下痢の原因を臭いで判断

下痢原因を臭いで判断する

下痢の原因は様々ですが、下痢にも色や形、臭い、回数などによって下痢の原因が分かります。
単なる自然と治る下痢なのか、あるいは下痢の背後に病気が隠れて、病院で診察を受けた方がよい下痢なのかを判断する基準がある程度わかります。

風邪よりも恐ろしい腸のトラブル

よく「風邪は万病のもと」などと言われています。ちょっと風邪気味だな、と感じたら油断は大敵です。そのままほっておくと、ただの風邪では済まなくなってしまうこともありますから、用心するに越したことはありません。

しかし、現代では風邪よりも恐ろしい「万病のもと」が「下痢や便秘」などの腸のトラブルなのです。生活習慣病の9割は腸内環境が悪化していることが原因と言われています。

ですから、自分でウンチの診断をして病気を見逃さないようにすることは非常に大切なのです。

自分自身の腸の様子がなんだかおかしいと気づいている人は非常に多いのですが、いつもの事だからと半ばあきらめかけている人も少なくありません。

便は体の異常を知らせる最も分かりやすいサインです。毎日の便を観察することで、健康状態をチェックできます。しかも腸は第二の“脳”と言われるほど心とも直結しています。

下痢が病気のものか、一過性によるものか、判断する目安として、下痢の状態を観察してみましょう。

腸を健康で快調に保つ方法を知る事は病魔を遠ざける一番の近道です。

自分で出来るウンチ診断法

下痢や便秘は、薬を服用して少し時間が経てば治ってしまうことが多いのであまり深刻に考えていないかもしれませんが、決して侮ってはいけません

下痢や便秘は、年齢に問わず、程度の差はあれ、誰もが経験する「現代病」だけに意外と怖い病気が潜んでいるのです。

健康であるためには日頃から便の様子を観察する習慣を身に着けることが重要です。

理想的な便の構成は、約80%が水分、約20%が固形成分。水分とは、胆汁や脾液などの消化液、酵素、食べ物を分解する過程で生じた脂肪酸や乳酸、炭酸ガスなどです。

固形成分のうち、消化されなかった食物繊維といった食べ物のカスは3分の1程度。残りは生きている腸内細菌と、その死骸。そして、はがれ落ちた小腸の内壁です。

つまり、便の中に含まれる食事由来の成分は1割にも満たないということです。なので『食べてないから便が出ない』ということはなく、たとえ断食をして食事を抜いても、また手術等で点滴しかしていない場合でも、便通はあります。

では便の状態の判断となる基準を挙げてみましょう。

①排便量はバナナの大きさ基準に計る

ウンチは腸内環境を告げる「お手紙」です。それだけに私達の健康度は、腸内環境に大きく左右されているということです。

一回当たりの排便量は、食事量や内容によって違ってきますので、個人差はあります。普通の食事での排便量は125g~180gです。

特に食物せんいを多く摂っていれば200g~300gまで増えることになります。

バナナくらいの大きさ、直径2~3センチで長さ15㎝くらいが、およそ100gです。ですからこれが一日に1本半~多い人で3本位排出されるわけです。
ただし、毎日きちんと同じ量を排便しなければならないと言うわけではありません

実際、人間は機械ではありませんから、規則正しく決まった量が出ることは少ないのです。食べた物で変化します。

②便の7つのタイプ

排便量以外に便の様子で健康状態をチェックできるポイントは「色」「形」「硬さ」「匂い」の四つです。その中からここでは「形」と「硬さ」についてみてみましょう。下図はそれを表わしたものです。

便の硬さを決めるのは、そこに含まれている水分の割合。通常の便には70~80%の水分が含まれています。この水分が80%を超えると軟便、半練り状、それを超えると泥状に当たる下痢便となります。更に水分が90%以上になると水様便になります。

水分が70%以下になるとコロコロ状あるいはカチカチ状のタイプになります。通常便は大腸の中を時速10センチくらいのスピードで移動しているのですが、けいれん性便秘の時はその速度が遅くなって水分が減り、兎の糞の様に小さくて固い便になってしまうのです。

逆に、下痢の時は様々な理由により、便の通過速度が早くなり、腸内での水分吸収時間が少なくなるということです。

③便を色で判断

便の色で病気に気づくことがあります。赤ちゃんの便は黄色っぽい色をしています。大人になるにしたがって、黒や茶色の便になります。大人の理想的な便の色は赤ちゃんと同じような黄色、丁度事務用の茶封筒の様な色です。


ではどんな便の色には特に注意をした方がいいのでしょうか。またそこにはどんな病気が潜んでいるのでしょうか。

●真っ赤な便(血便)

真っ赤な便肛門から近い部位に病気があると考えられます。主な病気は痔核(いぼぢ)、裂肛(きれぢ)、大腸ガン、直腸ガン、潰瘍性大腸炎、虚血性大腸炎、大腸憩室からの出血、出血性大腸炎などです。病気によって腹痛や発熱があったりなかったりします。

真っ赤な便は痔核からの出血と自己判断している方が多いのですが、痔核もありS字結腸ガンもあった…なんてこともあります。近年増加している潰瘍性大腸炎は20歳代の若い方を中心に発症する、大腸に慢性の炎症が生じる病気です。

粘液の混じった血性の下痢やイチゴジャムのように見える便が慢性的に続いたり、あるいは自然によくなったり悪くなったりします。病気の原因が明らかにされていないため、厚生労働省の「指定難病」に指定され病気の原因究明や新しい治療法の開発が進められています。

●黒い便(タール便、海苔のような黒い便)

胃や小腸など肛門から遠い部位からの出血では、出血した血液が腸内細菌による分解を受けるため、タールのように黒色に変色します。ただし大量の出血がある場合には血液により消化管の運動がよくなり、赤いまま出てくることもあります。

主な病気は胃十二指腸潰瘍、胃ガン、食道ガン、十二指腸ガンなどです。胃十二指腸潰瘍ではみぞおちの痛みなどなく、黒い便から診断がつく場合もあります。

●白っぽい便

通常の便の色(黄褐色~茶褐色)は胆汁に含まれるビリルビンによるものです。胆汁は肝臓で作られた後、十二指腸に流れていきますが、この胆汁の通り道である胆管がつまったり、胆汁を作る肝臓の働きが悪くなると白っぽい便になります。

主な病気は肝炎(ウイルス性、アルコール性、薬剤性、自己免疫性など)、胆石(胆管に落下してつまった場合など)、胆のうガン、胆管ガンなどです。

小児(6か月から2歳くらい)ではロタウイルスによる胃腸炎(白色便性下痢症)で白っぽい下痢がみられます。大人も感染することがありますが、軽症がほとんどです。

自分の便をチラッと見ることで、重大な病気が発見される場合があります。20歳代の若い方でも詳しい検査が早急に必要な場合もあります。便の色がいつもと違う、おかしい!と思ったら、かかりつけ医にご相談しましょう。

③下痢時の臭いでわかる病気

便の臭いは食べた物や疾患によって影響されますが、においのもとは腸内細菌によってたんぱく質が分解された結果できるスカトール、インドールという物質によります。腸の働きが弱い時には、臭いは弱くなり、便秘などで腸内の滞留時間が長くなると、臭いが強くなります。

また、未消化たんぱくはアルカリ性の臭い、未吸収の炭水化物は発酵して酸性臭、肉食が多いときは腐敗臭、脂肪便は酸性臭、膵疾患や直腸ガンでは特に強い臭いを発します。

下痢の時の臭い、特に4つの臭い、①酸っぱいにおいの下痢便  ②焦げ臭い下痢便  ③生臭いコールタール状の下痢便  ④腐った臭いの下痢便から判断される病気を挙げてみました。

下痢便から特殊な臭いがする時の病気

1)鼻をツンと刺激する様な、酸っぱいにおいがする時の下痢便
腸内異常発酵つまり発酵性消化不良を起こしている恐れがあります。この場合は黄色っぽい下痢便が出ますので、色・匂い共に注意しておかなければなりません。

腸内細菌異常増殖症候群とは、小腸の内容物の動きが悪いために、ある種の腸内常在細菌が過剰に増殖し、下痢や栄養素の吸収不良を起こす病気です。

小腸内の細菌を適切なバランスに保つためには、小腸の内容物が正常に着実に動く(ぜん動)ことが重要です。腸の内容物の動きが遅くなったり、1カ所にたまる状態が生じると、細菌が過剰に増殖します。

このような状態になる例として、胃や腸、またはその両方に対する特定の手術、あるいは糖尿病、全身性硬化症、アミロイドーシスなどの病気でも、ぜん動が緩慢になり、細菌の過剰増殖を引き起こすことがあります。

小腸内で増えすぎた細菌が炭水化物やビタミンB12などの栄養素を消費するため、摂取カロリーの減少やビタミンB12欠乏症が生じます。また細菌は、消化を助けるために肝臓が分泌する胆汁酸塩も分解します。胆汁酸塩が失われると、脂肪が吸収しにくくなり、下痢や栄養不良が生じます。

特に頻度の高い症状は、腹部不快感、下痢、腹部膨満、過剰な鼓腸です。症状がほとんどない人や、体重減少や栄養欠乏しかみられない人もいます。

他に重度の下痢や脂肪便(明るい色で、柔らかく、量の多い、脂ぎった便で、異常な悪臭を放つ)がみられる人もいます。

2)焦げ臭い下痢便

小腸機能の低下による消化不良を起こしている疑いがあります。小腸で消化・吸収が障害されると各種の栄養素の欠乏が起こります。

そして、下痢、脂肪便、体重減少、るいそう、貧血、倦怠感、腹部膨満、浮腫などのさまざまな症状が出現します。

これらの疾患群を吸収不良症候群と言いますが、消化・吸収過程が障害されて発生するこの病態は、栄養素の吸収部位である小腸疾患以外にも、膵・肝胆道系疾患や胃・十二指腸疾患、さらには全身性疾患でも発症する可能性があります。

3)生臭いコールタール状の下痢便

強烈な生臭いコールタール状の便は、消化管のどこかの部分で、相当な量の出血がある事を示しています。タール便は光沢があって、海苔の佃煮の様にべとべとしています。また、めまい、ふらつきなどの貧血の症状が見られます。

口から肛門までの消化管のいずれの部分でも、出血が起こることがあります。出血は肉眼で容易に見える場合(顕性)もあれば、量が少なすぎて見えない場合(潜在性)もあります。
潜在性の出血
(潜血)は、便サンプルの化学的検査でのみ検出されます。

血液は直腸からも排泄されることがあり、黒いタール状の便(黒色便)または鮮紅色の便(血便)として出たり、1日当たりの出血量が小さじ数杯未満であれば正常な便に見えたりします。

黒色便は、出血部位が食道、胃、小腸の場合に多くみられます。黒色便の色が黒っぽいのは、出血した血液が数時間、胃酸や酵素、大腸に生息している正常な細菌にさらされたためです。

黒色便は、出血が止まった後も数日間続くことがあります。血便は、大腸から出血した場合に多くみられますが、上部消化管で非常に急速に出血が起きたときにもみられます。

下痢の原因は出血部位と患者の年齢によって異なるため、最も一般的な原因を具体的に挙げることは困難です。

一般的には、上部消化管出血の最も一般的な下痢の原因は以下のものです。

●食道、胃、十二指腸の潰瘍またはびらん

●食道にある静脈の拡張(食道静脈瘤)

●嘔吐後の食道粘膜の裂傷(マロリー-ワイス症候群)

下部消化管出血の最も一般的な原因は以下のものです。
●大腸ポリープ

●憩室(けいしつ)性疾患

●痔核

●炎症性腸疾患

●結腸ガン

下部消化管出血の他の下痢の原因には、結腸にある血管の異常、肛門の皮膚の裂傷(裂肛)、虚血性大腸炎、放射線または血液供給不足による大腸の炎症などがあります。

4)魚や肉の腐った臭いの下痢便

特に水状、泥状の下痢便から肉や魚の腐ったようないやな匂いがしたら血液や粘膜が腸から大量にでて分解されていると考えていいでしょう。当然脱力感があります。

下痢便の臭い、色、形をよく観察しましょう

以上の様な下痢便の変化によって病気の早期発見につながることもあります。「便の観察」は健康のバロメーターとも言われています。下痢便を観察することはとても重要です。

まとめてみると、便観察のポイントは3つ・便の形状・便の色・便の臭いです。この基本的な3つの観察は食べた物によって変化します。

例えば、便の臭いの原因となっているのは、インドールやスカトールなどのたんぱく質が腸内細菌などにより分解されたものです。だから、たんぱく質を多く含む食べ物を食べる人の便は腐敗が進んで臭くなります。

肉を食べ過ぎたとき、臭いが強烈というのはそのせいです。臭いの、汚いのと文句ばかり言われる便ですが、世界一いい香りの便を出す動物がいます。

それはコアラです。コアラが常食とするユーカリの葉には強い香りがあり、それがうんちにそのまま含まれ、月桂樹のような芳香となって出ると言われているようです。


ちなみに、ニラやニンニクを食べたとき、その食べ物特有の臭気が出てきます。ですから便の臭いと食べた物には相関関係があるのです。栄養剤などの薬を服用した時も、その臭いが便に残ります。

このように単に「便が臭い」と言っても、その微妙な違いによっていろいろなケースが考えられます。食生活が洋風化し、高たんぱく、高脂肪の食品を多く摂取するようになってきた日本人は、その便まで洋風化し、ますます強烈に臭くなってくるのではと言われます。

ですから、慢性的な下痢の方は何を食べたか便日記をつけることで下痢の改善にも役立ちます。

うんちは「汚いもの」「くさいもの」なのでさっと流してしまう方が多いかもしれませんが、形や色、においによって、あなたの健康状態や腸内環境を知らせてくれる大切なものですから、ゆっくり、じっくりと観察しましょう。トイレに芳香剤などを置かない方が臭いの変化がわかりやすいです。

腸内環境を整えて下痢を改善

腸内環境を整えるためには、まず腸内の働きを再認識してみましょう。再認識することで腸の重要性が分かります。腸では食べ物の吸収・排泄だけではなくなく主に7つの働きをします。

1.消化:食べ物をブドウ糖やアミノ酸に分解

2.吸収:小腸の粘膜から栄養素のほとんどを体に吸収

3.合成:腸内細菌と協力してたくさんのビタミンやホルモン、酵素をつくる

4.免疫:体内の免疫細胞の60~70%が小腸に存在、腸内細菌と協力して町の免疫細胞が病原菌やウイルスから体を守る

5.浄血:善玉菌が多く、元気であれば腸内腐敗を防ぎキレイな血液をつくる

6.解毒:腸の粘膜組織や腸内細菌が有害物質を分解して解毒をサポート

7.排泄:小腸で栄養が吸収されると大腸で栄養分を取り除いた後の残りかすを便として形成し排出

腸内にはこのような重要な働きがありますので、何をどう食べるかで終わるのではなく、食べた後にどう体内へ吸収されるかが重要なのです。ですから腸のコンディッションが整っていくと下痢や他の病気を改善しようと体は必死に働きます。

様々な病気を寄せ付けない身体、今や世界的な脅威をふるっている新型コロナウイルスなども腸内で予防できるのです。腸内環境を整えるサプリメントがありますので上手
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