下痢の原因・毒キノコ
実りの秋は、食欲の秋でもあり、さまざまな旬の食べ物がおいしいこの季節です。又、秋は行楽シーズンで、ハイキングや山登り、キノコ狩りなど山々を楽しむ人が多くなります。
しかし、キノコには注意が必要です。先日、毒キノコによる食中毒を起こしたニュースが放映されました。
下痢の原因は体質やその日の体調によっても下痢になる時がありますが、この時期はキノコによる食中毒下痢が発生しています。
キノコ中毒は毎年発生している
皆さんは日本にどのくらいのキノコがあるかご存知ですか?実は、正確な数が判らないほどたくさんの種類があるのです。
多分、4000~5000種類ぐらいあり、その中にはおよそ100種類の食用キノコと、40種類くらいの毒キノコが知られていますが、残り3860~4860種類くらいのキノコは、食べられるのか毒なのかさえ判っていないのです。
キノコによる食中毒のほとんどは、秋のキノコ狩りシーズンなどに山に入って採ってきたものを食べたことによるものです。
つまり、毒キノコを誤って食用だと思い込んで食べてしまった、と言うことです。
中には個人の飲食店主や弁当屋店主が毒キノコを誤って採取し、客に提供してしまったとか、農産物販売所で売ってしまったとか言う事例もあるようですが、それは全体の1割にも満たないようです。
だいたい年間平均50件余り、200人前後が中毒していると言われています。
もっとも中毒事例が多いツキヨタケげ下痢に
毒キノコを食べてしまう一番の原因は、食べられるキノコとよく似ているからという理由が大きいと思います。
実際、もっとも中毒事故が多いツキヨタケは、茶褐色のものが椎茸そっくりなのです。
そのキノコが食べられるかどうかの判別は難しいことを知っている人でも、シイタケそっくりなので見間違えるのも無理ではないようです。
しかも、同じ木の上にシイタケとツキヨタケが混じって生えることもあるのです。
ツキヨタケはその名の由来の通り、夜に光ります。
かなり淡い光なので条件によっては光らないので、光っていないからシイタケだと思わないでください。滅多に死亡事故に繋がることはないようですが、嘔吐・腹痛・下痢と言う典型的な症状から、重症の場合痙攣が起きることもあります。解毒剤はありませんので注意が必要です。
岐阜県内のツキヨタケ食中毒例
毒キノコ「ツキヨタケ」の食中毒発生が岐阜県内で続いています。キノコによる食中毒の発生件数は岐阜県内では2016年から4年間はゼロだったが、今月(全てツキヨタケ)発生しました。
県は、確実に食用と判断できないキノコは食べたり、他人に譲ったりしないよう注意を呼び掛けています。
ツキヨタケの大きさは10~20センチ程度で、夏から秋にブナやイタヤカエデなどの幹に重なり合って生える。
食用のヒラタケやムキタケ、シイタケなどによく似ているが、食べると嘔吐(おうと)や下痢、腹痛などの症状が出て、過去には死亡例もあります。
●2020年10月13日 毒キノコ誤食4人が食中毒
岐阜県は12日、毒キノコのツキヨタケを誤って食べた飛騨市の家族4人が嘔吐(おうと)などの食中毒症状を訴え、全員が医療機関に一時入院したと発表した。いずれも快方に向かっており、うち2人は退院しています。
県によると、4人は10~80代の男女。うち50代男性が9日、市内の山林でツキヨタケをブナシメジと誤って採取しました。4人が10日夜に自宅で煮込みうどんに入れて食べたところ、約1時間後に発症しました。
キノコによる食中毒は、県内では2015年の1件5人の被害を最後に発生していなかったのですが、今年は夏に大雨が降った影響などにより、キノコが生えやすい環境になっています。
県は、ツキヨタケの見分け方のポイントとして、刀の鍔(つば)のような盛り上がった部分が柄の付け根にあること、内部に黒色の染みがあることなどを挙げていますが、「判別が難しく、染みがほとんどないツキヨタケもある」(県担当者)ため、誤って採取しやすいと言っています。
下痢の原因となる毒キノコとは
毒キノコのよる食中毒は、秋に最も多く発生します。毎年多くの方が毒キノコによる下痢をはじめとする症状を訴えられ、重篤な場合は死亡する方もおられますので細心の注意が必要です。
自然毒による食中毒は、春は山菜、秋は毒キノコ、冬はフグと時期によって発生する種類が異なります。肉による自然毒の食中毒は殆どありません。
キノコは古くから食べられてきた食品の1つですが、昔から毒キノコによる死亡例はあったようです。
非常に強い有害物質をもつ毒キノコなどは明らかになっていますが、非常に微量な有害物質が含まれている毒キノコについては正直わかっておりません。
その為、古くから食べられていたキノコで最近になって毒キノコの指定を受けることもあります。椎茸、エノキ、シメジなど一般的に流通している以外のキノコは、どんな有害物質が含まれているか詳しくわからないので継続的に大量に食べることはおすすめできません。
また、毒キノコは水溶性の有毒物質が含まれることが多く、生食は避け水煮をするなどして茹で汁は捨てる様にしましょう。(必ずしも全ての毒キノコが水溶性の有毒物質ではないので注意してください。)
毒キノコの中でも特に注意したい種類と症状
●カエンタケ
猛毒キノコ「カエンタケ」は食べると死、触れても危険なキノコです。 奈良では近年、わずかな量でも口にすれば生命にかかわる猛毒キノコ「カエンタケ」が大量発生しました。
昨年8~10月には、生駒山山麓(同県生駒市)で100本以上、奈良市の観光名所「若草山」の頂上付近でも1本が確認されました。
発生時期や場所は、虫が媒介する菌で樹木が枯れる「ナラ枯れ」被害と重なっているとの指摘もあり、関係者は注意を呼びかけています。
カエンタケは地面から人間の指先が突き出たように生え、燃えさかる炎のような赤色を全身に帯びるキノコ。
古くからその猛毒で知られ、林野庁の担当者が「毒キノコの中で最も危険」と話しています。
漢字では「火炎茸」、または「火焔茸」と書きます。
カエンタケはニクザキン科のキノコで、長さは3~15センチ。折れたりして内部から染み出た汁が皮膚に付着すれば炎症を起こします。誤って口にすれば、摂取後10分前後の短時間で症状が現れます。
初期には消化器系の症状が強く、腹痛・嘔吐・水様性下痢となります。その後、めまい・手足のしびれ・呼吸困難・言語障害・白血球と血小板の減少および造血機能障害・全身の皮膚のびらん・肝不全・腎不全・呼吸器不全といった多彩な症状が現れ、致死率も高くなります。
また回復しても、小脳の萎縮・言語障害・運動障害、あるいは脱毛や皮膚の剥落などの後遺症が残ることがあります。厚生労働省によると、過去には薬用と勘違いして酒に浸して飲み、死亡した例もあるそうです。
ですから、もし毒キノコと分からずに、キノコを食べて下痢になったらまず病院へ行きましょう。
●カキシメジ
カキシメジの毒成分は水溶性のウスタル酸です。カキシメジの中毒症状は、喫食後30分~ 3時間後に頭痛、腹痛、嘔吐、下痢を引き起こします。
●クサウラベニタケ
クサウラベニタケの毒成分は、溶血性タンパク、コリン、ムスカリン、ムスカリジンなどです。中毒症状は、摂食後10分から数時間で症状が現れ、神経系および消化器系の食中毒を起こし、死亡例もあります。
●シロタマゴテングタケ
シロタマゴテンタケを誤って食べただけで死に至るほどの猛毒を持っています。
またタマゴテングタケ、ドクツルタケも同じように、摂取後24時間程度でコレラの様な激しい嘔吐・下痢・腹痛が起こり、その後、小康状態となり、回復したかに見えるが、その数日後、肝臓と腎臓等内臓の細胞が破壊されて最悪の場合死に至ります。
●ツキヨタケ
ツキヨタケは摂取後約30分から3時間程度で嘔吐や下痢などの食中毒の症状が現れ、見るものが青く見える幻覚症状を伴うことがある。
毒キノコの食中毒ならないために
毒キノコ食中毒にならないためにも知らないキノコは、とらない、たべない、人にあげないようにしましょう。食中毒の原因の多くは、素人が誤って毒キノコを採取し食べてしまう事です。
ですから、専門的な知識がない方がピクニックついでキノコをとって食べるのは絶対にやめましょう。
また、素人が食べられるキノコの判断にすることが多い迷信・・・例えば、地味なキノコは食べられる、塩漬けにすると食べられる、ナスと一緒に煮れば食べられるなど全てうそです。
この様なことを信じてキノコをとったり食べたりするのはやめましょう。
食べ方によっては食用キノコも中毒になる
食用であってもキノコを生食してはいけません。
キノコを生で食べて起こす中毒があります。特に最近ではサラダなどにして食べて、アレルギー症状を起こす人が増えています。
症状は、食べた直後から1時間後、遅くとも4時間以内に見られます。
じんましんや紅斑(皮膚が赤くなること)、浮腫(むくみ)が一番多い症状ですが、咳・喘息発作、嘔吐・腹痛・下痢などが見られることもあります。
滅多にマイタケを生で食べようと言う人はいないでしょうが、エリンギについてはネットで検索してみると生でサラダにしているレシピなどが紹介されていたりします。
原則としてキノコはすべて加熱用食品です。ヨーロッパではサラダにする習慣があるようですが、このため中毒事故もよく起こっています。
エリンギやマイタケも危険なキノコ
エリンギやマイタケはシアン産生菌と言うグループで、生命には別条ないものの、腹痛ぐらいは起こすであろう量の青酸化合物を含んでいることがあります。
ですので、必ず加熱してから食べるようにしましょう。実際に生食による中毒事故も起こっています。マイタケについては加熱しないと卵料理に合わせたりできない(卵が固まらない)ことも良く知られていると思います。
なじみの深いシイタケでも中毒症状が出る
キノコでも毒キノコではなく、なじみの深いシイタケも生や不完全な加熱のシイタケを食べるとその直後から数日後に全身に湿疹が出るシイタケ皮膚炎と呼ばれる中毒が起きます。
しかもこの皮膚炎が怖いのが昔から食用としてなじみ深いシイタケなのに原因物質が特定されていないことです。それに加えてシイタケにはホルムアルデヒドも含まれています。
ホルムアルデヒドはシックハウス症候群という新築の家などで起きる倦怠感や吐き気などが症状の病気の原因物質と同じ成分を生シイタケは持っています。
この物質に関してはかなり微量といわれているので、相当な数を生食しないと症状は出ないと言われていますが、食べ過ぎるとアレルギー反応が起きると言われています。
お酒のおつまみや、バーベキューなどで焼いたシイタケが加
熱不足によって原因になることがあるとも言われています。生シイタケを直火でしっかり焼くと結構縮んでしまいますので、それを気にして不完全加熱になるのかもしれません。
マツタケでも危険な食べ方
マツタケにはアレルギー反応を増悪させる物質のヒスタミンなどが含まれていますので、生で食べるとアレルギー性の胃腸炎を起こすことがあります。
冷蔵庫に大事に保管していたマツタケにより、中毒を起こした事例もあります。腐敗したキノコによる中毒です。食用キノコでも古いものや、虫により傷が付いたもの、またキノコの保存方法が悪いと細菌やカビによって中毒を起こします。
食用キノコ熱に弱いが毒キノコは加熱調理をして毒性が残る
このように、食用キノコであっても意外と毒性成分を含んでいるものが少なくないのです。しかし、食用キノコに含まれる毒性成分は不安定なものが多く、熱に弱いので加熱して食べることでほとんど害を回避できます。
一方で毒キノコと呼ばれるものの毒は熱や酸・アルカリにも強いことが多いので、加熱調理してもしっかり毒性成分が残るものです。
アルコールと一緒に食べると下痢に
キノコだけ食べても何ともないのですが、アルコールとの食べ合わせにより中毒を起こす特異的なキノコがあります。ホテイシメジ、ヒトヨタケ、スギタケなどです。
中毒症状はお酒を飲んで30分から1時間後に、顔、頸、手、胸が赤くなり、激しい頭痛、めまい、さらに心悸亢進、頻脈、血圧低下が起こります。
重症では呼吸困難、意識不明になります。中毒メカニズムはアルコール分解酵素の一つ、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼが阻害され血中アルデヒド濃度が上昇するために起こります。
マイタケ・エリンギでも食べ過ぎると死中毒になる
食用キノコのニオウシメジ、マイタケ、エリンギ、スギヒラタケなどは微量のシアンを含み、中毒を起こすことがあります。
通常は微量なので体内のロダネースという酵素で分解されますが、たくさん食べたり、加熱調理が不十分だと中毒を起こしたりすることがあるのです。
実例:平成16年の秋に東北地方を中心にスギヒラタケが原因で、原因不明の急性脳症が発生し、患者数60名、死者19名という悲惨な事件がありました。
スギヒラタケに含まれるシアンイオン濃度が、その年の異常気象からか例年に比べ高い値を示したことから、シアンによる可能性が示唆されています。
スギヒラタケは、くせがなく、口当たりがよいため、和風にも洋風にも調理されてきました。
世界中に分布しているキノコで、「天使の翼」と呼ばれるなど、海外でも広く食用と認識されています。
日本では、北陸・中部・東北地方を中心に、以前から普通に食卓に並ぶキノコです。
これまで食中毒などといった健康被害の報告もありませんでした。
スギヒラタケは、夏から秋にかけて、スギやアカマツなどの針葉樹の古い切り株や倒木に、多数が重なり合って生えます。
くれぐれも、キノコには細心の注意が必要です。基本、店頭に売られていなしキノコ類は食べないようにしましょう。キノコは生ではなく必ず加熱してから食べましょう。
腸内環境を整えよう
「元気の元は胃腸から」と昔から言われています。食べた物を消化・排出。吸収する機能を持っています。
例えば食べた物が有害なものであったとしても腸内環境意が正常に働いておれば、有害なものをスムーズに排出することが出来、有害物質による被害が最小限にとどまるなど、リスクが回避できます。
人は食べることで命を保ち、健康になることが出来ます。悪いものを食べた時には、有害な物を体から早く出すために、下痢と言う形で排出します。
腸内環境を整えていくことが健康の秘訣なのです。腸内環境を整えるサプリメントがありますので上手に利用しましょう。