匂いにも色々ありまして……匂いで判断する下痢の原因

下痢の原因は様々ですが、下痢の色や形、臭い、回数などによって下痢の原因はある程度推察できます。

それによって、自然治癒力に任せてよい下痢なのか、あるいは病院で診察を受けた方がよい下痢なのか、見極めることが可能です。どういう種類の下痢なのか、その判断の基準がわかれば対応も慌てずに行うことができます。

そのためにも、日頃から便の様子を観察する習慣をつけましょう。そうすれば、臭いや色など少しの異変にも気づきやすくなります。

 

臭いの違いによる下痢の原因を解説

①鼻をツンと刺激する様な、酸っぱいにおいがする下痢便

腸内が異常発酵、つまり発酵性消化不良を起こしている可能性があります。 この場合は黄色っぽい下痢便が出ますので、色・匂い共に注意しておかなければなりません。 小腸内の細菌を適切なバランスに保つためには、小腸が正常に動き、胃からの内容物が滞りなく移動していくことが重要です。 腸の動きが遅くなったり、1カ所にたまる状態が生じると、細菌が増えすぎてしまいます。

小腸内で細菌が増えすぎると、炭水化物やビタミンB12などの栄養素を消費するため、摂取カロリーの減少やビタミンB12欠乏症が生じます。 また細菌は、消化を助けるために肝臓が分泌する胆汁酸塩も分解します。 胆汁酸塩が失われると、脂肪が吸収されにくくなり、下痢や栄養不良が生じます。

②焦げ臭い下痢便

小腸機能の低下による消化不良を起こしている疑いがあります。 小腸で消化・吸収が障害されると各種の栄養素の欠乏が起こります。 そして、下痢、脂肪便、体重減少、るいそう(病的な体重減少)、貧血、倦怠感、腹部膨満、浮腫などのさまざまな症状が出現します。

③コールタール状の生臭い下痢便

強烈な生臭いコールタール状の便は、胃や十二指腸といった消化管上部のどこかの部分で、相当な量の出血がある事を示しています。 タール便は光沢があって、海苔の佃煮のようにべとべとしています。また、めまい、ふらつきなどの貧血の症状が見られることもあります。 この場合、速やかに病院を受診し、精密な検査を受けましょう。

出血はタール状の便以外にも明らかに血だとわかる真っ赤な鮮血便や、量が少なすぎて見えない潜在性血便もあります。 1日当たりの出血量が小さじ数杯未満であれば、肉眼では見えませんので、便潜血検査で調べます。

また、目で見て明らかにわかるレベルの出血がある場合にも、検査などの結果に関わらず速やかに病院を受診しましょう。

④魚や肉が腐ったような臭いの下痢便

下痢便が生ぐさい魚の腐ったにおいがするときには細菌性下痢の疑いがあります。時には粘液や膿、血液が便に混じっていることもあります。カンピロバクター腸炎でも血便がみられることがしばしばあります。

白色とはいかないまでも、白っぽい便灰白色の便ウイルス性のことが多いです。臭いの特徴と併せて覚えておくとよいでしょう。

便を観察する習慣をつけよう

その日その日の便の変化によって、病気の早期発見につながることもあります。 「便の観察」は健康のバロメーターとも言われています。ですから便を観察することはとても重要です。

便観察のポイントは3つ、便の形状・便の色・便の臭いです。例えば、便の嫌な臭いの原因となっているのは、インドールスカトールといった成分で、これらはたんぱく質が腸内細菌などにより分解されて出来たものです。 ですから、たんぱく質(肉類)をたくさん食べる人の便は匂いが臭くなりがちです。 また、ニラやニンニクを食べたときなどは、その食べ物特有の臭気が出てきます。

このように単に「便が臭い」と言っても、実は食べたものの違いによっていろいろな臭いのパターンが考えられるのです。 食生活が洋風化し、高たんぱく、高脂肪の食品を多く摂取するようになってきた日本人は、その便まで洋風化し、ますます強烈に臭くなってくるのではと言われています。

うんちは「汚いもの」「くさいもの」として、さっと流してしまう方が多いかもしれませんが、形や色、においによって、あなたの食生活のあり方、健康状態や腸内環境を知らせてくれる大切なものでもありますから、一度じっくりと観察してみましょう。

 

臭いの発生源、腸内環境を整えて理想の便を手に入れよう

腸内環境を整える前に、まず腸の働きを再認識してみましょう。

腸の機能は食べ物の吸収・排泄だけではありません。

・合成:腸内細菌と協力してたくさんのビタミンやホルモン、酵素をつくる

・免疫:体内の免疫細胞の60~70%が小腸に存在、この免疫細胞が腸内細菌と協力して病原菌やウイルスから体を守る

・浄血:腸内環境が整っている腸ではキレイな血液が作られる

・解毒:腸の粘膜組織や腸内細菌が有害物質を分解して解毒をサポート

腸はこのように、身体を健康に保つのに欠かせない多くの役割を担っています。ですから、腸の状態が整っていくと下痢や他の病気も自然と回復していきます。

では、腸の状態はどうすれば整えることができるのでしょうか。

腸に届くのは口から入れた食べものだけです。ですから、まず食事内容を見直すのがよいでしょう。今回は特に臭いについてお話ししました。気になる臭いがあれば、その臭いの原因となっているものをできるだけ避けるようにします。特に肉類脂肪は臭いもそうですが、消化するのに多くの負荷がかかるため、弱っている腸には優しくない食べ物です。

食事内容を見直してみて、それでもあまり改善が見られなければ、腸内細菌で構成される腸内環境がかなり悪化している可能性があります。

腸内環境は大雑把に分けると善玉菌日和見菌、悪玉菌から構成されています。その数は一説によると約一千種、合計百兆個にものぼるといわれています。そして、善玉菌と悪玉菌のバランスによって、便の状態の良し悪しが決まるといわれています。

善玉菌を積極的に摂り、腸内環境を善玉菌優勢に整えることによって、便の匂いはほとんど気にならなくなるでしょう。悪玉菌が増えすぎている腸内では、善玉菌はなかなか増えることができません。ですが、一度に多量の善玉菌を送り込めば話は別です。そのため、腸内環境の改善には善玉菌が高濃度に配合されたサプリメントなどを、上手に利用するのがおすすめです。