カレーは老若男女問わず、誰もが好きなメニューにあげる、国民食のような料理です。多くの人たちから愛されているカレーですが、なかには食べると下痢になってしまう人もいるようです。
その特徴として多いのが、日本製のカレーは大丈夫なのに、本格的なインドカレーを食べると下痢になる、というパターンです。なかには腹痛や吐き気を起こす人もいるようです。
本場に近づけたインドカレーの魅力は何と言っても、豊富に使われるスパイスです。ガラムマサラやターメリック、クミン、コリアンダー、カルダモン、シナモン、ナツメグ、クローブなどなど、お馴染みな物も珍しいものも様々あります。
このスパイス、ひとつひとつの効能を見ると「整腸作用」「鎮痛」「食欲不振」「健胃」など、一見健康的な効能のように思えますが、なぜインドカレーを食べると腹痛や下痢になるのでしょうか。
本格インドカレーが下痢の原因になる理由
①スパイスの消化促進作用
スパイスの効能のひとつに「消化促進」が挙げられます。
腸の運動を活発にし、消化を促進して、栄養の吸収を高めます。しかしながら、腸が活発に動く時に、敏感な人は腹痛を感じ、中には下痢になる人もいるようです。インドのスパイスに慣れていない日本人には、刺激が強すぎるのかもしれません。
②スパイスの辛さ
カレーのスパイスには、チリパウダーや唐辛子が使われることがありますが、その中にカプサイシンという成分が入っています。
カプサイシンは山椒や胡椒などと比べものにならないほどの辛さを持ちます。カプサイシンは、血行促進や血流改善、発汗作用や食欲増進など、様々な健康効果がある反面、摂り過ぎると以下のような悪影響もあります。
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味覚障害
味覚障害とは、食べ物の味がわかりにくくなる症状のことです。味覚障害になる主な原因は亜鉛不足や加齢によるものですが、カプサイシンなどの刺激物の食べ過ぎで起こることもあります。
私たちの舌には、味を感じることができる味蕾という細胞がありますが、その味蕾がダメージを受けると味覚の機能が低下し、本来の味が感じにくくなってしまうのです。近年、若年層にも味覚障害が広がっているのは、摂取する刺激物の多さなど、食べ物による影響が大きいようです。辛い物は癖になりますが、刺激を求めすぎると味覚機能が低下してしまうので注意しましょう。
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腹痛や下痢
カプサイシンは全身に張り巡らされている感覚神経を刺激するので、まず舌や喉の感覚を麻痺させます。さらに、胃の感覚神経を刺激することで、胃酸が過剰に分泌し胃痛が起こります。
胃液が大量に分泌されると、胃の中のバランスが崩れてしまうため、腹痛が起こります。
酷い場合は、胃炎や胃潰瘍といった症状が現れますので気をつけてください。
脂肪燃焼や新陳代謝の促進といった効果もありますが、腸を刺激して便を排出する力を強くするという作用もあります。つまり、腸が活発になり便が早く押し出されてしまうと、便が腸内にとどまる時間が短くなります。
すると、本来なら腸で吸収されるはずの便の水分が、十分吸収されずに体外に排出されることになり、結果として水分の多い便、下痢便になるのです。カプサイシンの摂り過ぎによる下痢の場合、ひどい時には肛門にひりつくような痛みを感じるまでになります。
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大腸がんなどの病気のリスク
辛い物の食べ過ぎは下痢を引き起こすだけでなく、大腸炎や大腸ガンのリスクも高めます。やはりこれも、カプサイシンの刺激が原因です。小腸や大腸の粘膜を傷つける可能性があるため、特に炎症性腸疾患の人は辛い物の食べ過ぎに注意しましょう。
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脳への悪影響
激辛好きの人は、脳への悪影響にも注意が必要です。世界一辛い唐辛子を食べた男性が、数日間、激しい首の痛みと頭痛に悩まされるというケースが報告されました。まるで雷鳴のような頭痛に我慢できなくなった男性が、病院で詳しい検査を受けると脳動脈の一部に血管れん縮が認められたそうです。
調べてみると、カプサイシンが刺激となって脳血管が一過性に狭くなったことで、稲妻のような頭痛が起こったということです。通常の唐辛子を食べる分には問題ないですが、激辛唐辛子の食べ過ぎによって、このような危険な症状が現れる可能性を知っておいたほうがいいでしょう。
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水が欲しくなる
更に、辛いと水が欲しくなります。水を多く飲むと体内の消化液が薄まってしまい、消化不良を引き起こします。消化不良は下痢、胃もたれの原因になります。水をがぶ飲みしなくてはいけないほど辛いものは、食べるべきではありません。
③油分の多さ
インドカレーはスパイスのほかに、油が大量に使われています。インドカレーは見かけよりも油分が多いのです。この油分の多さも、下痢や腹痛を起こす原因のひとつになります。
油っこい食事を摂ると、消化に時間がかかり、胃がもたれます。これによって消化不良を起こし、腹痛や下痢になる可能性があります。
刺激物に負けない胃腸になるために
スパイスに限らず、私たちが口にする食べ物は、体に優しい物ばかりではありません。時には刺激物などや有害菌など身体に害を及ぼすものも食べています。人の体は実にうまく出来ており、たとえ有害な物を食べたとしても、身体に影響を及ぼさないようできるだけ迅速にそれらを排出できる機能を備えています。その役目を担っているのが腸です。
腸が元気であればこうした作用は上手く行われます。しかし、腸内環境が悪く、腸の排出能力が衰えていると、腸の有害物排出作用がうまく働かず、体内に吸収されてしまいます。その結果、不調を招いたり、免疫力が低下したりするのです。
こうしたことから、腸は免疫の要ともいわれています。免疫力をあげたいと考えるなら、腸内環境を整え、丈夫にすることが一番の近道です。
有害な物や刺激物は口から入ってきますが、腸に有益な善玉菌もまた、口から摂取することができます。善玉菌を補給するには、日本に昔からある味噌やぬか漬け、納豆といった発酵食品を摂ることがおすすめです。
しかし、そうした発酵食品に入っている乳酸菌や納豆菌は、おなかの中で劇的に増えることはありません。お腹の中で善玉菌を増やそうと考えるなら、サプリメントという形で摂取するのが一番のおすすめです。
手軽にどこでも飲めるサプリメントは、忙しい現代人の隙間時間を、善玉菌の補給時間に変えてくれます。