冬に増えるおなかのトラブル:その原因と賢い対処法

寒さが本格的になる冬、急な腹痛や下痢に悩まされる方が増えます。冬の下痢には、冷えや食中毒、さらにはこの季節ならではの食生活が深く関わっています。今回は、冬に起こりやすい下痢の原因とその具体的な対処法、そして健やかな腸内環境を作るための秘訣をご紹介します。

なぜ冬に下痢が起こりやすいのか?

冬に下痢が増える理由は一つではありません。環境の変化食習慣の双方が影響しています。

内臓の冷えと消化機能の低下

まず挙げられるのが「冷え」です。気温が下がると体温調節が難しくなり、特におなかが冷えると血行が悪くなって胃腸の動き(ぜん動運動)が低下してしまいます。また、冷たい飲み物を一気に飲むことも、内臓に直接的な負担をかけ、消化不良や下痢を招く大きな要因となります。

加齢による腸の老化(特に50代以降の場合)

50代前後になると、健康の曲がり角を迎え、腸の筋肉の衰えや下垂が起こりやすくなります。加齢によって腸の動きが鈍くなると、老廃物をうまく運べず、消化不良から下痢を起こしやすくなるのです。冬の寒さは、この衰えた腸の機能にさらなる追い打ちをかけます。

冬の食卓に潜む「意外な下痢の原因」

冬に好まれる食べ物の中には、おなかが弱い人にとって刺激となるものが含まれています。

コンビニおでんと添加物の罠

冬の風物詩であるコンビニおでんですが、注意が必要な側面もあります。具材、特に練り製品を長時間だし汁の中で浮かせておくために、リン酸塩やソルビトールといった添加物が使用されていることが多いからです。特にソルビトールは小腸で吸収されにくく、大量に摂取するとおなかが緩くなり、下痢を引き起こす性質があります。

イチゴの食べ過ぎとキシリトール

冬から春にかけて人気のイチゴ。実はイチゴには、天然の甘味料であるキシリトールが豊富に含まれています。キシリトールは消化吸収されにくい「糖アルコール」の仲間で、大腸の中で水分を引き出す働きがあるため、食べ過ぎると水のような下痢便になることがあります。体質によっては少量でも反応するため、おなかが弱い方は注意しましょう。

年末年始の暴飲暴食と脂質の過剰摂取

冬は会食の機会が多く、パーティーなどで脂っこい料理(ハンバーグや豚の角煮など)を食べる機会も増えます。脂肪分は消化が悪く、胃腸に長くとどまるため、消化機能が落ちている時に過剰摂取すると下痢を招きます。

お正月の「カビたお餅」は厳禁

お正月の鏡餅に生えるカビにも注意が必要です。特にピンクや赤色のカビは、嘔吐や下痢といった激しい食中毒症状を引き起こします。カビは表面を削っても毒素や菌糸が奥まで浸透していることがあり、加熱しても毒素が残るため、カビが生えた餅は決して口にしないでください

下痢の種類と「病院へ行くべきか」の見極め方

下痢にはいくつかのタイプがあり、対処法が異なります。

  1. 浸透圧性下痢: 牛乳やキシリトールの摂り過ぎなどで、腸内に水分が引き出されるもの。
  2. 滲出性下痢: 細菌やウイルスの感染により、腸の粘膜に炎症が起きるもの。
  3. 分泌性下痢: 細菌の毒素などにより、腸内に過剰な水分が分泌されるもの。
  4. 腸管運動異常性下痢: ストレスや過敏性腸症候群など、腸の動きが異常になるもの。

【すぐに病院を受診すべき症状】

*   1時間以内で大量の便が出た。

*   血便が出ている、または高熱を伴う。

*   激しい腹痛や嘔吐がある。

*   3週間以上水下痢が続いている。

こうした症状がひとつ、あるいは複数みられる場合には、下痢ぐらい大したことない…などとは思わず、かかりつけ医に相談しましょう。もしかすると重大な病気が潜んでいる可能性があります。

下痢になった時の正しい対処法

下痢は、体内の有害な物質を外に追い出そうとする「身体の防衛反応」でもあります。ですから、無理に止めないのが基本です。

特にウイルスや食中毒が原因の場合、下痢止めを飲んで無理に止めようとすると、原因物質が体内に長くとどまり、症状が悪化することがあります。まずは悪いものを出し切ることが肝要です。

適切な水分補給と保温

下痢の際は、水分ミネラルが急速に失われ、脱水症状になりやすくなります。回復を早めるためには以下のような点が大切です。

・ぬるめの白湯や番茶を少しずつこまめに飲みましょう。

・経口補水液や薄めたスポーツドリンクも効果的ですが、スポーツドリンクは糖分が多いため摂り過ぎには注意してください。

おなかを温めることも重要です。腹巻や使い捨てカイロを活用して、外側から温めるのも有効な手段です。

回復期の食事

症状が落ち着いてきたら、お粥、うどん、ポタージュスープなどの温かく消化の良いものから食事を始めましょう。一方で、アルコール、コーヒー、刺激の強いスパイス、冷たいものは、腸が完全に回復するまで避けるべきです。

また、胃腸の調子が戻ってきたら、いつまでも消化の良い物ばかり食べるのではなく、普段通りの食事をよく噛んで食べるようにしましょう。ある程度形のある便に戻るには、便を形作る食物せんいなどが必要です。

冬に負けない「強いおなか」を作るには?

慢性的な下痢を予防し、冬でも元気で過ごすためには、根本的な「腸内環境の改善(腸活)」が欠かせません。

腸内環境が全てを左右する

健康な人の腸内には、善玉菌が豊富に存在しています。腸内環境が整っていれば、多少の有害なものが入ってきても、腸内で適切に処理し、下痢を未然に防ぐことができます。逆に環境が悪化していると、少しの刺激でも下痢になりやすくなります。

善玉菌と「納豆菌」の重要性

善玉菌たち

腸内環境を整えるには、乳酸菌などの善玉菌を積極的に摂り入れる必要がありますが、特におすすめなのが「納豆菌」です。

・納豆菌は非常に生命力が強く、「芽胞(がほう)」という殻に包まれた状態で摂取すると、胃酸に負けずに生きたまま腸まで届きます

・腸に届いた納豆菌は、自らが増殖するだけでなく、乳酸菌などの他の善玉菌を増やす手助けもしてくれます。

 

サプリメントの賢い活用

毎日の食事から十分な量の善玉菌を摂取するのは大変なこともあります。特に年齢を重ねて食が細くなっている場合は、サプリメントで栄養を補うのが効率的です。

市販のサプリメントはメーカーによって配合されている菌の種類や量が異なります。まずは試供品などで自分のおなかに合うかどうかを確認し、「自分にぴったりの菌」を常備しておくことが、下痢知らずの生活への第一歩となります。

 

まとめ

冬の下痢は、冷え対策と食事のちょっとした配慮、そして日頃からの腸内環境づくりで十分に予防・改善が可能です。「元気の元は胃腸から」という古くからの言葉通り、おなかを労わる習慣を身につけて、寒い冬を元気に乗り切りましょう。