臭わないからは危険

下痢の原因・臭わないから大丈夫
下痢の原因
となる食中毒には、ウイルス、細菌によるものがあります。この時期は高温多湿で食中毒菌が非常に繁殖しやすい季節です。


中には臭わないから腐っていない、傷んでいないから大丈夫、おなかが痛くならないなど、こうした独自の判断基準を持っている人がいます。

このような方は、多くの年配の方に見られ、親から臭わないから大丈夫だと言われてきた事と思います。

しかし「臭わないから大丈夫!!」は、下痢の原因となり、間違いなのです。

ではなぜなのか考えてみましょう。


目次
・下痢になる食中毒菌は1/100量で発生  ・微生物は食べ物の中で増える  ・微生物が増えたときの判断基準  ・臭わないから大丈夫は危険  ・有害菌による食中毒 ・菌の種類と症状  ・日本における食中毒の現状 ・腸内環境を整えよう

下痢になる食中毒菌は100分の1以下の菌量で発症

私たちの食べ物は、細菌やカビといった微生物にとってもおいしい食べ物です。

微生物には、食べ物を腐敗させたり、食中毒を起こしたりするものがあります。

微生物は肉眼では見ることができませんが、あらゆるところに存在します。

例えば、土壌中、空気中、調理台の上、エアコン、人の手指など至るところに存在しており、そこから食べ物に微生物が付着します。

食品工場では衛生管理がされていますが、微生物を完全にゼロにすることは難しいと言えます。

また、野菜や卵など加工される前の食べ物の材料にも、微生物は付着しています。

通常は加熱調理することによりこれらの微生物は死滅しますが、中には加熱しても生き残ることのできる微生物(耐熱性菌)もいるため注意が必要です。

食べ物には微生物が付いているものだと考え、まな板、包丁などにも対策を行うことが大切です。

腐敗細菌が1000万個程度になると食品の成分が変化し、臭いや味が変わり始めます。

この段階を初期腐敗といいます。

このため腐敗菌によってご飯が糸を引くようになり、臭いし食べる前ある程度は判断がつくこともありました。

昔は、食料が十分でなく、冷蔵庫もなく、そのような状態になっても水で晒して食べたりして事故を起こす例もありました。

しかし、細菌性食中毒の場合、初期腐敗の100分の1以下の菌量で発症するといわれています。

ですから、気がつかずに食べてしまう危険性が高いのです。肉や魚介類といった生鮮食品には、すでに食中毒菌がついている可能性もあると考えて対処する必要があります。

食品が腐敗したときには臭いや味の変化で腐敗したことを判断できます。

しかし、食中毒菌が増殖したときは、外観や臭い等では判断がつかない場合がほとんどです。

下痢の原因となる食中毒は必ずしも臭いや味がおかしい食品によって発生するわけではありません。
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下痢の原因となる微生物は食べ物の中で増える

食べ物に付着した微生物は、生育に適した条件(温度、pH、水分、栄養など)になると「分裂」により増殖します。

仮に10分に1回分裂する微生物が1個付着したとすると、10分後には2個、60分後には64個、5時間後には約10億個にまで増殖する計算となります。

微生物が増殖する速さは種類によって異なります。

生育に適した条件であれば、例えば腸炎ビブリオ菌では8分に1回、黄色ブドウ球菌では27分に1回分裂します。また、微生物によって生育に適した条件もさまざまです。

通常は30~37℃付近が生育に適した温度ですが、低温で増殖できる微生物(低温細菌)もいます。

これらの微生物が食べ物の中で増殖し、食べ物の成分が分解されることで、腐敗が起こります。

このように、微生物の増殖は食べ物の腐敗や食中毒のリスクを高めていきます。
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微生物が増えた時の判断基準

①色がついてわかる微生物菌
・着色:
菌体内に色素を持っている微生物が生育した時に、その食品自体に色が現れます。カビが生育した時の着色も含みます。

・原因となる微生物:
微生物全般

・主な原因食品:ハム・ソーセージ、パン・菓子類、タマゴ、惣菜 など

②異様な臭いでわかる
・異臭
:微生物が生育した時に、代謝産物として臭いのある物質を作ります。
嫌悪を感じる臭いから、甘い臭い、アルコールに類似した臭いなどさまざま。

原因となる微生物:乳酸菌、酵母、 食品全般

・主な原因食品:食品全般

③ネバネバしてわかる
 ネト①:食品中の糖から粘性物質(ネト)が生成され、食品に粘りが出ます。粘り状の物質は主に「デキストラン」で、透明で臭いがないのが特徴。

・原因となる微生物: 乳酸菌

・主な原
因食品:
かまぼこなど

ネト②:食品中のタンパク質、アミノ酸からの粘性物質(ネト)が生成されます。
臭いがあり上記のネト①に比べて粘性が高いのが特徴。

・原因となる微生物:バチルス属

・主な原因食品:肉加工品

④組織が分解
軟化:微生物が食品内部に侵入して、食品の組織を分解する。

原因となる微生物:バチルス属

主な原因食品:かまぼこ

⑤包装が膨らむ
膨張:主に酵母が起こす現象であり、包装が膨らみ、ひどいときは破裂する。
パンを製造する時に酵母が二酸化炭素を出して生地を膨らませるのと同じ現象。

原因となる微生物:乳酸菌、酵母

主な原因食品:漬物、洋菓子

⑥カビ
カビ発生:
カビが目で確認できるほど生育した状態。

主な原因微生物: カビ

主な原因食品:餅、パン・菓子類

これらのほかにも、液体中にカビが発生して「もや」がかかった様な現象や、微生物が多く生育して液体を濁らせる現象などがあります。
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臭わないから大丈夫は危険

微生物の中には有益菌と有害菌があります。

有害菌(食中毒菌)がいても見た目や臭いは普通の食品とほとんど変わらないことがあるので注意が必要です

ですから臭わないから大丈夫だと決めるのはとても危険です。

食中毒は食品や容器を介して人体に入った食中毒菌などによって引き起こされる病気のことです。

下痢をはじめ食中毒菌が出す毒素などにより症状は変わります。

重篤な場合、死に至る事もあります。

梅雨時期の季節は特に調理した食べ物、生ものには充分注意しましょう。
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有害菌による食中毒

これまで見てきたように、微生物には人にとって、利益をもたらすものもあれば、不利益な働きをするものがあります。

不利益な働きを抑えることで、食中毒のリスクを低減できます。

食中毒になると、下痢や嘔吐といった症状に苦しめられ、重症時には後遺症が残ったり、死に至る可能性もあります。

また、身体的な損失だけでなく、経済的にも大きな損失が発生することが考えられますので、できるだけリスクを低減することが重要です。

食中毒菌にはどのようなものがあるかを知るだけでもリスクを軽減できます。

主な食中毒菌

食中毒は細菌によるものがよく知られ、特に高温多湿の夏場にピークを迎えます。

ではどのような細菌が食中毒を起こすのでしょうか。

以下のグラフは細菌による食中毒発生患者数の内訳患者数です。

①サルモネラ属菌
特徴:
乾燥に強い。家畜、家禽、魚介類、ペット、下水など自然界に広く分布しています。

発症には大量の菌が必要と言われていましたが、最近では、少量の菌でも感染し発症することが分かってきました。

原因物質:卵・食肉及びその調理加工品、家畜の糞便に直接・間接的に汚染された各種食品。

症状:潜伏時間は6時間から72時間で、腹痛、下痢、おう吐、発熱(38℃~40℃) が主症状。

②ブドウ球菌
特徴:
人、動物の皮膚、粘膜に広く分布しています。塩分や乾燥に強く、酸素がなくても増殖。エンテロトキシンと呼ばれる毒素は100℃でも壊れない。

原因物質:弁当、おにぎり、調理パン、和・洋菓子など黄色ブドウ球菌が食物に付着し、増殖。特に、傷口があると黄色ブドウ球菌の量自体も非常に多くなる。

症状:食物を摂取してから3時間ほど、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛などが現れ1~2日の経過で軽快する。ときに脱水が非常に重い状態になることもあるため、注意が必要。

③腸炎ビブリオ
特徴:
海水中に棲息。増殖は極めて速い、腸炎ビブリオが多い時期に獲れた魚介類には、腸炎ビブリオが付着。真水では増殖しない。

5~6月から次第に増加し7月から9月の夏場に集中、最近では、冬場でも腸炎ビブリオによる食中毒がみられる。

原因物質:魚介類、特に夏期に沿岸で採れたものに多い。

生の魚介類を調理した後、調理器具や手指などを介して二次汚染された食品でも食中毒が発生。

症状:潜伏時間は8時間から24時間(短い場合で2~3時間)で、激しい腹痛、下痢、発熱、はき気、おう吐など。

④エルシニア・エンテロコリチカ
特徴:
豚、犬、猫などの腸管や自然環境中にいる細菌。

この細菌は0~4℃でも発育し、冷蔵庫内の食品中でも増殖し、食中毒を起こす。

原因物質:動物の糞などによる汚染で食肉(特に豚肉)、飲料水などが原因。

症状:潜伏期間は、半日~6日間。腹痛(特に右下腹部痛)、発熱、下痢など。

⑤ボツリヌス菌
特徴:
土壌や海、湖、川などの泥砂中に分布している嫌気性菌で、熱に強い芽胞を形成。

ボツリヌス菌の芽胞は、低酸素状態に置かれると発芽・増殖が起こり、毒素が産生される。

この毒素は、現在知られている自然界の毒素の中では最強の毒力がある。

原因物質:通常、酸素のない状態になっている食品が原因。

ビン詰、缶詰、容器包装詰め食品、保存食品(ビン詰、缶詰は特に自家製のもの)を原因として食中毒が発生。容器包装詰め食品の中でボツリヌス菌が増殖すると、容器は膨張し、開封すると異臭がする場合がある。

症状:食品中でボツリヌス菌が増え産生されたボツリヌス毒素による食中毒と、乳児に発生する乳児ボツリヌス症等に分類される。

摂取後、8時間~36時間で、吐き気、おう吐や視力障害、言語障害、えん下困難 (物
を飲み込みづらくなる)などの神経症状が現れるのが特徴、重症例になると呼吸麻痺により死亡する。

乳児ボツリヌス症は、1歳未満の乳児にみられ、主に蜂蜜によるボツリヌス症です。

便秘状態が数日間続き、全身の筋力が低下する脱力状態になり、 哺乳力の低下、泣き声が小さくなる等筋肉が弛緩することによる麻痺症状が特徴。

⑥ウェルシュ菌
特徴:
人や動物の腸管、土壌、水中など自然界に広く分布、ボツリヌスと同じ酸素を嫌う嫌気性菌。

この細菌は熱に強い芽胞を作るため、高温でも死滅せず、生き残る。

原因物質:肉類、魚介類、野菜を使用した煮込み料理、飲食店、仕出し屋、旅館、学校などの集団給食施設による事例が多く、カレー、シチュー、スープ、麺つゆなどのように、『加熱済食品は安心』という考えがウェルシュ菌による食中毒の発生原因となっている。

逆に、家庭での発生は他に比べて少ないことが特徴的。

症状:潜伏時間は約6~18時間です(平均10時間)。腹痛、下痢が主で、特に下腹部がはることが多く、症状としては軽い。

⑦セレウス菌
特徴:
セレウス菌は、土壌細菌のひとつで、土壌・水・ほこり等の自然環境や農畜水産物等に広く分布。

この菌による食中毒は、「下痢型」と「おう吐型」の2つのタイプに分類。日本では、「おう吐型」が多い。

この菌は耐熱性(90℃60 分の加熱に抵抗性)の芽胞を形成、おう吐を起こす毒素も熱に強く、126℃90分でも失活しない。

原因物質:スープ、肉類、野菜、弁当、プリン等、焼飯、ピラフ、焼きそば、スパゲッティ等。

症状:毒素の違いにより、以下の2つのタイプに分類。下痢型毒素を作る場所は小腸、潜伏期は8~16時間で主な症状は腹痛、下痢(ウェルシュ菌食中毒に似る)。    嘔吐型毒素を作る場所は食品中、潜伏期間は30分~6時間で主な症状は吐き気、嘔吐(黄色ブドウ球菌食中毒に似る)。

⑧腸管性大腸菌(VT、ベロ毒素産生)
特徴:
大腸菌は通常病原性はないが、いくつかの大腸菌は人に対して病原性がある。

これらを総称して腸管性大腸菌、下痢原性大腸菌(病原大腸菌)と呼ぶ。

腸管出血性大腸菌O157も下痢原性大腸菌のグループに入り、ベロ毒素(VT)を産生する大腸菌で、出血性の大腸炎を起こす。

感染しても健康な成人では無症状であったり、単なる下痢で終わることも多いです。

しかし、乳幼児や小児、基礎疾患を有する高齢者では腹痛や血便などの出血性腸炎のほか、まれに急性腎不全、血小板の減少、貧血などの症状を呈する溶血性尿毒症症候群(HUS)を引き起こすことがある。

原因物質:腸管出血性大腸菌O157は、牛などの家畜が保菌している場合があり、これらの糞便に汚染された食肉からの二次汚染により、あらゆる食品が原因となる可能性がある。

過去には、牛肉及びその加工品、サラダ、白菜漬け、井戸水等による食中毒事例がある。

症状:潜伏期間は平均4~8日で、症状は激しい腹痛で始まり、数時間後に水様下痢。

1~2日後に血性下痢(下血)がみられ、血性下痢は、ほとんどが血液で、糞便を含まないことがある。

また、溶血性尿毒症症候群(HUS)や、脳障害を併発し、HUSは下痢が始まってから、約1週間後に、赤血球の破壊による、溶血性貧血、血小板の減少及び急性腎不全などの症状が現れ、重症の場合は死亡する。

⑨その他病原性大腸菌
特徴:
大腸菌は人や動物の腸管に存在し、通常病原性はないが、いくつかの大腸菌は人に対して病原性があり、これらは総称して下痢原性大腸菌(又は病原大腸菌)と呼ばれています。

現在、この菌は次の5つのタイプに分類されている。
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下痢原性大腸菌の種類と症状

①腸管病原性大腸菌:下痢、腹痛を症状とし、サルモネラ属菌とよく似た急性胃腸炎を起こす。

②腸管侵入性大腸菌:腸の細胞内へ入り、赤痢のような症状(血便、腹痛、発熱)を起こす。

③毒素原性大腸菌:エンテロトキシンにより、コレラのような激しい水様性の下痢を起こす。

④腸管出血性大腸菌:腹痛や血便などの出血性腸炎、ベロ毒素産生性大腸菌とも呼ばれる。

⑤腸管集合性大腸菌:腸の細胞に付着し、エンテロトキシンを産生し、散発的に下痢症を起こす。

症状:潜伏時間は大腸菌の種類により異なり、1日~8日で腹痛、下痢、発熱(38℃~40℃)おう吐、頭痛など

原因物質:人や家畜が保菌している場合があり、これらの糞便に汚染された食品や手指からの二次汚染により、あらゆる食品が原因となる可能性がある。

⑩カンピロバクター・ジェジュニ/コリ
特徴:酸素が5~15%程度含まれる微好気的条件で良く発育し、非常に少ない100個前後の菌数から食中毒が発生する。

原因物質:家畜、家禽、ペット、野生動物、野鳥等の動物の腸内に分布。肉の生食や加熱不十分、食肉からの二次汚染、動物(鳥類など)のふんによる汚染により、次のような食品が原因や汚染源となります。

食肉(特に鶏肉)、飲料水、サラダなど

症状:潜伏時間は、1~7日で潜伏期間が長いのが特徴。腹痛、下痢、発熱が主症状で通常、発熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛等の前駆症状があり、次いで吐き気、腹痛が見られる。

下痢は1日10回以上に及ぶ場合もあります。発熱は多くの場合37℃から38℃台です。

⑪その他細菌
細菌による食中毒は感染型でその他、NAG(ナグ)ビリオ等、コレラ菌、赤痢菌、チフス菌、プレシオモナス・シゲロイデス、エロモナス・ヒドロフィラ、ビブリオ・バルニフィカス、リステリア・モノサイトゲナスなどがある。
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日本における食中毒の現状

事件数と患者数
2017年の食中毒発生は患者数16,464名、事件数1,014件ですが、厚生労働科学研究では、実際には統計の数十~数百倍の患者が出ていると推計されています。

食中毒の原因は細菌の場合が多いですが、他にもウイルスや寄生虫、化学物質、自然毒などが原因で発生しています。

ウイルスについては、最近注目されているノロウイルスも含まれ、フグやキノコなどの自然毒による食中毒も見られます。
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腸内環境を整えよう

有害菌が腸内に入ると、腸内でもその菌は増えていきます。

腸内は有害菌が入ると排除する、又それらの菌が増えないようにする働きがありますが、腸内が正常に活動しないと、菌の増殖に負けてしまい、下痢などの症状が出てきます。

腸内環境を良好であれば、たとえ有害菌が入ってきても、菌に負けない体となります。食中毒にもならないで済みます。

まずは腸内環境をしっかり整えましょう。

腸内環境を整えるサプリメントがありますので上手に利用しましょう。