下痢の原因は腸漏れ

下痢の原因は腸漏れから

下痢や胸やけ身体のだるさなど心身の不調は誰にでも起こり得ます。特に現代人には多く見られます。

こうした不調はある体のトラブルが原因となっている可能性があるのです。その原因の一つは日々の食事が原因で「腸から菌が漏れる」場合に起きることがあります。 では下痢の原因となる「腸から菌が漏れる」とはどういうことなのでしょうか、どんな食事の時になるのでしょうか。その解決方法はあるのでしょうか。ご一緒に見てみましょう。

腸から菌が漏れるとは

「腸漏れ」は「漏れる」という意味のリーキーと「腸」という意味のガットの二つの文字が組み合わさって「リーキーガット症候群」と言われています。
それで、「腸漏れ」とは、腸内の粘膜に隙間ができ、そこから毒素や細菌、未消化の食べ物などが血液中に漏れ出る現象です。

そもそも、腸のバリア機能は、細胞同士を隙間なくくっつけるノリのような「タイトジャンクション」と、腸管を覆う粘膜である「ムチン」から形成されています。 「リーキーガット症候群」は、腸内細菌のバランスが崩れることでこの腸管バリア機能が損なわれることにより発生します。
つまり、腸管粘膜が薄くなり、細胞同士を繋げるノリが溶けて、腸に穴が開いた状態がリーキーガットというわけです。このリーキーガットによって引き起こされる可能性のある症状は様々あります。

「リーキーガット症候群」による身体の不調

「腸漏れ」は心身へのストレスやアレルギー反応などから、腸が不調に陥り、腸の細胞と細胞の間に穴があくことで起こると考えられています。そうした穴から血管に入るべきではないものが入り込むだけに、下痢をはじめ全身の不調となり、日常で感じる倦怠感から慢性疾患、難病に至るまで、多くの疾患につながるともいわれています。
例えば、先ほども述べた下痢やお腹が張る、おならが多いなど腸の不調、アレルギー、肌荒れ、アトピー、関節痛、PMS(月経前症候群)が重いなど多岐に渡ります。もしあなたがこれらの症状に悩んでいるのであれば、もしかすると原因はリーキーガットにより、腸からさまざまな物質が漏れ出ているかもしれません。

リーキーガットの問題点

リーキーガットの問題点はこの腸にできた穴から、腸内細菌や菌の作り出した毒素、老廃物が漏れ出すことなんです。腸から漏れ出したこれらの成分は、血液を通り皮膚や各臓器へと運ばれます。 結果、体の免疫システムが反応し、攻撃を始める。これがアレルギー症状や、体の各所での炎症を引き起こし、その結果、下痢、疲労感、免疫力低下、動脈硬化、自己免疫疾患など、さまざまな症状として現れてしまうのです。

リーキーガット症候群のその対処法

腸のバリア機能を高めるためには、腸管を覆う粘膜「ムチン」と細胞同士を隙間なくくっつける「タイトジャンクション」強化する必要があります。 ①強い腸管粘膜「ムチン」を作るために
実は、腸内にはもともとムチンを増やしてくれる相性のいい菌が存在しています。その菌の名前は「アッカーマンシア ムシニフィラ菌」です。難しい名前ですが、今回覚えて欲しいのは、この菌の名前ではなく増やす方法です。 アッカーマンシア ムシニフィラ菌とは
胃や腸などの消化管の粘膜表面は粘膜がむぎだしになっているわけではなくムチンという粘性物質に覆われ、細菌の侵入などから保護されています。 オランダの著名な微生物生態学者の名前(アントーン・アッカーマンス)と、「ムチンを好む」という特徴から、この細菌はアッカーマンシア ムシニフィラと名づけられました。 アッカーマンシア菌はムチン分解菌ですが、ムチンを産生させる役目もあり、腸内で繁殖すると、腸の壁の厚さが増し、ムチンが増え、糖類が身体に吸収されることが妨げられることにより糖の吸収が悪くなり、痩せる作用があると考えられています。 また、同時に厚くなったムチンが腸内で発生した炎症物質の腸内侵入や細菌やエンドトキシンの腸管内粘膜への侵入を防ぐために、同菌の増加は、全身の抗炎症作用があると考えられています。 このムチンの存在は食物せんいが不可欠です。欧米の食生活は食物せんいが少なく、食物せんい飢餓という非常事態に際して、さまざまな腸内細菌が、自らの生存のために、生体防御として非常に重要な粘液層を消化しながら粘液層を破壊してしまいます。 食物せんいの少ない欧米型の食事はこのような機序で消化管内ムチンを減少させ、アッカーマンシア菌を減少させてしまうのです。 ですから、いかに、食物 せんいが重要だということがわかりますね。 そのムチンのゲル層は、胃では厚く全面を覆っていますが、小腸では薄く断続的となり、大腸では再び厚く全面を覆るようになります。ヒトの場合、ゲル層の厚さは、胃と大腸では数百 µm から 1 mm 近くになるとされています。

アッカーマンシア ムシニフィラ菌の特長

まとめてみると
〇生後まもない乳児の糞便中に検出、1歳児で成人と同じレベルの9割に達する

〇腸内細菌数の1から4%を占める、善玉菌の一つ

〇魚油食の方が増殖しやすく、動物性油ヤードなどは逆に減少する

〇抗生剤に弱く、それゆえの副作用が出る(肥満など)

〇体内で吸収しない人工甘味料(アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン)を使用すると減少する

〇抗炎症作用や、抗肥満、血糖降下作用のみならず、近年、抗悪性腫瘍剤の PD-1 阻害剤の作用を増強させる作用もあり、肥満や糖尿病との関連性が指摘されている

〇痩せ菌なので、ダイエットに効果がある

アッカーマンシア ムシニフィラ菌は普段の食事から増やす

この善玉菌である「アッカーマンシアムシニフィラ菌」を増やすためには、緑茶カテキン、ブドウのポリフェノール、クランベリーのポリフェノールの3つの成分、また、高脂肪食を控えて、水溶性食物せんい(こんにゃく・山芋などに含まれる)、オリゴ糖(玉ねぎ・ごぼうなどに含まれる)などを摂ることが有効的です。 怖いのはリーキーガットにつながる食品を知らず知らずのうちに口にしてしまっているということです。実は、私たちが普段食べているものの中にも、リーキーガット を起こす原因といわれるものが多くあります。つまりアッカーマンシア ムシニフィラ菌を減らし、腸の粘膜を覆うムチンを減らしていることです。

ムチンを減らす食事習慣

①西洋的な食事で食物せんい不足
西洋の食事といってもヨーロッパ系の料理ではなく、ハンバーガーやピザなどいわゆるアメリカ的な高脂肪な食事です。ジャンクフードとも呼ばれるタイプのものです。 高脂肪な食事には、水溶性食物せんいがほとんど含まれていません。それゆえに、西洋食ばかり食べていると腸内細菌が飢餓状態に陥ってしまいます。そうすると、なんと腸内細菌が腸の防御に大切なムチンを食べ始めてしまい、腸管粘膜の損傷を引き起こしてしまうのです。 ②アルコールは腸内細菌の餌を減らす
アルコールを飲むとついつい脂っこいものが恋しくなりますよね。実は、それはアルコールにより、脂っこい食べ物に含まれている「長鎖脂肪酸」が少なくなるから。長鎖脂肪酸は乳酸菌のエサにもなります。
さらに、アルコールはムチンを減らすだけでなく、乳酸菌も減らし腸内細菌バランスの悪化も招いてしまうのです。お酒はほどほどに嗜む程度にしましょう。 ③果糖のとりすぎ
果糖と聞くとフルーツを思い浮かべるかもしれませんが、フルーツがダメなわけでは決してありません。むしろフルーツは水溶性食物せんいやポリフェノールが豊富で積極的にとって欲しい食材の一つ。
気をつけて欲しいのが「果糖ブドウ糖液糖」という成分。果糖ブドウ糖液糖は清涼飲料水などに多く含まれています。 ④痛み止め薬
痛み止め薬もムチンを減らしてしまうものの一つ。生理痛や頭痛などで痛み止めがどうしても必要となる場合は仕方がないのですが、使いすぎには注意をしてください。 ④歯周病菌
歯周病の原因となることで有名な歯周病菌。実は、この菌は歯周病の有無にかかわらず誰しも持っています。そして、唾液を通って腸まで流れていった歯周病菌は免疫のバランスを崩し、炎症を起こす物質を増やす原因となることがわかっています。 そのせいで腸に炎症が発生し、ムチンの量が減ってしまうのです。歯周病菌を減らすためには、しっかりとした口腔内のケアが大切。毎食後にしっかりと歯磨きをすることがオススメです。 ⑤ストレス
ストレスを全く感じないという生活はなかなか難しいです。入浴や睡眠などでストレスを出来るだけ解消する様に心掛けましょう。また、好きな事を毎日一つでも見つけて、楽しみましょう。例えば、好きな番組、映画、買い物、スイーツなど何でもいいのです。 ⑥激しすぎる運動
WHOは、汗のかく運動であれば週に75分、ウォーキングであれば週に150分、健康な体をキープするために行うことを推奨しています。さらに適度な運動は腸内細菌にとっても有用であることが数々の論文によって示されています。
ただ、その運動も度が過ぎるとムチンを減らし、リーキーガットの原因になってしまいます。何事も「ほどほどに」が重要なのです。 ②細胞同士を隙間なくくっつける「タイトジャンクション」
私たちの体の表面は細胞のシートによって覆われていて、体の内部を外の環境から守るバ リアとして働いています。このようなバリアを作るために、腸管粘膜のムチンとタイトジャンクションと呼ばれる接着装置が細胞と細胞を密着させて細胞同士の隙間を塞いでいます。 それで、密着結合、あるいはタイトジャンクション(tight junction)とは、隣り合う上皮細胞をつなぎ、有害物質が侵入するのを防いだり、大事な物質が漏出するのを防ぐ役割があります。まさに細胞をバリアする役割を果たしています。

腸内は腸漏れが起きない便利なシステムで成り立っている

腸には全身のリンパ球の8割が集まっているのでたくさんの免疫細胞があり異物や体に悪いものを排除しています。
腸管内は腸管粘膜ルチンと細胞と細胞の隙間をしっかり繋ぐタイトジャンクションで悪いものが入らない様にがっちり仕組まれています。腸漏れが起きない便利なシステムになっているのです。 しかし、腸の細胞と細胞はきっちりと閉じられていては、栄養素を体内に取り込むことができません。そこで「ゾヌリン」という物質がこの細胞のつながりを「適度に」緩め、栄養を体内に取り込みやすくしています。 つまり、腸は、腸管内に侵入を防ぐ役割と腸管内に摂り入れるもの、つまりいい物と悪いものを選別して吸収・排泄をしているとても便利なシステムになっているのです。 そして、腸内細菌は食べたものから消化されたものを吸収しやすいように分解し、また酵素やビタミンなども産生して体にいい物を取り込む手助けをしています。 以上をまとめると
様々な種類の野菜→豊富な食物せんい→発酵食品の摂取→腸内善玉菌の増加→ルチン増加→タイトジャンクションとゾヌリンのバランス強化→免疫力アップ→下痢など病気に負けない丈夫な身体となります。 そのためには日々の生活を少しずつ見直すことが必要です。
例えば夜のラーメン、頻繁な飲み会、栄養の偏った食事……腸内細菌に悪影響を与える要因を少しずつ除去することが重要です。日頃の食生活を大事にしましょう。

腸内環境を強化しよう

「元気の元は胃腸から」と昔から言われています。腸内はそれほど大事な臓器です。欧米型の脂肪多い食事は腸内環境を悪化させてしまいます。野菜の摂取量が少ないと腸内細菌のバランスが崩れます。 腸内善玉菌が増えません。野菜と発酵食品などをふんだんに取り入れた和食中心の食生活をしましょう。下痢の改善は早まります。腸内環境を良くするサプリメントがありますので上手に利用しましょう。

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