下痢の原因は生活習慣によるものが殆どですが、下痢には大きく分けて急性と慢性の下痢があります。医学的には、厳密な下痢の定義はないようですが、おおむね、便が水っぽくなっている状態や、固まっていない便が1日に何度も排出される状態のことを指して「下痢」と呼んでいます。それほど珍しい症状ではなく、体調によっては便がゆるくなるという方も多いと思います。
急性下痢・慢性下痢時の対処法
下痢は、症状が続く期間で大きく2つに分けられます。発症からおおむね1週間以内に症状が落ち着くものを「急性下痢」、下痢が1か月以上続くものを「慢性下痢」としています。期間で分けるのは、急性下痢と慢性下痢では原因が異なることが多いからです。
下痢便には色々な状態の便があります。ただ便が柔らかい、もしくは水っぽいだけのこともあれば、便が黒い・白い・赤いなどいつもとは違う色がついているもの、さらには便に血液や粘液が混じっている場合もあります。便の形や色、臭いは下痢の原因を診断するときに非常に重要な手掛かりになりますので、心配な方はご自分の下痢の状態をよく観察しましょう。
下痢と同時に出現しやすい症状として、腹痛、発熱、悪心・嘔吐、発疹などがあります。
これらが同時に出ているかどうかも、下痢の原因を考える上で大切なヒントとなります。
では、下痢になった時どのようにすれば一番良いのかご一緒に考えてみましょう。
急性下痢の対処法
急性下痢の場合は、生活習慣の乱れから起こりますので、特に治療をしなくても自然と良くなることがほとんどです。場合によっては整腸剤を飲んでも構いませんが、必しも飲まなければならないというものでもありません。例えば、食べ過ぎが原因で下痢になった。おなかが冷えて急に下痢になった。などその日の体調や食べ物が原因となることが多いようです。便がゆるくなってきたら、暴飲暴食を控え、おなかを温かくしてゆっくり休養を取りましょう。
あるいは薬が原因であると思われる場合は、可能な限り被疑薬(ひぎやく;原因と疑われている薬、抗生物質など)を中止しましよう。
また、それぞれウイルス・細菌の感染が原因で急性下痢になることもあります。下痢の他に嘔吐や発熱、腹痛、症状が極めて強い場合には血便などの症状が現れることがあります。ウイルス性腸炎ではノロウイルスや、子どもに多いロタウイルスなどが有名です。
細菌性腸炎は加熱調理が不十分な食品の摂取などにより感染することが多いといわれており、大腸菌やサルモネラ菌などが有名です。ウイルス性腸炎および細菌性腸炎のどちらも人から人へ感染します。身の周りで下痢などが流行しているとき、生ものを食べたとき、海外から帰ってきたばかりといったような状況で症状がある時には注意が必要です。
腸の中で有害な細菌が増えてしまわないように、細菌性腸炎(食中毒菌など)ではないことがわかるまで、下痢止め(止痢薬;しりやく)は使用しないようにしましょう。細菌性腸炎が疑われる場合でも、重症でない限り抗菌剤の投与はかえって有害であるとする報告がほとんどです。
しかし、急性下痢の中には、命に係わる病気が隠れているケースがまれにあります。例えば、細菌感染が重症化した場合(敗血症)や心筋梗塞、大動脈瘤の破裂、胃腸からの出血などの初期症状が下痢である、ということがあり得ます。これらの場合は、下痢のほかに腹痛や胸痛、血圧低下・ショック症状など他の症状が一緒に現れますので、注意が必要です。
下痢をしているときには、脂っこい食事や辛いもの・アルコールやコーヒーなどの刺激物を控え、冷たいものの食べ過ぎ・飲みすぎには注意しましょう。
また、身体の水分が便と一緒に出てしまうため、皮膚や口の中が乾いているな、と思ったら脱水状態にあるサインです。経口補水液なども上手に利用し、適度な水分補給を心がけましょう。しかし、嘔吐などで口から水分を取れない場合には、点滴による水分補給などを行います。
慢性下痢の対処法
慢性の下痢の場合、原因となる病気がある場合にはその治療を行います。長く続く下痢は、消化器とくに小腸や大腸の病気によって現れることが多いといわれています。下痢や腹痛、腹部の不快感などの症状がよく見られる過敏性腸症候群のほか、大腸がん、潰瘍性大腸炎やクローン病など様々な病気があります。
●過敏性腸症候群
過敏性腸症候群にかかると、急な腹痛に悩まされたり、お腹の張りが続いたり、定期的に便秘と下痢を繰り返したりすることがあります。便秘または下痢のどちらか一方の場合もあります。過敏性腸症候群の場合、検査を行っても腸に炎症やポリープなどは見られません。
●大腸がん
大腸のなかに発生したがんのことを、大腸がんといいます。大腸がんは食生活の欧米化した日本では増加傾向にある病気です。また、大腸がんは初期の段階では症状があらわれにくい病気です。がんが進行すると、便秘気味になったり下痢と便秘を繰り返したりする、便に血が混じる、便が細くなる、体重が減少する、といった 症状があらわれることがあります。
●潰瘍性大腸炎・クローン病
下痢が長く続き、炎症をともなう慢性の病気の代表的なものが、潰瘍性大腸炎とクローン病です。
潰瘍性大腸炎は、大腸に慢性的な炎症が起こる病気です。クローン病は、口腔から肛門周囲までの消化管のどの部位にも炎症や潰瘍が起こることが特徴の病気です。とくに大腸や小腸に炎症ができることが多いといわれています。炎症の程度により症状は異なりますが、長期間下痢や腹痛が続いたり、発熱したり、血が混じった便が出たりすることがあります。
下痢の症状が改善しないときには
日常生活上で起こる下痢のうち、短時間ですぐに収まるときや、繰り返さずにその場限りで収まるときは、問題のないことがほとんどです。しかし、下痢がいつまでも続き、よくならないようなときは、一度病院を受診したほうがよいでしょう。自分では大したことのない原因だと思っていても、思わぬ病気が隠れている場合も考えられます
病院に行く目安とポイント
下痢が続くときや、発熱または腹痛があるとき、便に血が混じるとき、便秘と下痢を繰り返すとき、体重減少があるときは、一度内科または消化器内科を受診してみるとよいでしょう。そのとき、「いつから、一日何回程度下痢が起きているか、下痢のほかにどのような症状があるか」などを医師に伝えるようにしましょう。
下痢を改善するために、腸内環境を整えよう
「元気の元は胃腸から」と昔から言われています。腸内環境が整っていれば、たとえ有害なものが入ってきてもスムーズに排出してくれます。そのお蔭で病気にならなくて済む場合が多くあるのです。又免疫力も腸内環境が整っていれば高くないます。日頃から腸内環境をしっかり整えましょう。
腸内環境を整えるサプリメントがありますので上手に利用すると、下痢の改善、病気の予防になります。