下痢が続く方は大腸内検査

下痢が続く方は下痢の原因に大腸内視鏡検査

下痢の原因が分からず、下痢が慢性的に続く方は一度大腸検査を受けてみましょう。
下痢の原因が見つかるかもしれません。
では、どんな時に大腸検査をした方がよいのでしょうか。

下痢の原因を作る大腸とは

腸は十二指腸から肛門までを指し、小腸と大腸に大別できます。
小腸は食物成分を消化・吸収する役割を担っており病気にかかりにくい臓器です。

一方、大腸はよく耳にする病気だけでも、大腸ガン、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群などが挙げられ、病気の種類が多い臓器です。

その理由は、大腸に棲んでいる有害な物質を作り出す悪玉菌が小腸から送り込まれた食べカスを大腸内で腐敗させ、硫化水素やアンモニアなどをつくり出し、下痢になるなど様々な大腸の病気を発症させるからです。

腸には、体に有益な物質をつくり出す善玉菌や、未解明な腸内細菌を含む日和見菌が多数存在しています。
日和見菌は腸内で善玉菌と悪玉菌の多い方の影響を受けます。

つまり、日和見菌は善玉菌が多いと善玉菌の味方になりますが、悪玉菌が多いと悪玉菌に変身します。
悪玉菌の多い腸内は様々な病気の原因を作ります。

大腸を病気の発生源から健康の発信源に変えることができるには、善玉菌を増やして、いかに日和見菌を味方につけて腸内の働きを活性化させることが重要だと分かります。

下痢があるに関わらず次の様な症状がある方は大腸内視鏡検査を

①下痢ではないが、お尻を拭くと、紙に血が付いてくる方
洋式トイレは実にカラフルな色彩のものも多いようです。
更に便器の洗浄剤を使用していると水も着色され、便の色を直接観察することが和式のものより困難になってきています。

ですから、血便を見過ごす可能性があります。
お尻を拭くと、紙に血が付いてくるといった状態は血便の証しでもあるので、注意してください。

血便の原因は色々ありますが、自分はイボ痔だからと安易に自己診断しないようにして下さい。
確かにイボ痔の時が多いのですが、大腸ガンやポリープからの出血をイボ痔と思い込んでしまい、長期間放置する方もおられます。

ガンの場合、かなり進行した状態で見つかるケースも稀にあります。
お尻から血が出るということは、やはり何らかの異常があると考え、肛門と大腸の検査をしてみましょう。

②下痢ではないが、時々、お腹が痛くなる方

お腹が痛くなる原因は様々です。

大腸ガンや大腸ポリープは粘膜(大腸の内側の表面)から発生しますが、大腸の粘膜は痛みを感じる神経が無いので、ポリープや初期の大腸ガンの際は腹痛が出ることはほとんどないのです。
大腸ガンが原因でお腹が痛いのであれば、かなり進行している状態といえます。

お腹が痛い他の原因としては、大腸憩室症、虚血性大腸炎、炎症性大腸炎、過敏性腸症候群、腸の癒着などが考えられます。腹痛の回数が多ければ、一度大腸内視鏡検査をした方がいいでしょう。

③下痢や便秘を繰り返す方

下痢と便秘を繰り返す方は過敏性腸症候群の方が多いのですが、大腸ガンの可能性否定できません。
検査してみましょう。検査すると安心できます。

進行した大腸ガンでは大腸が狭くなるために、排便がスムースに行えないために、便秘や下痢、便が細くなるなどの症状があります。

その他、便秘には加齢による腸の動きの低下、運動不足、ストレスなどの精神的影響、繊維質や水分摂取不足、甲状腺や糖尿病などの内科疾患が原因となる事があります。

症状から原因を特定するのは難しく、まずは大腸ガンではないことを調べて安心しましょう。

④最近、下痢が多い

大腸ガンで下痢様の症状が出ることもあります。大腸ガンが進行すると大腸が狭くなるために便が滞り、少しずつ便意を催すことがあり、これを下痢と勘違いする人がいます。

その他、下痢の原因としては感染性腸炎(細菌やウイルスの感染)、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)、過敏性腸症候群(ストレスや不安が原因)が考えられます。

⑤よくお腹が張る感じがする方

お腹が張って苦しい、腹部膨満感は、食べ過ぎ飲み過ぎで胃が膨らんだり、呑気症(無意識に空気を呑みこんでしまう)人や腸管にガス等がたまったりして起こるものです。慢性便秘やの方に出やすい症状です。

腸管のガスは腸内フローラのバランスが乱れて悪玉菌が増えてくると、異常発酵によるガスです。
また、根菜やイモ類、豆類などの食物せんいを多く含む食べ物や発酵食品を多くとると、ガスが発生しやすくなります。

更にストレスや胃腸炎などで胃腸の運動機能が低下や便秘が続くと、腸内に溜まったガスが排泄されずに腹部膨満感が起こります。

ただし、稀なことですが大腸ガンが進行して通りが悪くなっている状態なるとお腹が張る場合があります。
お腹が張る感じが続いている方には、大腸内視鏡検査をお勧めします。

⑥便が細い、大きな太い便がでない

以前はバナナ状の便が出ていたのに、最近、便が細くなった気がして、以前の様に太い便が出なくなった方は一度大腸内視鏡検査をしてみましょう。

便が細くなるのには、大別すると次の三つの原因があることが多いと考えられます。
1.腸の一部が狭い
2. 便がゆるい
3.肛門が狭い

1. 腸の一部が狭い

いちばん心配なものが腸の一部が狭いことで、原因として大腸ガンが疑われます。
腸の一部が狭くなると、狭いところを便が通過するために、自然と体が反応して便がゆるくなることがあります。
そのために便がゆるくなって、細くなることになるのです。

大腸がんは40代を過ぎると罹患率が増えてくる病気から便の細さが気になる方や、血便がみられるかたは、大腸内視鏡検査が必須となります。

2.便がゆるい

下痢というほどひどくはなくても、水分を多く含んだ便は、軟らかいのであまりいきまなくても出ます。
いきまないと肛門が大きく開かないので、自然と便が細くなるのです。
便がゆるくなる原因にも大腸ガンをはじめ、さまざまな原因が考えられます。

例えば、腸内環境の悪化の時です。腸内には、善玉菌や悪玉菌、日和見菌が2:1:7の割合で存在しています。

これらの細菌叢がバランスよく存在していればいいのですが、腸内細菌叢は、偏った食習慣や過労、ストレス、運動不足などによってバランスが乱れてくると、様々な腸内の不調が存在してきます。

また、過敏性腸症候群によって便がゆるくなる場合もあります。
過敏性腸症候群は、腸に炎症や潰瘍などの疾患がないのに、下痢や便秘、腹痛などを慢性的にくり返す病気です。

3.肛門が狭い

肛門が狭くなる原因は、慢性的な切れ痔です。
傷ができて治ると皮膚が若干、縮みます。
排便のたびに肛門付近が切れる切れ痔の場合、何度も傷ができては治ることをくり返すこともあるので、自然と皮膚が縮み、肛門が狭くなる人もいます。

マヨネーズの出し口の穴が小さければ、どんなに力をいれて絞っても、細いマヨネーズしか出ません。
便の状態と肛門の関係もこれと同じです。

健康的な便でも、肛門が狭くなっていれば、細い便になってしまいます。
なかには、鉛筆の太さ程度の便しか出なくなってしまう方もおられるようです。

⑦貧血が進行したり、体重減少のある方

貧血は、赤血球数が減少している、またはこれら赤血球の細胞内のヘモグロビン(酸素を運ぶタンパク質)の量が減少している状態です。

貧血そのものは、非常に重症になるまでは必ずしも危険ではありませんが、貧血状態は深刻な健康問題への大きな危険信号の場合があります
以下は貧血になった場合の注意点です。

・貧血は別の病気の徴候
貧血は、ある基礎疾患の結果なのです。
その疾患は比較的無害な場合もあり、非常に重篤な場合もあります。

貧血にはたくさんの原因があります。
鉄欠乏性貧血は最もよくみられる貧血のタイプの一つですが、これには重い生理、セリアック病、妊娠、結腸癌や、単に食事から十分な鉄分を摂取していないなど、比較的小さなことから、ガンなどの深刻な問題まで様々です。

・軽度の貧血でも重篤な場合がある
貧血は通常、数週間~数か月かけてゆっくり進行します
つまり、ガンのような深刻な問題による貧血でさえ初期に現れる場合があり、その時点の貧血は非常に軽度です。

しかし、貧血が軽度だと医師に言われた場合でも、より大きな健康問題が現れていることを示しています。
貧血の重症度は、原因の重大性と必ずしも一致しません。

大腸内で出血すると、貧血症状が出る場合があります。
大腸ガンの場合は、時間をかけてゆっくりと出血が進行することが多く、ゆっくりと貧血が進行します。
体重減少も大腸ガンの場合もあります。貧血が見られる方は一度大腸検査をお勧めします。

⑧血縁者(3親等以内)で大腸ガンになった方

家族はさまざまな因子を共有する共同体です。
家族は、血縁関係がある者同士なら遺伝的な要素を一部共有している可能性はありますが、それだけではなく、同じ環境で生活し成長することで、住環境、習慣、食生活、経済状況、価値観なども共有する場合が多いでしょう。

ですから、塩辛い食事の食習慣を好む家族であれば高血圧になりやすくなる、たばこを吸う家族がいれば肺がんになりやすくなるというように、遺伝的な要因を抜きにしても家族にある病気の患者がいる方は、そうでない方と比べて、その病気になる確率が高くなる傾向にあります。

例えば、遺伝子で決まるのはスタート地点がそうでない人に比べて、生まれつき病気になる確率が高い位置にあるということです。

大腸ガン、大腸ポリープは遺伝傾向が強いガンとして知られています。
大腸ガンの約50%が遺伝性とも言われています。

血縁者(3親等以内)に胃ガンや大腸ガンの方がいる場合は要注意です。是非、定期的に検査をしましょう。

⑨便潜血で1回以上陽性になった方

便潜血検査は大腸ガンのスクリーニング検査です。
1ml中に1/1000万グラムという程度の出血を検出することができます。

ただし、便潜血で見つからない大腸ガンもありますので、2回便のうち1回でも陽性だった場合は、必ず大腸内視鏡検査を受けましょう。

⑩大腸のポリープを切除したことがある人

1回の大腸内視鏡検査では大腸の100%を観察できていないと言われています。
ですので、ポリープを切除された方は、残りのポリープの見落としを予防するという意味でも1~2年後の検査をお勧めします。

⑫40歳以上で大腸内視鏡検査を受けたことがない方

大腸ガンが発症するリスクは年齢とともに増加します。40歳代付近から増加し始め、40歳を越えたら定期的な検査が必要といわれています。

40歳を過ぎたら、年に一度は大腸ガンの検査をしましょう。
できれば、精度の高い大腸内視鏡検査をお勧めします。

下痢にならない腸内環境を整えるためには

腸内環境を改善するカギは、毎日を快便で過ごすことです。そのためには便を「つくる」「育てる」「出す」の3つの力がポイントです。

1.便をつくる力となる食材をしっかり食べる

食事をするときは食物せんいが豊富な食材を積極的に摂りましょう。
食物せんいは小腸で消化されず、大腸にそのまま届き、大腸内の有害物質を早く体外に排泄する働きがあるからです。

高齢になると食が細くなりがちですが、排泄を促すためにはなんでもよく食べることが大切です。
野菜は、1日当たり350gを目標に摂りましょう。

野菜サラダではなく、野菜を蒸したり、煮たりしてすることでかさが減り、たくさん摂ることができるのでおすすめです。

腸内の環境を良くするために2種類の食物せんいを工夫して食べましょう

・不溶性食物せんい(ごぼう、たけのこなどの根菜類、さつまいも、こんにゃくなどの芋類)
便のかさを増やして便通を促す。たっぷりの水分と一緒に摂るのがポイントです。

・水溶性食物せんい(ひじき、わかめなどの海藻類や納豆などの豆類)
腸内の不要物を排除する。善玉菌のエサにもなります。

2.加齢とともに減少する善玉菌を腸に届ける

下痢にならない便になるには、長寿菌が優勢な腸内環境を維持することが重要です。

日頃から乳酸菌やビフィズス菌入りのヨーグルトや飲料、酪酸産生菌が活躍できる食物せんいが豊富な食材(きのこ類・海藻類・豆類など)を摂るように心がけましょう。

食事から摂りにくい場合は、乳酸菌などを含むサプリメントなどで補う方法もあります。

3.毎日の運動で便を押し出す力をつける

便秘にならない様に便を押し出すためには、腸腰筋と呼ばれる筋肉の働きが重要です。
腸腰筋が弱っていると便秘の原因にもなるので腸腰筋トレーニングをして鍛えることも大切です。
ウォーキング(目標は1日9000~10000歩)、屈伸運動、もも上げ運動なども有効です。体調と相談しながら無理のない範囲でおこないましょう。

腸内環境を整えよう

「元気の元は胃腸から」と昔から言われています。それほど腸内の環境が健康を左右しているのです。
腸内環境を整えるために食事から整えるのが最良の方法ですが、現代の食生活ではなかなか難しいところがあります。

頑張って食生活を理想的になる様に頑張ればいいのですが、かえってストレスが溜まるなど精神的に悪影響を及ぼしてしまうこともあります。
そんな時には腸内環境をしっかり整えるサプリメントがありますので、上手に利用してみましょう。

下痢の改善、腸内環境の改善は一段と早くなります。