コンビニおにぎりで下痢・腹痛になる原因は?食中毒・具材・保存状態

執筆・監修:箕浦雅子(薬剤師)|株式会社健将 代表取締役

「コンビニおにぎりを食べたあとに下痢になった」

「おにぎりを食べて数時間後に腹痛や吐き気が出た」

「胃腸炎のとき、コンビニのおにぎりなら食べても大丈夫?」

このような疑問を持つ方もいるでしょう。

結論からいうと、コンビニおにぎりそのものが一律に下痢を起こすわけではありません。

おにぎりを食べたあとに下痢や腹痛が起こった場合は、

  • 食中毒
  • 購入後の保存状態
  • 食べるまでの時間
  • 具材や脂質
  • すでに下痢や胃腸炎があったか

などを分けて考える必要があります。

おにぎりなどの米飯類では、黄色ブドウ球菌やセレウス菌による食中毒が知られています。[1][2]

また、食べて数時間後に症状が出るものだけでなく、ノロウイルスのように1〜2日後に症状が現れる食中毒もあります。[7]

一方で、

「コンビニだから危険」「添加物が入っているから下痢になる」

と一括して考えるのは適切ではありません。

おにぎりを食べて何時間後?症状が出る時間も手がかりになる

食中毒では、原因によって症状が出るまでの時間が異なります。

原因 症状が出るまでの目安 主な症状
黄色ブドウ球菌 食後1〜6時間 吐き気、嘔吐、腹痛、下痢を伴うこともある
セレウス菌(おう吐型) 食後1〜5時間 吐き気、嘔吐、腹痛
セレウス菌(下痢型) 食後8〜16時間 腹痛、下痢
ノロウイルス 食後1〜2日 嘔吐、激しい下痢、腹痛など

[1][2][7]

ただし、症状が出た時間だけで原因を特定することはできません。

「いつ、何を食べ、どのくらい後に、どのような症状が出たか」を整理するための目安として考えましょう。

コンビニおにぎりを食べたあとに下痢したら確認したいこと

まず、次の点を確認してみましょう。

  • 食べてから症状が出るまで何時間だったか
  • 下痢だけか、吐き気・嘔吐・腹痛もあるか
  • 発熱があるか
  • 同じ食品を食べた人にも症状があるか
  • 購入後、長時間常温に置いていなかったか
  • 消費期限を過ぎていなかったか
  • ツナマヨ、明太子、鮭など、どの具材だったか
  • すでに胃腸炎や下痢の症状がなかったか

特に、同じ食品を食べた複数の人が同じような症状を起こしている場合は、食中毒の可能性も考える必要があります。

おにぎりで注意したい食中毒① 黄色ブドウ球菌

黄色ブドウ球菌は、人の皮膚、鼻や口の中、傷口などにいる細菌です。[1]

農林水産省では、原因食品の例として、

  • おにぎり
  • いなりずし
  • 巻きずし
  • 弁当
  • 調理パン

などを挙げています。[1]

黄色ブドウ球菌による食中毒では、食後1〜6時間ほどで、

  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 腹痛

などが起こり、下痢を伴うこともあります。[1]

原因になるのは、黄色ブドウ球菌が食品中で作る毒素です。

この毒素は熱に強いため、一度食品中に作られてしまうと、あとから加熱しても食中毒を防ぐことはできません。[1]

コンビニおにぎりでも黄色ブドウ球菌が心配?

「おにぎりで黄色ブドウ球菌」と聞くと、

「コンビニおにぎりは危険なの?」

と思うかもしれません。

しかし、黄色ブドウ球菌による食中毒は、コンビニおにぎりだけに特有のものではありません。

家庭で作ったおにぎりや弁当などでも、調理時の衛生管理やその後の保存状態によっては起こる可能性があります。

予防の基本は、

  • 調理前によく手を洗う
  • 手指に傷がある場合は食品に直接触れない
  • おにぎりを作るときはラップなどを利用する
  • 涼しい場所で保存する
  • できるだけ早く食べる

ことです。[1][3]

おにぎりで注意したい食中毒② セレウス菌

米飯類では、セレウス菌にも注意が必要です。

セレウス菌による食中毒には、

  • おう吐型
  • 下痢型

があります。[2]

おう吐型では食後1〜5時間ほどで、

  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 腹痛

などが起こります。[2]

下痢型では食後8〜16時間ほどで、

  • 腹痛
  • 下痢

などが起こります。[2]

農林水産省では、おう吐型の原因食品の例として、チャーハン、ピラフ、焼きそば、スパゲッティなどを挙げています。[2]

おにぎりを直接挙げた説明ではありませんが、米飯類については、作り置きを避け、保存する場合は小分けして速やかに冷蔵・冷凍することが勧められています。[2]

そのため、炊いた米や米飯類を長時間不適切な温度で置かないことが重要です。

そのほかの食中毒|ノロウイルスもある

おにぎりを食べたあとに下痢したからといって、黄色ブドウ球菌やセレウス菌だけが原因とは限りません。

ノロウイルスによる食中毒では、食後1〜2日ほどで、

  • 嘔吐
  • 激しい下痢
  • 腹痛

などが現れることがあります。[7]

ノロウイルスによる食中毒の多くは、ウイルスに汚染された食品を食べることで起こります。[7]

食品は、感染した人の便や吐物から、手や食器などを介して汚染されることがあります。[7]

そのため、

「食べてすぐではなく、翌日や翌々日に下痢になった」

という場合も、感染性胃腸炎を含めて考える必要があります。

買ってから時間がたったおにぎりは保存状態を確認

食中毒を考えるうえでは、

どこで買ったかだけでなく、購入後どのように扱ったか

も重要です。

たとえば、

  • 購入後、長時間持ち歩いた
  • 暑い車内などに置いた
  • 包装を開けたまま放置した
  • 消費期限を過ぎていた

といった場合は注意が必要です。

農林水産省では、お弁当などは涼しい場所で保管し、なるべく早く食べるよう勧めています。[3]

また、味やにおいがおかしいと感じた場合は食べないようにしましょう。[3]

ツナマヨ・鮭・明太子など、具材でも違う?

コンビニおにぎりは、商品によって具材や栄養成分が異なります。

たとえば、

  • ツナマヨなど脂質が比較的多いもの
  • マヨネーズを使ったもの
  • 辛子明太子など辛味のあるもの
  • 揚げ物などを具材に使ったもの

があります。

ただし、

「ツナマヨだから下痢になる」「明太子だから胃腸を壊す」

と一律に言うことはできません。

一方、すでに急性の下痢があるときには、高脂肪の食品などが症状を悪化させる可能性があります。[4]

そのため、すでにお腹の調子が悪い場合には、商品の具材や脂質量を確認して選ぶとよいでしょう。

胃腸炎のとき、コンビニおにぎりは食べてもいい?

胃腸炎や急性下痢のとき、

「おかゆを作れないから、コンビニのおにぎりを食べてもいい?」

と迷うこともあるでしょう。

NIDDKでは、急性下痢やウイルス性胃腸炎では、食欲が戻れば、多くの場合は通常の食事へ戻してよいとしています。[4][5]

また、ウイルス性胃腸炎で絶食したり、厳しい制限食を続けたりすることは通常勧められていません。[5]

ただし、まだ吐き気が強い、嘔吐を繰り返している、食欲がないという場合に無理に食べる必要はありません。

また、急性下痢があるときには、

  • 高脂肪の食品
  • 果糖や乳糖などの糖を多く含む食品・飲料
  • 糖アルコールを多く含む食品

などが症状を悪化させることがあります。[4]

そのため、コンビニおにぎりを食べる場合も、現在の症状と商品の具材・栄養成分を確認することが大切です。

おにぎり自体が「胃腸炎の治療食」という意味ではありません。

下痢中に「梅・鮭・ツナマヨ」ならどれがいい?

一律に「この具なら大丈夫」と決めることはできません。

ただし、すでに急性下痢がある場合には、高脂肪食品が症状を悪化させる可能性があります。[4]

そのため、ツナマヨや揚げ物系など脂質が多い商品では、現在の体調をみながら選ぶ必要があります。

一方、梅や鮭でも商品によって、

  • 脂質
  • 塩分
  • 辛味
  • 調味料
  • 具材の量

などは異なります。

「梅なら安全」「鮭なら消化に良い」と決めつけず、食品表示や栄養成分表示を確認しましょう。

コンビニおにぎりの「添加物」が下痢の原因?

コンビニおにぎりについて、

「食品添加物が入っているから下痢になるのでは?」

と心配する方もいるでしょう。

しかし、食品添加物が使われているという理由だけで、その食品が下痢の原因になるとする根拠は、本記事で参照した資料の範囲では確認できません。

食品添加物は、食品安全委員会による安全性評価を受け、人の健康を損なうおそれがない場合に限って、成分規格や使用基準を定めたうえで使用が認められています。[6]

一方で、食品に使われる成分の種類や量によっては、消化器症状に影響するものもあります。

たとえば、糖アルコールは、すでに急性の下痢があるときに症状を悪化させることがあります。[4]

つまり、

「添加物だから危険」「添加物だから問題ない」

と一括して考えるのではなく、成分の種類や量を個別に考えることが大切です。

食品を選ぶときは、

  • 原材料
  • アレルギー表示
  • 栄養成分
  • 消費期限
  • 保存方法

なども確認しましょう。

「保存料不使用」なら食中毒にならない?

「保存料不使用」と表示されていても、

食中毒にならないことを意味するわけではありません。

食中毒の予防では、

  • つけない
  • ふやさない
  • やっつける

という基本が重要です。[3]

また、購入した食品についても、保存温度や食べるまでの時間に注意する必要があります。

「添加物が入っているかどうか」だけで食品の安全性を判断しないことが大切です。

コンビニおにぎりを食べると毎回下痢する場合は?

毎回のようにコンビニおにぎりを食べたあとに下痢や腹痛が起こる場合は、

「コンビニだから」

と決めつけず、条件を整理してみましょう。

確認したいのは、

  • 同じ具材で毎回症状が出るか
  • 家で作ったおにぎりではどうか
  • 白米だけでも症状が出るか
  • ツナマヨなど脂質の多い商品で起こりやすいか
  • 食べてから症状が出るまで何時間か
  • 吐き気や嘔吐を伴うか
  • 同じものを食べた人にも症状があるか
  • おにぎり以外の食品でも下痢が続いていないか

などです。

毎回同じような症状が続く場合は、食中毒だけではなく、食物不耐症や消化器疾患など、おにぎり以外の原因も含めて医療機関へ相談してください。

コンビニおにぎりを食べて下痢したときの対処法

一時的な急性下痢で強い症状がない場合は、失った水分と電解質を補うことが大切です。[8]

水分をとり、必要に応じて経口補水液などを利用します。

食欲が戻ってきたら、体調をみながら通常の食事へ戻していきます。[8]

ただし、

  • 嘔吐を繰り返す
  • 強い腹痛がある
  • 高い熱がある
  • 血便や黒い便がある
  • 脱水症状がある

といった場合は、自己判断だけで様子を見ないことが大切です。

こんな場合は医療機関へ

以下は成人の受診目安です。

次のような場合は医療機関へ相談してください。[9]

  • 下痢が2日を超えて続く
  • 1日に6回以上のゆるい便がある
  • 嘔吐を繰り返す
  • 強い腹痛がある
  • 高い熱がある
  • 血便や黒い便がある
  • 脱水症状がある

脱水のサインには、

  • 強いのどの渇き
  • 口の乾燥
  • 尿が少なくなる
  • だるさ
  • めまい・ふらつき
  • 尿の色が濃くなる

などがあります。[9]

また、同じ食品を食べた複数の人に同じような症状が出ている場合は、食中毒の可能性も考え、医療機関へ相談してください。

※乳幼児や子どもは成人とは受診の目安が異なります。子どもの下痢が1日を超えて続く場合や、乳児がほとんど飲まない状態が数時間続く、元気がない・ぐったりしている、脱水症状がある場合は、早めに医療機関へ相談してください。[9]

まとめ|「コンビニだから下痢になる」と決めつけない

コンビニおにぎりを食べたあとに下痢すると、

「添加物が原因なのでは?」

「コンビニのおにぎりは危険なのでは?」

と心配になるかもしれません。

しかし、コンビニおにぎりそのものが一律に下痢を起こすわけではありません。

確認したいのは、

  • 食べてから症状が出るまでの時間
  • 購入後の保存状態
  • 具材
  • 吐き気や嘔吐の有無
  • 同じ食品を食べた人にも症状があるか
  • すでに下痢や胃腸炎があったか

といった点です。

おにぎりでは黄色ブドウ球菌などによる食中毒が起こることがあります。[1]

一方で、

「添加物入りだから下痢になる」「保存料不使用なら安全」

と単純に判断することもできません。

大切なのは、「コンビニだから」と決めつけるのではなく、

何を、いつ、どのような状態で食べ、どのくらい後に、どのような症状が出たのか

を整理することです。

参考文献・参考情報

[1] 農林水産省.
黄色ブドウ球菌(細菌)[Staphylococcus aureus].
おにぎりなどが原因食品となること、食後1~6時間で吐き気・嘔吐・腹痛が起こり、下痢を伴うことがあること、毒素の耐熱性、予防方法について参照。
農林水産省の資料を確認する

[2] 農林水産省.
セレウス菌(細菌)[Bacillus cereus].
おう吐型・下痢型の症状、発症までの時間、米飯類などの作り置きや保存に関する注意について参照。
農林水産省の資料を確認する

[3] 農林水産省.
お弁当づくりによる食中毒を予防するために.
「つけない・ふやさない・やっつける」という食中毒予防の基本、手洗い、手指の傷への対応、保存方法、早めに食べることについて参照。
農林水産省の資料を確認する

[4] National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK).
Eating, Diet, & Nutrition for Diarrhea.
急性下痢時に症状を悪化させる可能性のある高脂肪食品、果糖や乳糖などの糖、糖アルコールなどについて参照。
NIDDKの資料を確認する

[5] National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK).
Eating, Diet, & Nutrition for Viral Gastroenteritis (“Stomach Flu”).
ウイルス性胃腸炎では食欲が戻れば通常の食事へ戻せること、絶食や厳しい制限食を通常は勧めないことについて参照。
NIDDKの資料を確認する

[6] 消費者庁.
食品添加物.
食品添加物の安全性評価、成分規格、使用基準、使用が認められた添加物の安全確保について参照。
消費者庁の資料を確認する

[7] 農林水産省.
冬に食中毒?ノロウイルスの予防と対処法.
ノロウイルスによる食中毒の主な症状、食後1~2日で嘔吐・激しい下痢・腹痛などが起こること、食品が汚染される経路、予防について参照。
農林水産省の資料を確認する

[8] National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK).
Treatment of Diarrhea.
急性下痢時の水分・電解質補給、経口補水、食欲が戻った後の通常食への復帰について参照。
NIDDKの資料を確認する

[9] National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK).
Symptoms & Causes of Diarrhea.
成人・子どもの受診目安、下痢が続く期間、1日6回以上のゆるい便、脱水症状などについて参照。
NIDDKの資料を確認する

執筆・監修

箕浦雅子(薬剤師)
株式会社健将 代表取締役

薬剤師としての専門知識を基盤に、長年にわたり健康・食品分野に携わり、食品と体調との関係をはじめとする健康情報の発信を行っています。

株式会社健将は健康食品の企画・開発・販売も行っています。本サイトでは、公的機関・医学論文などを確認しながら、一般の方にも分かりやすい健康情報の提供に努めています。

利益相反(COI)について

執筆者は株式会社健将の代表取締役であり、同社は健康食品の企画・開発・販売を行っています。

本サイトおよび執筆者は、特定のコンビニエンスストア、食品メーカー、おにぎり製造会社等との広告・協賛関係はありません。

本記事は、特定の食品・商品・企業を批判または推奨することを目的としたものではなく、公的機関・医学資料等をもとに、一般的な健康情報を提供することを目的としています。

※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を指示するものではありません。症状が続く場合、強い症状がある場合は、医療機関へご相談ください。