下痢の原因・便秘よりも下痢のほうがつらい理由
おなかの調子が悪い方で便秘が辛いとよく言われます。
でも、実際便秘と下痢はどちらが辛いでしょうか?
やはり、下痢の方が辛いと思っている方の方が多いようです。
ではどんなことで下痢の方は辛いのでしょうか?
目次
・下痢と便秘どちらがつらい? ・下痢の方が便秘よりまだいい ・つらい下痢を解消するには ・下痢は水分量の変化で決まる ・腸の動きと下痢の関係 ・水分補給に良い飲み物 ・下痢の時に良い食べ物 ・下痢の時に避けたい食品 ・腸内環境を整えよう
下痢と便秘どちらが辛い
便秘と下痢は、いずれにしても苦しいものです。
便秘はたえず腹部の膨満感や不快感を与え、倦怠感、食欲不振、肌荒れなどの全身症状も強くなります。
急性の下痢は激しい腹痛と便意に襲われて、たびたびトイレに駆け込むことも珍しくありません。
どちらも辛いし、また怖いのです。
便秘も下痢も「悪いお便り」で嬉しくありません。
どちらも腸内環境の悪化が原因です。腸内には善玉菌、悪玉菌、日和見菌がいます。
それぞれ2:1:7の割合が理想的な腸内環境です。
この腸内細菌の割合は非常に敏感で、食べ物やストレス薬などですぐに変化します。
しかし、下痢の場合はすぐに元の環境になるのも早いのですが、便秘の場合はすこし時間がかかるようです。
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下痢の方が便秘よりまだいい
◆体への悪影響の比較
治療の緊急性と言えば、急性の下痢です。
悪い細菌に感染すると症状が長引き、著しく体力が消耗し、脱水症状を引き起こす可能性もあります。
もし、経験したことのない下痢、腹痛に襲われた時は、病院で検査と治療を受けるようにしてください。
特に、海外から帰国した際には、要注意です。
このようなひどい下痢はともかくとして、通常、便が緩かったり、ときどき下痢したりする程度であれば、健康上あまり支障はありません。
むしろ、便秘で腸内に長い間便をため込むほうに問題がありそうです。
便のなかには食物の消化カスとともに、大量の腸内細菌、酵素、発がん性物質が含まれています。
悪玉菌の大腸菌やウェルシュ菌は、動物性たんぱく質や脂肪を分解して老化促進物質を生成するほか、胆汁酸を分解して強力な発がん成分(二次胆汁酸)や発がん物質(ニトロソアミン)を作ります。
便秘をすると、これらの悪性物質と腸壁が長い間、接触することになります。
腸は人間の免疫系にかかわる腸内細菌叢があり、免疫の要とも言われます。
ここに凶悪な物質がいては、まさにお腹に爆弾を抱えているようなもの。
体に悪影響が出るのも当たり前です。
排便は、たんに体の老廃物を排泄するというだけではなく、栄養に体に取り入れるためにも不可欠です。
もし便秘ぎみなら、現在の食習慣、運動習慣などを見直して、1日も早く改善してほしいものです。
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辛い下痢を解消するには
下痢になると、トイレの心配が一番、辛いようです。
通勤、通学時にトイレに行きたくなった時どうしたらいいのかと心配されたこともあるでしょう。
又、腹痛でつらい思いをするばかりか、トイレに入る回数が増えて仕事にいけなくなった……、というご経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
体質だからしようがないと諦める前に、下痢になってしまう原因と対処法を知っておけば症状の悪化を防げるようになります。
下痢の原因や、下痢になりにくい腸をつくるにはどうすればいいのかをお伝えします。
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下痢はたったの100gの水分量の変化で決まる
下痢と便秘、この二つの違いは便に含まれる水分の量です。
便というのは通常80%が水分で後の20%が食べ物の残りかすや、死滅した腸内細菌、剥がれおちた消化器官の粘膜などなのです。
ほとんど物を食べなくても、便が出るというのは便の主成分が腸内細菌や剥がれおちた粘膜だからというわけです。
便はほとんどが水分でできているため、便の状態は水分量が大きく関係しています。
硬さが理想的とされるバナナ状の「固形便(こけいべん)」でも、その70~80%が水分です。
これが70%以下になると便は硬くなり、便秘を起こしやすくなります。
便に含まれる水分量が80~90%になると、形のない泥のような「泥状便(でいじょうべん)」となり、水分量が90%以上になると、水のような「水様便(すいようべん)」となります。
このように10~20%の水分量の変化でも、その状態が変化するのです。
では実際、便の中の水分量はどれくらいが適量なのでしょうか。
一連の消化吸収の流れを、水分の面から見ると腸を通る水分は一日に約9リットルです。
9リットルの水分は口から入る水分(飲み物や食べ物の水分)が一日約2リットル、消化液(唾液や胃液胆汁膵液腸液など)が一日約7リットルです。
その9リットルの水分は腸で99%吸収されます。
ですから、便の中には残り1%でわずか100g(100㏄)となります。
消化管での水分の出納バランス100gが少し崩れただけで簡単に下痢になってしまうのです。
便は腸内環境が正常であれば大腸の中の水分の濃度や量を調整しながら排泄しやすい状態に整えられて、気持ちの良い快便となります。
ところが環境が何らかの理由で悪くなると便のもとになる物質が大腸の中に長い時間滞留し、水分が少なくなると便秘に、通常より早く出て行ってしまうと下痢になるというわけです。
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水分調節する腸の働きと下痢との関係
大腸には、3つの働きがあります。
それは①ぜん動運動、②水分吸収、③水分分泌の働きです。
これらの働きが何らかの原因で、通常より低下したり、あるいは必要以上に高まったりすることによって、下痢や便秘といった症状が起こります。
①ぜん動運動が活発化して下痢の原因となる
ぜんどうは腸が伸び縮みをくり返すことで、内容物を先に送っていく運動のことです。
ぜん動運動が活発になり過ぎると、便が腸内にとどまる時間が短くなり、十分に水分が吸収されないまま排出され、下痢になります。
また、逆にぜん動運動が低下すると、腸内に便がとどまる時間が長くなるため、便の水分が吸収され過ぎてしまい、便が硬くなって便秘になりやすくなります。
・なぜぜんどう運動が活発化する
何らかの原因(例えば心理ストレス)により神経伝達物質が過剰に分泌されたときや腸粘膜を刺激する物質が消化管内で増加したときに、ぜん動運動の過剰な亢進がおこり、その結果、ぜん動運動性下痢が起こります。
腸粘膜を刺激する理由としては非感染性の場合、消化不良、寝冷え、アレルギーなどによるものがあります。
食べすぎ、飲みすぎなどで消化しきれなかった食べ物や、アルコール、寝冷えや冷たい物の飲みすぎなどで、腸の粘膜が一時的に刺激され、ぜん動運動が活発になることがあり、水分がうまく吸収されずに下痢になるのです。
②水分吸収が悪くなり下痢の原因となる
腸で便の水分を吸収する働きが落ちると、便の水分を十分に吸収できず、下痢になります。
また、逆に腸での水分吸収が高まると、便が硬くなって便秘になってしまいます。
腸は水分を吸収するだけでなく、腸液などの水分の分泌もしています。その分泌量が多いと当然、便の中の水分が多くなり下痢になります。
・なぜ水分吸収の働きが低下する
食べた物の浸透圧が高いと水分が吸収されないまま排便されるため下痢になります。
浸透圧性下痢といいます。
浸透圧性下痢の原因は、食物中のある糖類が血液中に吸収されないで残り、浸透圧を上昇させるために、体が腸内の浸透圧を低下させようとして、水分を吸収しないで、逆に腸管壁から水分を多く出すことで水分の含有量が多くなるためです。
例えば、糖分の消化吸収が良くないときや、人工甘味料(サッカリン、アステルパーム、スクラロース、アセスルファムカリウムなど)を摂り過ぎたときなどに起こります。
牛乳を飲むとおなかを壊す乳糖不耐症の下痢も、これに当てはまります。
食べ過ぎによる消化不良やアルコール飲料の刺激で翌日に起こる下痢があてはまります。
水分が小腸で吸収できないので、水分を多く含んだ下痢便を繰りかえします。
浸透圧性下痢の治療法としては、下痢を引き起こすと思われる飲食物の摂取を中止すると大半の症状は改善されます。
この症状は飲食物中の糖分が分解されずに残る事により身体が腸内の浸透圧を低下させようと水分を分泌して起こるものですから、その原因となる飲食物絶ってしまえば良い訳です。
また失われた水分や栄養分の補給を行う他にサプリメント等で腸内細菌のバランスを取る事も大事です。
③下痢の原因は水分分泌が多くなる
口から腸に入った細菌による毒素やホルモンの影響で、腸液の分泌が多くなり下痢となります。
これを腸からの水分分泌量が増える「分泌性下痢」といいます。細菌やウイルスや寄生虫の種類によっては、血便、吐気、発熱、腹痛を伴うこともあります。
赤痢やコレラと言った伝染病や病原性原虫や寄生虫でも発生し、重症になることもあります。
特に海外旅行先で食事内容の急変によるおなかの負担に加え、衛生環境が良くない地域では細菌、寄生虫などに感染しやすくなること(輸入感染症)や見知らぬ土地での不安が原因となります。
・なぜ水分分泌が多くなる
腸は水分を吸収するだけでなく、腸液などの水分の分泌もしています。
その分泌量が多いと当然、便の中の水分が多くなり下痢になります。
このようなことが起きる原因としては、腸に入った細菌による毒素やホルモンの影響など、いろいろあります。
胆のう摘出術後に軟便や下痢になる人もいます。
これは、胆汁を蓄えておく胆のうがなくなることにより、胆汁が多く流れやすくなることに関係します。
胆汁が多く腸に流れることにより、胆汁に含まれる胆汁酸が大腸粘膜からの水分泌を増加させ、便中の水分が多くなるからです。
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水分補給によい飲み物
まず、体重の1%の水分を失うとノドが渇きはじめ、さらに体重の3~5%ほどの水分を失うと頭痛やめまいなどの症状が出始めます。それ以上の水分を失うと死にいたることもあります。
下痢の時には、体内の水分と電解質が失われ、脱水症状になりますので、その補給が必要です。
刺激物を避けて温かいものが基本です。
(例:味噌汁、にんじんスープ、りんごジュース、ハーブティ、番茶、ほうじ茶)。番茶やほうじ茶は比較的カフェインが少なく、りんごには整腸作用があります。
下痢の症状が軽く、水分の排泄も急激でない場合は、とりあえず水分であれば、水でもスープでも自分の好きなものを飲んでかまいませんが、下痢や嘔吐、発熱などによって急激に水分が失われている状態では飲み物に気をつける必要があります。
それは、飲み物によって水分や塩分の体内への吸収率が異なるためです。
身近なところではスポーツドリンクが適しています。
スポーツドリンクには、アイソトニック飲料と、ハイポトニック飲料という種類があり、浸透圧の関係でハイポトニック飲料の方が胃腸への吸収率が優れています。
製品によって配合されているアミノ酸などは違いますが、吸収率の違いは糖質の比率なのでアイソトニック飲料でも水で2倍程度に薄めればハイポトニック飲料と同じような吸収率を得ることができます。
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下痢のときに良い食べ物
刺激物や脂質が少ない、おかゆ、よく煮込んだうどん、豆腐、半熟卵、白身魚、鶏ささみなどの消化がよい食べ物を食べると良いでしょう。
また、たんぱく質は腸で吸収される際、便を固くする作用があります。
下痢のときに避けたい食品
下痢のときには、消化の良くない食べ物や腸を刺激する食べ物など、下痢を悪化させてしまう物も多く存在します。
海藻類、キノコ類、豆類、ココア、ごぼう、オクラなど不溶性の食物繊維、コーヒーやカレーなど刺激のある飲食物、豆類、かぼちゃ、栗、炭酸飲料などの腸内で発酵しやすい物、冷たいもの、レモン、みかん、グレープフルーツなどクエン酸を含む柑橘系の果物、脂肪の多い肉類は腸に負担がかかるため避けたほうがよいでしょう。
下痢がおさまった後も消化の良い重湯やおかゆなどの流動食から始めるようにし、数日間は腸内細菌が整っていませんので油の多いもの、香辛料の強いもの、アルコールは避けるようにしましょう。
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腸内環境を整えよう
下痢も便秘もどちらも辛いです。
どちらも原因は腸内環境の悪化です。
腸内環境が整っていれば、腸内は正常な働きをしますので、水分調節などがスムーズに行われます。
ですから、まずは腸内環境をしっかり整えましょう。