下痢の原因はタケノコの食べ過ぎ
春の食材としてタケノコがあります。さわやかな香りと独特の食感が魅力のタケノコは、春の到来を感じさせてくれる味覚の1つです。タケノコは低カロリーでヘルシーな食材ながら、様々な栄養素を含んでいます。しかし、タケノコを食べすぎてしまうと、体にさまざまな影響、下痢にもなるので注意が必要です。
タケノコの旬の時期
タケノコは竹の種類を問わず、竹の芽の総称として使われている言葉です。成長スピードが驚くほど速いため、おいしく食べられる時期は、穂先が土から出るか出ないかという短い期間なのです。
タケノコは春から初夏が旬の時期ですが、竹の種類と地域によって差があります。
旬が最も早い地域は九州と四国で、12月中旬から「早堀タケノコ」として出荷が始まります。それに次ぐ地域は京都で、2月中旬から収穫されるようです。
タケノコの主流であるモウソウチクの場合、安くておいしいものが出回るのは3~4月です。細いタケノコのハチクやマタケは4月中旬~6月、北日本が産地の根曲がり竹は5月中旬に旬を迎えます。
タケノコの栄養成分
タケノコはかつて栄養素がない食材といわれていましたが、近年ではタケノコの栄養価が見直されています。そこで、タケノコに含まれる代表的な栄養素について見ていきましょう。
・下痢になり易い不溶性食物せんいが豊富
タケノコには不溶性食物せんいであるセルロースがたくさん含まれています。食物せんいは消化吸収できないため本来は栄養素に含まれませんが、近年では第6の栄養素として見直されています。食物せんいは不溶性食物せんいと水溶性食物せんいがあります。
不溶性食物せんいは、腸内環境を整える効果があり、便秘解消につながります。便秘解消は老廃物の排出ができるので、美容効果も期待できます。セルロースが腸内で水分を吸収し膨張して、有害なものを排泄する働きをするため、腸内環境を整えることができます。
しかし、摂り過ぎると腸が刺激されて下痢になり易くなります。美味しい筍ご飯も、胃腸が弱い方は食べ過ぎないように注意しましょう。
水溶性食物せんいはネバネバとした形状を持ち、胃腸内をゆっくり移動していくため、糖質の吸収をおだやかにして食後血糖値の急な上昇をおさえます。更に、水溶性食物せんいには吸着性があり、小腸でコレステロールや胆汁酸を吸収して、スムーズに体外に排泄できるようサポートします。
・老化防止のビタミン類
含有量は少ないものの、タケノコには豊富な種類のビタミンが含まれています。ビタミンB1は疲労回復効果、ビタミンB2は新陳代謝の促進や脂肪燃焼効果、細胞の再生といった効能があるとされており、ダイエットや美肌に効果が期待できます。
また、抗酸化作用があるビタミンEも含まれており、老化防止や生活習慣病の予防も期待できます。
・神経伝達物質のチロシン
タケノコの節にある白い塊に含まれているのが、チロシンという栄養素です。チロシンはアミノ酸の一種で、アドレナリンやノルアドレナリン、ドーパミンなどの神経伝達物質のほか、皮膚や髪の毛の色素になるメラニンの原料になります。
チロシンは体内でも合成されますが、積極的に摂取することで、やる気や集中力を高めるのに効果的とされます。
・代謝とエネルギーに関与のパントテン酸
パントテン酸は水溶性ビタミンの一種。糖質、脂質、たんぱく質などほかの栄養素の代謝とエネルギーの生成に関係していて、不足すると、成長障害や神経の異常、全身の疲れなどの症状が現れることがあります。
・疲労回復になるアスパラギン酸
アスパラギン酸はアミノ酸の一種で、即効性の高いエネルギー源として知られており、スポーツ飲料や疲労回復ドリンクなどで良くつかわれています。
・旨味成分のグルタミン酸
だしの味を生み出す「うま味成分」としても知られるグルタミン酸は、たんぱく質を構成する酸性アミノ酸の一種であり、神経伝達物質としても機能するなど幅広い働きをします。
・味覚に作用する亜鉛
亜鉛は必須ミネラルの一種で、たんぱく質の合成や遺伝情報の転写にかかわります。骨、筋肉、内臓といった人体を構成する各種細胞の生成と新陳代謝に関係する重要な栄養素です。また、味覚に作用するとされ、不足すると味覚異常を起こすことがあります。
上記のほか、カリウム、ビタミンC、マンガン、葉酸など、たけのこには多様な栄養素が含まれています。
筍の食べ過ぎで起こる症状
様々な栄養素を含むたけのこですが、実は食べすぎるとかえって体に良くないのです。そこで、食べすぎた場合に起こる、代表的な症状を紹介します。
・便秘や下痢になる
不溶性食物せんいは腸の働きを活発にするため、便秘解消に効果的です。しかし、不溶性食物せんいを摂りすぎると腸内に長く溜まってしまい、水分が吸収されすぎて便が固くなって便秘になることがあります。
また、不溶性食物せんいを大量に摂ると、腸の働きが活発になりすぎて、下痢や腹痛を起こすこともあるので注意しましょう。特にタケノコは消化が悪いので、特に胃腸の弱い方などは下痢になり易いので注意しましょう。
タケノコは食べ過ぎると下痢にも便秘にもなり易いのです。なんでもそうですが、ほどほどにしましょう。
・肌が荒れる
チロシンは、メラニン色素を多く作りだす作用があります。メラニンは紫外線から人体を守る働きがある一方、量が増え過ぎるとシミやそばかすが濃くなる原因になります。特に春は紫外線が多いので注意しましょう。
・その他の症状
他には、口の中がイガイガする、皮膚のかゆみや腫れ、気管支喘息といった症状もあります。これは「仮性アレルゲン」と呼ばれる症状で、たけのこを食べすぎるとこういった症状を引き起こしてしまうおそれがあります。
たけのこを下処理する際に、十分加熱して灰汁をしっかり取り除けば、仮性アレルゲンの症状を予防することができます。
筍の適量は
たけのこを食べすぎると体に悪影響を及ぼしますが、どれくらいの量が食べすぎにあたるのでしょうか?そこで、1日に食べていい適量と、正しい下処理の方法を紹介します。
1日に食べてよいタケノコの適量
1日に食べてよい適量は、穂先なら1/3、根本なら3センチほどが目安となります。自分で調理する場合は量を把握できますが、外食などで調理されたものを食べる際は、小鉢に軽く盛った程度に抑えるといいでしょう。
タケノコの茹で方
タケノコは掘りたてなら灰汁やえぐみが少ないものの、時間が経つとえぐみが増していきます。タケノコをおいしく食べるためには、手に入れたらすぐに下処理をして灰汁を抜くことが大切です。たけのこの、正しい下処理方法の手順と、おすすめの食べ方について見ていきましょう。
準備するものは、大きな鍋、米ぬかをひと握り(または米のとぎ汁)、赤唐辛子1本、タケノコが被る量の水です。
タケノコは根元の固い部分と穂先を5~6センチほど切り落とし、縦に2~3センチの深さの切れ目を入れておきましょう。縦に切れ目を入れておくと火が通りやすくなり、出来上がりに皮を簡単に剥くことができます。
鍋にタケノコ、米ぬか、赤唐辛子、水を入れたら強火にかけます。沸騰したら落とし蓋をして、吹きこぼれないように弱火で1時間以上茹でましょう。タケノコの大きさで時間が変わるので、小さいものは時間を少なく、大きいものは時間を増やすなどして調節してください。
時間が経過したら、固い根本の部分に竹串を差してみて、スッと通れば茹で上がりです。ただし、タケノコは茹で汁から出さず、入れたまま冷ましてしっかりと灰汁を抜きましょう。完全に冷めてから水洗いして、外の皮を剥いたら下処理は完了です。
筍の灰汁
タケノコの灰汁は、シュウ酸と呼ばれているもので、シュウ酸は、カルシウムと結合すると結晶化し、尿中のシュウ酸とカルシウムが結合して結晶化すると、結石の原因となります。
シュウ酸は水溶性の物質で、植物の細胞内にあり、加熱することで抜けやすくなります。タケノコを茹でると半分くらいのシュウ酸を除くことが出来ます。
シュウ酸は人の体内でもビタミンCの代謝により産生されます。シュウ酸を多く含む食品は、ほうれん草、たけのこ、さつまも、レタス、ブロッコリー、なす、ピーナッ ツ、未熟なパナナ、チョコなどです。また飲物ではコーヒー、紅茶、緑茶、ココアにも含まれています。過剰摂取にならないように 意識してみてください。
現代の日本人では食物せんいが不足しがち
さまざまな働きが期待される食物せんいですが、残念ながら現代の日本人においては摂取量の不足が指摘されています。なかでも、水溶性食物せんいの摂取量が少なく、30代~50代の女性を通して不溶性食物せんいは目標の1/3程度しかとれていないことも明らかになっています。
しかし、水溶性食物せんいを摂り過ぎてしまうと、下痢や軟便の原因になってしまうことがあります。
食物せんいのチカラを健康維持に役立てるためには、不溶性・水溶性のどちらか一方を摂取するのではなく、両方をバランスよく補うことが大切です。普段の食生活では水溶性食物せんいが不足しやすいため、とくに意識して摂取する必要があるでしょう。
栄養バランスを整えよう
健康を維持し、体内の活動がスムーズにいくには栄養バランスが整っていることが大切です。しかし、現代人は添加物が多い食品を摂る人が多くなっています。新型栄養失調とも言われている人が目立ちます。タケノコはせんいが多い食品ですが、せんいを摂り過ぎても体の不調の原因にもなります。
栄養は多すぎても少なすぎても、健康の保持や増進には好ましくありません。
桶に水を溜める場合、どんなに水を入れても一番短い板のところまでしか水は溜まらず、それ以上は溢れてしまいます。これと同じ原理で、何か一つ足りない栄養素があると健康レベルもその水準になり、体の不調が生じてきます。
腸内環境を強化しよう
昔から「元気の元は胃腸から」と言われています。生活習慣病の9割は腸内環境の悪化が原因と言われています。腸内には善玉菌と悪玉菌、日和見菌が棲みついています。
これらの3種類のバランスがとても重要でそれぞれ善玉菌2割、悪玉菌1割、日和見菌7割の割合が理想的です。現代人はこの腸内善玉菌が非常に少なくなっています。食生活の変化、ストレスなどで腸内悪玉菌が優勢になっているようです。
従って免疫力をはじめ様々な病気が蔓延しています。下痢などは本格的な病気になるサインかもしれません。腸内環境を良好にし、下痢の改善に努めましょう。