下痢の原因は水道水に含まれる銅とスポーツドリンクが反応
下痢の原因は思わぬところに潜んでいるものです。私達が何気なく行っているある動作が下痢の原因となります。
例えば、水道水に含まれる銅とスポーツドリンクが反応して急性銅中毒による下痢の原因になることがあるのです。ではその実際例と原因について調べてみましょう。
下痢の原因は水道水に含まれる銅
銅は人体にとって必須元素ですが、過剰摂取するとまれに中毒を起こします。急性銅中毒では吐き気、嘔吐、下痢、低血症などが起こります。
水道管には銅が使用されています。
銅管が使用されるのは施工しやすく、作業効率が良いのが銅管の特徴です。銅管は耐震性においても極めて優れた性能を持っています。
平成7年1月17日の阪神淡路大震災の時も銅管にはまったく損傷がみられず、その優れた耐震性が証明されているのが利用される理由です。
水道水に含まれる銅とスポーツドリンクが反応して下痢になった実際例
①下痢の原因となるヤカンに入れたスポーツドリンク
大分県は2020年7月8日、臼杵市の福祉施設ステンレス製のヤカンに入ったスポーツドリンクを飲んだ70~90代の男女13人が、嘔吐、吐き気、下痢などの症状を訴える食中毒になったと発表しました。
水道水に含まれる微量の銅成分が古いヤカンの内部に蓄積し、酸性の飲料で溶け出したことが原因とみられています。
県食品・生活衛生課によると、福祉施設はステンレス製のヤカンで湯冷ましをつくり、スポーツドリンクの粉末を入れた。
そのスポーツドリンクをデイサービスの利用者が6日午前10時20分頃、一人あたり150㏄を飲んだところ、下痢、嘔吐などの異状を訴えたそうです。
スポーツドリンクには1リットル中200㎎の銅が検出されました。
通常、銅10㎎程度を摂取すれば、中毒症状が表れ、1人当たり30㎎の銅が入ったスポーツドリンクを飲んだとわかりました。
同課によると、ヤカンは約10年前から使用しており、内部に黒く変色した部分がありました。
水道水に含まれた銅が内部に蓄積し、酸性のスポーツドリンクを入れたことで溶けたとみているそうです。
「金属製の容器(ヤカンや水筒)は酸性の飲み物と反応し、金属が溶け出すことがあります。
これから暑くなり、熱中症対策でスポーツドリンクを飲む人が増える。気をつけてほしい」と呼び掛けています。
②下痢の原因となる水筒に入れたスポーツ飲料
2008年、東京都で児童が水筒の回し飲みを行ったところ、6人にめまい、吐き気、頭痛の症状が出ました。
その症状の正体は急性銅中毒でした。銅はレバーやカキなどに含まれる必要な成分で銅は胃と小腸で吸収され肝臓に送られタンパク質にくっつき全身の赤血球や骨の形成を助けます。
しかし、急激に大量の銅を摂取すると胃や小腸の粘膜を荒らし腹痛や嘔吐を引き起こす。
これが急性銅中毒の初期症状です。肝臓は銅を処理しきれず蓄積され、めまいや痙攣、肝硬変の症状を引き起こしひどい場合は死に至る場合もあります。
急性銅中毒の原因は水筒でした。病院に運ばれた後、先生が水筒の中を見ると中のものが青緑色に変色していました。
この水筒は母親が朝洗ってスポーツドリンクを入れ子どもに持たせたものでしたが、使用していた水筒の内側のステンレスに穴が空き内部の銅が露出していました。
水筒の保温構造に使われていた銅と酸性のスポーツドリンクを入れた事で破損部分の銅が接触し、銅が溶け出したのです。
家を出て6時間半後に飲んだ時には高濃度の銅が溶け出していました。
酸性の飲み物はオレンジジュース、乳酸菌飲料、炭酸飲料があります。古い水筒や一部海外製品には注意が必要です。
③下痢の原因となるヤカンに入れた乳酸飲料
2010年3月に岡谷加権の保育園で、ヤカンを用いて乳酸飲料を調整したところ、それを飲んだ園児15名が、吐き気、嘔吐の症状がでました。
これは、長期間にわたりアルミニウム製のヤカンでお湯(お茶)を繰り返し沸かしたことにより、水道水に含まれる銅がヤカンの内側に蓄積し、乳酸飲料によって銅が溶出したことが原因と考えられました。
④下痢の原因となるメッキが剥げた銅鍋の味噌汁
Aさんは味噌汁を飲むと気分が悪くなるので、母親に料理を鍋ごと持っていった時、母親は味噌汁の中のタケノコが青くなっていた事に気付き、体の不調は味噌汁に銅が溶けたせいだと思いました。
Aさんは急性銅中毒でした。食品衛生法では銅を使った調理器具などはメッキなどを施し食品が銅と直接触れることがないよう規制されています。
しかしAさんは鍋をこすりすぎてメッキがはけて銅が料理に溶け出していたのです。彼女は料理を銅鍋に入れたまま保存していたため料理の中で銅が溶け出し中毒症状を引き起こしたということです。
⑤下痢の原因となる古い銅鍋に焼きそばソース
ある弁当店で弁当を買って食べた人が急性銅中毒を発症しました。
原因は焼きそばを作るのに使った銅鍋でした。銅鍋で焼きそばを作る際に焼きそばソースを入れことにより、ソースの酸で、銅が溶け出したのでした。
メッキが剥げた古い銅鍋で調理すると焼きそばのソース、ドレッシングやマヨネーズなどの酸が銅を溶出させるのです。
銅中毒に詳しい医師は「一番怖いのは食中毒だと自分自身で思い込んで医療を受診しないこと。
肝臓に非常な損傷を与える可能性がある。最悪の場合、亡くなってしまうこともある」と語っています。
下痢の原因となる金属製のヤカンや水筒に気をつけよう
金属製のヤカンや水筒に、酸性の飲料を入れると、金属が溶け出る可能性があります。銅鍋にドレッシングを入れて放置すると3時間で変化が出ます。そのため、次のことに気をつけましょう。
・スポーツドリンク、ジュースや炭酸飲料を入れるのはなるべく避ける
・酸性の飲料を入れる場合も、長時間保管しない
・魔法瓶の水筒も内側にサビやキズなどがないか確認する
・ヤカンや水筒は銅が蓄積しないように常に清潔に保つ
・銅は酸性と反応しやすいのでメッキされていない銅鍋は使用しない
・傷ついた銅製品を使わない、思い切って捨てる
・海外の製品には注意して購入する
銅の吸収と働き
銅は主に小腸や十二指腸から吸収され、門脈を通って肝臓に運ばれます。
人間の体内の銅の多くは、特定のたんぱく質と結合した銅酵素として作用し、酸素の運搬、電子伝達、酸化還元、酸素添加など諸反応の触媒として働きます。
中でも、鉄の代謝や輸送、活性酸素の除去、神経伝達物質の代謝に重要な役割を担っています。
銅の過剰摂取は下痢、嘔吐等胃腸を荒らす
食品に含まれる銅は胃と小腸で吸収されます。
肝臓に送られタンパク質を結合し、全身の赤血球や骨の形成を助けます。
余った銅は排泄されますが、大量の銅を一度に摂取すると胃や小腸の粘膜を荒らし下痢、腹痛や嘔吐を引き起こします。
銅は血液中では銅結合タンパク質のセルロプラスミンとして存在しています。
体内でタンパク質と結合していない銅は有毒です。
通常の食生活においては銅の過剰症の報告はほとんどありませんが、銅製品などの使用方法、サプリメントや薬品などの誤用で過剰症が起こすことがあります。
銅の過剰摂取は下痢のみならず、肝臓、腎臓、脳に重大な障害をもたらし危険です。過剰症としては以下のものが報告されています。
銅過剰症で起こる症状
吐き気、嘔吐、下痢、黄疸、腎臓の損傷、脳障害、赤血球の破壊(溶血)による貧血、肝臓障害、肝硬変、肝臓癌のリスク増大など
銅過剰による主な病気
●パーキンソン病
●溶血性貧血
●筋強剛(きんきょうごう):筋固縮(きんこしゅく)ともいう
●動作緩慢(どうさかんまん)
●姿勢反射障害(しせいはんしゃしょうがい)
上記以外にも自律神経障害と精神症状があります。
自律神経障害では便秘が最も多く、あぶら顔、多汗、よだれ、起立性低血圧などがみられます。
精神的には抑うつ的になるひとが多いことが知られています。
過剰な銅は便となって排出される
細胞内の銅は、たんぱく質と結合して存在し、遊離の形態(銅イオン)は非常に少ないのです。
細胞内に銅が過剰に存在すると毒性を示すため、体内の銅は厳密に調節されています。
私たちの体には、体外環境が変化しても体内の環境を一定に保とうとする仕組みがあります。
例えば、暑い時は、体温を下げるために汗をかきます。寒い時は、体温を上げるために体を震えさせます。
食事をとると、血糖値が上がるので血糖値を下げるホルモンが出てきます。
病原菌が体内に侵入すると、病原菌を倒すための白血球が集まってきます。
これらはみな、生命機能を維持するために必要不可欠な体の変化です。
少々回りくどい言い方ですが、「気温や湿度などの体外環境の変化や、病原菌などの体内への侵入が生じた時、体内が安定な状態を維持できるように働くシステムがある」ことで、元気でいられるのです。
過剰の銅は、再吸収されない形態となって胆汁へ流出し、糞便中へ排泄されます。吸収された銅の約 85% が肝臓から胆汁を介して糞便へ、5% 以下が腎臓を介して尿中へ排泄されるのです。
腸内環境を整えよう
「元気の元は胃腸から」と昔から言われています。
私達は毎日食べているものを消化しながらその栄養を吸収し、余分なものは排出されています。
ですからこの基本的な一連の腸内での作業がうまくいかないで、どこかが滞ってしまうと、下痢を起こしたり、病気になったりとするのです。
腸内環境を整えることが、健康になる第一の秘訣です。
余分な銅を体内に入れても、腸内が正常な働きをすればきちんと外に排出してくれます。
そのお蔭で銅を余分に摂ったとしても、銅の過剰摂取による被害がないのです。
下痢にもならないで済みます。
腸内環境を整えるサプリメントがありますので、上手に利用しましょう。