小児の慢性下痢①

下痢の原因・小児の慢性下痢①

小児の下痢の原因は様々です。下痢の原因は、急性下痢と、慢性下痢とでは少し異なります。

下痢が続くと、成長に欠かせない栄養素が十分に吸収できないのではないかと、親は心配になります。今回は慢性的な小児の下痢の原因について考えてみましょう。

小児の持続性(慢性的)下痢の原因

持続性下痢の原因は、吸収不良症候群や反復性軽症下痢、腸炎後症候群などが挙げられます。

①吸収不良症候群
吸収不良症候群は流行性の胃腸炎にかかった後に、おなかの調子が良くならなくて、ダラダラと下痢が続いたりします。食物のさまざまな栄養素の吸収が阻害された状態を言います。

障害の期間や適度によっては低栄養状態になる事もありますので、放置せずにきちんと対処することが大切です。

吸収不良症候群には、栄養素の吸収過程自体の異常を原因とする、炎症・手術・腫瘍によって腸粘膜に異常がある続発性吸収不良症候群原発性吸収不良症候群との2つがあります。小児によくみられるのが、続発性吸収不良症候群です。

●下痢の原因は続発性吸収不良症候群

続発性消化不良症候群はロタウイルスやノロウイルスといったウイルス感染による胃腸炎で一過的にひどい腹痛や下痢に見舞われて、小腸の粘膜が傷つくことがあります。

傷ついた小腸は、食物の消化・吸収が十分にできずに、結果、下痢や腹痛といった症状を引き起こします。

なかでも、急性の下痢に続き、だらだらと下痢が続くときには「二次乳糖不耐症」の可能性があります。
これは、小腸の損傷によって、一時的に乳糖の消化能力が低下することで起こります。

二次乳糖不耐症かどうかは、簡単な便の検査でわかりますが、この病気を疑われる病状経過を辿っていたり、軟便~下痢便で酸っぱい臭いのときには、以下の通りに食事を変えてみましょう。

*乳児なら、乳糖(ラクト)を含まないミルクを使用
*完全母乳の赤ちゃんならばそのまま母乳
*離乳食期なら、乳製品を一時的に休止

二次乳糖不耐症ならば、急速に改善していきます。この病気は、1~2週間で自然に回復していくので、薬などは必要ありません。

*こんな症状の時は注意しましょう。

食生活は健全な状態なのに慢性的な下痢で、体重の減少がある時は一度医療機関に受診しましょう。栄養吸収が十分に出来ていなくて、全ての栄養素の欠乏症を引き起こしているかもしれません。

たんぱく質、糖類、脂肪、ビタミン、ミネラル類など、どれも健やかな成長には欠かせないものばかりです。欠乏している栄養素によって、身体の症状は異なります。

例えば、
*脂肪が不足した時
脂肪の吸収が不良の時には、脂肪便と呼ばれる油が浮いたような便になります。ドロッとしてツヤがあ り、水に浮くのが特徴的です。便器に付いて流れにくいこともあります。

*たんぱく質が不足した時
たんぱく質不足の時には、全身のむくみ、皮膚の乾燥などがみられます。ビタミンA不足のときには、夜盲症になります。

*鉄や葉酸不足した時
鉄や葉酸が不足すると、貧血・疲労が見られます。

こうした症状は栄養不足によるほんの一例です。身体からのシグナルを出していますので、すぐさま対処しましょう。

●下痢の原因は原発性吸収不良症候群

原発性吸収不良症候群は、もともと小腸の粘膜自体に問題があって、食べた物の栄養分の消化吸収が障害された状態です。

こうした小児は障害の程度や持続時間によって、全身の栄養状態が悪くなり、いわゆる栄養失調などを起こしてきます。この原発性吸収不良症候群には、グルテン腸症と牛乳不耐症とがあります。

*グルテン腸症
グルテン腸症は、小麦の蛋白質のグルテンに対する遺伝性の不耐症です。グルテンを含んだ食品を摂取すると、グルテンの分解ができず、腸管免疫システムがそれを異物と認識して過剰に働くことで、産生された抗体が小腸の絨毛(じゅうもう)を攻撃し、慢性的な炎症が起こります。

この炎症によって、上皮細胞が変性したり、絨毛が委縮して、その突起が平坦(へいたん)になったりします。その結果、平坦になった小腸粘膜は糖、カルシウム、ビタミンB群などの栄養素の吸収不良を起こし、

小腸がしっかり機能しなくなることで、様々な症状が出てきます。しかし、グルテンを含んだ食品の摂取をやめると、正常な小腸粘膜のブラシ状の表面とその機能は回復します。

グルテン過敏性腸炎、グルテン腸症候群、グルテン不耐症、スプルー、セリアック病、セリアックスプルーなどとも呼ばれます。

*グルテン腸症が小児時代に発生する場合
小児のころに発症する場合は、グルテンを含む食品を食べるまでは症状が現れません。通常、パンやビスケット、うどんなどによってグルテンを摂取するようになる2歳から3歳の時に発症します。

子供によって、軽い胃の不調を経験する程度から、痛みを伴って腹部が膨張し、便の色が薄くなり、異臭がして量が多くなる脂肪便を起こすこともあります。大人になってから発症すると下痢や栄養失調、体重減少が起こります。

*牛乳不耐症
牛乳不耐症は、小腸粘膜にある乳糖分解酵素、ラクターゼがなかったり、少量しか産生されないために、牛乳や乳製品などの乳糖を含む食物を摂取すると、腹痛、腹鳴、腹部膨満感、水様性下痢を生じるものです。乳糖不耐症とも呼ばれます。

牛乳不耐症は緊張や不安などのストレスが原因で起こる過敏性腸症候群と似ていますが、牛乳を温めて飲んでも、それを分解する酵素がないので、吸収されず、下痢などを生じます。飲まなければ治ります。

腸内環境を強化しよう

「元気の元は胃腸から」と昔からよく言われています。小児の時から胃腸を丈夫にしておくことはとても大切です。生活習慣の9割りは腸内に問題があると言われていますので、何よりも腸内環境を整えることが病気予防となり下痢の改善にも大いに役立ちます。

腸内環境を整えるサプリメントがありますので上手に利用しましょう。