美味しいからこそ気をつけたい。イチゴで下痢になる?

下痢の原因は多種多様で、特定の原因を見つけることは難しいようです。

というのも下痢は発生してから、数年~数十年にわたって症状を抱えている人が少なくありません。病院で検査をしても下痢の原因を特定できず、下痢が慢性化し生活の一部になってしまっている方、下痢によって移動範囲が限られるなど日常生活に支障をきたしている方々もいます。

下痢の原因・・・イチゴ

慢性的な下痢の原因はそのほとんどが食生活と密接な関係があるようです。普通なら下痢にはならないだろうと思われる食べものでも、おなかが弱い方には刺激となり、下痢を招いてしまうことがあります。

慢性的な下痢の方は、食べものには細心の注意を払われていることと思います。

ですが、それはあくまでも脂っこい食品や肉類など、消化が悪いと思われる食品に限ってのことではないでしょうか。

中でも特に果物というのは、体にいいイメージがあり、下痢の原因だとは思えない食品です。今回はその中でも冬場によく見かけるイチゴについて考えてみましょう。

イチゴの食べ過ぎによる下痢

イチゴは、イチゴのショートケーキや苺大福、イチゴ狩りなど、人気のあるフルーツの一つです。

真っ赤でジューシーなイチゴは見るだけでも美味しそうです。スイーツ店ではイチゴフェアなどが催され、ショーケースの中はイチゴで彩られています。また、摘みたての新鮮なイチゴをたくさん食べられるイチゴ狩りなども人気の一つです。しかし食べ過ぎると下痢になる可能性があるのです。

イチゴには虫歯を防ぐ天然の甘味料「キシリトール」が果物の中でも多く含まれています。キシリトールは虫歯の発生を防ぐ効果があるのですが、摂り過ぎると下痢など腹部の不調が生じることがあるのです。1日に30g以上でお腹の調子が悪くなると言われています。

イチゴのキシリトールの量は乾燥重量100gあたり300mgとされています。イチゴ1パックが300gぐらいなので乾燥させると30g程度となり、キシリトールの量は90mg=0.09gとなります。

また、小ぶりなイチゴ10コほどで、1日に必要なビタミンCの量を摂ることができます。大ぶりのイチゴなら1日5コぐらいでも十分でしょう。キシリトールの量は普通の人が一度に食べる程度ならそれほど気にする必要はありません。ただし、体質によっては少量でもお腹を壊す人もいるので注意が必要です。また、食物せんいに敏感な人もイチゴに含まれる食物せんいに反応して下痢をしやすくなるようです。美味しくても適度な量を食べるようにしたいものです。

下痢の原因を作るキシリトールとは

キシリトールは白樺や樫の木を原料として作られた天然素材の甘味料で、ソルビトールやマルチトールと同じ糖アルコールと呼ばれる炭水化物の仲間です。自然界ではイチゴをはじめ多くの果物や野菜に含まれています。

キシリトールが分類される天然の糖アルコールというものは、非常に消化吸収されにくいという特徴があります。吸収されなかった糖アルコールを消化しようとして腸管壁から水分を引き出し、大腸の中の水分が増えるため下痢をしやすくなると言われています。小腸では吸収されずに大腸まで運ばれ、そのまま排出されることがほとんどなのです。水分の多い便、つまり下痢便となるのです。

これらの現象は一過性のものであって身体に害はありません。 また、砂糖と同じくらいの甘さがあり、口の中で溶ける時に熱を奪うので口に含むとスーッとした冷たい感覚があります。

このような仕組みで起きてしまうキシリトールが原因の下痢で、特に気をつけたいのは子供や高齢者です。キシリトールは幅広い年齢の人が食べることができるものですが、体力があまりない子供や高齢者のキシリトールの食べ過ぎには注意しておきましょう。

キシリトールはどの位の量で下痢をするの?

牛乳を飲むとお腹が緩くなってしまうという方がいるのと同じで、個人差があありますので、どの位の量なら絶対大丈夫という目安はありません。

人によってはキシリトールガム1粒でお腹が緩くなってしまう人もいれば、何粒食べても大丈夫という人もいます。お腹が弱い方や子供、高齢者は少しの量から摂取してみて問題なければ効果的な量を摂取するようにしましょう。

キシリトールの安全性について

キシリトールは1日の摂取量に制限を与えない食品として扱われています。1983年JECFA(FAOとWHOの食品添加物専門家共同委員会)は、キシリトールの「1日の許容摂取量」に関しては「特定せず」としました。それはキシリトール摂取量に特別な制限は不必要であるということです。1986年FASEB(Federation of American Societies for Experimental Biology)の専門研究班による報告においても、キシリトールの安全性に重大な懸念はない、と評価されています。

また、日本では1997年4月に食品添加物として認可されましたが、その10年以上前から点滴の輸液成分として使用されるなど、キシリトールは人体に安全なものとして知られていました。実は人間の身体の中でも、肝臓で1日あたり約15gのキシリトールが作られていて、私たちの身体とも身近な存在です。

イチゴへの農薬散布が下痢の原因に?

イチゴは病気や虫に弱い植物です。そのため、栽培期間中の農薬散布は欠かせません。おなかの弱い方、農薬に敏感な方は下痢の原因となるかもしれませんので、イチゴを食べる際にはよく洗って食べるか、食べ過ぎない様にしたいものです。

下痢改善の秘訣は“腸内環境”に有り

同じものを食べても下痢になる人、下痢にならない人の違いは腸内環境の違いにあります。

腸内環境が良好な人は腸内が正常に働き、有害なものを排出する能力も大きいのです。前述したように、市販の野菜や果物には農薬が使用されていることがほとんどです。農薬以外にも、加工食品には必ずといっていいほど食品添加物が使用されています。わたしたちのおなかは常に、健康を害する可能性のある有害な物質にさらされています。

これらを体外に適切に排出するには、良好な腸内環境が不可欠なのです。良好な腸内環境とはすなわち、善玉菌の占める割合が大きい腸内環境のことです。

腸内環境を良好に保ってくれる良質なサプリメントもありますので、上手に利用しましょう。下痢の改善はもちろん、その後の生活においても、おなかを中から守る頼もしい応援団となってくれることでしょう。