下痢の原因は様々です。
下痢が続いている方や消化不良を起こしやすい方は、胃薬を飲まれることも多いのではないでしょうか?
胃薬には重曹が配合されているものが多いようですが、この重曹が実は下痢の原因となることがあります。
重曹とは?
重曹は弱アルカリ性のため、胃酸の酸性を中和させて胃酸が出過ぎてしまうのを防いでくれる効果があるとされています。また重曹はデトックス効果が高いと言われており、腸内の老廃物を排出してくれるので、便秘解消に一役買ってくれます。
口臭予防や虫歯予防にも効果があるといわれており、重曹を摂られる方は徐々に増えてきているようです。
重曹が下痢の原因となる理由
重曹は体内の代謝の過程で塩分に変化します。摂り過ぎると塩分過剰となってしまったり、高いデトックス効果のために、お腹の弱い方がたくさん摂り過ぎると下痢になってしまうようです。
また、重曹の一日の摂取量は1g~5gと言われています。塩分換算すると重曹1gで塩分0.27g、重曹5gで塩分1.37gにもなるのだそうです。
食事からの塩分も考えると、5gの重曹も人によっては摂り過ぎになってしまうこともあるかもしれません。
薬用、食用、掃除用重曹の違い
重曹の正式名称は炭酸水素ナトリウム(別名:重炭酸ナトリウム、重炭酸ソーダ)のことで、重炭酸ソーダ(曹達)を略して『重曹』と呼んでいます。炭酸水素ナトリウム(重曹)を化学式で表すとNaHCO3となり、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)に炭酸ガス(二酸化炭素)を反応させて製造されます。
重曹は私達の暮らしの中で料理や掃除など、様々な場面で使われますが、市販されている重曹は大きく分けて3つの規格に分類されています。
1.薬用・・・不純物がとても少なくて細かい粉
2.食用・・・不純物がとても少なくて細かい
3.掃除用・・不純物が多くて粉は粗い
に分かれます。成分自体は同じなのですが、純度や粉の粗さに違いがあります。間違っても掃除用の重曹を口に入れることはしないでください。反対に食用の重曹を掃除用に使うことはできます。
重曹と胃酸との関係
重曹は弱アルカリ性の為、胃の中が一時的にアルカリ性に傾きます。元々、胃は酸性です。
その為、胃がアルカリ性になると、飲んだ薬を吸収しなくなってしまいます。吸収されなかった薬は体外へ排出されるだけとなり、薬の効果が薄れてしまいます。
また、重症の薬を服用されている方に関しては、重曹を摂ることはお勧めできません。命に関わる薬の効果が薄れてしまうと命の危機になってしまいます。一度主治医に相談されてみて下さい。
胃薬にも種類がある
重曹が胃酸の出過ぎを防ぐことから、胃薬に使われているというのは前述の通りですが、胃薬についても詳しく見てみましょう。
胃薬は胃酸過多であるのか、あるいは胃酸欠乏であるのかで、胃薬の選び方は違ってきます。
<胃酸過多の場合>
胃酸が分泌されすぎてしまう、胃酸が濃すぎる「胃酸過多症」という症状の方もいます。
胃酸が多かったり、濃度が濃かったりすることで、胸焼けがする、げっぷが増える、胃液がこみ上げる、(胃液の影響で)吐き気や喉に違和感、口の中がすっぱく感じるなどの症状が起きます。
また、胃酸が多いということは胃の粘膜も荒らしてしまい、炎症が起こります。特に空腹時などは、胃酸が直接胃の壁に触れるので痛みや違和感を覚えやすくなります。
胃炎が起きていると胃の消化能力も落ちてしまうので、食べ物がきちんと消化できずに腸に移動し、腸でも消化不良が起きてしまい、下痢に繋がる、ということになるのです。さらには「逆流性食道炎」(胃酸が食道まで逆流してしまうことで食道が炎症を起こす症状)、口臭が強くなるなどの症状もでてきます。
胃酸過多の原因は、脂っこいものの食べ過ぎやアルコール・カフェインなどの刺激物の摂り過ぎ、喫煙などです。
胃に負担をかけることが原因ですが、そもそもストレスも大きな要因になっているのではないかと考えられています。
最近の胃薬にはこの「胃酸過多」を抑えるものが多く見られます。
<胃酸欠乏の場合>
反対に胃酸欠乏症とは、胃で食べ物を消化するために分泌される「胃液」に含まれる酸、「胃酸」が欠乏してしまう症状です。胃酸が極端に少なくなったり、濃度が薄くなったりすることで消化能力が落ち、胃で十分に消化されなかった食べ物が腸にそのまま移動して消化不良による下痢を起こします。
胃酸欠乏症は胃潰瘍や胃がん、十二指腸潰瘍などで、胃を切り取る手術をし、胃自体が小さくなってしまった人に起きやすいと考えられていますが、胃炎からでも発生すると考えられています。
胃酸過多なのか、胃酸欠乏なのかで、飲む胃薬の種類を見極めることが大切です。
下痢予防には適切な量を
体に良いと言われているものも、量を摂り過ぎると下痢になってしまうことがあります。
重曹に限らず、どんなものでも摂り過ぎることは良くありません。まずはご自分の今の体調と照らし合わせて、本当に必要な物なのか慎重に考えてみましょう。
腸内環境を整えよう
健康の要は何といっても「胃腸」です。最近は腸活という言葉が流行しています。これは裏を返せば、腸活がブームになるほど、現代人は腸の状態が悪いという事でもあります。
腸内環境の良し悪しはすべての病気に関わってきます。腸内環境を整えるのに、善玉菌の種類や配合の異なる様々なサプリメントがありますので、自分の身体に合ったものを上手に利用しましょう。