下痢原因は胃腸障害

誰でも食べ過ぎたあとや飲み過ぎたあとに起こる胃もたれなどを経験したことがあるのではないでしょうか。しかし、そのとき、胃腸がどのような状態になっているかご存知ですか?

いったん胃腸が弱ると、下痢になったり、その下痢が慢性化する人もいます。では胃腸を丈夫にして下痢にならないためにはどうすればいいのでしょうか?ご一緒に改善方法を考えてみましょう。

胃腸障害が起きる原因

食事のあとや食間に胃が重く感じ、胃もたれになるなど胃腸障害が起きる要因として、①暴飲暴食 ②加齢 ③ストレスなどがあります。では、それらの原因を具体的に見てみましょう。

① 暴飲暴食が原因

胃は食べた物を一定時間貯え、消化しやすい形に変え、小腸に送り出します。食べ過ぎると胃に留まる時間が長くなり、胃もたれの症状が起こりやすくなります。

食べ物には、消化しやすいものと消化しにくいものがあります。焼肉、揚げ物、天ぷらなどの脂っこい食事は、ご飯やパンなどの炭水化物に比べると消化に時間がかかりやすく、胃にかかる負担も大きくなるため、胃もたれが起こりやすくなります。

ですから、肉類・脂っこい食事を控えてなるべく消化の良いものをとるようにし、やわらかく煮込むなど、食べ方も工夫しましょう。急いで食べると満腹感を得る前に食べ過ぎてしまうため、ゆっくり食べることも大切です。よくかむことは消化の助けにもなります。

アルコールの飲みすぎに注意

また、アルコールの約20%は胃で吸収されますが、残りの80%ほどが小腸から体内に入ります。
少量の「食前酒」は胃酸の分泌を促し、食欲を誘う働きがあります。

しかし、大量のお酒を飲むと胃が強く刺激されて、胃酸と胃粘液のバランスが崩れ、胃粘膜が荒れる原因となります。同時に、大量のお酒は胃の運動機能も低下させてしまうので、健康な胃を保つ3つの要素(胃酸分泌・粘液分泌・ぜんどう運動)の全てに影響を与えることになります。

特に胃がからっぽの空腹状態ではアルコールが直接胃粘膜に触れ、刺激を強く与えることになるので、胃粘膜は大きなダメージを受けてしまいます。

粘膜の血流障害が起きると、腹痛や嘔吐、吐血などの症状を起こすことがあります。また小腸での消化・吸収する能力が低下して、下痢を起こしやすくなります。

「あ」のつく食事に注意

胃腸症状を悪化させる食事には「あ」からはじまる食材が多くあります。例えば、あぶらっこいもの、あじの濃いもの、アルコールなど「あ」の付く食事は、つい手が伸びてしまう美味しいものばかりなので、食べ過ぎ、飲みすぎには注意しましょう。

また、辛味や酸味の強い食べ物には要注意です。

満腹でも食べたくなる甘いものに注意

胃腸に不快感を与える食事とともに気になるのは、満腹なのに食べたくなる「別腹」というものがあります。満腹感があるのに、デザートや好物を見ると食べたくなることはありませんか?

“別腹”には、脳から分泌されるオレキシンという化学物質が深く関係しています。 これは脳内の食欲のストッパーを外してしまうホルモンです。オレキシンが分泌されると、胃や腸の動きが活発になり、胃の内容物を十二指腸へと送り出すことで、胃に余裕ができてケーキなどを食べられるようになります。

ですから別腹に注意しなければなりません。胃は、健康な状態でも伸び縮みする性質があります。お腹いっぱい食べたとき、お腹のなかが重たく感じるのは、膨らんだ胃とそのなかの食べ物の重量を感じているからです。

空腹時、食べ物が入っていない空っぽの状態では胃の容量はわずか100mlほどしかありませんが、食べ物が入ると最大15倍、1,500ml前後まで広がります。

満腹とは、胃がふくらんだから感じるものではなく、食事で血糖値が上がり満腹中枢が刺激され、脳にストッパーがかかり、引き起こされるものです。しかし、甘いものや好物を見ると、上記のオレキシンが出て、物理的に胃にスペースを空けてしまうのです。

もちろん、身体がストップをかけている時に、別腹だからと言ってやみくもに食べないようにしましょう。体は満腹ですので、不用な胃腸症状を引き起こす原因にもなります。

② 加齢による胃の働きの低下

胃は主にぜん動運動で食べ物を消化します。そして少しずつ小腸に送り出します。ところが高齢になるとこのぜんどう運動の働きが衰えてきます。すると、食べ物の消化に時間がかかり長く胃に留まることになり、小腸へ食べ物を運ぶ能力も低下します。

つまり、胃もたれが起こりやすくなるのです。ですから、たくさん食べていないように思っても、胃の中に食物がたまってしまい、胃が苦しくなるという症状がみられるようになります。
加齢にともない胃の粘膜を守る血流が弱くなることも、胃の不調を招く原因になり、下痢の原因にもなりやすくなります。

加齢とともにおこる胃腸症状の予防方法

誰にでもおこる加齢ですが、胃腸症状がおこらないようにするには次のことをしてみましょう。

●炭水化物を先に食べない

炭水化物を先に食べると、お腹がいっぱいになりやすくなるだけでなく、血糖値の急上昇などにも注意が必要です。偏った食べ方はよくありませんが、会席コース料理の食べる料理をイメージし、魚やお肉料理、副菜類を優先し、合間に炭水化物を食べるようにしましょう。

●良質の睡眠で胃腸の回復

質のよい睡眠は胃腸の働きを回復させる効果もあります。日中のお昼寝は30分以内程度におさえて、夜に質の良い睡眠が出来るようにしましょう。また夜寝る前の3時間位は何も食べないようにしましょう。

●運動はほどほどに取り入れる

東洋医学では、五臓の「脾」は筋肉と胃腸の働きに関係しており、加齢にともない胃腸の働きが弱ると、筋力の低下につながると考えられています。無理な運動をするのではなく、筋力と胃腸の両方に良い効果があるように適度な運動は効果的です。

③ ストレスが原因

ストレスと胃腸の関係は密接です。不安や緊張などのストレスがあると、腸内の善玉菌が減り、悪玉菌が増え腸内細菌のバランスが崩れます。

善玉菌は人間の腸内に住みついていて、栄養吸収をよくししたり感染症を防いだりするだけでなく、気持ちを安定させる役割を担うなど重要な働きをしています。

ですから、ストレスによって善玉菌が減ると、下痢、便秘、お腹の張り、おならや便が臭くなる、気分が優れないなどといったたくさんの症状が出てくるのです。

また、胃腸はストレスがあると、交感神経が優位になり、副交感神経がうまく働かくなり、消化不良を起こしやすくなります。日常的にリラックスする時間がほとんどなくいつも交感神経が優位だと、消化不良を起こしやすいので、きちんと食べているのに栄養不足ということが起き、下痢にもなりやすいのです。

忙しくしていると食事がおろそかになりがちですが、ストレスを感じるときこそ、しっかりと食べる時間をとってください。それがたとえ15分でもいいので、リラックスした気持ちで食事をすることが大切です。

胃腸の働きをよくするためには

消化を助けて胃腸の不快症状を抑える効果的な食べ方3つを紹介します。これらは未消化物をつくりにくくする食べ方で、結果的として体の栄養状態もよくなり疲労回復も期待できます。下痢の改善に役立ちます。

(1)よく噛む

あまり嚙まずに早食いすると、未消化物をつくりやすく胃腸への負担が増えてしまいます。噛む刺激で脳が刺激されると、唾液をはじめとする様々な消化酵素の分泌が促進され、消化吸収力がよくなります。消化は口のなかからはじまっていますから、まずはよく噛むことを心がけましょう。

(2)すっぱいものを食べる

すっぱいものとは、レモンやかぼすなどの柑橘系、梅干し、酢などです。これらは胃酸と同じように働き、食べ物を溶かして消化しやすくする作用を持っています。これらを意識的に摂取するだけでも、胃もたれやお腹の張りが改善されることがあります。

(3)生野菜やフルーツの酵素を利用する

具体的には、大根おろし、キウイ、パイナップルなどがおすすめです。これらの食材には、とくに消化に負担がかかり未消化物をつくりやすいたんぱく質を分解する酵素が含まれています。消化促進効果がありますので、こちらも意識的に食べるようにしましょう。

(4)暴飲暴食を避け、腹八分目

アルコールの飲み過ぎやタバコは、胃粘膜血流を低下させて胃粘膜を荒らしたり、胃の運動機能を低下させたりする原因になります。アルコールの飲み過ぎに注意し、禁煙をしましょう。

香辛料を多く使った辛い料理、味の濃すぎる料理、炭酸飲料などの刺激物、極端に熱いもの、冷たいものは胃に負担をかけるため、なるべく控えましょう。コーヒーを飲むときにはミルクをいれた方が胃にやさしいです。

(5)ストレスをためない

ストレスは胃の働きを低下させます。趣味や適度な運動など、日々の生活で無理なくできることで、自分なりにストレスへの対処方法を見つけてみましょう。

腸内環境をととのえよう

「元気の元は胃腸から」と昔から言われています。私たちは食べたもので、健康を維持することができます。ですから食べたものが正しく消化され栄養吸収されているかが重要です。

そのためには腸内が正しく機能しなければなりません。腸本来の機能ができるには腸内環境を整えることが最重要です。腸内環境を整えるサプリメントがありますので、上手に利用しましょう。