生野菜・サラダで下痢や腹痛になるのはなぜ?お腹を壊す原因と対処法

執筆・監修:箕浦雅子(薬剤師)|株式会社健将 代表取締役

「生野菜を食べるとお腹を壊す」

「サラダを食べたあとに下痢になった」

「野菜は体によいはずなのに、なぜお腹が痛くなるの?」

そんな経験はありませんか。

結論からいうと、生野菜やサラダそのものが、誰にでも下痢や腹痛を起こすわけではありません。

生野菜を食べたあとにお腹の調子が悪くなった場合には、

  • 一度にたくさん食べた
  • 食物繊維を急に多く摂った
  • FODMAPなど発酵しやすい糖質が合わなかった
  • ドレッシングや乳製品など、一緒に食べたものが関係していた
  • もともと腸が敏感だった
  • 食中毒や衛生状態が関係していた
  • 食事をきっかけに胃結腸反射が起こった

など、いくつかの可能性を分けて考える必要があります。

この記事では、生野菜やサラダを食べたあとに下痢・腹痛・お腹の張りなどが起こる場合に、何を確認すればよいのかを薬剤師が解説します。

生野菜・サラダで下痢や腹痛になる主な原因

まず確認したいのは、次の6つです。

  1. 一度に食べる量が多かった
  2. 食物繊維を急に多く摂った
  3. FODMAPなど発酵しやすい糖質が関係した
  4. ドレッシングや乳製品など、一緒に食べたものが関係した
  5. もともと腸が敏感だった
  6. 食中毒や別の原因が関係した

「生野菜を食べた=生野菜が悪い」とすぐに決めるのではなく、何を、どのくらい食べたときに症状が出るのかを整理することが大切です。

原因① 生野菜やサラダを一度に食べ過ぎた

サラダは軽く見えるため、思った以上の量を一度に食べることがあります。

例えば、

  • 大きなボウルいっぱいのサラダ
  • 食べ放題のサラダバー
  • キャベツの千切りを大量に食べる
  • レタス・玉ねぎ・豆類などを一度に多く食べる

といった場合です。

少量では問題がなくても、大量に食べたときだけ、

  • お腹が張る
  • ガスが増える
  • 腹痛が出る
  • 便がゆるくなる

という場合には、まず食べた量との関係を確認してみましょう。

原因② 食物繊維を急に多く摂った

野菜には食物繊維が含まれています。

食物繊維は大切な栄養成分ですが、短期間に急に増やすと、ガスやお腹の張りなどの症状が出ることがあります。

NIDDKも、IBSの人では食物繊維を一度に増やしすぎるとガスを起こすことがあり、少しずつ増やす方法を紹介しています。[1]

特に、

「普段あまり野菜を食べないのに、健康のために急に大量のサラダを食べ始めた」

という場合には、量を少し減らして様子を見るのも一つです。

ただし、

「食物繊維=下痢の原因」

と一律に考えるのは適切ではありません。

体質や腸の状態、野菜の種類、食べる量によって反応は異なります。

原因③ FODMAPが関係していることもある

生野菜を食べると、

  • お腹がゴロゴロする
  • ガスが増える
  • お腹が張る
  • 下痢や腹痛が起こる

という人では、野菜に含まれるFODMAPが関係している場合があります。

FODMAPとは、小腸で十分に吸収されにくく、大腸で発酵しやすい糖質の総称です。

NIDDKは、IBSの症状がある人で低FODMAP食が選択肢になる場合があるとしており、FODMAPを多く含む食品として、

  • 玉ねぎ
  • にんにく
  • カリフラワー
  • きのこ
  • アスパラガス
  • 豆類

などを挙げています。[1]

ただし、FODMAPは「悪い成分」ではありません。

また、野菜によって量や種類が異なり、少量なら問題なく食べられる人も多くいます。

Monash Universityも、野菜では食べる量によってFODMAP量が変わることを示しています。[6]

そのため、

「野菜全部をやめる」

のではなく、

「どの野菜を、どのくらい食べたときに症状が出るか」

を見ることが重要です。

FODMAPと下痢・腹痛の関係については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

フルグラ・グラノーラで下痢・腹痛になるのはなぜ?お腹を壊す原因と対処法

生野菜より加熱野菜の方がお腹にやさしい?

「生野菜だとお腹を壊すけれど、加熱した野菜なら平気」

という人もいます。

この場合、

  • 一度に食べる量
  • 食感やかさ
  • FODMAPの量
  • 調理による水分や組織の変化

など、複数の要因が関係している可能性があります。

ただし、「加熱すればすべてのFODMAPがなくなる」というわけではありません。

野菜によっては、調理法でFODMAP量が変化する可能性もありますが、すべての野菜に同じように当てはめることはできません。

生野菜で症状が出やすい人は、

  • 少量にする
  • 加熱野菜と組み合わせる
  • 同じ野菜ばかり大量に食べない

などから試すと、原因を整理しやすくなります。

原因④ ドレッシングや一緒に食べた食品が関係することもある

サラダを食べてお腹を壊した場合、

「生野菜が原因」

と思いがちですが、サラダは野菜だけで食べるとは限りません。

例えば、

  • 牛乳やヨーグルトを使ったドレッシング
  • チーズ
  • 卵
  • ハム
  • ベーコン
  • ツナ
  • 豆類
  • にんにく
  • 玉ねぎ
  • 甘味料を使ったドレッシング

などが加わることがあります。

特に乳製品を使ったドレッシングやチーズで症状が出る場合には、乳糖不耐症も一つの確認ポイントです。

乳製品と下痢の関係については、こちらの記事も参考になります。

ドーナツで下痢・腹痛になるのはなぜ?お腹を壊す原因と生ドーナツの注意点

また、ソルビトールやマンニトールなどの糖アルコールは、摂取量によって下痢やお腹の張りにつながることがあります。

ですから、

「サラダで下痢した」

という場合には、野菜だけでなく、ドレッシングやトッピングも含めて何を食べたかを確認しましょう。

糖アルコールと下痢の関係については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

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原因⑤ もともと腸が敏感だった

過敏性腸症候群(IBS)など、もともと腸が刺激に敏感な人では、生野菜を食べたあとに症状が出やすいことがあります。

NIDDKでは、IBSの食事療法として、

  • 食物繊維の調整
  • 低FODMAP食
  • 症状が出る食品の確認

などを紹介しています。[1]

大切なのは、

「生野菜が体に悪い」

ということではなく、

その人の腸に合う量や種類があるということです。

食べてすぐ下痢したのは、生野菜がそのまま出たから?

サラダを食べて10分、20分くらいでトイレに行きたくなると、

「今食べた野菜がもう出てきたのでは?」

と思うかもしれません。

しかし通常、今食べた生野菜がそのまま数分で大腸まで移動し、便になったわけではありません。

食事によって胃が刺激されると、大腸の動きが活発になることがあります。

これを胃結腸反射といいます。

そのため、

「食べてすぐ下痢した=生野菜が消化できなかった」

とは限りません。

もともと大腸にあった内容物が、食事をきっかけに押し出された可能性もあります。

胃結腸反射については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

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生野菜・サラダで食中毒になることはある?

あります。

生野菜は加熱せずに食べるため、病原体が付着していた場合には、そのまま口に入る可能性があります。

CDCの集計でも、葉物野菜やその他の生鮮野菜が食中毒集団発生の原因になることがあります。[4][5]

ただし、

「生野菜を食べると食中毒になる」

という意味ではありません。

適切に取り扱えば、多くの人が安全に食べることができます。

サラダによる食中毒を疑うのはどんなとき?

食中毒の場合には、

  • 強い腹痛
  • 水のような下痢
  • 発熱
  • 嘔吐
  • 血便
  • 同じものを食べた人にも同じ症状が出ている

などが手掛かりになります。

また、原因となる菌やウイルスによって、食べてから症状が出るまでの時間は異なります。

そのため、

「食べてすぐお腹が痛くなったから食中毒」

とも限りません。

症状の強さや発熱・嘔吐・血便の有無、同じ食事をした人の症状なども確認しましょう。

生野菜・サラダを安全に食べるには

家庭では、特別な消毒をすることよりも、基本的な衛生管理が重要です。

FDAは、生鮮野菜について、

  • 調理前に手を洗う
  • 流水で野菜をよく洗う
  • 傷んだ部分を取り除く
  • 生肉・魚介類と接触させない
  • 包丁やまな板を清潔にする
  • カット済み野菜など要冷蔵品は冷蔵する

ことを勧めています。[3]

また、FDAは野菜を石けんや洗剤で洗うことは勧めていません。[3]

日本の厚生労働省も、生野菜は見た目がきれいでも菌や汚れが付いていることがあるため、しっかり洗うよう案内しています。[7]

「カット野菜は添加物だらけ」なの?

市販のカット野菜を見ると、

「薬品や添加物で長持ちさせているのでは?」

と心配になる人もいるかもしれません。

しかし、「カット野菜だから添加物だらけ」と一括りに考えるのは適切ではありません。

商品ごとに製造方法や表示は異なります。

重要なのは、

  • 消費期限
  • 保存方法
  • 開封後の扱い
  • 要冷蔵表示

を守ることです。

また、袋に「洗浄済み」「そのまま食べられます」などと表示された製品は、製品表示に従って使用しましょう。

生野菜を食べると毎回下痢するときは?

症状を繰り返す場合には、条件を整理してみましょう。

確認したいのは、

  • どの野菜を食べたか
  • どのくらい食べたか
  • 生か加熱か
  • 玉ねぎ・にんにく・豆類などが入っていたか
  • ドレッシングの種類
  • チーズや乳製品が入っていたか
  • 食後どのくらいで症状が出たか
  • ガスやお腹の張りを伴ったか
  • 発熱や嘔吐があるか
  • 生野菜を食べていない日にも下痢があるか

です。

特に、

「特定の野菜だけで症状が出るのか」

それとも、

「生野菜を大量に食べたときだけなのか」

という違いは重要です。

生野菜で下痢になったときの対処法

いったん大量に食べるのを控える

症状があるときに、原因を確かめようとしてもう一度大量に食べる必要はありません。

いったん控えて、症状の経過をみましょう。

水分を少量ずつ補給する

下痢では水分や電解質が失われます。

少量ずつ水分を補給しましょう。

NIDDKも、急性下痢では食べられるようになれば通常の食事へ戻してよいとしており、慢性的な下痢では原因となる食品の見極めが重要としています。[2]

次に食べるときは条件を一つずつ変える

症状が落ち着いたあと、また野菜を食べる場合には、

  • 一度に食べる量を減らす
  • 加熱野菜に変える
  • ドレッシングを変える
  • 乳製品を外す
  • 玉ねぎやにんにくなどを減らす

など、条件を一つずつ変えると原因を整理しやすくなります。

こんな場合は医療機関へ

次のような場合には、自己判断を続けず医療機関へ相談してください。

  • 強い腹痛がある
  • 下痢が続いている
  • 血便がある
  • 黒い便が出る
  • 高熱がある
  • 嘔吐を繰り返す
  • 水分が十分に取れない
  • 尿が少ないなど脱水が疑われる
  • 体重が減ってきた
  • 生野菜を控えても症状が続く
  • 同じものを食べた複数人に同じ症状が出ている

特に血便、高熱、強い腹痛、脱水などがある場合には、食中毒を含めた別の原因も考える必要があります。

まとめ|生野菜・サラダで下痢しても「野菜そのもの」が原因とは限らない

生野菜やサラダを食べたあとに、下痢・腹痛・お腹の張りが起こることはあります。

ただし、

「生野菜は消化が悪いから下痢になる」

「サラダは食中毒になりやすいから危険」

と一つの理由だけで説明することはできません。

考えられるのは、

  • 食べた量
  • 食物繊維
  • FODMAP
  • ドレッシングや乳製品
  • もともとの腸の敏感さ
  • 胃結腸反射
  • 食中毒
  • 生野菜とは別の原因

などです。

大切なのは、

「野菜が良い・悪い」

と決めることではなく、

「何を、どのくらい食べたときに症状が出るのか」

を整理することです。

参考文献・参考情報

[1] National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK).
Eating, Diet, & Nutrition for Irritable Bowel Syndrome.
食物繊維、低FODMAP食、IBSの食事調整について参照。
NIDDKの資料を確認する

[2] National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK).
Eating, Diet, & Nutrition for Diarrhea.
急性・慢性の下痢と食事について参照。
NIDDKの資料を確認する

[3] U.S. Food and Drug Administration(FDA).
Selecting and Serving Produce Safely.
生鮮野菜の流水洗浄、冷蔵、交差汚染防止等について参照。
FDAの資料を確認する

[4] Centers for Disease Control and Prevention(CDC).
Foodborne Illness Source Estimates.
野菜類を含む食品カテゴリーと食中毒の関連について参照。
CDCの資料を確認する

[5] Centers for Disease Control and Prevention(CDC).
Summary of Possible Multistate Enteric Disease Outbreaks in 2024.
葉物野菜・種を食べる野菜類等による集団発生について参照。
CDCの資料を確認する

[6] Monash University FODMAP Team.
Fructose Changes for Vegetables in the Monash FODMAP App.
野菜の種類・量とFODMAPについて参照。
Monash FODMAPの資料を確認する

[7] 厚生労働省.
「食中毒予防クイズ(初級編)」
生野菜の洗浄について参照。
厚生労働省の資料を確認する

執筆・監修

箕浦雅子(薬剤師)
株式会社健将 代表取締役

薬剤師としての専門知識を基盤に、長年にわたり健康・食品分野に携わり、腸内環境や食品と体調との関係をはじめとする健康情報の発信を行っています。

株式会社健将は健康食品の企画・開発・販売も行っています。本サイトでは、公的機関・医学論文などを確認しながら、一般の方にも分かりやすい健康情報の提供に努めています。

利益相反(COI)について

執筆者は株式会社健将の代表取締役であり、同社は健康食品の企画・開発・販売を行っています。

本記事は、特定の野菜、サラダ、ドレッシング、食品メーカー、飲食店等を批判・推奨することを目的としたものではなく、公的機関・医学論文等をもとに一般的な健康情報を提供することを目的としています。

※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を目的とするものではありません。症状が続く場合や気になる症状がある場合は、医療機関へご相談ください。