下痢の原因は6月食中毒②

下痢の原因・6月の食中毒②

6月に入ると気温も高くなり、下痢を起こす食中毒菌が発生しやすくなります。

前号の腸管出血性大腸菌(O-157、O-111など)に続き、カンピロバクター属の細菌による食中毒にについて、ご一緒に考えてみましょう。

食中毒が原因の下痢

カンピロバクター属の細菌が下痢の原因になる場合
カンピロバクター属の細菌によるカンピロバクター腸炎は盛夏ではなく、むしろ5月~6月と10月に多いという特徴があります。
嘔吐や下痢など、食中毒と思われる症状が見られたら早めに受診しましょう。 この菌は短いラセン状の菌で家畜、鳥類、イヌやネコなどの腸にも存在し、その排泄物で汚染された食品や水を介して人に感染し、腸炎をおこします。 なかでも鶏肉は主要な感染源となっており、少量の菌量でも感染が成立します。この菌は高熱、乾燥に弱く短時間で死滅しますが、比較的低温(4℃)には強いため、冷蔵庫での保存だからといって安心はできません。

潜伏期と症状

潜伏期間は平均3~5日、長くて10日位です。発熱、頭痛、腹痛、嘔気、水下痢などの症状が現れ、下痢は血便や粘血便を伴うこともあります。 多くの人は数日で軽快に向いますが、まれに合併症として敗血症、髄膜炎などを起こすことがあります。 特に血便に粘膜性が見られる場合は、 細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌、腸炎ビブリオ、サルモネラ等による腸炎かどうか調べる必要性があります。 下痢は1日に10回以上あることもありますが、普通は2〜6回で1〜 3日間続きます。重症になると大量の水様性下痢のために、急速に脱水症状になる場合がりますので注意が必要です。

自然療法

一般的に自然治癒で治りますので、水分補給や食事療法などが基本です。下痢と発熱がある場合は脱水に最も注意しなければなりません。経口補水液やスポーツドリンクなどで水分補給をこまめにしましょう。経口摂取が不十分か脱水の程度によっては点滴による輸液治療が必要です。食事は症状が安定するまで極力控え目にして、おかゆなどの消化の良いものを中心にしましょう。

薬物療法

強力な下痢止めは原則として使用しないようにします。消化機能と腸内環境回復のために消化薬や整腸剤を用います。症状が酷く、重症化が懸念される場合にはマクロライド系の抗菌薬による治療を考慮します。

予防と対策

カンピロバクター属の細菌は少量の感染で菌でも感染します。汚染された食品を介して感染しますので、以下の点に気をつけましょう。 ①食材の注意
肉類(特に鶏肉)は十分に加熱し、生野菜などは流水でよく洗いましょう。 ②調理器具の管理
生肉などを扱った調理器具はすぐに洗浄し、他の食材と直接触れないように注意しましょう。 ③調理人の衛生
食材が変わるたびに手洗いをしっかりしましょう。 ④調理後の食品の管理
調理した食品は速やかに食べるようにしましょう。カンピロバクター属の細菌は低温(4℃)に強いので
冷蔵庫の過信は禁物です。

知っておきたい食中毒予防の3原則

食品の購入から調理、食べるまでの過程において、常に食中毒のリスクがつきまとうものです。特に肉や魚には、食中毒の原因となる菌やウイルスがいることを前提として考え、その取り扱いに気を付けましょう。
厚生労働省では、
①食中毒菌をつけない
②増やさない
③やっつける
を食中毒予防の3原則として掲げています。

①「つけない」…洗う・分ける

・調理の前後にはこまめな手洗
・包丁やまな板など、肉や魚などを扱った調理器具は使用するごとに洗剤でよく洗う
・肉や魚の汁が他の食品に付着しないよう、保存や調理時には細心の注意

②「増やさない」…低温で保存する

・買い物時、肉や魚、野菜などの生鮮食品を買う順番は最後にする
・10℃以下で増殖は低下、-15℃以下で増殖が停止するので購入後、すみやかに冷蔵庫に保管
・冷蔵庫内の温度上昇を防ぐため、ドアを頻繁に開けることや食品の詰め込み過ぎは避ける
・冷凍食品は自然解凍を避け、使う分だけを冷蔵庫や電子レンジで解凍
・作った料理は室温に放置せず、すぐに食べるか、冷蔵庫に保存、O157は室温でも15分から20分で2倍に増殖 ③やっつける…加熱・殺菌処理
・ほとんどの細菌やウイルスは加熱によって死滅するので、しっかり加熱して食べる
・肉や魚、卵などを扱った調理器具は洗って熱湯をかけるか台所用殺菌剤を使って殺菌しましょう。

腸内環境を整えよう!
元気の元は胃腸からと昔から言われています。生活習慣による病気は腸内環境が悪化すると発病しやすいものです。
食中毒も同じです。同じものを食べも発病しない人、発病する人の違いは腸内環境が良いか悪いかにかかっています。腸内環境を整えることは食中毒や下痢の改善に良好です。
腸内環境を整えるサプリメントがありますので、上手に利用しましょう。

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