下痢は健康を守る役目

下痢の原因・下痢自体は病気ではない
下痢になると多くの人は、何か悪い物を食べたかな、下痢が続くと深刻な病気ではないだろうかなど憶測し、心配してしまいます。

しかし、下痢自体は病気ではないのです。悪い物を追い出そうとする、体の健康を守るための体の機能です。


目次
・下痢の役目  ・下痢の際の注意点①水分  ・下痢の際の注意点②食べ物  ・下痢の際の注意点③飲み物  ・下痢の際の注意点④睡眠 ・下痢の際の注意点⑤清潔に  ・下痢の際の注意点⑥手洗い ・腸内環境の重要性 ・腸内環境を緊急に強化しよう

下痢の役目

下痢は炎症やウィルス感染症などの健康問題に伴う症状です。

また食品へのアレルギー反応や医薬品の副作用、食品や飲用水に含まれる寄生虫(10-15%の割合で起こる)、ウィルス(50-70%の割合で起こる)、細菌(15-20%の割合で起こる)などが原因で起きることもあります。

殆どの下痢は数日で自然に治りますが、深刻な問題に発展する下痢もあります。

急性下痢の入院件数は毎年15万件以上あり、世界的な規模からすると下痢は5番目に多い死亡の原因となっています。

ですから下痢は総人口の11%の人々に影響を及ぼしています。

しかし、そうは言っても、下痢には体内から毒素を排出するという大事な役割があります。

そのため、下痢の原因となる疾患を治療し、水分を補給して電解質のバランスを保ちながら、自然に下痢が治るのを待つのが最もよい方法なのです。

考えられる下痢の原因は様々ですが、一般的には食べ過ぎ・飲みすぎ、水分の取りすぎ、冷たいものを飲む、お腹が冷える、脂肪分の多い食事を取る、酒の飲みすぎ、下半身が冷える、刺激の強い食材(わさび、唐辛子とかの香辛料)を多く使った料理を食べる、

アレルギー体質である、強いストレスを感じる、睡眠不足、運動不足、小水を長時間我慢する、血行・血流の流れが滞っている、風邪をひいている、などなど、どれか一つでも十分に下痢の原因にもなるのです。

消化器系の病気、ウィルスや食中毒などももちろん原因になりますが、下痢が酷い時には病院で消化器系(内科・胃腸科など)の医師に診てもらいましょう。

内科で一見しても分からない原因として、次のような事があります。

膵臓の機能が何らかの原因で働かなくなっていると下痢のような症状になることがあります。

色の薄い便、軟便、みぞおち付近に持続的な痛みがあり、特にアルコールを沢山飲んだ翌日や、脂肪分の多い食事をした後に痛みが強くなります。

花粉症などのアレルギーによっても下痢になります。

アレルギーの症状は腹痛・下痢、血圧低下、酷ければふらつき、呼吸困難などの様々な症状が出現します。

花粉で鼻や喉・気管支の粘膜が荒れて腫れるように、腸の粘膜も荒れ、腫れて下痢を引き起こします。
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家庭での下痢時の注意点①下痢時の基本は水分補給

水分補給は下痢の治療の最重要事項です。

下痢に嘔吐が伴う場合は、一度に大量の液体を飲むのではなく、少量を頻繁に飲むことを心がけましょう。

湯冷まし、野菜スープ、鶏肉や牛肉からとったコンソメスープ、味つきミネラルウォーター、電解質を補う水分補給用飲料などで補給することが大切です。
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②下痢に優しい食べ物は消化の良い物

下痢が非常に激しい場合には1~2日間絶食しましょう。

下痢の最中は水分と共に体が必要とするビタミンやミネラルが失われます。

消化の良い物を摂りましょう。

湯冷まし、番茶などを十分とるとともに、重湯、くず湯、うす味のみそ汁、野菜スープ、酸味の少ない果汁などの流動食から、さらに順次、粥食へと移行していきましょう。

食事は吐き気が治まったら、あるいは最初から吐き気がない場合はバナナ、お粥、すりおろしリンゴなど消化の良い食事をしましょう。

これらの食品は刺激が少なく、どれも食物繊維が少なく、便を硬くするなど、これ以上お腹の調子を悪くすることがない食品です。バナナは下痢により体から失われたカリウムを補給します。
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③下痢の時にはカフェインを含まない飲料選ぶ

水分補給に適した液体にはカフェインを含まない飲料が最も効果的です。

カフェインには多少の利尿作用があります。下痢の時にはそれ以上体から水分を失わない飲料を選びましょう。

下記はカフェインを含む飲み物150ml中の成分です。
・玉露180㎎ ・コーヒー(ドリップ)100㎎ ・コーヒー(インスタント)75㎎ ・栄養ドリンク75㎎
・抹茶45㎎ ・ココア45㎎ ・緑茶 30㎎ ・紅茶30 ㎎ ・ウーロン茶30㎎ ・ほうじ茶30㎎
・コーラ15㎎
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④下痢の改善を早めるにはいつもよりたっぷりな睡眠を

治療というよりは当たり前なのですが、下痢を治すためには十分な睡眠が必要です。

下痢は病気に伴う症状ですから、下痢になるということは体がウィルス等と闘おうとしていることを示しています。

免疫機能を高めるためには十分な睡眠や休息を取ることが大事です。

細菌やウィルスに対する抵抗力(免疫力)は、睡眠中に維持・強化されています。

そのため、睡眠時間が減ったり、細切れにしか眠れなかったりする状態が続くと、身体の免疫力が落ちて、下痢の回復が遅くなったり、又風邪やインフルエンザにかかりやすく、かつ治りにくくなってしまいます。

風邪やインフルエンザになると眠くなるのも、免疫のはたらきに関係しています。

ウィルスに感染した細胞やウィルスを退治しようとする細胞は、「サイトカイン」という物質を出します。

サイトカインは熱に弱いウィルスを殺そうと、体温を上げます。

一方で、他の活動を止めてウィルスとの戦いに専念するため、身体を休ませようとして眠気を強くするのです。

ですから、免疫力を高めて下痢の改善を早めるには、充分な睡眠が必要なのです。

下痢が長びくときには、激しい運動や仕事、とくにストレスの原因になるようなことは避け、精神的に安静を保つことが必要です。
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⑤下痢の時は肛門を清潔に

下痢が持続すると、体液の喪失と頻繁な排便行動によって体力の消耗が増します。

消化管の炎症性疾患ではない場合の下痢では、腹部の保温(腹巻・温罨法)を行い交感神経に働きかけ、蠕動運動を抑制するよう心がけましょう。

また、全身の循環を促す入浴は温浴刺激を与える有効な手段です。

下痢になると肛門が痛むことがあります。

これは下痢(特に水様性の下痢)によってアルカリ性の腸液の刺激を受け、肛門周囲の粘膜や皮膚のびらんを生じやすいので、ヒリヒリしたり肛門に痛みが生じるのです。

入浴すると肛門の清潔が保たれます。

優しく肛門を洗いましょう。又ゆっくり風呂に入る事で血液循環を促します。
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⑥下痢の感染予防には手洗い

下痢の中には人に感染する病気もありますので、排便のあとは、よく手を洗う習慣を身につけましょう。

洗い残しのない手洗いをしましょう。

頻繁に石鹸で洗う必要はありません。
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腸内環境の重要性

「元気の元は胃腸から」と昔から言われています。

冒頭でも言っていますが、下痢そのものは病気ではありません。

悪い物を早く出そうとする体の健康を守るための腸内の働きです。

このように、健康は元気な胃腸から生まれます。

胃腸は食べた物を消化・吸収して栄養を全身に送ることが出来るからです。

腸内できれいな血液も作られます。免疫細胞も腸内に殆どあります。

きれいな血液は肝臓も丈夫にします。
また腸内では免疫力の活性、ホルモンや酵素の産出、体温調整、毒素排出など様々な基礎的な代謝が行われています。

当然、腸内環境が悪くなると、免疫機能の低下はもとより、様々な体の不調につながります。

下痢をすると、腸内細菌が減少し、(特に善玉菌)腸内環境は悪くなっていくという悪循環が始まります。

下痢が続く→気持ちが沈む→気持ちが沈むことでさらに腸内環境が悪くなる→下痢がますますひどくなるというサイクルの腸内環境が悪くなる一因が、腸内善玉菌の減少です。

近年、過敏性腸症候群と診断を受ける人が多くなってきました。

過敏性腸症候群と診断される方のほとんどは、緊張する場面で、急にお腹が痛くなったり、下痢を模様したり、お腹にガスが貯まる等の症状が続いたりします。
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腸内環境を緊急に強化しよう

これらの方は、腸内細菌のバランスが乱れている事が多い事でも知られています。

快便な方の腸内細菌を、軟便や下痢で困っている方の腸内に移植すると、症状が改善した、という研究例もあります。

また、腸内細菌の状態は、うつ病にも関係する可能性があると言われています。

下痢を改善するには、何といっても良好な腸内環境が必要です。

さらに、腸内環境を良好にすれば、下痢をはじめ様々な問題を解決しやすくなります。

まずは緊急に腸内環境を整えましょう。

腸内環境を整えるサプリメントがありますので上手に使うと効果的です。