高齢者の下痢が続く原因

 

若い頃と違い、腹筋の筋力が衰えてくる高齢者は便秘になりがちですが、免疫力の低下などに伴って、下痢になる可能性も高まります。また、回復にも時間がかかるなど、たかが下痢と侮れません。

特に急性の場合は、本人の体調そのものも心配になりますが、要介護者の場合には介護する側の負担も大きくなります。

いざという時のためにも、高齢者が下痢になる原因には、どんなものがあるのか考えてみましょう。

高齢者の下痢の原因

疑われる原因として、細菌やウイルスによる感染症、冷たい物の摂りすぎ、寝冷え、暴飲暴食、人によっては牛乳・乳製品が体に合わないこともあります。

また飲酒、ストレスなどによっても日常的に発生します。加齢と共に消化機能が衰えていることも考えられます。時には意外な疾患が潜んでいることもありますので、以下の病気の可能性も疑ってみましょう。

 

【急性の場合の下痢】

●食中毒やウイルス性腸炎 ●食品アレルギー ●急性腸炎 ●風邪

細菌・ウイルスの感染症ではその多くは発熱や腹痛・嘔吐を伴います。

【慢性の場合の下痢】

●過敏性腸症候群 ●潰瘍性大腸炎 ●糖尿病 ●吸収不良症候群 ●大腸がん ●その他の消化器系疾患

 

高齢者の下痢が続く時に注意すること

  • 水様性の便の場合(形のない水のような下痢)

水様便は急性の感染症の症状として現れます。細菌やウイルス性の感染症によるもので、数日以内で止まる一過性の下痢です。水様性の便が出はじめてから、長くても2週間程度を経過すると治まるのが普通です。

水様便の下痢が長く続くと十分な栄養摂取が出来ないだけでなく、重要なミネラル成分が排出され、激しい場合には脱水症状にもなりやすいため、早めに下痢症状を止めなければなりません。

特に出血のある便は要注意です。出血多量の場合は、貧血を起こしたり、倦怠感が見られることもあります。動悸が激しくなることも。

こうした症状が見られたら、すぐに専門医にかかりましょう。水様性の便が続く時には水分補給がとても重要となります。

  • 軟便の場合(やわらかく泥状の下痢)

軟便の下痢は、急性疾患の症状としてだけでなく、ほかに体の異常がないときにも見られる現象です。水様性の下痢が「病原菌の侵入」に起因するのに対し、軟便は腸内細菌叢の善玉菌たちが元気にたくさん増えた時にも起こる可能性があります

たとえ軟便でも、出すことですっきりとし、残便感がなければ深刻に考える必要はありません。こうした軟便は一日に何回出ても0Kです。特に朝食の後、複数回にわたって軟便が出るという方も多いようですが、特に痛みもなくスッキリしていたら「問題のない軟便」であり、「健康」だと判定して下さい。

また、大便の2/4は腸内細菌、1/4は剥がれ落ちた腸の粘膜細胞、1/4が食物残渣と言われていますので、腸内細菌が増えれば大便の量が増え、軟便が改善されます。軟便では水様性の下痢ほど緊急性や病気の可能性がないため、さほど気にせずに放置して習慣化している人も多く見られます。

一般的に理想的といわれるバナナ状の便は水分量が約60%、軟便は約70%と言われており、意外とわずかな水分量の違いです。軟便は、食事に気をつけるだけで改善する可能性があります。便の水分量を60%に近づけるため、脂っこいものや肉類を過剰に摂取するのを控え、食物繊維の豊富な野菜を欠かさず摂るように心がけるのがおすすめです。

  • 便秘と下痢の繰り返し

高齢になると腸の機能が低下し、便秘がちになります。そうなると下剤を服用することになり今度は下痢気味になります。こうしたことの繰り返しで、腸内環境が悪化し、慢性的な下痢になる場合があります。

あるいは精神的なストレスで、下痢と便秘を繰り返す人もいます。いわゆる過敏性腸症候群で、下痢と便秘が交互に現れ、腹痛・腹部の違和感を伴うこともあります。過敏性腸症候群の下痢の直接的原因は大腸の機能異常によるものですが、その異常は不安・緊張などの精神的ストレスや過労、不規則な生活、暴飲暴食などによる自律神経の異常に起因するとされています。

下痢の際の食事と水分摂取法

下痢の時は急性、慢性に限らず、水分はまめに補給しましょう。体液が失われるため脱水症状になってしまいます。補給するのは人肌くらいのお湯や温かいお茶がよいでしょう。

急性の場合は、食べ物は控えておき、様子が落ち着いてきたら消化の良いものを食べましょう。はじめは半流動食、その後、三分粥、五分粥などにしていきます。問題がなければ、卵などのタンパク質もとるようにします。ただし、量は少なめに。熱すぎるのも、冷たすぎるのも、おなかに良くありません。辛いものなど刺激物は控えます。

腸内環境を整えるために

腸内環境が良いとあらゆる病気の予防となります。もちろん下痢の予防、下痢の改善の早道でもあります。生活習慣による病気の9割は腸内環境が悪化していることが原因ともいわれています。

腸内環境を良好にするのは腸内善玉菌です。腸内善玉菌を増やすには、発酵食品を摂る、肉類を避ける、など様々手段がありますが、一番効率よく手軽に始められるのがサプリメントです。安心安全な原料から作られる良質なサプリメントもありますので、まずは身体にあうかどうか試してみられるとよいでしょう。下痢改善の始まりの一歩です。