下痢の原因は多種多様です。細菌性から来る下痢、食べ物などから来る食習慣、精神的なものから来るストレス、身体の機能低下による下痢など、様々な下痢の原因が挙げられます。
身体機能の低下の場合、お腹や腰が冷えると腹痛を起こしたりお腹を下してしまう、という生理現象があります。どうしておなかが冷えると痛くなったり緩んで下したりしてしまうのでしょうか?
下痢の原因はおなかの冷えからくる
例えば、悪いものを食べたり、感染症を起こすような細菌に感染した場合、それを体外に排出するために下痢になることがあります。このことは一般に広く信じられていますし、信じるに足る説得力があります。
「お腹が冷える」と「お腹を下す」理由として、一般的には、「冷えると自律神経が乱れて腸の異常収縮が起こり、下痢になる」と説明されています。
自律神経の乱れ!原因不明の腹痛や下痢でお悩みの方はよくきく言葉ではないでしょうか? 原因不明な生理現象の理由として、これ以上便利なものはありません。
要するに、「刺激を受けると身体がバカになってイカレてしまう」と言うわけです。しかし、それは本当でしょうか? 体はそんなに簡単に狂ってしまうものなのでしょうか?
冷えからくる下痢の原因
あなたの身体は、あなた自身の生命を守ろうとします。このことは、公理(自明の前提)であると考えて良いのではないかと思います。
ならば、「お腹を下す」ことは「お腹が冷える」という状況から生命を守るため身体が反応した結果である、と考えるのが本当でしょう。
下痢により排出される水分は血液からもたらされます。そして血液から水分を排出した結果、「末梢(手先、足先)への体熱の移動を抑制して体幹部の熱を逃がしにくく」かつ「熱容量を下げて体温を素早く上げられるように」なります。
つまり、急激な冷えに接した緊急事態においては熱を逃がしてしまう手や足への血の巡りを敢えてストップしてしまい、お腹周りの最も大事な部分だけを確実に温めようとしていると考えてみましょう。
冷えるとおしっこが近くなるのも、水分の体外排出という同じ理由によるものと思われます。
実際、下痢した時に手先足先が冷えていること感じている方もおられるようです。
体内から水を捨て、血の巡りを“あえて”抑制することで熱が逃げてしまうことを防ぐ。そうした見立てと末端の冷えの感覚は合致します。
なお汗による水分の排泄には「体熱を奪って身体を冷やす」という大きな効果を伴うため、体が冷えを感じた際の水分排出経路としては不適切のようです。
平常時の水分排出は、主に汗と尿を通じて行われます。これらの経路は排出に特化しており、とても効率的に出来上がっています。反対に、大腸は腸内要物の水分の吸収を生業としていますので、排出を行う器官としては非効率的でエネルギー損失が大きいと考えられます。
ただし、「お腹が冷える」と言う状況において身体はお腹を温めようとしますので、非効率的な水分排出を行う大腸はエネルギーを大量に使う発熱機関として利用されることになります。
あるいは、酸塩基反応(酸アルカリ反応)などの化学反応により水と同時に熱(中和熱)を産生しているのかもしれません。酸性の胃液と、アルカリ性の腸液を混ぜ合わせると、水と熱(と塩)が発生し、下痢として排出される…みたいな。
温めるべきところ(体幹部、体の中心部)で熱を生み出す。熱の移動や放散によるロスが最小限になることを考えれば、これほど理に適ったことはありません。
熱産生の結果として便に水が混じるのも、また平常時の体熱産生に寄与していると言われる腸内細菌叢を洗い流すことになろうとも、生命維持と引き換えなら安い物です。
また、こうした冷えからくる下痢のときの辛い腹痛は、腸の急激なぜんどう運動によるものです。この原因として考えられるのも熱の産生です。
平常時の体熱産生を担うのは骨格筋(運動時に使用される筋肉)だと言われます。しかし、上記のように水分を体外へ排出した場合、震えるなどして手足で熱を産生しても上手く体幹部を温めることができません。
脚の筋肉が熱を生み出しても、血が巡っていないため身体は温まらないのです。
ならば体幹部で熱を産生しているのでは?と考えてみると、その任を担えそうなのは下腹部に収まる腸管(小腸、大腸)です。腸は平滑筋の組織ですが、これを自律的・無意識的にグイグイと動かして熱を産生しているのではないかと思われます。
なお、下痢をするほどでもない冷え、通常の寒冷刺激に対しては首や背中にある褐色脂肪細胞(かっしょくしぼうさいぼう)が働き、カラダを温めてくれます。
ある程度時間に余裕があれば、寒冷刺激を受けて褐色脂肪細胞内の代謝が活性化し、脂肪を燃やして熱に換えてくれます。
腸管を熱産生に使うことがあるとすれば、それは身体が出した「非常事態宣言」と捉えるべきでしょう。即効性と警報作用が求められているのだ、ということです。
難しい理屈は抜きにして、冷えに対する身体の反応はこんな感じでしょうか。
1.身体から水分を抜くことで、お腹周りの温度を上昇させやすくする。
2.血液から水分を抜くことで、手先足先から体温が逃げないようにする。
3.水を排出する仕事を行い、熱を生み出す。
4.腸を収縮する運動を行い、熱を生み出す。
5.お腹の痛みにより「けっこうお腹冷えてます」もしくは「もうお腹冷やしちゃだめよ」、と本人に自覚を促す。
以上をまとめると、『「お腹を下す」という現象は、「お腹が冷える」という生命を脅かす状況に対処するため、身体が身体自身を温めるために行う防御反応(の目に見える結果)である』と言えるでしょう。
あなたの身体は、あなたが思っている以上に賢いのです。
したがって冷えてお腹を下した際にあなたがすべきことは下痢止めの薬を服用することではなく、内側から温めようとしてくれているあなたの身体を信頼し、体幹部や首回り、あるいは吐く息から熱が逃げないように衣服や腹巻、ネックウォーマーなどを重ね着したり鼻呼吸を心掛けたりすることです。
時間差で下痢になることもある
冷えによる下痢は、今までみてきたように、基本的にはすぐに症状が出ます。寒いなーと思ったらすぐにお腹が痛くなったり、冷たいところに数分座っただけでお腹を壊したりします。しかし、すぐに症状が出ず、あとになってから下痢になることもあります。
それが冷えによる消化不良です。消化酵素は体温が少しでも低下すると働きがとても悪くなり、消化不良の原因になります。
消化酵素がしっかり働いていないと腸にも負担がかかり、水分を吸収することができなくなります。すると、便中の水分量が増え、下痢や軟便になります。
消化酵素は39度でよく働くようになっています。これは私達がいつものように測っている体温ではなく、体の内部の体温です。
消化不良といえば油っこいものや食べ過ぎなどが原因で起こりやすいですが、冷えでも起こるということを覚えておき、普段から体を冷やさないように注意しましょう。
特に普段から下痢をしやすい人の場合、少しの刺激でもすぐに下痢になってしまうので、寒さ対策をしっかり行うことが大切です。
腸内環境を整えよう
おなかは総ての機能の基本的なところです。食べた物を消化、排出、エネルギ―産出、免疫作用など様々な機能を行なう重要なところです。
下痢の直接の原因は腸内での機能が正常に働かないところからきています。ですので、下痢の改善には腸内環境を強化することが一番の近道です。腸内環境を強化するサプリメントがありますので上手に利用しましょう。