下痢の原因・魚のヒスタミン食中毒

下痢の原因は幾多もあります。例えば、魚を調理するまでの間の保管が原因で下痢になることもあります。

下痢の原因は魚のヒスタミンによる食中毒

実際、魚を食べたら、顔が赤くなり、じんましん、あるいは嘔吐下痢になった経験のある方がおられます。
食物アレルギーでなければ、それは時間が経過して起きるヒスタミンという化学物質による食中毒かもしれません。

ヒスタミンによる食中毒とは

ヒスタミンは、タンパク質を構成するアミノ酸の一種である「ヒスチジン」に対して「ヒスタミン産生菌」(海水中や、人・動物の腸管内にも元々います)という菌の酵素が働きかけることにより生成されます。殆どの人は食べた直後から1時間以内に、顔面、特に口の周りや耳たぶが赤くなったり、じんましん、腹痛、頭痛、めまい、おう吐、下痢などの症状が出ます。重症の場合は、死亡例はありませんが、呼吸困難や意識不明になることもあります。しかし、心臓や呼吸器などに病気をお持ちの方の場合は、重症化するおそれがあるので、注意が必要です。

ヒスタミン中毒の原因

原因となる食品は、ヒスチジンというアミノ酸が多く含まれる赤身魚とその加工品がほとんどです。
例えば、サバのようにヒスチジンが多く含まれる食品を、常温で放置するなど適切でない管理をすると、食品中のヒスタミン産生菌が増殖しやすくなり、その分、ヒスタミンも多く生成されます。
平成10年から平成25年までに都内で起こった事例では、カジキが原因となった事例が最も多く、マグロ、ブリがそれに続いています。海外では鶏肉、ハム、チェダーチーズが原因となったこともあります。

ヒスタミン中毒の対処・予防法

①必要に応じ早めの受診を心掛ける
症状が軽い場合は、長くても1日程度で自然に治ると言われていますが、症状が重かったりなかなか治まらなかったりする場合には、お医者さんに診てもらう必要があります。中毒ではなくサバアレルギーだったという事もありますので、食べたものをメモしておきましょう。
 
②ヒスタミンの多い魚を適切に管理する
例えば、サバを買ったら、常温に放置せず、速やかに冷蔵庫に入れましょう。常温で放置するなど不衛生な状態に置くと、ヒスタミン産生菌が増殖し、その酵素作用でヒスタミンが多く生成されることにつながります。また、ヒスタミン産生菌は、魚のえらや内蔵に多く存在するので、未処理の場合できるだけ早く取り除きましょう。
 
③処分する
一度生成されたヒスタミンは、調理時の加熱によっては分解されません。ヒスタミンを高濃度に含む食品を口に入れたときには、くちびるや舌先に通常と異なる刺激を感じることがあると言われていますので、このようなときには食べずに処分するのが良いでしょう。適切に保存すればあまり神経質になることもありませんが、サバによりヒスタミン中毒が起こることもあり得るということを心に留めておきましょう。

④赤身魚がどうして原因に
赤身魚(マグロ、ブリ、サンマ、サバ、イワシ等)に多く含まれるヒスチジンは、ヒスタミン産生菌が産生する酵素の働きで、ヒスタミンになります。ヒスタミンとして100㎎以上食べると、食中毒を発症するとされています。 ヒスタミン産生菌の中には、海水中に存在して漁獲時にすでに魚に付着している可能性があるものがあります。
サバを食べてブツブツができたり熱が出たり吐き気がしたりという経験を持つ人がいると思います。これはほとんどの場合、サバにもともと含まれているヒスチジンという物質がヒスタミンに変わってしまうことで発生します。

ヒスタミン食中毒はサバの鮮度低下によるものです。サバは内臓に自己消化作用のある酵素を分泌する細菌がいるので、鮮度が落ちると内蔵がどんどん溶けてデロデロの状態になっていきます。そのデロデロ化の過程でヒスチジンがヒスタミンに変化するということです。昔からよく言われている「サバの生き腐れ」です。見た目は新鮮そうに見えても内部では腐敗が進んでいるという事です。

⑤加熱してもヒスタミンは消えない
ヒスタミンは熱を加えても消えません。鮮度が落ちてても火を通せば大丈夫だと思いがちですが、ヒスタミンには通用しません。鮮度が落ちると、もうダメです。塩焼きにしてもサバ味噌にしてもダメです。そんな時は思いって捨てましょう。

⑥冷蔵してもヒスタミンは増える
0℃~10℃で保存していても、ヒスタミンができてしまうことがあります。冷凍保存中にヒスタミンができることはありませんが、冷凍する前にすでにヒスタミンの量が増えていると、食中毒が起こります。

⑦ヒスタミン食中毒予防のポイント
1.生の赤身魚は常温で放置してはいけません。冷蔵でも、長期間の保存でヒスタミンの量が増えることがあります。冷蔵の場合でも、できるだけ早く食べてください。
2.赤身魚の干物など加工品も、低温保存してください。
3.冷凍した赤身魚を解凍する時は、冷蔵庫で解凍し、可能な限り低温で短時間のうちに解凍してください。
4.凍結と解凍の繰り返しは避けてください。
5.食品中にヒスタミンができていても、外見の変化や腐敗臭はありません。しかし、ヒスタミンが大量に出来ていると、食べたときに舌が「ピリピリ」することがあります。香辛料によるものでなければ、食べるのをやめてください。

腸内環境を整えよう

同じものを食べても全員が食中毒になるとは限りません。中には特別な症状がでなくて、今まで通り健康体の人もいます。この差は一体何でしょうか。昔からよく言われている「元気の元は胃腸から」によるのです。
つまり腸内環境が整っている人は有害なもの腸内に入ってきたとしても、スムーズに排出してくれます。あるいは有害菌が繁殖しないように守ってくれるのです。ですから日頃から腸内環境を整えておくことはとても大切な事なのです。腸内環境を整えるサプリメントがありますので、賢く上手に利用してみましょう。