下痢の原因・秋に増える嘔吐下痢

下痢の原因・秋に増える嘔吐下痢症

秋になり、夏の暑さが嘘のように感じ、心地よい季節です。今年は夏の酷暑で夏バテに悩んだ子供達も多かったのではないでしょうか。ただ夏以上に気を付けたいのが秋の体調不良です。

これからは気温がグッと低くなり、病気になりやすい季節でもあります。特にこの時期気を付けたいのが「嘔吐下痢症」です。この嘔吐下痢症はどうしたら防げるのでしょうか?ご一緒に考えてみましょう。

嘔吐下痢の原因

秋から冬にかけ、主に11月~12月に流行するのが下痢嘔吐症です。お腹の中に菌が侵入することで、嘔吐と下痢を繰り返す病気です。主にノロウイルスが原因で引き起こします。

🔷ひどい嘔吐下痢 ノロウィルス食中毒

ノロウイルスに汚染された食品を摂取する事で感染をし、下痢や嘔吐の症状を起こすのが食中毒です。

以前は、ノロウイルスに汚染されている食材として、2枚貝の牡蠣が言われていましたが、原因を分析すると二枚貝が原因の食中毒は少なく、私たちヒトから食材が汚染される二次汚染によるものが多いとの事です。

下記のグラフはノロウイルスによる食中毒の患者数推移です。

■下痢を伴うノロウイルス感染性胃腸炎

ノロウイルスに汚染した食品以外の原因で、発症したものを感染性胃腸炎と言います。

ノロウイルス感染性胃腸炎もノロウイルス食中毒同様にノロウイルスが体内に侵入して下痢や嘔吐の症状が現れます。しかし、ノロウイルスに汚染された食品を摂取せず発症したものを言います。

ノロウイルスは、非常に少量でも感染力が非常に強いものです。ノロウイルス患者が嘔吐や下痢をした際に付近が汚染し、消毒をしなければ約1ヶ月程度は不活化せずにいる事がわかっています。

その為、汚染された場所だと知らずに触れて指や手が汚染された状態でその指から口に入ったものが感染原因の大部分です。

ノロウイルスはインフルエンザみたいな空気感染の可能性は低いですが、下痢や嘔吐などノロウイルスを大量に含む汚物が乾燥し、その汚物が風などであおられ埃として気管や口に入る粉塵感染や飛沫感染の可能性は否定しきれないです。

ですので、外出から帰ってきた時、食事をする時、トイレを済ませた後はしっかり手洗いをする事が重要です。

🔷ノロウイルス食中毒もノロウイルス感染性胃腸炎の症状は同じ

ノロウイルスによる食中毒と感染性胃腸炎は、感染ルートの違いだけであり症状や回復するまでの期間に違いはありません。

ノロウイルスに感染すると急に嘔吐が始まり、その後下痢になります。数日間は激しい下痢や嘔吐の症状で苦しみますが体外に排出されると激しい下痢や嘔吐の症状も回復します。

ノロウイルスに感染しても治療薬はなく、自宅で安静して回復を待つ事しかできません。

そのため市販されている下痢止め薬などを服用する事は、ノロウイルスを排出するのを遅らせ症状を長引かせる原因になります。自身の判断で勝手に薬を服用する事はおすすめできません。

便や吐いたものから感染しますが、実はきちんと吐物を処理しないと、ウイルスが乾燥し空気感染することもあるのです。

また下痢が落ち着いても治ったと判断してはいけません。下痢が落ち着いた後、1週間は便にウイルスが潜んでいるのです。

急性下痢にならない為の予防法

ノロウイルス食中毒、ノロウイルス感染性胃腸炎の予防
ノロウイルスによる食中毒も感染性胃腸炎も基本的な予防方法は同じです。少量でも体内に侵入すると爆発的に増殖し下痢や嘔吐の症状があらわれます。

インフルエンザみたいなワクチンが開発されておらず、予防方法が無いことから注意しましょう。

①ノロウイルスを手指に付けない・・、手洗いは最も重要な基本的な予防方法、習慣づけましょう。

②食品の十分な加熱・・カキなどの二枚貝を調理するときは、中心部まで十分に加熱してください。

③便、嘔吐物の適切な処理・・嘔吐した場合は、口をよくすすぎ、使用した洗面器や流しなどは直ちに洗浄、次亜塩素酸ナトリウム水溶液で消毒して下さい。
 マスクや手袋の着用(素手で触れない)をしてペーパータオル等で拭き取る。拭き取ったペーパータオル等は、ビニール袋に入れ、消毒・密封して廃棄しましょう。

④トイレは清潔に使用・・症状が治まっても数日は便からノロウイルスを排出します。トイレは清潔に使用し、使用後は手洗いの徹底等の防止に注意して下さい。

④体力回復に努める・・下痢や嘔吐の症状がある時は、できるだけ学校や仕事を休み体力の回復に努めてください。

腸内環境を強化しよう

腸は健康を左右するほど重要な臓器です。腸内では様々な機能が行なわれています。食生活の変化や、生活環境の変化など、腸はさまざまなストレスの影響を受けています。

ヒトの腸管には主に大腸には約1000種類、100兆個にも及ぶ腸内細菌(腸内フローラとよばれる)が生息しています。ヒトの腸内細菌は、善玉菌と悪玉菌、そのどちらでもない中間の菌・日和見菌と、大きく分けて3グループで構成されています。

これらの菌は互いに密接な関係を持ち、複雑にバランスをとっています。腸内細菌の中で一番数が多い菌は中間の菌で、次に善玉菌が多く、悪玉菌は少数です。その割合は善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7です。

●人それぞれ違う腸内フローラ
腸内フローラは、生まれたときの環境などにより、そのヒト独自のフローラができあがると言われています。腸内は母体にいる状態では無菌ですが、出生と同時に産道や空気、周りの人間の肌の接触などによって細菌が侵入します。

そして成長とともにその人独自のバランスでフローラが出来上がります。しかし加齢とともにそのバランスは崩れてゆきます。ですから、腸内細菌の種類は個人、個人によって違います。さらに食事・在住国などの要因によっても異なるとされています。

また、菌の数は年齢によって増減はあるものの、菌の種類は一生を通じてほとんど変わらないことも報告されています。例えば抗生物質の飲用や食中毒では腸内細菌は大きく変動しますが、時間の経過とともに元に戻るとの報告があります。

●増えすぎては困る悪玉菌

悪玉菌は、たんぱく質や脂質が中心の食事・不規則な生活・各種のストレス・便秘などが原因で腸内に増えてきます。腸内細菌は肥満、糖尿病、大腸がん、動脈硬化症、炎症性腸疾患などの疾患と密接な関係があり、これらの患者の腸内細菌は健常者と比べて著しく変化していることが知られています。

●健康を齎す善玉菌
一方、健康的な腸内細菌は、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が優勢であり、その他の菌ができるだけ劣勢である状態です。善玉菌は乳酸や酢酸などを作り、腸内を酸性にすることによって、悪玉菌の増殖を抑えて腸の運動を活発にし、食中毒菌や病原菌による感染の予防や、発がん性をもつ腐敗産物の産生を抑制する腸内環境を作ります。

また善玉菌は腸内でビタミン(B1・B2・B6・B12・K・ニコチン酸・葉酸)を産生します。さらに善玉菌の体を構成する物質には、体の免疫力を高め、血清コレステロールを低下させる効果も報告されています。

●多い方へ味方する日和見菌
腸内に生息する細菌の7割程度が日和見菌ですが、単独では体に何の影響も与えないと言われていましたが、実は非常に厄介なんです。何とこの日和見菌は、悪玉菌が腸内で優勢になりはじめると悪玉菌的な作用を働くようになり、逆に善玉菌が腸内で優勢になり始めると善玉菌的な作用を働きます。

と言う事は、10割の内の7割が日和見菌だとすると、残りの3割で善玉菌と悪玉菌が争いをし、勝った方が7割の大軍勢である日和見菌を味方に出来ると言う事です。これは何としても善玉菌優勢の腸内環境を作らなければいけません!

●菌のバランスがとれていると腸内活動は正常
健康な腸内では乳酸菌のような善玉菌が悪玉菌の増殖を抑えています。こうした善玉菌優勢の状態がいい腸内環境です。逆に悪玉菌が増え、腸内環境が乱れると、下痢・軟便や便秘を起こすことになります。善玉菌と悪玉菌のバランスはストレスや、加齢などでも変化します。

腸には栄養素の消化吸収を行なうだけでなく、免疫機能や自律神経を整える作用あります。また幸せホルモンを作るなど私達の感情を司るものを作るところでもあります。慢性的な下痢の方あるいは体の不調の方は腸内細菌のバランス悪くなっている方が多いのです。

同じ食べ物を食べて、食中毒に罹って発病する人は腸内細菌のバランスが崩れ、免疫力が低下しているからと言われています。腸内細菌のバランスがとれてい人は病気に、下痢になりにくいのです。

●元気の元は胃腸から
元気の元は胃腸からと昔から言われています。胃腸が丈夫であれば、口から有害菌などが入ってきても腸内で適切に処理され、病気にならないで済むことが大いにあります。下痢の予防や下痢の改善には腸内環境を整えることが最も重要です。

腸内環境を整えるサプリメントがありますので、上手に利用しましょう。下痢の改善の早道です。