下痢の原因は夏場のお茶

近年、下痢の原因は増え続ける傾向にあり慢性的な下痢を抱えている人が増大しています。若者からお年寄りまで、誰でも下痢になる可能性はあり、生活習慣の中にもその原因は多くあります。

冷えた水分補給は危険

特に夏場になると下痢になる、いつもお腹がゴロゴロする、そんな症状に悩んでいる人は多くいます。こまめに水分補給をしている健康意識の高い人ほど、夏場の慢性的な下痢に陥りがちということも。

熱中症を避けるために、あるいは環境問題への配慮から、近年マイボトルで飲み物を持ち歩く人が増えました。昔よりも保温性、遮熱性に優れた水筒が多く発売され、いつまでも冷たい飲料水を飲めるようにもなりました。

常温の水よりも冷たい水の方が、腸からの吸収は良くなります。そのため冷水は、水分補給のメリットよりも胃腸へ負担をかけるデメリットの方が大きいのです。また冷えた飲み物は、内臓を冷やして冷え性の元にもなります。特に冷たい水を一気に飲むことは避けましょう。理想的な水分補給は、常温の水をゆっくり少しずつ飲むことです。一度に飲む水の量は、コップ一杯程度がベスト。1回200mlを目安に1日に6~8回に分けて飲むのが理想的です。

 

適度な水分補給は健康的

大人も子供も「のどが渇いたな」と感じる前に、適宜補給するのが理想的です。喉が渇いたと感じる時には、すでに脱水が始まっています。

大人の場合、家事や仕事などで忙しくしていると「のどが渇いた」と感じにくくなって、水分をとらなくても気にならなくなることもあります。特にお年寄りは加齢とともに、気温の変化や喉の渇きを感じにくくなるので注意が必要です。もし、「今日はあまり水を飲んでいないかも?」と心当たりがあるようでしたら、意識的に水分補給の習慣をつくりましょう

 

朝、目覚めたら飲む、職場に着いたら飲む、家事がひと段落したら飲む、お風呂に入る前に飲む、お風呂上がりに飲む、というように意識してみてください。「食欲がない」というのも、暑さではなく、水分不足によって起きる自覚症状のひとつなのです。

子供の場合も、「起床後」「外出する前」「外出先に着いたら」「家に帰る前に」「お風呂に入る前と後」「寝る前」など、何かの行動の前後にお水を飲むように習慣づけてみましょう。

下痢の原因は水筒で繁殖した雑菌だった

人間の適温は雑菌にも適温となります。常温の飲み物を持ち歩くのなら、マイ水筒は必ずしも魔法瓶である必要はありません。

朝に作った熱々のお茶を普通の水筒に入れて、自然に冷めるのを待てばいいのですが、ここで問題になるのが、雑菌の問題です。

雑菌は低い温度ではさほど繁殖しませんが、常温の20度前後の中では、どんどん繁殖してしまいます。胃腸があまり丈夫ではない人なら、下痢や腹痛に襲われる可能性があります。

水出し茶は雑菌だらけになる

最近は煮出さずに、水で作る水出し茶も多く販売されています。手軽に作れて忙しい朝には大助かりなのですが、これが実は雑菌の元となることがあります。熱湯で煮出したお茶を水筒に注いだ場合は、それだけで簡易な熱水消毒になります。ですが水出し茶の場合は、茶葉に元々付着していた雑菌と、洗っても取れない水筒内部の雑菌がダブルで繁殖してしまいます。どうしても水出し茶を持ち歩きたい時は、味は少々悪くなりますが、水道水をそのまま使った方が安全です。水道水には微量の塩素が入っていて、これが雑菌の繁殖を抑えてくれるのです。湯冷ましやミネラルウォーターで作った水出し茶は、雑菌の温床になってしまうので要注意です。水出し茶は手軽に作れる分、長時間の保存には向かないお茶なのです。

唾液による雑菌の繁殖が下痢の原因

水筒内部を清潔に保っていても、後から雑菌が混入すれば元も子もありません。特に人間の唾液が混入してしまった水筒の中では、数時間でも雑菌が大繁殖してしまいます。

雑菌は倍々で増えていくのが怖いところ。ですから水筒に限らずペットボトルでも、直接口を付けて飲んだ場合は、そのまま短時間で飲み切ってしまいましょう。開封して時間が経ったペットボトルのお茶は、変質していることもありますので飲まないようにしましょう。

宵越しのお茶は下痢の元

昔から、「宵越しのお茶は飲むな!」といわれています。宵越しのお茶とは、お茶を入れた後に一晩放置した茶葉のことです。お茶に含まれている「カテキン」は大変強い殺菌効果があります。普通に飲むお茶の10分の1から2分の1程度の薄い濃度の茶カテキンで、ブドウ球菌、腸炎ビブリオ菌、黄色ブドウ球菌、ウェルシュ菌、コレラ菌、ボツリヌス菌を殺してしまうほど効果がありますが、お茶の葉自体は、カテキンを含むとはいえ、たんぱく質も多く含むため腐ります。

お湯を入れたての状態の時、茶葉のタンニンは抗菌作用がありたんぱく質を保護しています。しかし、タンニンは水溶性で数回飲んだだけで茶葉から溶け出してしまいます。その結果、タンニンを失ったたんぱく質が腐敗を起こします。腐敗したたんぱく質はヒスタミンなどに変わり、容易にお湯の中へ溶け出してしまうため、時間が経つと(宵越しのお茶など)下痢を起こしやすくなります。

 

カテキンにいつまでも殺菌効果があると思い込んで飲み続けると、下痢を起こしてしまい、ひどい場合には食中毒になりますので気をつけましょう。

また、適量のタンニンは、胃の細胞(壁細胞や主細胞など)を刺激して胃液の分泌を促し、食物の消化を助けますが、胃の粘膜を荒し消化液の分泌を妨げ、消化不良を起こして、胃腸の弱い人は、吐き気や下痢を起こす場合があります。特に、空腹時に濃いお茶を飲むことにも気をつけるべきでしょう。

下痢の改善は腸内環境を良くすると速くなる

「元気の元は胃腸から」と昔から言われているように、健康であるためには腸内の環境が非常に大切です。食べた物を消化し、栄養吸収、解毒、排出するなど体の最前線で活躍しています。

健康は食べ物から維持できますが、すべての食べ物が健康に良いものではありません。中には体や腸に悪いものも食べています。

しかし腸内が正常な働きをしていれば、腸内で有害な物、有益な物を選り分け、有害な物は排出できるようになっています。

ところが腸内の環境があまり良くなく腸内が正常な働きが出来ない場合は、有害な物まで吸収したり、腸壁を炎症させたりします。腸壁が炎症すると、下痢だけではなく、炎症性腸疾患の原因にもなります。

大腸および小腸に慢性の炎症または潰瘍を起こす病気を総称して炎症性腸疾患といいます。腸内の悪玉菌が多くなり腸内環境が悪くなることが原因のひとつに挙げられています。腸内の環境が悪くなると、腸内の免疫力は低下し、いったん下痢になるとなかなか回復が難しく、長引く下痢、あるいは重篤な腸疾患の原因となります。

まずは腸内環境をしっかり整えて、腸内の働きを正常に戻すことが、下痢改善の近道です。

腸内環境を整え、良好に保つには乳酸菌をはじめとする良質な腸内善玉菌の存在が不可欠です。また、善玉菌の活躍を手助けする納豆菌のような腸内コントロール菌の存在も心強いでしょう。

これらの菌は食品からバランスよく摂取するのが理想的ですが、腸内環境を変えるほど十分な量というのは、なかなか補給するのが難しいものです。

そこでおすすめしたいのがサプリメントです。最近では各社から腸内善玉菌配合のサプリメントが発売されています。それぞれの会社によって扱っている菌の種類も異なります。種類が違えば合うお腹も違ってきます。ぜひ一度試されて、自分のおなかにぴったり合う善玉菌をみつけてみましょう。