下痢原因は過敏性腸症候群

下痢の原因の一つに、過敏性腸症候群(IBS)というのがあります。近年では、耳にすることが多くなっている病気です。腸が敏感に反応して、腸内トラブルを起こすのです。

では、どんなことが原因で起こるのでしょうか。ご一緒に考えてみましょう。

下痢の原因となる過敏性腸症候群とは

過敏性腸症候群は腸内に腫瘍や炎症等の異常がないにも関わらず、下痢・便秘・腹痛・膨満感等の不快感・おなら等の症状が数カ月以上続く病気です。人によっては数年もこの症状に悩まされている人もいます。

この病気は比較的若い人、20~40歳代に発症率が多く、先進国に多い病気と言われています。日本でも10~15%程度の割合で発病しており、下痢だけでなく下痢・便秘・下痢と便秘を繰り返す、この3つのパターンがあるようです。

過敏性腸症候群は、男性は慢性的な下痢型、女性は慢性的な便秘型になりやすく、男性よりも女性のほうが多いとされています。では、その原因を考えてみましょう。

過敏性腸症候群となる原因

過敏性腸症候群の詳しいメカニズムはまだ解明されていない点もありますが、不規則な生活習慣や、心配・不安・緊張・プレッシャーなどのストレスがあると、排便のリズムが崩れて下痢、下痢・便秘、便秘などになるようです。

腸は非常に敏感で、脳で感じたことが腸にも伝わっていきます。脳と腸は密接に結びついており、その影響で様々な症状が出てきます。ではどのように密接に結びついているのでしょうか。

腸と脳はどのように密接に結びついている?

腸内の神経は脳に次ぐ多さです。ですから非常に敏感です。脳の表面(大脳皮質)にはおよそ150億の神経細胞があり、腸の神経細胞の数はおよそ1億もあります。

この数は、体の臓器の中で、脳に次いで2番目の多さとなっています。さらに、腸は脳と約2000本の神経線維でつながっていて、緊密に連携しています。腸管神経系の構造は、脳の神経ネットワークに似ています。そのため、腸の中にも一種の「脳」があると考えると分かりやすいかもしれません。

なぜならそれは、脳は腸の出先機関として進化したともいわれているからです。
実は受精卵から最初に作られるのは腸なのです。腸がのびて「口」と「肛門」、さらに栄養をためる「肝臓」、酸素をためる「肺」、そして上の方が膨らみ最後に「脳」ができるのです。

脳のない生き物はいますが、腸のない生き物は存在しないのです。生命を維持するためにはいかに腸が重要かということがわかります。

腸は独立した神経系をもつ

腸も一つの脳ですから独自で判断して行動する自律神経(交感神経と副交感神経)というものが備わっています。
主に昼間に働く「交感神経」と夜に活発に働く「副交感神経」です。自律神経は自分の意思とは無関係に、呼吸器官や消化器官といったあらゆる内臓器官、血管などを調整しており、24時間休むことなく働いています。

ですから、自律神経のバランスが整っていると腸の働きも良くなり、体中の機能も正常に働きます。
つまり腸は脳からの信号を待つことなく消化・吸収・排泄の重要な機能を果たしているのです。しかし、脳と腸は密接に結びついていますから、脳で起きたことは腸にも影響します。

過敏性腸症候群で下痢になるメカニズム

セロトニンは幸せホルモンと言われるように幸福感を高める働きがある神経伝達物質で、もともとは腸内で作られるホルモンです。脳と腸は密接に結びついていますから、不安や緊張等のストレスを感じると、脳から腸へ信号が送られ、腸でセロトニンの分泌が活発に起こります。

セロトニンの分泌が活発に起こることで腸も活発に動き出し、下痢や腹痛を引き起こします。過敏性腸症候群の方はこのセロトニンの影響を受け易くなっています。

更に、過敏性腸症候群の方は腸が知覚過敏の傾向にあるため、冷たい物や刺激物を摂取することで腸が過敏に反応し、脳へ異常を知らせ、知らせを受けた脳が腸に対して排便をする様に指令を出し、これにより腹痛や下痢症状が起こってしまうのです。

腸と脳の関係は一方通行ではなく、互いに影響し合っているのです。

過敏性腸症候群の改善策

過敏性腸症候群の原因は未だにはっきりと解明されていません。はっきりとされていない点が多い過敏性腸症候群ですが、症状を軽減する方法や改善策はいくつかあります。

① 自分にあったストレス解消を!

人は生きている以上、「ストレスを受けない」で生活することは限りなく不可能に近いでしょう。しかし、ストレスを溜めずに発散することはできます。
例えば
・友人と遊んだり、会話を楽しんだりする
・映画鑑賞や音楽鑑賞など趣味の時間を設ける
・ランニングやスポーツ等で汗をかく
・1日の終わりをシャワーで済ますのでなく、ゆっくり湯船に浸かる

など自分に合った方法でストレス発散や息抜きをすることで自律神経の切り替えがうまくできます。

② 食生活を見直しましょう!

腸内環境を整えるために、食生活を見直すことは過敏性腸症候群の改善にとても重要となります。栄養バランスの良い食事はもちろんのこと、冷たい飲食・揚げ物や洋菓子などの脂質の多い食事・香辛料がきいた料理・コーヒーやアルコール、炭酸飲料などの胃腸に負担を掛ける食べ物は控えましょう。

食事では海藻類やこんにゃくなどの水溶性食物せんいやきのこ類や野菜などの不溶性食物せんいをバランスよく摂ることが理想です。

しかし下痢型の過敏性腸症候群の方は、不溶性食物せんいを多く摂ると、腸が刺激され症状が悪化する可能性もあるので、水溶性食物せんいを意識的に摂取しましょう。

③生活習慣を整える!

規則正しい生活を心掛け睡眠の質を高める習慣は、自律神経を整えることに繋がります。過敏性腸症候群は自律神経と密接な関りがあり、これらが乱れると症状へ影響を与えます。以下は生活習慣を整える例です。

良質な睡眠を心掛ける(寝る直前までスマートフォン操作は控える)
・過度な飲酒や喫煙は控える                                ・散歩やストレッチなどの適度な運動を行う

④腸内環境を整える!

腸内環境は腸に棲む腸内細菌のバランスで良し悪しが決まりますので、最も重要なものとなります。

体にとって有益であると考えられる細菌は善玉菌(乳酸菌やビフィズス菌など)、有害な影響を与える細菌は悪玉菌(ブドウ球菌やウェルシュ菌など)と呼ばれています。この善玉菌優勢のバランスが腸内環境を整えていきます。

最近では、この腸内細菌のバランスが崩れ、悪玉菌が優勢になることで体調不良やさまざまな疾患を引き起こすことがわかってきました。以下はそれぞれの疾患の例です。

過敏性腸症候群炎症性腸疾患、自閉症、関節リウマチや多発性硬化症の自己免疫性疾患、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどのアレルギー性疾患、大腸ガン、肝臓ガン、メタボリック症候群、肥満、動脈硬化症

など消化器系疾患だけでなく、生活習慣病につながる幅広い疾患や、肥満など身近な症状にまで関連性があるのに驚かれるかと思います。

腸内環境を整えるサプリメントを利用する

「元気の元は胃腸から」と昔から言われています。やはり何といっても健康であるためには腸内の環境が良好でなければいけません。腸内環境が整っていれば、腸内での正常な活動が行われます。

脳と腸は密接に結びついていますので、腸が元気でいれば脳もハッピーな気分になれます。多少の心配事やストレスも難なく解消できます。前向きな姿勢に変わります。

腸内環境を整えるには日々の食生活や生活態度を変えることで、出来ますが、なかなか思うようにはいかないものです。そういう時にこそサプリメントを利用するのもよい方法です。

腸内環境を整えるサプリメントがありますので、上手に利用しましょう。