下痢原因は清潔感

最近はコロナ禍にあって、殆どの人はマスク、うがい、消毒と今まで以上に除菌することに意識が向いています。コロナウイルス菌から守るためには必要なことですが、必要以上に除菌するとかえって災いを被ることがあります。その一つが下痢です。

確かに清潔にするという事はとても大事ですが、清潔し過ぎると、かえって害が及ぶことがあるのです。なぜなのでしょうか。ご一緒に考えてみましょう。

下痢の原因はきれいすぎる事

日本人の「清潔信仰」に警告を発している東京医科歯科大学の藤田教授は次のように言っています。
「異常ともいえる清潔観念によって免疫力や抵抗力が低下し、次世代の日本人が肉体的にも精神的にも衰弱化していくのではないか。衣料品にまでも抗菌スプレー、消毒用アルコールなどは本来人間の肌を守る菌まで殺してしまっている」と。

例えば清潔し過ぎて下痢の原因なったものとして、O-157が挙げられます。学校の給食で0-157菌による下痢が集団発生した事をご存知でしょうか。

O-157は清潔な場所で猛威を振う

O-157は清潔な場所で猛威を振います。O-157は毒素を発生させる菌です。この菌が使うエネルギーのうち実に70%は毒素の産生に使っています。生きるために使う力は30%しかありませんので、生きる力がとても弱い菌なのです。

だから、雑菌の多いところでは生きていけません。雑菌だらけのところにいると雑菌に殺されてしまうのです。O-157の運び屋といわれたカイワレ大根は、雑菌にいないところ、つまり無菌状態で栽培されたので菌が繁殖したのです。

土から生えた大根だと、色々な菌がいますから0-157などの菌はすぐに殺されてしまって運び屋にならないのです。

またO-157の菌を食べてしまったとしても皆が下痢をするわけではありません。なぜなら腸にたくさんの種類の菌(乳酸菌、ビフィズス菌、納豆菌、大腸菌 など)がいると追い出されたり、殺されたりしてしまうからです。

O-157は、毒力の強いベロ毒素を産生する大腸菌の一種で、腸管出血性大腸菌ともいいます。

抵抗力の弱い乳幼児や小児、高齢者が感染すると、腎機能や神経学的障害などの後遺症を残す可能性があり、溶血性尿毒症症候群(HUS)を併発するなど重症となる場合もあります。

下痢の原因は腸内バランスが悪い

実際、大阪の堺市で、O-157が流行した時に小学生の便を調べたところ、O-157がたくさんあるのに一度も下痢をしなかった子供が30%もいたそうです。

一方、ちょっとした下痢をした子供は58%で、何度も下痢を繰り返して入院するほどの下痢をした子供は12%でした。追跡調査をしてわかったのはO-157で重症になった子供たちはお母さんが清潔に対して非常に神経質で、子供に泥んこ遊びをさせていなかった。一度も下痢をしなかった子供は泥んこ遊びをする子供達だったようです。

下痢になったり、下痢が続いたりする大きな原因は、腸内細菌のバランスが悪いのです。腸内には100兆個、100種類の菌がいますが、現代人は腸内細菌の数が減っています。 過度な清潔は腸内細菌のバランスを崩してしまいます。小さい時からたくさんの種類の菌と接触して、体内にできるだけ多くの菌を摂り入れましょう。

腸内に良い菌を増やすサプリメントなどを利用して腸内細菌の数をどんどん増やしていきましょう。そうする事が下痢の改善の早道です。

過度な清潔は下痢以外にアレルギーも発症

日本人のきれい好きは、世界でもトップクラスです。一般的に、不潔・汚い環境のほうが、病気になるリスクがあると考える傾向から、ドラッグストアではさまざまな除菌グッズが並んでいます。

きれいで、清潔な環境で過ごす今の子供たちにとって、清潔な環境は、アレルギーの発症を抑えているように見えますが、なぜかアレルギー患者数は増加傾向にあります。

平成17年では「日本の全人口の約3人に1人がなんらかのアレルギー疾患に罹患している」だったのが、平成23年では「約2人に1人が罹患している」に増加しています。

イギリスの疫学者ストラカンの仮説は、「乳幼児期の衛生環境によって、アレルギー体質になるかどうか、決定される」というものです。

なぜなら、乳幼児期に、清潔な環境で過ごしていると、細菌・ウイルスに対する抵抗力・免疫力が十分に育たず、それがアレルギーの発症に、大きく関係すると言われているからです。

必要以上に何もかも、殺菌・除菌・抗菌するのが、100%正しいとは言えないのです。
掃除は、やりすぎない・神経質にならないほうがいいようです。

動物園で、免疫力をつける

幼児期から、あれもこれもと清潔な状態で成長すると、免疫力が十分に育たなくなり、ちょっとしたことで過敏に反応してしまい、アレルギーを発症すると考えられています。では免疫力を幼い時から育てるにはどうすればいいのでしょうか。

その一つとして、動物園など、動物が多くいる場所に、小さいころから行っていると、ある程度の免疫力がつくとも考えられています。小さいころから、動物と適度に触れ合うようにするのも、予防の方法のようです。

3歳までに腸内環境の基礎が出来上がりますので、その間に様々な人や場所に触れ合うのがいいようです。

下痢にならないための免疫力アップ

腸内粘膜は細菌にさらされる一方、体内に摂取された食物を栄養として腸から体内に取り込まないといけない、なかなか大変な場所なのです。腸内細菌は腸に集結する免疫細胞と相互に作用しながら、全身の免疫力をコントロールしています。免疫活性化メカニズムの最前線が腸管なのです。

腸管の表面積はテニスコート1面分にも達し、体表面積の100倍以上と推定されています。腸管粘膜は細菌やウイルス、寄生虫や化学物質など様々な異物に絶えずさらされています。これらの異物から身を守るために発達した仕組みが腸管免疫です。

約1千種類、100兆個以上で、重量は1.5キロから2キロといわれる腸内細菌が私たちの体内で共生しています。腸管免疫は腸内細菌を絶えず認識して反応し、体調に異変が生じないよう常時アクティブに調整能力を発揮しています。例えば、o-157などの菌が入ってきても繁殖できないように様々な菌が活躍するのです。

腸に集積した免疫細胞は、腸内で人体に有害な細菌やウイルスを見つけて攻撃する能力を鍛えられるだけでなく、血液に乗って全身をめぐり、体の各所で見つけた病原体を攻撃する役割を担います。

インフルエンザや肺炎などに対する免疫力の高さを維持できるかどうかは、腸での免疫細胞の訓練次第なのです。ですから、たとえコロナウイルスにかかっても発病しない、あるいは重症化しないで済むのはこの腸の免疫細胞が関係しているのではないかと言われています。

下痢の改善はまず腸内環境をしっかり整えましょう

私たちは色々なものを美味しく食べて健康を維持しています。中には体に有害なもの、あるいは添加物の多い加工食品などは腸内環境を悪化させてしまいます。すると腸内細菌のバランスが悪くなり、腸内の悪玉菌が繁殖して、有害物質が産生されてきます。

こうなると有害物質を排出したり、免疫力が低下するなど、腸本来の仕事ができなくなり下痢やアレルギーなどが発症してしまうのです。

腸内環境を整え、善玉菌が優勢な環境にする為に食生活にも十分注意しましょう。腸内環境を整えるサプリメントなどがありますので上手に利用してみましょう。下痢の改善が早くなります。