下痢の主な原因はよく食生活にあると言われます。健康な時には下痢など絶対にならないと思っていても、間違った食生活を続けていると、下痢になることもあります。例えば塩分です。
塩分は体に必要ですが、いつも味付けが濃い食事をしていると塩分の過剰摂取となり、それが下痢になることがあります。また、少なすぎても下痢の原因となるようです。では、なぜなのか、ご一緒に考えてみましょう。
体に必要な塩分とは
塩は人間が生きていく上で必要不可欠なものなのは言うまでもありません。私たちの体を流れる血液には塩分が0.9%含まれています。水分は人の体重の約60%あり、塩分量は体重の約0.3~0.4%といわれています。
ですから、体内には、体重40㎏の人で約150gの塩分があることになります。丁度、味噌汁がおいしいと感じる同じ塩分濃度だとおもっていいでしょう。汗はその4分の1の濃度です。
この塩分は血液や胃液など体の水分の中にあるのですが、実は骨の中にもあります。
昨今の減塩ブームで、かえって控えすぎて、塩分が不足している人もいます。
減塩するなどして、体内の塩分が不足してくると、血液中の塩分濃度を保とうとして骨の中の塩が溶け出してしまいます。その結果骨も弱くなってしまいます。
実は塩を摂りすぎても、控えすぎても下痢の原因となるのです。では塩分の過剰摂取、減塩し過ぎでどのようなリスクがあるのでしょうか。まずは塩分の過剰摂取から見てみましょう。
塩分の過剰摂取によるリスク
加工食品や冷凍食品などには、一見わからない「隠れ食塩」が含まれていることがあります。
パンは塩味をあまり感じませんが、食パン1枚でちくわ1本と同じくらいの食塩が含まれています。
うどんなどの麺類は、スープだけでなく麺そのものにも食塩が含まれています。こうした塩分は目には見えない、つまりあまり塩気を感じないので、知らず知らずのうちに摂りすぎてしまう傾向にあります。
塩分平均摂取量も近年減少傾向ではあるものの日本人の全国平均を見ると、男性は10.9g(摂取基準8.0g)、女性は9.2g(摂取基準7.0g)と男女と共に目標値を大きく上回っています。
では、塩分を過剰に摂取するとどのようなリスクがあるのでしょうか。
①のどが渇く
塩分を摂りすぎると喉が渇いて、水分が欲しくなります。汗や尿から不必要な塩分を出そうとしているのですが、実は一番早い方法は便として余計な塩分を排出すること、つまり下痢になって排出しようとするのです。
また、逆に、運動をして汗をかいたあとや発熱時にも体内の塩分が大量に失われると、のどが渇き、水分が欲しくなります。しかし、同時に塩分の補給もしなければなりません。もし、塩分の補給をしないで水分だけ多く摂ると、血液中の塩分濃度が薄まってしまいます。つまり塩分が不足してしまった状態になります。
この状態を続けると体の中の余分な水分を排除しようとして下痢や嘔吐といった症状がおこります。これは自発的脱水と言われるもので、「これ以上血液を薄めないで」という体からのメッセージです。
体の悲鳴、防御反応を起こして、下痢になるわけです。
②最悪な膨張感を感じる
塩辛い料理を食べると、恐ろしいほど体が膨張しがちになります。ナトリウムの値が極端に高くなると、それとのバランスをとるために、水分量も過多になり、特に腹部の膨張につながります。
特に塩辛い食事(ラーメンのなど)をした後は、手や足の指がむくむ人もいます。
これは水分量のアンバランスを引き起こしているのです。血液中を流れるナトリウムが多すて、細胞から水分がなくなり、むくみを起こしているのです。
③頭痛がする
原因不明の頭痛を起こしたことがありますか?
塩分過多になると、脳内血管の拡張を引き起こし、頭痛につながることがありますので、直近の食事で何を食べたかチェックしてみましょう。
④食べ物が味気なく感じる
健康リスクがあるのに加え、塩分をたくさん摂ると、実は味を感じる味蕾が少し変わってしまい、次第に食べ物があまり美味しく感じられなくなることがあります。塩分を摂れば摂るほど、もっと食欲をそそる反応が欲しくなります。
塩分過多によって味蕾が変わったり鈍くなったりした結果、塩分を多く摂りすぎているということに気づいていない人は多いかもしれません。食品、特に加工食品に含まれている塩分は、目に見えませんし、塩味もあまりわかりませんので、知らない間に塩分の摂りすぎになっているかもしれません。
⑤高血圧や動脈硬化により、血管の病気を招く
人間の体には、塩分濃度を常に一定に保つ働きがあります。塩分を摂り過ぎると、血液中の塩分濃度が高くなり、それを下げるために水分を多くため込むようになります。
その結果、血液量が増えて血管がパンパンになり、大量の血液を流すために血管壁に高い圧力が加わるようになります。つまり、「高血圧」になるのです。
高血圧の状態が続くと、血管壁の内側がダメージを受けてもろくなったり、柔軟さが失われて硬くなったりします。この状態が「動脈硬化」です。動脈硬化は全身の太い血管から細い血管まであらゆる血管に起こります。
⑥腎臓病・尿路結石・骨粗鬆症を招く
過剰に摂取した塩分を排出するのは腎臓の役割です。腎臓は体内の余分な塩分や老廃物を濾過して尿をつくる働きをしているため、塩分を摂り過ぎると腎臓に過度の負担がかかります。
この状態が続くと、腎臓の働きが慢性的に低下する「慢性腎臓病(CKD)」を起こします。慢性腎臓病が悪化すると「腎不全」を招き、透析療法が必要になることもあります。
また、余分な塩分は尿として排出されますが、ナトリウムと共にカルシウムにも排出されるため、尿中のナトリウムが多いと尿中のカルシウムも多くなります。それが一因で、尿の通り道にカルシウムが主成分である「尿路結石」ができやすくなります。
更に、塩分の摂り過ぎによりカルシウムの排泄量が増えると、体内のカルシウムが不足します。その結果、骨のカルシウムが流出して、「骨粗鬆症」を引き起こすこともあります。
⑦胃がん
塩分の摂り過ぎは、「胃がん」の発症にもつながることが示唆されています。1日10g以上塩分を摂っている人はそうでない人に比べて胃がんのリスクが上昇するという報告があります。
塩分の多い食品を食べると胃の粘膜がダメージを受けやすくなるため、胃炎になりやすくなり、発がん性物質の影響を受けやすくなることが原因と考えられています。
塩分の不足によるリスク
最近は様々な減塩商品が販売されています。健康のためには減塩! 血圧を下げるためには減塩! 塩は少なければ少ない方がいい!!・・・・というような風潮が広まっているようです。しかし、塩分が不足すると逆にリスクを伴います。
①皮膚の再生が遅くなる
食塩に含まれるナトリウムイオンには細胞を活発にする働きがありますが、不足すると新陳代謝が弱まって、皮膚の再生が遅くなり、肌荒れを起こしやすくなります。摂り過ぎはもちろんいけませんが、摂らなすぎもダメだということがわかります。
②朝起きられなくなる
塩が不足すると、朝起きにくくなったり、ボーっとして無気力になることがあります。塩分不足が続くと食欲が無くなり、結果、栄養不足になります。
③下痢になる
塩分の補給をせずに水分ばかりとっていると、上記のように自発的脱水に陥り、さらに下痢が続くという悪循環になってしまいます。
さらに減塩は体に良い、という刷り込みの効果もあり、減塩が下痢の原因だとは気づかない方も多いようです。減塩をする必要があるのは、必要以上に塩分を摂りすぎている人だけです。
麺類のスープを必ず飲み干したり、お醤油をたっぷりつけたり、インスタント食品ばかり食べているなどの食習慣が毎日当たり前のようになっているような人は要注意です。
しょっぱいなと感じるようなら塩分を摂りすぎている証拠です。適切な塩分なら体も欲しているのですんなり入ってきます。
日々健康的に食事に気を付けているならば、そこまで減塩だと気にすることはありません。また減塩が必要な方も、必要以上に減塩すると慢性的な疲労や下痢につながりますから、適切な範囲で行うように気をつけましょう。
今健康な人でも、病気の予防のために減塩に取り組んでいる人もいるかもしれません。 塩分の摂取は多すぎても、逆に少なすぎても下痢の原因をはじめ、様々な病気の原因になりますので、注意しましょう。
腸内環境を強化しよう
健康の要は何と言ってもきれいな腸で決まります。健康長寿も病気もすべて腸から始まります。腸は身体の中で一番早く老化しやすいところですが、回復するのも一番早いのです。
下痢が続くのは身体の調子が悪い、あるいは悪くなる病気のサイン です。その時期を見逃さずにしっかりメンテナンスしましょう。
腸内のメンテナンスするのは腸内細菌、特に善玉菌です。腸内善玉菌を増やして腸内環境を整えるサプリメントがありますので上手に利用しましょう。