夏といえばどこでもアイスコーヒー
夏の嗜好飲料の代表的な一つにアイスコーヒーが挙げられます。
コーヒーは喫茶店、カフェ、ファーストフード店、いろんな場所で注文でき、アイスでもホットでも楽しめるため、季節を問わず人気が高い飲み物です。
老若男女問わず人気のコーヒーですが、飲むと下痢になるという人も中にはいます。その原因を探ってみましょう。
コーヒーが下痢の原因となる理由
コーヒーの持つカフェインへの耐性は二、三週間で作られ、ほとんど完全な耐性ができます。それ以外に下痢の原因となりそうな成分としてタンニンが考えられます。
原因1:タンニン
緑茶や紅茶などは大丈夫だけど、コーヒーを飲むと下痢になってしまうという人は「タンニン」が原因の可能性があります。
タンニンとはコーヒーの苦味や渋みを醸し出す成分の一つで、ブルーベリーなどに含まれるアントシアニンなどと同じ成分です。飲み過ぎると腸粘膜に強い刺激を与えます。その結果、下痢を起こすことが考えられます。
原因2:アレルギー症状
アレルギーには原因物質が様々ありますが、コーヒーに反応するアレルギーの人がいます。こうした方の場合、コーヒーを飲んでからすぐに影響が出るのではなく、数日後に症状が出ることがありますので、コーヒーが原因だと気が付きにくいことがあります。また、風邪と間違えやすく、下痢・吐き気・頭痛・肌荒れ・手の震えなどの症状もあります。
原因3:カフェイン中毒
1日に250mg以上のカフェインを摂取し続けていると、 慢性的なカフェイン中毒(カフェイン依存症)になる可能性があります。また、日本中毒学会の調べでは、急性カフェイン中毒によって5年間で101人が病院に運ばれ、うち3人が死亡したというショッキングな数字もあります。カフェインを過剰摂取することで死に至ることが想像できますか?
あまりに身近な成分のため、その危険性を考える機会が少ないカフェインですが、慢性的なカフェイン中毒になると吐き気や下痢などの症状が出ることがありますので注意が必要です。
原因4:砂糖や人工甘味料
コーヒーは独特の苦みや酸味が特徴ですが、それらが苦手という方もいらっしゃいます。それでも飲みたい場合、ミルクや砂糖を加えて味をまろやかにされるという方も多いでしょう。
ですが、このコーヒーに入れる砂糖が原因で下痢をする、ということが考えられます。
砂糖を摂りすぎてしまうと血糖値が上がり、腸内の浸透圧も上昇します。
すると腸内の浸透圧を元の状態に戻そうとするので、結果的に腸内の水分量が増えて下痢になってしまいます。
また、人工甘味料も砂糖同様に下痢を引き起こす可能性があります。人工甘味料の多くは人間の身体で分解できないため、身体が異物として認識し、早く身体の外に出そうとするためです。
コーヒーフレッシュにはトランス脂肪酸が含まれているので、体に良くありません。苦くて飲めないという場合には、牛乳や豆乳を利用されることをおすすめします。
原因5:コーヒーの化学物質
コーヒーに含まれている様々な化学物質や刺激物が胃腸を荒らして腹痛や下痢を引き起こしていることもあります。
具体的な化学物質は以下の通りです。
エチルフェノール・キナ酸・ジカフェオイルキナ酸・ジメチルジスルフィド・アセチルメチルカルビノール・プトレシン・トリゴネリン・ナイアシン
緑茶や紅茶は飲んでも平気だけど、コーヒーだけに反応してしまう場合には、これらの化学物質が影響していることもあります。
原因6:おなかの冷え
アイスコーヒーには必ず氷が入っています。冷たいコーヒーを飲むとおなかも冷えます。それでも、暑い夏はついつい冷たい飲み物を飲みたくなりますよね。
しかし、冷たい飲み物の飲み過ぎは下痢の原因として真っ先に考えられるものです。
ここでは改めてそのメカニズムについて考えてみます。
・冷たい飲み物で蠕動運動が活発になる
冷たい飲み物を飲み過ぎると、その刺激により腸の蠕動運動が異常に活発になることがあります。そのため、腸内の内容物の輸送時間が短くなり、水分の吸収が十分にされないまま排出されるため、下痢になります。
・冷たい飲み物で蠕動運動が鈍る
冷たい飲み物を飲み過ぎると、腸の蠕動運動が活発になるのではなく、逆に腸の動きが弱まり吸収力が落ちることがあります。そのため、うまく水分を吸収できずに便が水っぽくなって下痢になります。
一方では腸が活発になりすぎることに原因があり、もう一方では腸の運動が鈍ることが原因になる、下痢の原因にはこうした正反対のこともあるのです。
・冷たい飲み物による低体温の防衛反応
冷たい飲み物を急に飲み過ぎると一気に体温が下がります。体温が1度下がるだけで免疫力は30%低下し、基礎代謝は12%低下します。
冷たい飲み物を少しずつ飲むというのなら、体内で熱を発生させて体温の低下に対応できるのですが、一気に冷たい飲み物を飲み過ぎると体が対応出来なくなってしまいます。
そこで体の防衛反応が起き、体温低下の原因となっている冷たい飲み物の水分を緊急排出しようとするのです。
コーヒーを飲んでも下痢にならない体になるには
コーヒーが下痢の原因とわかっても、それでもコーヒーが飲みたい!という方も中にはいらっしゃるでしょう。
コーヒーという刺激物に耐えられるおなかかどうかには、腸内環境の良し悪しが大きく関わっています。
腸内環境に自信がない、という方の腸内には悪玉菌が多いことが考えられます。しかし、腸内環境を改善するにはどうすればいいのかわからない、という方も多いようです。
一番は腸内細菌叢のバランスを良い状態にする事です。身体に有益な菌を送り込むことで、日和見菌を味方につけるのです。有益な菌とは乳酸菌や納豆菌に代表されるような菌で、発酵食品などに多く含まれています。
それでなくても発酵食品の摂取量自体が減っている現代です。発酵食品の代わりにサプリメントで有益菌を補給する、というのも有効な一手でしょう。
それぞれのライフスタイルや食事内容に合わせて、対策を考えてみましょう。