下痢を改善する腸内細菌
人の健康を担っているものの一つに腸内細菌の力があります。
きれいな腸は病気にならないというのも腸内細菌のおかげなのです。
特に善玉菌の活躍は目覚ましいものです。
下痢になる、下痢が続く原因のひとつに、腸内の善玉菌が少ない理由が挙げられているほどです。
では腸内細菌が下痢改善になるなどどのような健康効果をもたらしているのでしょうか。
腸内細菌と健康
腸内には細菌がおよそ1000種類、100兆個も生息しています。
体の健康には、腸内にビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が占める割合を増やすことが重要です。
ヒトの腸内細菌は、善玉菌と悪玉菌、そのどちらでもない中間の菌、つまり日和見菌と、大きく分けて3グループで構成されています。
これらの菌は互いに密接な関係を持ち、複雑にバランスをとっています。
腸内細菌の中で一番数が多い菌は日和見菌で、次に善玉菌が多く、悪玉菌は少数です。
その割合は善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌:7の割合が理想的です。
●腸内細菌は一人ひとり異なる
腸内細菌の種類は個人、個人で異なり、様々です。
さらに食事・在住国などの要因によっても異なります。
つまり国や人種によっても腸内細菌の種類や数が異なるということです。
また、菌の数は年齢によって増減はあるものの、菌の種類は一生を通じてほとんど変わらないことも報告されています。
例えば抗生物質の飲用や食中毒では腸内細菌は大きく変動しますが、時間の経過とともに元に戻るとの報告があります。
●腸内細菌叢は3歳までに出来上がる
人の健康に欠かせない腸内環境は、個人差がありますが、腸内細菌叢(腸内細菌の塊)の原型は離乳食が始まる生後5~6か月から3歳頃までに作られるといわれています。
3歳までは何でも舐めたり、しゃぶったりと、口にもっていきます。これは腸内細菌を増やすための行動だとも言われています。
腸内環境は直接健康に関わるといわれていることから、3歳までに食べる食事の内容、おじいちゃん、おばあちゃんや他の人々と接することが良い腸内細菌を作るそうです。
子どもの今後の健康に大きく影響してくるということです。又、赤ちゃんがお母さんの産道を通ることも腸内細菌を得るのに適しているそうです。
腸内細菌叢(腸内フローラ)は年齢を重ねるごと、個々の食生活や生活環境によって変化しますが、幼少時においては家庭で何を食べるかが大事になります。
腸内環境を整える食事を幼少期から食べさせることは重要と言えます。
腸内悪菌が増えると下痢や様々な病気になる
悪玉菌は、たんぱく質や脂質が中心の食事・不規則な生活・各種のストレス・便秘などが原因で腸内に増えてきます。
腸内細菌は下痢、肥満、糖尿病、大腸がん、動脈硬化症、炎症性腸疾患などの疾患と密接な関係があり、これらの患者の腸内細菌は健常者と比べて著しく変化していることが知られています。
腸内善玉菌優勢は下痢改善、他の健康効果がある
一方、健康的な腸内細菌は、ビフィズス菌や乳酸菌(正確には乳酸桿(かん)菌)などの善玉菌が優勢であり、その他の菌ができるだけ劣勢である状態です。
善玉菌は乳酸や酢酸などを作り、腸内を酸性にすることによって、悪玉菌の増殖を抑えて腸の運動を活発にし、食中毒菌や病原菌による感染の予防や、発がん性をもつ腐敗産物の産生を抑制する腸内環境を作ります。
また善玉菌は腸内でビタミン(B1・B2・B6・B12・K・ニコチン酸・葉酸)を産生します。
さらに善玉菌の体を構成する物質には、体の免疫力を高め、血清コレステロールを低下させる効果も報告されています。
腸内善玉菌を増やす方法
腸内の善玉菌の割合を増やす方法には、大きく分けて2通りあります。
①毎日ビフィズス菌や乳酸菌を摂る
まず一つめは、健康に有用な作用をもたらす生きた善玉菌である「プロバイオティクス」を直接摂取する方法です。
食品ではヨーグルト・乳酸菌飲料・納豆・漬物など、ビフィズス菌や乳酸菌を含むものです。あるいは納豆菌・乳酸菌などのサプリメントなどを利用するのも良い方法です。
ただし、これらの菌は腸内にある程度の期間は存在しても、住み着くことはありません。そのため、毎日続けて摂取し、腸に補充することが勧められます。
なお、善玉菌は生きて大腸まで到達しないと意味がないと言われますが、死んでしまっても善玉菌の体を作る成分に有効な生理機能が期待できます。
②善玉菌を増やすものを摂る
2つめは、腸内にもともと存在する善玉菌を増やす作用のある「プレバイオティクス」を摂取する方法です。食品成分としてはオリゴ糖や食物繊維で、これらの成分は野菜類・果物類・豆類などに多く含まれています。
消化・吸収されることなく大腸まで達し、腸内にもともと存在する善玉菌に好きな炭水化物の「エサ」を優先的に与えて、数を増やそうという考えです。
オリゴ糖は、大豆・たまねぎ・ごぼう・ねぎ・にんにく・アスパラガス・バナナなどの食品にも多く含まれていますので、これらの食材を食事に取り入れると善玉菌が喜びどんどん増えるというものです。
また特定保健用食品などで市販されているものもあるので、効率的に摂取するにはこれらを利用するのも一つの方法です。市販されているオリゴ糖製品の有効摂取量は、一日あたり2~10gです。
しかしオリゴ糖を急に摂取すると下痢を起こしたり、おなかが張ったりすることがあります。
このような場合には1回の量を2~3回に分けて摂取する、または1日あたりの摂取量を減らして数日間かけて推奨されている摂取量まで増やす、という方法があります。
オリゴ糖に対する腸内細菌の「慣れ」を考えながら摂取することが重要です。
便を観察して腸の状態を見る
腸内細菌が健康的な好ましい状態であるかどうかを知るもっとも簡単な方法は、便を観察することです。
善玉菌がたくさん酸を作っていると、色は黄色から黄色がかった褐色で、においがあっても臭くなく、形状は柔らかいバナナ状が理想です。
逆に黒っぽい色で悪臭がある便は、腸内細菌のバランスが悪くなっている状態です。
健康づくりにはおなかの中の同居人である腸内細菌の状態を良く知り、仲良くなることが大切です。
日和見菌は善玉菌が劣勢になると悪玉菌を加勢し身体に悪さをします。
ですから健康を維持するためには腸内細菌はいつも善玉菌優勢にしなければならないのです。
下痢の改善にヨーグルトがいい?
腸内環境を改善するには、ヨーグルトのような発酵食品がクローズアップされています。
それで、腸の健康には生きたまま腸まで届くヨーグルトがいいとよくCMなどで見かけますが、下痢の原因を改善する点からすると、科学的に見ても必ずしも正しいとはいえないようです。
下痢を改善する菌とは?
人のおなかに棲んでいるビフィズス菌(乳酸菌の一つ)は腸内で優秀な善玉菌です。同じ乳酸菌であっても、他の動物の腸内では別の乳酸菌(ラクトバチルス)の方が優勢です。
市販のヨーグルトの中には乳酸菌を原料にしたものも少なくありません。
この場合生きた菌が腸に届いたとしても人の腸内のビフィズス菌と本当に共生できるかどうか分かりません。
ですから、本当に生きたまま腸まで届く必要があるのでしょうか。ある科学者によれば「それは必要ない、 こうしたヨーグルトだけをせっせと摂ってもおなかの調子がよくなるとは限らない」と言っています。
でも、たとえ途中でヨーグルト菌が死んだとしても、その死んだ菌は私達の栄養や便の量になって役立ちますので、無駄にはなりません。
それよりも腸内にもともと棲んでいる腸内善玉菌(ビフィズス菌や他の乳酸菌)を増やしてあげる方がもっともっと効果的です。
下痢の原因を改善する方法 のまとめ
①善玉菌が喜ぶ餌を腸内に送り込む事
②腸内善玉菌が増えやすいようなきれいな腸内環境にする事
③腸内の有害物質を吸着する食物せんいをしっかり摂る事
④腸内善玉菌は嫌気性(酸素を必要としないで増える)なので、腸内の酸素を好む菌(納豆菌が優れもの)を摂取する(納豆菌サプリメントは効果的
)
⑤腸内環境は気持ちに左右されやすいので、腸内善玉菌に感謝を示す事
昔の日本人は腸が喜ぶ食事をしてきました。昔ながらの食事をしましょうというのは結局腸内善玉菌を増やしましょうという事です。
食べ物の添加物で腸内環境を悪くする
現代は飽食の時代ですから下痢の原因になるものが溢れています。その一つが添加物です。食品に含まれる添加物が溢れ腸内環境を悪くしているのです。
例えば
コンビニのサンドイッチを食べたところ下痢になった人がいました。そのサンドは少しどころか、添加物のオンパレードだったことにびっくりされたそうです。そのサンドには下記のような表示がしてありました。
これくらいでは下痢まで起こすかな?と思われたそうですが、盲点はPH調整剤だったそうです。
お腹の調子が悪い時には、添加物の多いものは避けましょう。
少しの添加物でも下痢が加速してしまいます。昔のような食事にはなかなかできないのが現状ですですが、出来るだけ手作りのものを食べましょう
PH調整剤とは?
PHは一般的にはペーハー調整剤といわれています。PHは0~14の数値で表され、0に近づくほど酸性が強くなり、14に近づくほどアルカリ性が強くなります。PH0が酸性、PH14がアルカリ性、PH7は中性ということになります。
食品は味的にも健康面からも弱酸性であることが好ましいとされています。
食品にはそれぞれ好ましいPHの範囲があります。好ましい範囲とは、変色や変質、またカビや微生物のよって腐敗させず品質をよくするために必要な範囲のことです。
この好ましいPHに保つためにPH調整剤が使用されるのです。ジャム、おにぎり、サンドウィッチ、ゆでうどん、かまぼこ、デニッシュパン、乳製品など腐敗が心配されるさまざまな食品に使用されています。
PH調整剤は一括表示が可能な食品添加物
PH調整剤は同じ目的で複数種使用されている場合はひとまとめに「PH調整剤」とだけ記載すればよい食品添加物です。
たとえば微生物や細菌の増殖を防ぎ食品の品質と保存性を高めるには、複数の物質が添加されて効果をきたしますが、それらの物質は個々に表示しなくてもよく一括して「PH調整剤」と表示されることが認められています。
変色を押さえて色の安定をはかるにも複数の物質が添加されますが、それら物質を一括して「PH調整剤」と食品表示することでよしとされ、個々の物質名は表示されず一括して「PH調整剤」と記載されているのです。
PH調整剤は同じく一括表示が認められている「酸味料」として指定されている化合物と重なる物質がかなりありますが、用途が酸味料(酸味を効かせるため)のみであった場合はPH調整剤ではなく酸味料となります。
人体への危険性について
PH調整剤は複数の物質が併用されてその効力を出すので、個々に物質をそれぞれ調べると、人体への危険性が心配となる物質もありますが、国連の食糧農業機関(FAO)と世界健康機関(WHO)が設けた食品添加物の安全性を評価する会議「FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)」の審査で、PH調整剤に使用されている添加物への評価は、現時点では安全であると確認されています。
ただPH調整剤として使用される物質の中にはポリリン酸などのリン酸塩が含まれているため一概に安全とは言えません。
リン酸塩は過剰に摂取することによりカルシウムの吸収が悪くなり骨粗鬆症の原因になったりします。またカルシウムの吸収が悪くなると、それと連動してマグネシウム、鉄の吸収も悪くなります。
マグネシウムが不足すると神経が過敏になったり、抑うつ症状、集中力の低下を招きます。
pH調整剤摂り過ぎは善玉菌を殺し、下痢を招く
基本的にpH調整剤は安全と言われていますが、一方で過剰摂取すると心配な点もあります。
PH調整剤は、食品の腐敗を防ぐ効果がありますが、その作用によって腸内細菌の善玉菌を殺してしまうというのです。
善玉菌は腸内環境を整えて便通を促したり免疫力を高めてくれる大切な常在菌です。
原因がはっきりしない下痢は、実は添加物の影響だったということも有り得ます。
自分は摂り過ぎていないと思っても、コンビニ食や加工食品にはPH調整剤が殆ど入っていますので、それらの食品を複数毎日摂り続けることで、過剰摂取ということもあり得ます。
腸内環境を強化する
「元気の元は胃腸から」と昔から言われています。
腸内環境が良ければ、腸内で正常な活動が行われ、下痢の予防や様々な病気の予防をしてくれます。
腸内環境は食事や精神的なものですぐに変化してしまいます。
腸内環境は悪化しやすいのです。ですから毎日腸内環境を整える善玉菌を摂り入れなければならないのです。