辛子摂取後の腹痛や腹部の灼熱感が強くみられました。[2]

一方、大腸の通過速度そのものには明確な差は認められていません。[2]

この研究は対象者数も多くないため、

「辛いカレー=下痢の原因」

と断定することはできません。

ただ、辛口や激辛のカレーでだけ症状が出る人では、辛味への感受性も確認ポイントの一つになります。


牛乳やチーズを使ったカレーなら「乳糖」も確認する

家庭によっては、

  • 牛乳
  • 生クリーム
  • ヨーグルト
  • チーズ

などをカレーに加えることがあります。

また、市販のカレールーや加工食品に乳成分が含まれている場合もあります。

乳糖不耐症の人では、乳製品に含まれる乳糖(ラクトース)を十分に消化・吸収できず、

  • 下痢
  • 腹痛
  • お腹の張り
  • ガス
  • 吐き気
  • お腹がゴロゴロする

などの症状が起こることがあります。[3]

症状の強さには個人差があり、摂取する乳糖の量によっても変わります。

そのため、

「いつものカレーは平気なのに、牛乳やチーズを加えたときだけお腹がゆるくなる」

という場合は、乳製品も確認してみましょう。


玉ねぎ・にんにくなどが関係する人もいる

家庭のカレーには、玉ねぎやにんにくがよく使われます。

これらの食品には、FODMAP(フォドマップ)の一種であるフルクタンが多く含まれています。[4]

FODMAPはすべての人に問題を起こすものではありません。
一方で、過敏性腸症候群(IBS)など、FODMAPに敏感な人では、玉ねぎやにんにくに含まれるフルクタンによって、お腹の張り、腹痛、ガス、下痢などの消化器症状が起こることがあります。[4]

ただし、自己判断で多くの食品を一度に除去すると食事の幅が狭くなってしまいます。

症状が繰り返す場合は、医師や管理栄養士など専門家に相談しながら原因を整理することが大切です。


カレーを食べて「すぐ下痢」は、今食べたカレーがそのまま出たわけではない

「カレーを食べて10分、20分くらいで急にトイレへ行きたくなった」

ということもあります。

しかし通常、今食べたカレーが数分で大腸まで移動し、便になって出てきたわけではありません。

食事によって胃が膨らむと、それをきっかけに大腸の運動が活発になることがあります。

これは胃結腸反射と呼ばれる生理的な反応です。

そのため、食後すぐに便意が来た場合は、

すでに大腸にあった内容物が、食事をきっかけに押し出された

と考える方が自然です。

特に、

  • 食べるとすぐ便意が来る
  • 朝食後にトイレへ行きやすい
  • 緊張すると下痢になる
  • 脂っこいものを食べるとすぐ便意が来る

という人では、もともとの腸の反応性が関係している可能性もあります。


「一晩寝かせたカレー」は保存方法に注意

家庭のカレーで特に注意したいのが、作り置きです。

「一晩寝かせたカレーはおいしい」といわれることがありますが、

鍋を常温に置いたまま翌日まで保存するのは避けましょう。

カレーやシチューなどの煮込み料理では、保存方法によってウェルシュ菌による食中毒が起こることがあります。

農林水産省によると、ウェルシュ菌は芽胞を作るため、加熱調理後にも生き残ることがあります。[5]

また、酸素の少ない環境で増えやすい性質があります。

ウェルシュ菌による食中毒では、食後およそ6~18時間で腹痛や下痢などが起こることがあります。[5]


作り置きカレーを安全に保存するには

大切なのは、「食べるときに再加熱すること」だけではなく、保存中に菌を増やしにくくすることです。

鍋のまま長時間常温に置かない

大きな鍋のカレーは、中心部分まで温度が下がるのに時間がかかります。

そのため、冷めていく途中で菌が増えやすい温度帯を長く通る可能性があります。


小分けして早く冷ます

食べきれないカレーは、浅い容器などに小分けして、できるだけ速やかに温度を下げます。

その後、冷蔵または冷凍して保存します。


食べるときは十分に再加熱する

保存したカレーを食べる際は、鍋底までよくかき混ぜながら、全体を十分に加熱します。

ただし、

「翌日にもう一度温めれば、前日に長時間常温放置していても大丈夫」

という意味ではありません。

ウェルシュ菌は熱に強い芽胞を作るため、再加熱だけに頼るのではなく、最初から菌を増やしにくい保存をすることが重要です。[5]


家族みんなが下痢になったら「体質」だけで考えない

自分一人ではなく、

同じカレーを食べた家族や複数人が、似たような時間帯に腹痛や下痢になった

のであれば、個人の体質だけでなく食中毒も考える必要があります。

NIDDKは、急性下痢の代表的な原因として、感染症や食中毒、薬剤の副作用などを挙げています。[6]

特に、

  • 作り置きのカレーだった
  • 長時間常温に置いていた
  • 大きな鍋で大量に作った
  • 同じものを食べた複数人に症状が出た

という場合は注意してください。

「私は胃腸が弱いから」

と自己判断するのではなく、同じ食事をした人にも症状がないか確認することも大切です。


「カレーを食べると毎回下痢」なら、原因を切り分ける

一度だけではなく、カレーを食べるたびにお腹を壊す場合は、

何が共通しているのか

を確認してみましょう。

辛口のカレーだけダメ

→ 唐辛子などの辛味を確認

カツカレーのときだけダメ

→ 脂質や食べる量を確認

牛乳・チーズ入りだけダメ

→ 乳糖を確認

玉ねぎやにんにくの多い料理でも症状が出る

→ FODMAPなど食材への反応も確認

カレー以外でも脂っこい食事で下痢になる

→ カレー固有の原因ではない可能性

食後すぐ毎回便意が来る

→ 胃結腸反射や腸の敏感さも考える

というように切り分けると、原因を探しやすくなります。

NIDDKも、慢性的な下痢で原因となる食品を探す際に、

  • 食べたもの・飲んだもの
  • 症状
  • 症状が起きた時間
  • どの食品で悪化したか

などを記録する方法を紹介しています。[1]

「カレーを食べた」という情報だけでなく、

どんなカレーだったか、何をトッピングしたか、どのくらい食べたか、何分・何時間後に症状が出たか

まで記録すると、原因を整理しやすくなります。


カレーで下痢になったときの対処法

一度下痢になったからといって、今後ずっとカレーを避ける必要があるとは限りません。

ただし、原因が分からないまま、無理に同じ条件で繰り返し食べる必要もありません。

次に食べる場合は、

  • 辛さを下げる
  • 一度に食べる量を減らす
  • カツやチーズなど脂質の多いトッピングを外す
  • 牛乳や乳製品を使わないカレーと比較する
  • 作りたてのカレーで試す

など、一度に全部を変えず、一つずつ条件を変えてみると原因を確認しやすくなります。


こんな症状がある場合は医療機関へ

カレーを食べたあとに一度軟便になった程度で、その後落ち着くこともあります。

一方で、

  • 血便がある
  • 強い腹痛がある
  • 高熱がある
  • 嘔吐を繰り返す
  • 脱水が疑われる
  • 下痢が長く続く
  • 同じ食事をした複数人が発症している

場合は、自己判断だけで済ませず医療機関へ相談してください。

「カレーを食べたから下痢になった」と思っていても、下痢には感染症、食品不耐症、消化管疾患などさまざまな原因があります。[6]


「カレーを食べた」のではなく、便がカレーみたいな場合は?

ここは検索意図がまったく違います。

「カレーを食べたあとに下痢になった」のではなく、便そのものがカレーのような泥状・ペースト状になっている

ことが気になっている方は、別の記事で詳しく解説しています。

「カレーみたいな下痢・便」についての記事はこちら


まとめ|家庭のカレーによる下痢は「スパイスだけ」が原因ではない

家庭のカレーを食べたあとに下痢になっても、

「カレーのスパイスが胃腸を刺激したから」

と一つの原因に決めつけることはできません。

考えられるのは、

  • 脂質
  • 辛味
  • 乳製品
  • 玉ねぎ・にんにくなどの食材
  • 食べる量
  • もともとの腸の敏感さ
  • 作り置きによる食中毒

などです。

特に、

「毎回なるのか」
「今回だけなのか」
「自分だけなのか」
「家族も一緒になったのか」
「作りたてか、作り置きか」

という違いは、原因を考える大きなヒントになります。

そして作り置きのカレーでは、

鍋のまま常温で一晩置かず、小分けして速やかに冷蔵・冷凍する

ことが大切です。


参考文献・参考情報

[1] National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK).
Eating, Diet, & Nutrition for Diarrhea.

[2] Gonlachanvit S, Mahayosnond A, Kullavanijaya P.
Effects of chili on postprandial gastrointestinal symptoms in diarrhoea predominant irritable bowel syndrome: evidence for capsaicin-sensitive visceral nociception hypersensitivity.
Neurogastroenterology & Motility. 2009;21(1):23-32.
DOI:10.1111/j.1365-2982.2008.01167.x
PMID:18647268

[3] National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK).
Symptoms & Causes of Lactose Intolerance.

[4] Monash University. Monash FODMAP.
Onion, garlic and the Low FODMAP Diet.

[5] 農林水産省.
煮込み料理を楽しむために~ウェルシュ菌による食中毒にご注意を!!~

[6] National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK).
Symptoms & Causes of Diarrhea.


執筆・監修

箕浦雅子(薬剤師)
株式会社健将 代表取締役。

薬剤師としての専門知識を基盤に、長年にわたり健康・食品分野に携わり、腸内環境や納豆菌をはじめとする健康情報の発信を行っています。

株式会社健将は健康食品の企画・開発・販売も行っています。本サイトでは、健康や身体に関する一般的な情報について、公的機関・学会・医学論文などを確認しながら、できる限り正確で分かりやすい情報提供に努めています。

利益相反(COI)について

執筆者は株式会社健将の代表取締役であり、同社は健康食品の企画・開発・販売を行っています。本記事は特定商品の販売を目的としたものではなく、上記の公的機関・医学論文等に基づく一般的な健康情報の提供を目的としています。

※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を目的とするものではありません。症状が続く場合や気になる症状がある場合は、医療機関へご相談ください。