下痢原因は食品のまとめ買い
これから、気温が上昇するにつれ、食中毒の危険性が高まり、下痢が発生します。
更にコロナ禍での中で、食品のまとめ買いやデリバリー、テイクアウトなどが日常的になり、これまで以上に食中毒に気を配る必要性が増しています。 コロナ禍での状況で、どんなことに注意しなければならないのか、改めて考えてみましょう。
梅雨と夏場に向け、食中毒を防ぐ注意点
食中毒は年間を通じて発生しますが、O157で知られる腸管出血性大腸菌や、サルモネラ菌などの細菌は、気温25~30度で、湿度が上がる5月以降に増えやすく、こうした細菌が増殖し、食中毒の原因になります。
下痢の実際例①
北日本新聞によると、富山市は今月の17日、市内の小中学校と保育施設で欠席者が続出し、計464人に上っていると発表した。小中学校は13校で計391人。下痢や嘔吐、腹痛、発熱を訴えているという。 市内の保育施設5カ所でも、計73人が同様の症状で欠席している。 17日朝に各学校や施設から「欠席者が多い」との報告を受けて発覚した。13小中学校の欠席者は、市内全小中学校(計91校)の普段の欠席者より2倍ほど多いという。 給食による食中毒の可能性もあるとみて、保健所が調査している。 下痢の実際例②
さいたま市で先月、5月27日から31日にかけて埼玉県警察学校の寮の食堂を利用した寮生178人が、下痢や腹痛の症状を訴え、食中毒が発生しました。 食中毒を引き起こす細菌もウイルスも目には見えない小さなものです。細菌は温度や湿度などの条件がそろうと食べ物の中で増殖し、その食べ物を食べることにより食中毒を引き起こします。 一方、ウイルスは、細菌のように食べ物の中では増殖しませんが、食べ物を通じて体内に入ると、人の腸管内で増殖し、食中毒を引き起こします。また、ウイルスは低温や乾燥した環境中で長く生存します。
細菌は35度くらいから増殖スピードが高まる
細菌が原因となる食中毒は夏場(6月~8月)に多く発生しています。その原因となる細菌の代表的なものは、腸管出血性大腸菌(O157、O111など)やカンピロバクター、サルモネラ属菌などです。 食中毒を引き起こす細菌の多くは、室温(約20℃)で活発に増殖し始め、人間や動物の体温ぐらいの温度で増殖のスピードが最も速くなります。例えば、O157やO111などの場合は、7~8℃ぐらいから増殖し始め、35~40℃で最も増殖が活発になります。 また、細菌の多くは湿気を好むため、気温が高くなり始め、湿度も高くなる梅雨時には、細菌による食中毒が増えます。 一方、低温や乾燥した環境中で長く生存するウイルスが原因となる食中毒は冬場(11月~3月)に多く発生しています。食中毒の原因となる代表的なウイルスであるノロウイルスは、調理者から食品を介して感染する場合が多く、ほかに二枚貝に潜んでいることもあります。 ノロウイルスによる食中毒は、大規模化することが多く、年間の食中毒患者数の5割以上を占めています。このほか、毒キノコやフグなどの「自然毒」、アニサキスなどの「寄生虫」なども、食中毒の原因となっています。 このようにさまざまな原因物質によって、食中毒は1年中発生しています。
では具体的にどのように注意したらいいのでしょうか
食中毒の基本的な予防は、まずは「(1)菌を付けない、(2)増やさない、(3)やっつける」いう食中毒予防の3原則です。 (1)菌を付けないこと
①食材に菌を付けないための大前提は、食品を扱う前に手指を洗うこと ②肉や魚を保存するときは、ラップやポリ袋で包み、他の食材にドリップ(汁)などが付かないようにすること ③肉や魚を切ったまな板や包丁はしっかり洗うこと ④調理の順番に気を配る、つまり野菜、肉・魚から、あるいはまな板や包丁を変えること (2)菌を増やさない
①細菌が増殖する環境に食品を置かないようにすること ②食材はすぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れること ③冷蔵庫は詰め込みすぎないこと ④冷蔵庫内に長く置かず、早く食べること (3)菌をやっつける
①殺菌・消毒で菌を死滅させること ②75度以上、1分以上の加熱で死滅するので、しっかりと火を通して食べるようにすること ③使い終えた調理器具はすぐに洗剤でよく洗い、つけ置きしないこと
作り置き料理の注意点
カレーの料理は次の日が美味しいものです。ですから、たいていのご家庭で2日分位のたっぷりのカレーを作られているのではないでしょうか。 カレーは夏に食中毒になり易いです。100度の高温で加熱調理しても死滅しない細菌もあり、冷める過程で細菌が増殖しやすいのです。 カレーに限らずシチューなどの煮込み料理、チャーハンやパスタなどの米・小麦料理は、調理後室温で放置すると菌が増 えやすいので注意しましょう。 具体的な注意点
①作り置きする場合は冷ますのに時間をかけては駄目です。鍋ごと冷水に浸すか、耐熱性の保存容器に小分けして速やかに冷まし、冷蔵または冷凍で保存すること ②冷蔵保存ができない場合(キャンプなどでのカレー)は食べる前、高温になるまで十分に再加熱すること
③口当たりがよい程度の温め方では足りません。特に肉の入ったカレーやシチューは要注意。酸素が嫌いな菌が増えやすいので、よくかき混ぜながら加熱すること ④冷蔵庫内など温度の低い場所が好きな細菌もいます。たとえばリステリア菌は4度以下の低温でも増え、食中毒になると妊婦が流産することもあります。ナチュラルチーズ、生ハムなどで食中毒の事例があるので、妊娠中は食べないようにしましょう。冷蔵庫の過信は禁物です。早めに食べること ⑤鶏肉などの食肉に付着しているカンピロバクターという細菌も、冷蔵庫内を好みます。75度以上で1分以上加熱すると死滅するので、食材は中心部までしっかり火を通すこと。 ⑦自宅で揚げたメンチカツや鶏の唐揚げなど、肉の色が茶色くなり、中まで火が通っているか、切って確かめること
総菜や弁当の注意点
①コンビニ弁当などは食品添加物を多用して食中毒事故を防いでいると考える人もいますが、安心できないこともあると思うこと ②合成着色料・保存料は使わないところもあるので、過信しないでよく注意すること ③購入時は商品に記載がある保存方法をチェックし、消費期限内に食べるように心がけること ④チルド管理の弁当類は冷蔵保管が必要なので、すぐに食べない場合は冷蔵庫で保管すること ⑤冷凍のメンチカツで食中毒が起きたこともあります。揚げ方が足りず、中まで火が通っていない場合があるので、出来れば再度火を通すのが良い ⑥総菜として買ってきたメンチカツや唐揚げの場合、肉の色が茶色くなり、中まで火が通っているか、切って確かめること 日々の食中毒予防に気を使い、暑い季節にも安全においしく食事を楽しむためには、食中毒予防の知識をしっかり学んでおきましょう。 スーパーでのまとめ買い物時の注意点
①生鮮食品の買い物には保冷バッグを携行すること ②買い物に出かけるときは肉や魚の生鮮食品を最後のほうに買い、持ち歩く時間をできるだけ短くすること ③まとめ買いの生鮮食品は小分けして、素早く冷凍保存するか、冷蔵庫内で保存し、期限内に食べつくすこと ④まとめ買いの食品は出来るだけ熱を通す料理をすること ⑤まとめ買いの食材は一週間分を目安とすること ⑥できれば一週間分の献立を考えて無駄のない買い物をすること ⑦まとめ買いは日持ちのする食材を選ぶこと
テイクアウト、デリバリーの注意点
①テイクアウトの食品を提供するのは、店内で食べる場合の延長ですので、家までの運搬時間を考慮し、帰ったらすぐに食べること ②細菌性の食中毒は、栄養、水分、温度―の3条件がそろうと発生します。危険温度は一般的に30~40度です。最短約10分で菌が増殖しますので、車内温度に注意すること ③飲食店のテイクアウトは、弁当・仕出し店のように食品表示や消費期限表示が義務づけられていないため、注文時に事前にアレルギーのある人は確認すること ④デリバリーされた食品も、できるだけすぐに食べること ⑤要冷蔵と記載があるのに冷えていなかったり、容器が破損していたりする場合は食べるのを避けること
腸内環境を良くして食中毒から守ろう
食中毒予防には、基本的な3原則のほかに、腸内環境を強化することが重要です。腸内では消化・吸収、排泄が行なわれ、更に免疫細胞の70%が腸に集中しています。 腸内環境が整っていると、腸内での働きがスムーズに行われ、たとえ食中毒菌が体内に入ってきても素早く排出し、腸内で増殖しない様に働くからです。ですから、 下痢や発病しなくて済むのです。 そのような働きには100種類、100兆個以上存在する腸内細菌の働きが関係しています。腸内細菌のバランスが良いと腸内環境が良好となり、腸内での様々な働きが活発に行われます。
ですから、いかに腸内細菌のバランスを保ち、腸内環境を良好に保つかが重要となるのです。
腸内環境を強化しよう
一般に腸内環境とは、人の腸内の細菌のバランスのことをいいますが、健康に有用な善玉菌、有害な悪玉菌、中立な日和見菌に分類されています。 腸内環境が良好になると免疫が強化され健康的になり、様々な病気に罹りにくくなります。反対に悪玉菌が優勢になると、疲労や体調不良、肌荒れや下痢、便秘につながるといわれています。 そのためには、食事特に発酵食品やせんい類の多い野菜を毎日しっかりと食べる必要があります。なかなか毎日は難しいという人は腸内環境を強化するサプリメントがありますので上手に利用するのも賢い方法です。
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