下痢の原因・ノロと勘違いする危険な下痢・吐き気・腹痛
冬の季節は激しい下痢と嘔吐に悩まされるノロウイルスが流行します。
しかしノロ感染と誤解してしまい、我慢してはダメな下痢があります。
ではどんな病気でしょうか?
ノロと勘違いする下痢・嘔吐
ノロウイルスをはじめとしたウイルスの感染によって起こるウイルス性胃腸炎は吐き気や腹痛に加え、激しい下痢が起こりますが、ウイルス菌が体内から出てしまえば、放っておいても自然に治る病気なのであわてることはありません。
しかし時には、ウイルス性胃腸炎とは似ているが、ウイルス性胃腸炎ではない病気ということもあります。
ノロウイルスなどで起こるウイルス性胃腸炎は抗菌薬はウイルスに効きません。
対症療法は症状を緩和するだけなので、あえて医療機関を受診する必要はありません。
特に「下痢・吐き気・腹痛」の3症状と、水っぽい下痢が出るときはウイルス性胃腸炎の可能性が高いのですが、ノロウイルスなどのウイルス性胃腸炎に見えても、医療機関に行った方がいいケースもあります。
ときには深刻な病気が隠れていることがあるのです。ではどんな場合でしょうか。
具体的に見てみましょう。
目次
1)下痢便に黒色・血がついている 2)下痢と吐き気が24時間以上続く 3)はじめ嘔吐下痢、やがて右の下腹が痛くなる 4)下痢嘔吐に加え振動や席で腹痛がひどくなる 5)突然ピンポイントの腹痛 6)頻繁な下痢、血便を繰り返す ・まとめ ・腸内環境を整えよう
(1)下痢便に黒色・血がついている
下痢はウイルス性胃腸炎の代表的な症状ですが、その「色」には注意して下さい。血が混じっている便や真っ黒な便が出ている場合、軽く考えてはいけません。
消化管から出血している可能性が高いからです。
はっきりと血の色が見える鮮血便は小腸や大腸からの出血です。
黒い便は胃や十二指腸など上部の消化管から出血していると起こります。
これは血液が降りてくる間に長時間胃酸や酵素、腸内細菌などに触れることで黒くなるのです。
どちらにしても、血便と思われる場合は、消化管から出血している可能性が高いので、ただのウイルス性胃腸炎ではありませんから、すぐに受診してください。
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(2)下痢はなく吐き気だけが24時間以上続いている
ウイルス性胃腸炎の特徴は「下痢・吐き気・腹痛」の三つの症状が起こります。
中でも吐き気は真っ先に表れる症状で、続いて下痢が起こります。これがウイルス性胃腸炎であれば、通常、吐き気は24時間程度でピークを超えて治まってきます。
したがって24時間以上たっても吐き気だけで、下痢を伴わない場合はウイルス性胃腸炎ではない場合があります。
下痢がなく、吐き気だけの場合は脳梗塞や脳出血、くも膜下出血といった脳血管障害の時があります。
ただし、女性の場合は妊娠ということも意外にあります。
食事をした後でもないのに、血が混じるほど強い嘔吐に続き、頭痛を伴うという場合はさらに脳血管障害の可能性が高くなります。
急性虫垂炎は右の下腹部の痛みが特徴ですが、最初は吐き気とみぞおちの痛みが見られます。
また、心筋梗塞では下痢はなく胸の痛みを伴う吐き気が見られますが、心臓の下のほうは胃に近いため、胃の痛みと間違われることがあり注意が必要です。
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(3)初めに嘔吐や下痢になり、やがて右の下腹部が痛くなる
ウイルス性胃腸炎と間違われやすい病気に「虫垂炎」があります。
虫垂炎とは、大腸の一部である盲腸の虫垂に炎症が生じている状態です。
一般的に「盲腸」と呼ばれることも多い病気です。
小児から高齢者まで、幅広い年齢層において発症することのある、頻度の高い病気のひとつです。
その場合、虫垂がある右の下腹部に強い痛みを感じます。
虫垂炎は、初期には吐き気も感じるし、食欲不振や下痢をすることもあります。
おなか全体が痛くなり、腹痛が出てから12時間くらいすると右下腹部にピンポイントで痛みを感じるようになります。
痛みをそのままにしておくと、次第に炎症が腹膜に広がり、高熱が出たり、痛みのために歩行困難にもなったりします。
虫垂炎は、炎症が進行して重症化すると虫垂壁が破れる「穿孔せんこう性虫垂炎」に至ります。
右下腹部に痛みが出てきたら、こじらせる前に受診しよう。
虫垂炎はありふれた病気ですが、気付かずにそのままにしておくと重篤になってしまうことが多く見られます。
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(4)下痢や嘔吐はなく歩行時の振動や咳で腹痛がひどくなる
歩くときの振動や咳によって腹痛がひどくなる場合、「腹膜炎」を起こしている可能性があります。
腹膜炎とは腹膜が細菌に感染して炎症を起こした
状態で、消化管に穴が開くことや、虫垂炎などが原因で引き起こされます。
腹膜炎はちょっとした振動がおなかに響き、腹痛がひどくなるのが特徴です。
これは炎症の程度がかなり強いことを示していて、通常のウイルス性胃腸炎ならこのような症状は表れません。
放っておくと命にかかわりますので、すぐに受診しましょう。
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(5)下痢、嘔吐もなく突然、またはピンポイントの腹痛
腹痛の中でも、突然強い腹痛が始まったときは危険です。突然の腹痛は、詰まった、ねじれた、破れた、といった可能性が考えられます。
まず、「詰まった」というのは胆石や尿管結石が尿管や胆管に詰まる、あるいは血管が詰まるなどが考えられます。
「ねじれた」は腸捻転のことで、放っておくとねじれた部分が壊死してしまいます。
「破れた」は胃潰瘍穿孔や大腸穿孔のように消化管に穴が開くこともあるし、大動脈瘤破裂のように血管が破ける場合もあります。
「詰まった」、「ねじれた」、「破れた」などはいずれも医療機関での処置が必要ですので、決して放置してはいけません。すぐに病院へ行きましょう。
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(6)頻繁な下痢、血便を繰り返すと心拍数や血圧に変化が見られる腹痛は危険
腹痛に加え、心拍数や収縮期血圧(最高血圧)に変化が見られたら内臓のどこかが破れて出血している可能性が高いです。頻繁な下痢や消化管出血を繰り返し、黒色便の事があります。
低血圧の人にしばしば見られる現象として、心拍数が120未満で、収縮期血圧より高くなっているのは異常事態です。
例えば心拍数が110、収縮期血圧が100の場合などは「バイタルの逆転」と呼ばれ、同じく内臓が出血している可能性が高いのです。
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まとめ
以上が放置するべきではない「危険な下痢・吐き気・腹痛」の主な症状です。
このような症状が見られたら、手遅れにならないうちにすぐに医療機関に行きましょう。
ここまではっきりしなくても、「大丈夫だろうか?」と心配になり、受診すべきかどうか判断がつかないときは薬局・ドラッグストアの薬剤師に相談してみるのも一つの方法かもしれません。
いづれも自分で判断してはいけません。たとえ小さなサインでも見逃さないようにしましょう。
早期治療は重篤な病気から回避できます。
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腸内環境を整えよう
「元気の元は胃腸から」と昔から言われています。
腸が元気であれば生活習慣病の9割は予防できますので、いかに腸内環境を整えておくことが重要なことかがわかります。
免疫細胞の7割近くは腸内にあります。
新型コロナウイルス、インフルエンザウイルスなどを予防するには腸内の免疫力で予防するのが最もふさわしいのです。
特効薬がない場合は特にそうです。
自分の体は自分で守るしかありません。
腸内環境を整え、免疫力を強化するサプリメントがありますので上手に利用しましょう。
下痢の改善は意外と早く出来ます。