止まらない下痢原因

下痢が慢性的に続くと、いつものことだからと諦めていませんか?慢性的な下痢には、思わぬ病気が潜んでいることもあります。

下痢以外におかしな所はないか、見極めることが大切です。下痢の原因となる病気や、下痢を繰り返す人が注意したい病気をまとめました。

腹痛、下痢が続く原因はストレス

慢性的な下痢の場合、風邪でもない、検査をしても腸に異常は見られないのに、腹痛、下痢や便秘などの便通異常を慢性的に繰り返す状態の時があります。そのような症状に「過敏性腸症候群」が挙げられます。

例えば、通勤、通学の途中で必ずトイレに行きたくなり、腹痛や下痢になることがあるため、各駅停車にしか乗れない。あるいは試験や会社のイベントなどでストレスが加わると、一時的におなかの不調が起こるなどというような状態です。

通勤途中でトイレに行きたくなり冷や汗をかきながら、次の停車駅まで我慢しなければならない時もあるようです。

ストレスにもさまざまなものがありますが、不安、緊張、周囲への過剰反応、抑うつなどがストレスとなって過敏性腸症候群を起こす場合があるのです。なかには、自分ではストレスがないと思っている人もいます。自覚のないストレスなのです。

ストレスと脳の関係は密接に結びついています。ですから、ストレスの影響を受けると、胃腸の働きはもろに影響を受けます。腸の動きが速くなりすぎて、下痢になるのです。反対に動きが十分でないと、便秘が起こります。

ストレスで変わる自律神経のバランス

わたしたちの身体は、自律神経の交感神経と副交感神経の2つの神経の支配をうけています。 脳から情報を伝達するときに、この2つの神経に亢進と抑制の命令を行います。

交感神経と副交感神経は、1つずつの臓器に対し2重に拮抗的に支配(二重支配)しています。この2つの神経のバランスにより、呼吸や血圧、消化、排泄、体温調節などの各臓器の働きを調整しています。

からだがストレスをうけると、自律神経が作動します。交感神経は一般に活動する神経であり、副交感神経はリラックスの神経です。ほとんどの臓器がこれらの二重支配を受けているため、ストレスが長期にわたると自律神経が影響をうけてバランスが崩れ、胃腸の肌への不具合や頭痛を起こすこともあるのです。

ストレスは、下痢をはじめ不眠やうつ、胃痛や頭痛、さらには胃・十二指腸潰瘍など、心と体に不調を引き起こします。

漢方に心身一如という言葉があるように、こころとからだの関係は非常に密接です。

下痢の原因がストレス以外の場合

過敏性腸症候群の発症では、腸自体が過敏になって、通常より反応しやすくなっていることも要因の一つとして考えられます。

腸が過敏になる理由は、感染性腸炎のあと、治療して腸の炎症が治ったように見えても、軽い炎症が続いており、その結果、腸が過敏な状態になっていることがあるようです。

感染性腸炎の原因菌としては、卵が主な感染源となるサルモネラ菌、鶏肉が主な感染源となるカンピロバクター、赤痢菌などがあります。また、ノロウイルスに感染して感染性腸炎を起こしたことがある場合は、治ったあとも過敏性腸症候群を発症しやすいことがわかってきています。

またそのほかに、腸内細菌のバランスの乱れも影響していると考えられています。腸内は善玉菌、悪玉菌、日和見菌のそれぞれの割合で腸内細菌のバランスを保って腸本来の仕事ができるのですが、バランスが崩れると腸本来の仕事ができなくなり、下痢になるようです。

過敏性腸症候群は、適切な治療によって治すことができる病気です。腸内環境を整えるサプリメントなどで改善することは可能です。しかし、症状があって生活に支障がある場合は、消化器内科や心療内科を受診しましょう。

下痢の原因が感染症の場合

  • ノロウイルス感染症

下痢の症状を引き起こす感染症のひとつ、ノロウイルスに感染すると、増殖したノロウイルスを体外に排出しようとして強い吐き気やおう吐、下痢が起こります。多くの場合、1~2日で症状は治まり、自然に回復します。

ただし、乳幼児や高齢者などの抵抗力が弱い人は、症状が長引き、下痢がいつまでも続く場合があります。

おう吐を繰り返して水分をとることができなくなったり、下痢が続くことで体内の水分が失われたりして、脱水を起こしやすくなりますので、水分補給はしっかりしましょう。

次のような場合には、特に注意が必要です。おう吐が半日から1日以上続く場合や乳幼児で、ぐったりしている場合などは脱水症状が考えられますので、ひどくなる前に、医療機関を受診しましょう

そのほか、尿が半日以上出ない、尿の色が濃、唇がカラカラに乾いているなどがあったら、すでに脱水を起こしている疑いがありますので、すぐに救急外来を受診するか、救急車を呼びましょう。

また、高齢者の場合、おう吐物が誤って肺に通じる気道に入り、誤えん性肺炎を起こしたり、のどを詰まらせて窒息を起こして命に関わることがあります。おう吐物がのどに詰まった場合、すぐに救急車を呼んで下さい。

下痢の原因が食中毒の場合

下痢の原因として見逃せないのが、「食中毒」です。今や食中毒は夏場だけでなく一年中発生します。食中毒になると「下痢」のほか、「腹痛」、「吐き気や嘔吐」、「発熱」、「血便」などの症状が起こります。

特に気温と湿度が高い夏は、ほかの季節に比べて細菌が繁殖しやすいため、肉や魚などの生ものによる「食中毒」を起こす危険性があるので注意が必要です。

食中毒は、主に細菌が原因となって起こります。食中毒を起こす主な細菌と感染源は次の通りです。

  • カンピロバクター(鶏・牛)
  • サルモネラ(鶏・卵)
  • 腸炎ビブリオ(魚)
  • O-157(腸管出血性大腸菌)(牛)
  • ウェルシュ菌(豚・牛・鶏)
  • 黄色ぶどう球菌(人)

カンピロバクターが原因の場合は、1000人に1人の割合で、「手足のまひ」や「呼吸困難」などを起こす「ギラン・バレー症候群」を発症する場合もあり、重症化すると、命に関わることもあります。

食中毒を発症してしまった場合、症状が軽ければ、必ずしも医療機関を受診する必要はありません。安静にし、食事を控えめにして腸を休め、下痢や嘔吐がある場合は水分をこまめにとりながら様子を見てください。ただし、小さなお子さんは、大人よりも重症化しやすいので、すぐに病院を受診してください。

気をつけなければならないのが、下痢の症状があるからといって、「下痢止め」を使ってしまうことです。

下痢は、体に害となる物質を排除するための生理的な反応です。下痢止めによって腸の動きを止めると、菌自体や細菌の作り出した害となる物質を排出しにくくなります。下痢止めは使用しないようにしましょう。

腸内環境を整えよう

「元気の元は胃腸から」と昔から言われています。私たちは食べることで健康になり、元気に生活できているのです。たとえ病気になっても回復し元気を取り戻せるのは、腸管免疫のおかげです。

日々の感染対策も非常に大事ですが、免疫力を高めることは細菌やウィルスの侵入を防ぎ、コロナ対策にも重要になってきます。

免疫力は、20代をピークに急激に低下してきます。40代で50%、70代では10%前後になると言われています。しかし、腸管免疫力は年齢に関係なく高めることができるのです。

この腸内免疫システムで免疫力を高めてくれているのが、小腸や大腸に棲む腸内細菌(善玉菌20%、日和見菌60%、悪玉菌20%)の中でも善玉菌という菌です。

腸内善玉菌を増やしてくれるサプリメントがありますので上手に利用しましょう。下痢の改善はもちろんのこと病気予防の要にもなります。