下痢の原因・生鶏肉を洗う

下痢の原因・生鶏肉を洗うと下痢になる

下痢の原因は調理前に鶏肉を洗うことで下痢になる事があるようです。
欧米では「鶏肉を洗わないで」と啓発に熱心です。

日本ではこのような啓発は見られませんが、欧米ではなぜ鶏肉を洗うことが下痢の原因となるのでしょうか。


下痢の原因は鶏肉を調理前に洗う習慣

欧米では鶏肉を洗うことは家庭では珍しくない習慣となっています。

多くの人が「家族がいつもそうしていたから」「ヌルヌルや血合いが取れる」といった理由で鶏肉を洗っているようです。

2019年、アメリカで調理前の鶏肉を洗う習慣に関する調査が行われました。

ノースカロライナ州に住む300名の住民を対象とし、うち148名には事前に手や調理器具の洗い方、鶏肉をはじめとする生の食品の取り扱いなどに関する情報が送られ、残りの152名は情報を受け取らない状態で、全員に調査用のキッチンで調理をしてもらったようです。

メニューは鶏もも肉料理とグリーンサラダ。

鶏肉には、病原性を持たない調査用の大腸菌の一種が付着させてありました。

下記のグラフはアンケートのその結果です。

洗う理由は「習慣」「家族がいつもそうしていたから」が半数近く、習慣化しています。

家族から「鶏肉は洗ってきれいにしてから調理するもの」と教えられ、実行してきているようです。

鶏肉を洗わないほうが、菌の付着を防げる

では、鶏肉は実際に洗うことで衛生的になっているのでしょうか?

鶏肉を洗った場合と洗わなかった場合、調査用に付着させた大腸菌が調理後に周囲の環境にどの程度残っているか調べた結果は次の様な結果が出ました。

鶏肉を洗うと約60パーセントのケースでさまざまな場所に大腸菌が残っていました。

調理台に置かれていたスパイス容器に付着していたケースが約6パーセント、グリーンサラダのレタスに付着していたケースが約26パーセントでした。

一方で、鶏肉を洗わなかった場合、流しを清掃した後の大腸菌の付着は約5パーセント、スパイス容器への付着は約5パーセント、レタスへの付着は約20パーセントとなった。

鶏肉を洗わない場合、調理台の周囲や、キッチンカウンターに置いてあった他の食品に菌が付着する可能性をかなり減らせることがうかがえます。

ただし、調理中の手の洗い方が不十分な人もおり、手から菌を移してしまうケースもあるようようです。

「生の鶏肉は洗わないのがベスト」だと、米農務省が食中毒にならないよう注意喚起しています。
米政府がこの習慣を問題にしているのが伺われます。

調理の順番が食中毒による下痢のリスクを下げる

今回使われた大腸菌は、調査目的の病原性を持たないものですが、これが、下痢や腹痛、発熱、嘔吐、頭痛などの食中毒症状を起こすカンピロバクターだった場合は危険です。

ただし熱に弱く、しっかり加熱すればカンピロバクター食中毒は防げます。

しかし、ギラン・バレー症候群につながることもあるカンピロバクターは、ニワトリやウシを始めとする家禽や家畜が多く持っており、数百個程度と比較的少ない菌の数でも人間への感染が起きます。

カンピロバクターによる食中毒は、症状そのものは重篤ではありませんが、まれに発症する合併症のギラン・バレー症候群は様々な神経症状をきたす神経障害であり、生涯にわたる後遺症や死亡例もあるため、十分な予防対策が求められています。

日本の場合では、鶏刺し、鶏たたき、鶏わさといった生食をやめる、十分に加熱調理するといった啓発が中心で、「鶏肉を洗うな」という注意はあまり見かけませんが、清潔好きな日本人は、やはりヌルヌル、血合いがとれるなどの理由で鶏肉を洗っている人も少なからずおられると思います。

調理前の鶏肉は洗わないで料理しましょう。食中毒による下痢のリスクを出来るだけ少なくしましょう。

なぜ調理前に洗うと下痢を起こす菌が付着するのでしょうか

それは鶏肉を洗う際に飛び散る水しぶきに注意です。

アメリカの調査結果によると、生の鶏肉を洗う際に水しぶきが飛び散り、キッチンの作業スペースや調理器具、また近くに置いている他の食べ物にまで有害なバクテリアが飛び散るため、二次被害、三次被害とどんどん菌が広がるきっかけとなるとのことです。

僅か数百個で発病するので怖いのです。
下記のグラフは発症に必要な大まかな菌数です。

カンピロバクターよりも少ない菌で発症するものもいます。


野菜を洗ったり皮をむいている途中に野菜をシンクに落としてしまうことがありますが、そのまま拾ってしまうと知らず知らずのうちにシンクに付着している菌がその野菜にも移っている可能性が高いと言えます。

一見きれいで清潔そうに見えるシンクでも、ブラックライトを当てると鶏肉を洗った際に飛び散った菌があちこちに付着しているのがよく分かります。

この中に落ちたものを拾ってお皿に戻している…と考えただけで恐ろしい気分になります。

カンピロバクター菌は僅かの菌数で食中毒になるからです。生の鶏肉をお酢やレモンジュースに浸してバクテリアが死滅するといったエビデンスは存在しません。

アメリカでは毎年6人に1人が食中毒の被害で下痢になる

カンピロバクター菌による食中毒はきちんと火の通っていない鶏肉から発見されており、これには毎年130万人が感染しています。

母親が鶏肉を調理前に洗っているのを見ていたから、と自分も同じように鶏肉をキッチンで洗っている方は多いはずです。

しかしその危険性については長い間取り上げられてきませんでした。

これまでにももしかすると食べ物が原因で何かしらに感染していたかもしれませんが、そのことに気づいていないだけの人も多くいるでしょう。
日本でも同じ様な事が起こります。

サルモネラ菌による食中毒では毎年およそ4800万人、なんと6人に1人が食中毒にかかっているという統計を発表しています。

多くが下痢をしたり、発熱、胃の調子に不具合が出た後に体調は回復していますが、毎年400名近くがサルモネラ菌で命を落としています。

生の鶏肉からの感染では毎年アメリカで100人近くが感染しています。

これまでも医者にかかったほどの重症にはなったことがないし、と今回の警告を軽視する方もいるかもしれませんが、特に子どもやお年寄りは免疫がそこまで高くないことから食中毒のリスクは健康な成人よりも高く危険です。

今一度、台所に立つ人には正しい生肉の扱い方を学び直す必要があるかもしれません。

下痢にならないために生肉を扱う際に気をつけること

また鶏肉だけではなく、牛、豚など生肉全般などにも表面にバクテリアが潜んでいる可能性は高いため、家庭で生の肉を扱う際には、必ず以下の注意事項を実践しましょう。

①食材を扱う前と後には必ず入念な手洗いを。水またはお湯と石鹸で20秒間しっかりと手を洗い、ペーパータオルで拭いた後、そのペーパータオルは捨てる。

②食材の下ごしらえをする前と後は、キッチンシンクやカウンターをしっかりと除菌する。

③肉だけを扱う充分なスペースを確保する。近くにその他の食材や食事に使うお皿や箸、スプーンフォークなどを決して置かない。

④肉用のサーモメーター(温度計)で中まできちんと火が通っているか確認する、推奨は 74℃前後。

⑤生の肉を扱うまな板とその他の食材を扱うまな板は分ける。

⑥肉を調理する前は鮮度を確認する。見た目、匂い、また実際に触ってみて、調理をして食べても安全かどうかをしっかりと自分の目で確かめる

下痢などこんな症状が出たらすぐに受診を

また、実際に食中毒に感染した際には以下の症状が発症する可能性があります。

もし生の肉を扱った、食べた後でいくつか疑わしい症状が現れたらすぐに病院で医師に相談しましょう。

特に5歳以下の子ども、また65歳以上のお年寄り、また妊娠中の方は特に注意が必要です。

・高熱(39度近い高熱の場合)
・下痢が3日以上続いてもよくならない
・血便
・長く続くおう吐
・脱水症状のサイン(尿が少ない、喉や口の乾燥、立ち上がった際のめまい)

ちょっとくらいなら大丈夫、とその油断が大きな感染に広がる可能性があります。

自分自身と自分の大切な家族を守るためにも、今一度家庭での生肉の取り扱い方を見直し、正しい知識で美味しく食事を楽しみましょう。

カンピロバクター食中毒の特徴

日本ではカンピロバクター食中毒の多くは、鶏刺しやたたきなどの生や加熱不十分な鶏肉を食べたことによるもの、鶏肉を調理する過程で、使用した調理器具から他の食材へ移る二次汚染によるものと考えられています。

カンピロバクターは鶏の消化管内に住んでいますが、保菌をしていても鶏の健康には問題がないため、通常の鶏と同じように出荷されます。5割以上という高い保菌率があるとされ、市場に並んでいる鶏肉の調査でも、3~5割ほどの汚染率であったという報告があります。

少ない菌でも下痢になるから怖い!

カンピロバクターは腸炎ビブリオやサルモネラと異なり、少ない細菌数でも食中毒が起こりやすいという特徴があり、これがカンピロバクターによる食中毒が減らない理由となっています。

細菌性食中毒の多くは、汚染した食品を放置したり、温度管理ができずに細菌が増殖し、それを食べたことで発症するのに対し、カンピロバクター食中毒は付着した食品や料理をすぐに食べても発症の危険性があります。

生の鶏肉を洗うと他の食品などに飛び散る可能性が大いにあります。僅かな菌でも発症するところが怖いです。

新鮮ほど危険

鶏刺しなど生の鶏肉を食べてカンピロバクター食中毒、という事故が繰り返されていますが、調理した人のコメントとしてよくきかれるのが「新鮮だから大丈夫だと思った」という誤った判断です。

カンピロバクターは解体の途中で鶏肉に付着することが考えられますが、元々腸内に住む細菌であるため、高温、低酸素の環境を好みます。

酸素の多い肉の表面は最適な環境でないため、流通し保存をしている間に細菌数は減少していく傾向にあります。

新鮮な食材ほど安全というイメージがありますが、カンピロバクターについては、新鮮さはむしろ危険ともいえます。

また、生食が可能なカンピロバクターが付着していない安全な鶏肉は一般には流通していないとも考えて下さい。

食中毒下痢を予防するためには

①カンピロバクターは熱に弱いため、鶏や食肉は中心までしっかりと加熱する

②湯引き程度の加熱では死滅しないので、生食や加熱不十分な鶏肉(牛や豚も)は絶対に避ける

③肉に付着しているカンピロバクターを広げないよう、肉は洗わない

④肉を使用するまな板と他の食材を切るまな板は分ける、またはまな板に使用後は熱湯をかける

⑤鶏肉を扱った手指や箸などの調理器具(トングなど)は他のものを扱う前に必ず洗う

⑥より安全を目指すなら、使い捨て手袋を使用する

⑦鶏肉の発泡トレーは、一度ポリ袋に入れて、必ず調理後に洗い、乾燥して捨てる
 トレーにはカンピロバクター菌がついているものとして考え、トレーを水洗いするのは鶏肉を水洗いするのと同じぐらい危険な行為

生鶏肉利用のまとめ

毎年発生するカンピロバクター食中毒を予防するには、生の鶏肉や加熱不十分な鶏肉は食べない、食べさせない、を徹底しましょう。

二次汚染を防ぐ為には調理前の鶏肉や鶏を包装していた発泡トレーの水洗いにも気を配る必要があります。

腸内環境を整えよう

「元気の元は胃腸から」と昔から言われています。腸は有害菌を排除する重要な役割もします。

ですから食中毒菌が体内に入ってきても腸内環境が良好であれば、腸内で正常な働きが出来ますので、スムーズに有害菌が排除されます。

まずは腸内環境をしっかり整えましょう。

下痢の改善も一段と早くなります。腸内環境を整えるサプリメントがありますので、上手に利用しましょう。