下痢の原因としては状況により様々ですが、いずれも腸が悲鳴を上げているか、腸が頑張って異物を排除している状態なのかで下痢の原因が違ってきます。
腸センサーで下痢改善
突然、急な下痢で急いでトイレに駆け込みたくなる。そんな経験は誰にもあると思います。
この時、実は私たちに苦痛を与えている下痢は異物によって腸の働きが狂ったのではなく、体の正常な防衛反応で起こるのです。
腸には身体に害になるものを識別して排除する機能が備わっています。しかもその機能は脳の指令を受けずに、腸が自分で働く防衛システムです。
例えば目の前に、美味しそうなおにぎりがあった場合、目や鼻で感じ取った情報は脳に送られます。
見た目や匂いに異常がないと思ったら、脳は「おいしそう、食べたい」と判断して体内に取り込みます。しかし、ここで腸と脳の賢さの違いが出てくるのです。
もし、そのおにぎりに目では見えない細菌がついていたとしたら、脳は細菌がついているかどうか判断できませんので、無防備にその菌を体内に取り込むことになってしまうのです。
しかし、そこで有害なものが入ってきたときに活躍するのが腸のセンサーです。24時間休むことなく働くセンサーが異物の侵入を感知して、嘔吐と下痢で素早く体外へ排出させるのです。脳は決してできません。
このように脳と腸はそれぞれ独立しており、熟睡しているときも、麻酔をかけられても、腸は間違いのない働きをして、休むことなく私たちの体を守っている実に賢い臓器なのです。
ですから、腸がしっかりと私たちの身体を守ってくれるように、常にメンテナンスしなければなりません。すべての病気は腸から始まるのです。
幸い、臓器の中でも唯一腸が正常に働けるように私たちの意志でコントロールできるところです。腸のメンテナンス、それは口に入れるものに気を使うことです。
何が自分の体にとって良いものなのか、脳が喜ぶものではなく、腸が喜ぶ食べ物を食べなければなりません。また腸が嫌う習慣にも注意を払う必要があります。
腸のメンテナンスするためにしてはいけない7つの習慣
全ての病気は腸から始まります。腸だけでなく身体全体に影響をもたらすことから、「新たな臓器」と表現されることもあります。
健康でいるためには、腸内環境を良い状態にキープすることが大切です。しかし、知らず知らずのうちに腸内環境を悪化させる生活をしてしまっていることが多いようです。腸に良くない7つのNG習慣を考えてみましょう。当てはまる事柄があれば改善していきましょう。
①忙しいとつい、ランチのメニューが偏りがちになる
1,000種類以上の細菌から構成される腸内フローラ(腸内細菌の集まり)ですが、健康のためには、この多様性が維持されていることが重要です。実は、毎日似通ったメニューばかり食べていると、腸内フローラの多様性が低下してしまうおそれがあります。特に、腸内細菌のエサになる食物繊維が足りないメニューはNGです。
②お酒が好きで、ついつい飲みすぎてしまう
アルコールを摂り過ぎると大腸菌などの有害菌(悪玉菌)が増え、腸内で作られる毒素が増える要因になるという報告があります。それらの毒素によって腸管のバリア機能が破壊されると、毒素が全身へ移行し肝臓や他の臓器で炎症を引き起こすなどの悪影響につながる恐れがあるようです。過度な飲酒は腸内フローラにとって良くないので、飲み過ぎはNGです。
③デスクワーク中心、長時間座りっぱなし、運動をあまりしないことが多い
ほとんど出歩かず、座りっぱなしでいるのは腸内フローラにとって良くありません。移動で歩く以外、運動はほとんどしない、座りがちな生活をしている人は、アクティブな生活をしている人と比べてカラダに良いはたらきをする有用菌(善玉菌)が少ないという報告もあります。休み時間や通勤時間を利用して出来るだけ体を動かしましょう。運動量が少ないことはNGです。
④生活のリズムが不規則になっている
夜になると眠くなり朝になると目が覚めるのは、身体に備わる体内時計のおかげ。昼夜のシフト勤務や交代勤務で働いていたり、不規則な生活をしていたりすると、体内時計が乱れて時差ボケのような状態になることがあります。
食事を摂るタイミングがいつもバラバラなのも、体内時計が乱れる要因に。体内時計の乱れは、腸内フローラを乱すおそれがあると報告されています。不規則な生活習慣はNGです。
⑤ついつい夜更かししてしまい、睡眠不足になりがち
深夜まで夜更かしして睡眠不足が続くと、体重が増える可能性があります。それだけでなく、睡眠時間が短いと腸内フローラが乱れ、肥満などの代謝異常につながる可能性も報告されています。睡眠不足はNGです。
⑥漫然と抗生物質をのみつづけている
病原菌の撃退に欠かせない抗生物質。けれど、抗生物質の多用は害のない菌まで死滅させてしまい、正常な腸内フローラを乱す要因に。ウイルスによって引き起こされる風邪では、抗生物質の服用は推奨されないとされています。医師に指示された服用期間をきちんと守りましょう。必要以上に飲み続けたりするのはNGです。
⑦ストレスを感じることが多いけど、なかなか解消できない
脳と腸は密接に関係していると言われています。マウスを使った研究によると、ストレスを感じると腸内細菌の種類が減り、多様性が低下するとの報告もあります。ストレスは下痢や腹痛だけでなく、腸内フローラを乱す原因にもなるのです。
人間の体は、深刻なストレスを抱えると、体内で闘争・逃走反応が起こるといわれています。これが腸の運動(排便を促す能力)を加速させてしまいます。便が結腸に送られると、水分が吸収され、固形の便が形成されますが、通常よりも速い速度で便が腸から下に駆け抜けるようになると、結果として下痢を起こすようになるのです。
腸の不調が不安や気分に影響を与えることもあれば、不安や気分が腸の健康に影響を及ぼすこともあります。ですから不安を抱えているときに胃の不調を起こしたり、ストレスが溜まっているときに下痢を発症する理由がここにあるのです。
吐き気や下痢を起こすといった不調は全て、メンタルや心の状態が大きく関係しているのです。下痢を起こす場合のストレスや不安はより深刻なケースであり、洗濯物が大量に溜まっていることにストレスを感じるようなケースであれば下痢は起こらないのです。ストレスをためるのはNGです。
腸内環境を整えよう
「元気の元は胃腸から」と昔から言われています。腸は私達の健康を司る要です。特に腸内細菌の働きは重要です。ストレスで腸内細菌の善玉菌が減ったり、悪玉菌が増えたりなど腸内はストレスによるダメージを大きく受けます。ストレスがあっても上手に回避しましょう。
又、腸内環境を直接強化するサプリメントや、ストレスによる害を緩和する、つまりストレスから発生する活性酸素の害をなくすために、抗酸化物質のあるミネラル豊富な野菜粒などを上手に使うことも賢い方法です。下痢が続き、腸が悲鳴を上げている場合は一刻も早く改善しましょう。