冬の時期、身体を中から温めてくれる代表的な食事と言ったら「鍋」ではないでしょうか?
寒い時に温かいものを食べるとほっとします。特に日中の最高気温が15度を下回るようになってくると、鍋料理の季節です。
実は鍋料理を食べると下痢をするという人は、決して少なくありません。
鍋料理の何が原因で下痢になるの?
温かくて、美味しい鍋を食べると必ずおなかがゴロゴロいい始め、最後はトイレに駆け込んでしまう。こんな経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか? 最初はたまたまかな?と思っていても、それが二度三度と続くようになると、嫌でも鍋料理が原因かしら?と疑う気持ちが出てきます。
では鍋料理の何がそんなにおなかを刺激しているのでしょうか? 考えられる要素は次の三つです。
1. 温度変化
2. 具材
3. 調味料
内臓の温度変化が自律神経を疲れさせる
冷たいものや熱いものを急に食べると、おなかはびっくりしてしまうことがあります。特に冬は外気の温度が低いため、体が冷え切っている状態です。そんな時に熱々の鍋を食べると、その温度変化に驚いた内臓が、急に活動を開始してしまうことがあります。
また、冷たいものと熱いものを交互に食べても同じことが起きます。これは急な温度変化に対して、自律神経が速やかに働き、体内の恒常性を維持しようとするためです。
こうした場合の便は、軟便、もしくは下痢となることが多いようです。
思ったよりたくさん食べている
また、鍋の具材は食物繊維を豊富に含むものが多いのが特徴です。これは健やかな腸内環境づくりにはとてもいいことですが、敏感な方だと刺激され過ぎて下痢になる可能性があります。
特に白菜など、熱を加えるとかさが減るため、自分で思っている以上にたくさん野菜を食べてしまっていることがあります。
それもまた鍋料理の魅力ですが、おなかが弱い方の場合、こうした不意の食べ過ぎが下痢の原因になっていることもあるのです。
自分自身にとって適切な食事量を常日頃から把握しておくのも、下痢を回避するのには欠かせない情報だといえるでしょう。よく言われる「腹八分目」を日頃から意識しておくのがよいでしょう。
便利な鍋の素にも要注意
最近のスーパーでは、鍋の季節になると様々な鍋スープの素が売られています。手軽に料亭の味や、プロの味を再現できるとあって人気を博し、毎年多くの新商品が発売されています。
こうした鍋スープの多くは、添加物をベースとした調味スープです。たしかに便利ですが、お腹が敏感な方は要注意。特にインスタントラーメンなどと違って、鍋はスープまでいただくことが多い料理です。鍋スープに含まれている添加物のほとんどを摂取することになります。
また、商品の中には辛みを利かせたものや、香辛料がふんだんに使用されているものもあります。刺激物に弱い人は、こうしたものにも注意が必要です。
これから気をつけたい鍋の食べ方
とはいっても、冬はどうしても鍋が食べたくなるもの。腸をできるだけ刺激しないように食べるには、どうすればいいのでしょうか? 以下のような点に注意することがあげられます。
- 一度に多くの量を食べない
小腸は糖の分解が苦手です。食べすぎがよくないのは、小腸の分解する力を越えた糖が、大腸に多く流れこんでしまう可能性が高まるからです。
少しずつ分けて食べる事で、小腸は苦手な糖をゆっくり分解することができるようになります。
- 胃酸の分泌を高める食品を避ける
以下のような食品は、刺激が強く、胃腸の動きを活発化させます。
- 香辛料の多いもの…こしょう 唐辛子
- 甘味の強いもの…煮豆 まんじゅう
- 塩分の多いもの…漬物 塩辛
- 酸味の強いもの…酢の物 柑橘類
- 嗜好飲料(アルコール飲料、炭酸飲料、コーヒー、紅茶、濃い緑茶など)…ビール コーヒー
なんでも適量を心掛け、極端な味付けはしないようにしましょう。
- 食事は、ゆっくりよく噛んで
よく噛むことで得られる効果は、思っている以上にたくさんあります。
- 食べすぎを防ぐ
- 味覚の発達を促す
- あごの筋肉の発達を促す
- 脳を刺激し、脳の衰えを防ぐ
- 歯の病気を防ぐ
- 消化を助け、胃腸の働きを促進する
- 冷たいものは、一気に飲まない
冷たい飲み物を飲みすぎると、まず胃腸をはじめとする内臓が急激に冷やされます。内臓が冷えると機能低下を起こし、消化不良による便秘・下痢・胃炎、血行不良、代謝の低下などの引き金になります。
- 食後は休息をとる
食べた物は胃の中にしばらく留まります。そのため食後すぐに歩き始めると、胃にとっては大きな負担となります。食後10分ほどはゆったりと休憩するのが理想的です。静かに座ることやゆっくり歩くこと以外に、適度なマッサージや音楽鑑賞もおすすめ。食後に腹部をマッサージすると、胃腸の働きや腹腔内の血液循環を促進しますので便秘気味の方は改善の糸口にもなります。
健康の基本は腸内環境から
健康の要は何といってもおなか、つまり腸内が整って、正常に働いていることが大前提です。なぜなら、おなかが正常に働いていないうちは、どんなに栄養があるものを食べても、高級なサプリメントを飲んだとしても、体内にきちんと吸収されず、その栄養素を存分に利用することはできないからです。
下痢になるのは「腸が疲れているよ」という、体内からの不調のサインの一つです。腸内環境を整えると腸内は正常な機能を果たすことができ、便秘や下痢といった不調も次第に元に戻っていきます。腸内環境を改善するのに役立つサプリメントもありますので、適宜利用してみましょう。
下痢の改善だけでなく、おなかを整えることで全身の健康増進が期待できます。善玉菌と共に、健康への一歩を踏み出しましょう。