下痢原因は寒天の食べ過ぎ

下痢の原因は様々です。お菓子やアイス、ゼリーなどに利用されている寒天はカロリーが低く健康的なイメージがありますが、食べ過ぎると下痢になるようです。なぜ下痢になるのでしょうか、その原因をご一緒に考えてみましょう。

寒天とは

寒天はテングサ類の海藻などを原料としています。養殖ではなくすべて天然物です。
採取したテングサを日光で干して白くなったものを煮沸し、凝固成分を抽出し、冷やしてかためた物は「ところてん」です。水分が抜けて寒天質だけが残ったものが寒天となります。

寒天は、菓子の原料や、介護食のとろみ剤、化粧品や芳香剤、カプセル薬の材料、オブラート、細菌培養用の培地など、様々な分野に利用されています。

寒天に含まれる食物せんいは100g当たり74.1g、と食品の中でもトップクラスです。下記のグラフは100グラム中の食物せんい比較したものです。

食物せんいは便秘の予防をはじめとする整腸効果だけではなく、血糖値上昇の抑制、コレステロールの吸収を防ぐ効果が明らかになっています。

適度に摂取するならダイエットに最適な食材に見えますが、食べ過ぎると、腹痛や下痢になりますので、食べ過ぎには注意しましょう。

寒天のメリット

寒天の最大のメリットは食物せんいが豊富なことです。それによる健康効果が期待できます。

①糖尿病の予防

寒天の豊富に含まれる水溶性食物せんいは食事で摂ったコレステロールや糖の吸収に時間がかかり、血糖値の上昇も緩やかになります。ですから、食前に水溶性食物せんいを摂取すると食後の血糖値の急上昇を抑える効果が得られ、糖尿病の予防になります。

②動脈硬化を予防

動脈硬化を進行させる最大の因子は、血液中のコレステロール量の増加です。寒天は、余分なコレステロールの吸収を防ぎ、コレステロール値を下げることがわかっています。寒天に含まれる食物せんいは、胆汁酸が腸壁で吸収されることを防ぎます。

胆汁酸は脂質の消化を助ける主成分ですが、使われても腸壁から吸収されて肝臓でリサイクルされます。しかし、食物せんいが胆汁酸の再吸収を防ぐため、胆汁酸は新たに肝臓でつくらなければなりません。胆汁酸の成分の原料はコレステロールであるため、新しい胆汁酸を合成するために体内のコレステロールがそれだけ少なくなるのです。

③ダイエット

寒天に含まれる水溶性食物せんいは、胃腸での滞留時間が長いため腹持ちが良く、ダイエット効果も期待できます。寒天を食べることで間食を防いだり、食事の摂取量を減らしたりすることができるため、ダイエットに適した食材だと言えます。

④便秘解消

寒天は大腸で便に水分を与えてかさを増し、便をやわらかくします。腸の蠕動運動を促進する作用もあるため便秘解消に役立ちます。また、寒天はせんいが豊富なので有害物質を吸着し、便として排出する働きもあります。

柔らかい便は痔の予防にもなります。しかし、寒天は充分に水に溶かしてから食べるようにしないと、逆に便秘になってしまいます。

食物せんいは腸内細菌の中でも善玉菌を増殖しやすくする働きもあります。善玉菌は、腸内で悪玉菌の増殖を抑え、有害物質が増えないようにするので、大腸ガン予防に繋がります。

⑤肥満を防ぐ効果

食物せんいにはカロリーはありません。ですから、寒天を多く食べても太り過ぎの心配はありません。しかも、食物せんいには吸水力があり水分を吸うとかさが増えますので、 少量でも満腹感が得られます。

また、糖質の吸収に時間がかかるので満腹感が長持ちし、食べ過ぎを防ぎます。またその結果、肥満に起因する高血圧の症状を防ぐ効果も期待されています。

寒天のデメリット

寒天は健康の維持に役立ちますが、食べ過ぎると健康を害するようです。

①腹痛・下痢になる

寒天の食べ過ぎは食物せんいの過剰摂取につながり、消化不良を起こします。消化不良は腹痛や下痢などを起こす原因になります。

厚生労働省が発表している日本人の食事摂取基準では、1日の食物せんいの摂取量は18~21グラムが推奨されています。食物せんいは寒天だけでなく野菜類にも入っていますので、寒天の適量は4~6g以内が目安のようです。ティースプーン一杯程度です。

同じ量を摂るにしても一度に食べると消化不良や下痢などなりやすくなりますので、何回かに分けて摂取しましょう。ちなみに、寒天10gでキャベツ1個分の食物せんいがあると言われています。

②便秘になる

寒天は水分を含んで何倍にも膨張します。ですから、寒天に含まれる食物せんいが体内で多くの水分を吸収してしまうため、かえって体が水分不足に陥り、逆に便秘になることがあります。

特に妊娠中は便秘が起こりやすく、お腹が張る原因になります。また、寒天の食べ過ぎは消化不良による胃痛の原因にもなるため、胃腸が弱っているときは摂取量を控えましょう。寒天は十分に水に溶かしてから食べるようにしましょう。

③海藻摂取と甲状腺ガンの関係が指摘されている

寒天の原材料である海藻類にはヨウ素が豊富に含まれています。ヨウ素は生命維持に欠かせない重要なミネラルですが、摂りすぎると甲状腺ガン発生の原因になるという報告があります。

閉経後の女性が海藻類を過剰摂取すると甲状腺ガンを発症しやすくなると言われていますので、このような女性は特に寒天の食べ過ぎには注意しましょう。

④味付け次第では太る

寒天は糖質や脂質がほとんど含まれず低カロリーの食品ですが、味付け次第では太ることもあります。寒天に黒蜜やシロップなどの調味料を加えると、カロリーや糖質が高くなります。そのため、ダイエット中は寒天の食べ方にも注意しましょう。

栄養バランスを整えよう

寒天を食べ過ぎて体調が悪くなった理由の一つには栄養不足に陥っている場合が合います。寒天自体にカロリーがないため、寒天ばかり食べていると栄養バランスは当然崩れてしまいます。結果必要な栄養素が大いに足りなくなります。

栄養は多すぎても少なすぎても、健康の保持や増進には好ましくありません。桶に水を溜める場合、どんなに水を入れても一番短い板のところまでしか水は溜まらず、それ以上は溢れてしまいます。


これと同じ原理で、何か一つ足りない栄養素があると健康レベルもその水準になり、体の不調が生じてきます。栄養バランスが整っていると病気に負けない丈夫な身体を作ることが出来ます。

必要な栄養素は他の食材からしっかり摂取し、寒天はあくまでも補助的な役割で食べましょう。
カロリーが低いからと食べ過ぎず、適量を守って食べるようにしましょう。

腸内環境を強化すると安心

「元気の元は胃腸から」と昔から言われています。バランスのとれた食事と腸内環境が整っていると身体に不必要な悪い物は腸内で処理し、素早く排出してくれます。

また、腸内善玉菌は様々な生命活動に重要な働きをし、私たちの健康を維持してくれます。善玉菌を増やし、腸内環境を強化するサプリメントがありますので、上手に利用して下痢を改善しましょう。