執筆・監修:箕浦雅子(薬剤師)|株式会社健将 代表取締役
「マヨネーズを食べると下痢になる」
「サラダにマヨネーズをかけると、お腹を壊すことがある」
「食べすぎたあとに急にトイレに行きたくなる」
そんな経験はありませんか?
結論からいうと、マヨネーズそのものが誰にでも下痢を起こす食品というわけではありません。
ただし、マヨネーズは脂質を多く含む調味料です。
そのため、
- 一度にたくさん食べた
- 脂っこい料理と一緒に食べた
- もともと腸が敏感
- 食後すぐ便意が起こりやすい
- 卵に対するアレルギーがある
- 保存状態に問題があった
といった条件が重なると、下痢や腹痛につながることがあります。
この記事では、マヨネーズでお腹を壊す主な原因と、症状が出たときの対処法を整理します。
- マヨネーズで下痢になる主な原因
- ① マヨネーズの脂質でお腹がゆるくなることがある
- ② マヨネーズを食べた直後の便意は「胃結腸反射」が関係することも
- ③ IBSなど腸が敏感な人では、食事が症状のきっかけになることがある
- ④ マヨネーズの食べすぎが関係することも
- ⑤ マヨネーズに含まれる卵でアレルギー症状が出ることもある
- ⑥ マヨネーズだけでなく、一緒に食べたものも確認する
- ⑦ マヨネーズの保存状態によっては食中毒にも注意
- マヨネーズの「添加物」が下痢の原因なの?
- マヨネーズを食べて下痢したときの対処法
- こんな場合は医療機関へ
- まとめ|マヨネーズで下痢になるなら、まず脂質と食べ方を確認
- 参考文献・参考情報
- 執筆・監修
- 利益相反(COI)について
マヨネーズで下痢になる主な原因

マヨネーズを食べたあとに下痢になる場合、まず確認したいのは「添加物」だけではなく、脂質の量や食べ方です。
米国国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK)は、急性の下痢で症状を悪化させる可能性がある食品として、脂肪の多い食品を挙げています。[1]
マヨネーズは油を多く含む調味料なので、使う量が増えるほど脂質の摂取量も増えます。
① マヨネーズの脂質でお腹がゆるくなることがある
脂質の消化には、胆汁や消化酵素などが関わります。
脂っこいものを食べると下痢しやすい人では、
- マヨネーズ
- 揚げ物
- ポテトサラダ
- 唐揚げ+マヨネーズ
- ツナマヨ
- たまごサンド
など、脂質の多い組み合わせで症状が出やすくなることがあります。
特に、すでに下痢をしているときには、脂肪の多い食品によって症状が悪化することがあります。[1]
つまり、
「マヨネーズを食べたから必ず下痢になる」
というより、
その日の食事全体で脂質を多くとっていなかったか
という見方も大切です。
② マヨネーズを食べた直後の便意は「胃結腸反射」が関係することも
「マヨネーズを食べて10分、20分くらいで急にトイレに行きたくなった」
という場合、食べたマヨネーズがそのまますぐ大腸まで届いて下痢になったわけではありません。
食事によって、大腸の活動が高まることがあります。
これは一般に「胃結腸反射(gastrocolonic response)」と呼ばれます。
研究では、標準的な食事でも、脂質だけの試験食でも、食後まもなく直腸・S状結腸の電気的な活動(スパイク活動)が増加しました。
脂質だけの試験食では、約70分後に再び増加がみられました。[2]
こうした腸の活動の変化を、便意や腹部の不快感として感じる人もいます。
そのため、
「食べた直後だから、その食品がそのまま下痢になった」
と考えるのではなく、食事によって腸の活動が変化した可能性も考えられます。
胃結腸反射については、こちらの記事でも解説しています。
③ IBSなど腸が敏感な人では、食事が症状のきっかけになることがある
過敏性腸症候群(IBS)の人では、食事をきっかけに腹痛や便通の変化などが起こることがあります。
IBSと食事についてまとめたレビューでは、食事による消化管運動や知覚の変化などが、食後の症状に関係する可能性が示されています。[3]
もともと、
- 緊張するとお腹が痛くなる
- 食後すぐトイレに行きたくなる
- 脂っこいものに弱い
- 下痢と便秘を繰り返す
という人は、マヨネーズそのものが唯一の原因というより、症状を起こすきっかけの一つになっている可能性があります。
④ マヨネーズの食べすぎが関係することも
マヨネーズは少量なら問題なくても、
- たっぷりかける
- 一度に多く使う
- 揚げ物やパンと一緒に食べる
- 脂質の多い料理にさらに加える
といった食べ方では、食事全体の脂質量が多くなります。
「少し使ったときは平気なのに、たっぷり使うと下痢になる」
という場合は、特定の成分だけではなく、摂取量そのものが関係している可能性があります。
まずは一度に使う量を減らして、症状が変わるか確認してみるとよいでしょう。
⑤ マヨネーズに含まれる卵でアレルギー症状が出ることもある
マヨネーズには卵が使われています。
卵アレルギーでは、皮膚症状だけでなく、
- 腹痛
- 吐き気
- 嘔吐
- 下痢
などの消化器症状が起こることがあります。
成人で新たに卵アレルギーを発症した1例では、卵や卵を使った食品を摂取したあとに、嘔吐、腹痛、下痢などが繰り返し起こったことが報告されています。
この症例では、症状が出た食品としてマヨネーズも挙げられています。[4]
ただし、これは1例の症例報告であり、一般的な「マヨネーズで下痢」の原因として最も多いという意味ではありません。
毎回、卵やマヨネーズを食べたあとに同じ症状が出る場合や、
- じんましん
- 口や喉の違和感
- 咳
- 息苦しさ
などを伴う場合には、自己判断せず医療機関へ相談してください。
卵を食べたあとに下痢や腹痛が起こる場合については、こちらの記事も参考になります。
⑥ マヨネーズだけでなく、一緒に食べたものも確認する
「マヨネーズを食べたら下痢した」と思っていても、実際には一緒に食べた食品が関係していることがあります。
たとえば、
- 生野菜
- ポテトサラダ
- たまごサンド
- ツナ
- 揚げ物
- パン
- コーヒー
- 冷たい飲み物
などです。
特にサラダの場合は、マヨネーズだけでなく、生野菜の量や種類、そのほかの具材なども確認する必要があります。
「マヨネーズだけが原因」と決めつけず、食事全体を見ることが大切です。
⑦ マヨネーズの保存状態によっては食中毒にも注意
下痢や腹痛に加えて、
- 発熱
- 嘔吐
- 強い腹痛
- 複数人が同じ症状
などがある場合は、単なる脂質のとりすぎだけでなく、食中毒も考える必要があります。
1993年の米国CDCの報告では、サンドイッチ店で起きたサルモネラ食中毒で、患者が食べたサンドイッチに共通する材料としてマヨネーズが挙げられています。
ただし、そのマヨネーズ自体は残っておらず、検査は行われていません。
また、同報告の編集部注では、自家製マヨネーズのように生卵や加熱不十分な卵を使う食品には感染のリスクがある一方、市販のマヨネーズは殺菌された卵を使用して作られていると説明されています。[6]
ただし、市販のマヨネーズを使っていても、
- 開封後に長時間常温に置いた
- ポテトサラダなど他の食品と混ぜたまま放置した
- 手や調理器具から食品に菌が付着した
といった場合には、料理全体として食中毒のリスクが生じます。
卵やマヨネーズを使ったサンドイッチと保存状態については、こちらの記事でも解説しています。
マヨネーズの「添加物」が下痢の原因なの?
ここは誤解されやすいところです。
マヨネーズを食べて下痢になったとき、
「食品添加物が原因なのでは?」
と考える方もいるかもしれません。
しかし、本記事で参照した資料の範囲では、マヨネーズに使われる添加物が通常の摂取で一律に下痢を起こす根拠は確認できません。
また、マヨネーズは商品によって原材料が異なります。
一般的には、
- 食用植物油
- 卵
- 酢
- 食塩
- 調味料
などから作られています。
マヨネーズを食べてお腹を壊したときには、添加物だけに原因を求めるのではなく、
脂質量、食べた量、その人の腸の敏感さ、一緒に食べたもの
などを確認する方が、原因を考えるうえでは実際的です。
マヨネーズを食べて下痢したときの対処法
一時的な軟便や下痢で、ほかに強い症状がなければ、まずは無理をせず様子をみましょう。
下痢があるときには、失われた水分や電解質を補うことが大切です。[7]
NIDDKは、急性の下痢で症状を悪化させる可能性がある食品の例として、揚げ物、ピザ、ファストフードなど脂肪の多い食品を挙げています。[1]
食欲が戻ってきた場合、多くの人は通常の食事に戻ることができます。[1][7]
次にマヨネーズを使うときには、
- 一度に使う量を減らす
- 揚げ物など脂質の多い食品と重ねない
- 何を一緒に食べたか記録する
- どのくらい食べると症状が出るか確認する
といった方法で、自分の症状との関係を確認するとよいでしょう。
食事内容や症状を記録することは、繰り返す下痢の原因を探す際にも役立ちます。[7]
こんな場合は医療機関へ
マヨネーズを食べたあとに下痢になっても、一時的なものであれば自然に改善することもあります。
ただし、成人で、
- 下痢が2日以上続く
- 血便、黒い便、膿の混じった便がある
- 強い腹痛や直腸痛がある
- 高い熱がある
- 嘔吐を繰り返す
- 1日に6回以上のゆるい便がある
- 脱水症状がある
といった場合には、医療機関へ相談してください。[5]
また、
- マヨネーズ以外の食事でも頻繁に下痢する
- 体重が減ってきた
- 同じ症状を何度も繰り返す
場合も、マヨネーズ以外の原因を確認する必要があります。
まとめ|マヨネーズで下痢になるなら、まず脂質と食べ方を確認
マヨネーズを食べたあとに、下痢や腹痛が起こることはあります。
ただし、
「マヨネーズは体に悪い」
「添加物が下痢を起こす」
と一括りに考える必要はありません。
確認したいのは、
- マヨネーズをどのくらい食べたか
- 脂質の多い食品と一緒ではなかったか
- 食後すぐ便意が起こりやすいか
- IBSなどで腸が敏感ではないか
- 卵を食べると毎回症状が出ていないか
- 保存状態に問題がなかったか
です。
少量では平気でも、食べる量や組み合わせによって症状が出ることがあります。
「マヨネーズが悪い」と決めつけるより、自分がどのような条件で症状が出るのかを確認することが大切です。
参考文献・参考情報
[1] National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK).
Eating, Diet, & Nutrition for Diarrhea.
急性の下痢で症状を悪化させる可能性がある食品や、食事の再開について参照。
NIDDKの資料を確認する
[2] Snape WJ Jr, Wright SH, Battle WM, Cohen S.
The gastrocolic response: evidence for a neural mechanism.
Gastroenterology. 1979;77(6):1235-1240.
DOI: 10.1016/0016-5085(79)90162-8
PMID: 583043
PubMedで確認する
[3] Hayes PA, Fraher MH, Quigley EMM.
Irritable bowel syndrome: the role of food in pathogenesis and management.
Gastroenterol Hepatol (N Y). 2014;10(3):164-174.
PMID: 24829543
PMCID: PMC4014048
PubMedで確認する
[4] Cremonte EM, Galdi E, Roncallo C, Boni E, Cremonte LG.
Adult onset egg allergy: a case report.
Clin Mol Allergy. 2021;19(1):17.
DOI: 10.1186/s12948-021-00156-7
PMID: 34602090
PMCID: PMC8489036
PubMedで確認する
[5] National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK).
Symptoms & Causes of Diarrhea.
成人の下痢で医療機関へ相談すべき症状について参照。
NIDDKの資料を確認する
[6] Centers for Disease Control and Prevention(CDC).
Outbreaks of Salmonella enteritidis Gastroenteritis — California, 1993.
MMWR. 1993;42(41):793-796.
サンドイッチ店でのサルモネラ食中毒の集団発生と、編集部注に記載された自家製・市販マヨネーズの違いについて参照。
CDCの報告を確認する
[7] National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK).
Treatment of Diarrhea.
水分・電解質の補給、食事内容や症状の記録、食事の再開について参照。
NIDDKの資料を確認する
執筆・監修
箕浦雅子(薬剤師)
株式会社健将 代表取締役
薬剤師としての専門知識を基盤に、長年にわたり健康・食品分野に携わり、腸内環境や食品と体調との関係をはじめとする健康情報の発信を行っています。
株式会社健将は健康食品の企画・開発・販売も行っています。本サイトでは、公的機関・医学論文などを確認しながら、一般の方にも分かりやすい健康情報の提供に努めています。
利益相反(COI)について
執筆者は株式会社健将の代表取締役であり、同社は健康食品の企画・開発・販売を行っています。
本サイトおよび執筆者は、特定のマヨネーズ商品や食品メーカーとの広告・協賛関係はありません。
本記事は、特定の商品や食品添加物を批判・推奨することを目的としたものではなく、公的機関・医学論文等の資料をもとに一般的な健康情報を提供することを目的としています。
※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を目的とするものではありません。症状が続く場合や気になる症状がある場合は、医療機関へご相談ください。
