下痢の原因は呼気から発生するメタンガス
下痢の原因は様々です。例えば。ストレスがあるとお腹が痛くなったり、下痢が続いたりする人がいます。下痢が慢性化した長引く下痢はストレスが主な原因である過敏性腸症候群だと言われています。
ではストレスが解消したら下痢が治るのでしょうか?実は、そうではないようです。ストレス以外の慢性下痢の原因としてメタンガス、常用している薬が挙げられています。
慢性的な下痢の原因は腸内細菌によるメタンガス
慢性的な下痢と言えば、過敏性腸症候群と代表され、その多くが、ストレスで脳から腸が過敏になると考えられてきました。
腸を刺激したことで又、脳も過敏状態になり、悪循環に陥ります。過敏性腸症候群のこれまでの対策はストレスを取り除くことが主な解決方法でした。しかし、ストレスを取り除いても治らない人がいるということがわかり、ストレスとは関係なく過敏性腸症候群を起こすもう一つの原因があるようです。
それは息に含まれるメタンガスの量が、過敏性腸症候群の方には呼気(こき)の中にメタンガスの成分が多く含まれていることがわかりました。
息の中に含まれるメタンガスや水素ガスの割合が高い人は、過敏性腸症候群である確率が高いのです。そして、そのガスを作り出す原因こそが、今回新たに見つかった下痢の原因なのです。つまりメタンガスが過敏性腸症候群の原因ともいえ、約4割の方がこのタイプだそうです。
発生するメタンガスとは
では息の中に含まれるメタンガスなど、生体内で発生するガスはどのようなものなのでしょうか。
生体ガスとは、生命活動に伴い産生するガスの総称ですが、広い意味では森林の香り、バイオガス(メタンなど)、腐敗臭なども含みます。
狭い意味ではヒトの体内や体表面で産生されるガスを指し、①呼気、②腸内ガス、③皮膚ガスなどとして体外に放散されます。
①呼気
呼気は呼吸に伴って排出される気体で、わずかにミストや微粒子を含みます。飽和した水蒸気を除いたガスの組成は、窒素約80%、酸素約16%、二酸化炭素約4%であり、その他の微量成分として、水素、一酸化炭素、窒素酸化物、硫化水素、揮発性有機化合物(VOCs)などです。成人の呼気排出量は、一日当たり約17立方メートルである。
呼気成分は、
1.吸入した空気
2.摂取した飲食物の分解生成物
3.腸、口腔、気道に生息する微生物(細菌、ウイルス、真菌など)
4.細胞の代謝活動により産生される物質、などによって構成
口臭は、呼気にのって出てくる悪臭であり、呼気中のにおい物質だけでなく、口腔内のにおい物質も関与します。
②腸内ガス
腸内ガスは消化管ガスの一つです。腸内に溜まったガスは放屁やげっぷとして排出されます。主成分は、窒素、酸素、二酸化炭素、水素、メタンなどで、これらで99%を占めます。成人の放屁量は一日あたり0.5-1.5 Lであり、15-20回にわたって排出され、自覚を伴わない放屁もあります。
腸内ガス成分は、
1.口から取り込んだ空気(嚥下)
2.腸内細菌による飲食物の分解生成物
③皮膚ガス
皮膚の体表面から放散されるガスの総称であり、その一部は体臭として感じられます。皮膚ガスは、エネルギー基質(糖質、脂質、タンパク質)の代謝物、呼吸や食事などを通じて体内に取り込んだもの、皮膚表面における生物的・化学的反応生成物などから構成されます。
皮膚ガスは血液由来、皮膚腺(汗腺・脂腺)由来、表面反応由来とに大きく分けられます。
下痢の原因となるメタンガス
では下痢の原因となる呼気から発生されるメタンガスの発生原因はなんでしょうか。
それは「腸内細菌」なのです。腸内細菌は誰もが持っていますが、一体何がきっかけで、メタンガスが発生し下痢の原因となるのでしょうか?
腸内細菌は通常は大腸にいて、腸内細菌が働くとメタンガス・水素・二酸化炭素を出します。腸内細菌が出した気体は血液から肺に入って息に混じります。過敏性腸症候群の人はこのメタンガスの息が早くでてくるのです。なぜならこれは腸内細菌が小腸にまで入り込むことが原因なのです。
腸内細菌が、小腸まで入ることができた理由として、免疫力の低下が挙げられます。
例えば、風邪でおなかを壊したり、食あたりでおなかを壊したりすることがきっかけで小腸の免疫力が下がり、小腸に、本来大腸に棲んでいるはずの腸内細菌が小腸にまで住み着いてしまうことがあるのです。
小腸は棲みついた腸内細菌を異物と見なし追い出そうと激しく運動をしてしまいます。
その結果、本来なら小腸で消化吸収されるはずの食べ物が未消化のまま大腸に達してしまい、消化不良を起こし下痢になるのです。
ですから、慢性的な下痢の原因は、腸内細菌が小腸で異常増殖したことも考えられるのです。
慢性的な下痢の人はストレスが原因でなく、腸内細菌が原因の場合は小腸に異常増殖した腸内細菌を撲滅するのが有効です。
下痢の原因となる小腸の腸内細菌をなくすには
小腸に異常増殖した腸内細菌をなくすことが最も良い方法ですから、手軽に実践できる対策法は腸内細菌を兵糧攻めにすることです。
小腸の腸内細菌をやっつける!兵糧攻めの方法として
1. 食事を腹8分目にする
2. 空腹時間を8時間以上確保する
例えば、深夜に食事をした場合は朝食を抜きます(症状が治るまでの一時的な対策です)。
空腹時間を長くすることで栄養分が小腸の腸内細菌に十分に行き渡らなくなり、数が減少すると考えられています。
下痢が続いたり、下痢の原因が分からない場合、朝ごはんを抜くのも良い方法の一つです。食べることで病気が治りますので質の良い食事を心掛けましょう。サプリメントで補う事も良い方法の一つです。
慢性的な下痢は大腸バリアをつくる薬から
慢性的な下痢に悩まされている人はストレスによる原因ではなく常用している薬が原因ということもあるのです。
例えば、Aさんは胸焼けの治療を続けていたところ、激しい下痢に教われました。
Bさんは高血圧と腰痛の治療をしていたら下痢になりました。二人に共通する「原因」は「薬」でした。
ある種類の胸焼けの薬、高血圧の薬、鎮痛薬などを飲み続けたり、2種類以上を組み合わせて飲むと、薬を分解する酵素が足りなくなり、分解されないまま大腸に到達することがあります。
すると、大腸は薬の成分が有害であるかもしれないと考えて、自らコラーゲンのバリアを作って吸収しないようにします。
大腸は本来便の水分を吸収してくれる臓器なので、バリアができてしまうと水分の吸収まで妨げられ、下痢を引き起こすのです。慢性下痢で悩んでいる方の15~20%はこのタイプだと言われます。
原因となる薬を同じような効果を持つ他の種類の薬に変えると症状が改善します。
慢性下痢を引き起こす可能性がある薬
胃薬・・・プロトンポンプ阻害薬
鎮痛薬・・・非ステロイド性抗炎症薬
高血圧の薬・・・カルシウムきっ抗薬
これらの薬を長期間服用したり、2種類以上を組み合わせて服用すると下痢を引き起こす可能性があります。同じような効果を持つ他の薬に変えると症状が改善しますが、薬に関してはかかりつけの医師に必ず相談してください。
慢性的な下痢になる過敏性腸症候群になりやすい人
サルモネラ・カンピロバクター・赤痢菌などに感染して感染性腸炎を発症したことがある人は、その後過敏性腸症候群を発症しやすいことがわかり、注目されています。
また、腸内に生息する細菌(腸内細菌)のうち、健康に有益な”善玉菌(乳酸菌など)”が減って有害な”悪玉菌”が増え、腸内のバランスが崩れると、過敏性腸症候群が起こりやすいこともわかってきています。
慢性の下痢に悩む人は全国で推定960万人もいます。誰でもわずかなきっかけでなる可能性があるあるのです。
・風邪でお腹を下したことがある
・食あたりでおなかを下したことがある
・薬を服用している人
こうした経験のある方は慢性の下痢になる可能性がありますので、おなかを崩した場合はしっかりと養生し、おなかを完全に治す様に心掛けましょう。また薬を服用している方は、ご自分の薬と体の不調をよく観察してみましょう。
ストレスは誰でもあります。ストレスを軽減するためにもまずは腸内環境を良好にすることが大切です。
知らないうちに腸内環境を悪くしている8つのNG習慣
生まれてすぐの赤ちゃんのころから私たちのおなかに存在する腸内細菌の集まり(腸内フローラ)は、おなかだけでなくカラダ全体に影響をもたらすことから、「新たな臓器」と表現されています。
健康を維持するためには腸内環境を良好にすることが重要です。しかし、知らず知らずのうちに腸内環境を悪化させる生活をしてしまっていることが多いようです。腸に良くない8つのNG習慣はどんなものがあるのでしょうか。それらにあなたはいくつ当てはまりますか?
習慣①
忙しいのでランチのメニューが偏りがち
毎日似通ったメニューばかり食べていると、腸内フローラの多様性が低下してしまう恐れがあります。特に、腸内細菌のエサになる食物繊維が足りないメニューは腸内善玉菌の減少し悪玉菌が増えます。そうなると腸内環境は悪化します。
習慣②
お酒が好きで、ついつい飲みすぎる
アルコールを摂り過ぎると大腸菌などの悪玉菌が増え、腸内で作られる毒素が増える要因になるようです。それらの毒素によって腸管のバリア機能が破壊されると、毒素が全身へ移行し肝臓や他の臓器で炎症を引き起こすなどの悪影響につながるおそれがあるようです。過度な飲酒は腸内環境に良くないと言えます。
習慣③
デスクワークで動かない
仕事はデスクワーク中心で、長時間座りっぱなしでいることも多い人は要注意です。ほとんど出歩かず、座りっぱなしでいるのは腸内環境にマイナスとなります。座りがちな生活をしている人は、アクティブな生活をしている人と比べてカラダに良いはたらきをする善玉菌が少ないようです。休憩を心掛け、軽い運動など身体をほぐしましょう。
習慣④
移動で歩く以外、運動はほとんどしない
運動不足は、腸内環境にとっても良くありません。運動は腸内の善玉菌を増やす効果があります。できれば少し息が上がるくらいの運動を週に3回ほど行い、運動を習慣化することが大切です。
習慣⑤
生活のリズムが不規則に
夜になると眠くなり朝になると目が覚めるのは、カラダに備わる体内時計のおかげです。昼夜のシフト勤務や交代勤務で働いていたり、不規則な生活をしていたりすると、体内時計が乱れて時差ボケのような状態になることがあります。食事を摂るタイミングがいつもバラバラなのも、体内時計が乱れる要因にんまります。体内時計の乱れは、腸内環境をを乱す要因の一つです。
習慣⑥
ついつい夜更かしで睡眠不足になる
深夜まで夜更かしして睡眠不足が続くと、体重が増える可能性があります。それだけでなく、睡眠時間が短いと腸内環境にも乱れ、肥満などの代謝異常につながる可能性もあります。
習慣⑦
漫然と抗生物質を飲み続ける
病原菌の撃退に欠かせない抗生物質ですが、抗生物質の多用は害のない菌まで死滅させてしまい、正常な腸内環境を乱す要因になります。ウイルスによって引き起こされる風邪では、抗生物質では治りません。医師に指示された服用期間をきちんと守り、飲まなかったり、必要以上に飲み続けたりすることはやめましょう。
習慣⑧
ストレスを感じることが多いが、なかなか解消できない
脳と腸は密接に関係していると言われています。マウスを使った研究によると、ストレスを感じると腸内細菌の種類が減り、多様性が低下するとの報告もあります。ストレスは下痢や腹痛だけでなく、腸内環境を乱す原因にもなるのです。
ストレスによる活性酸素の発生を除去する野菜類を積極的に摂りましょう。
以上8つのNG習慣を取り上げましたが、慢性的な下痢に悩まされている方は出来るだけ良い習慣になる様に心掛けましょう。
腸内環境をしっかりと整えよう
ストレスをなくすことは現代の社会ではとても難しく、不可能に近いです。ストレスによる被害を少しでも軽くするためにはバランスのとれた食事、ストレスのよる活性酸素の発生を抑える、あるいはなくす食材を積極的に摂りましょう。
更に重要な事は腸内環境をしっかりと整えることです。腸内環境を整えるサプリメントがありますので、上手に利用しましょう。