下痢の原因・思わぬ手の洗い残し
毎年冬になると苦しめられるのが下痢の原因となる感染症胃腸炎です。
急性下痢の中でも、非常に強力な下痢を引き起こすノロイルスがあります。
ノロウイルスは主にヒトの手指や食品などを介して感染し、おう吐、下痢、腹痛などの症状を引き起こします。
ノロウイルスの治療薬や予防のワクチンはなく、手洗いなどによる予防しかないのが現状です。
充分に感染しないように気を付けていても、思わぬ手の洗い残しが原因で感染してしまうことがあります。
ではノロ対策の手洗いの死角はどんなところがあるのでしょうか。
目次
下痢を招くノロウィルスとは? 激しい下痢となる汚物の処理は要注意 下痢の二次感染を防ぐ汚物処理の方法 下痢にならない有効的な手洗い順序 下痢にならない手洗い以外の注意点 下痢を招く死角部分 下痢の感染が防げる手洗い法 下痢になった時脱水を防ぐ 腸内環境を強化しよう
激しい下痢、嘔吐を招くノロウイルスとは
ノロウイルスは感染力が非常に強く、感染者の吐物や糞便中に含まれる数百万~数億個のうち、わずか10~100個程度で感染すると言われています。
また、ノロウイルスは特に抵抗力の弱い子どもやお年寄りは吐いた物を喉に詰まらせたり、肺に入って肺炎を起こして死亡するケースもあるので注意が必要です。
このように非常に強力なウイルスとして知られ、少量でも感染能力があるばかりか、今年主流となっている新型ノロウイルスは、過去に一度ノロウイルスに感染していても免疫がつかず、何度でも感染する可能性があります。
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感染力が極めて強いので、激しい下痢となる汚物の処理は要注意
ノロウイルスなどで起こる「ウイルス性胃腸炎」は激しい下痢と吐き気に苦しめられるが、症状は長く続かないので過度に心配する必要はありません。
しかし、ノロウイルスの感染力は非常に強く、10~100個程度でも感染し発病します。そのため広まりやすく、しばしば集団感染を引き起こします。
特に小さい子どもや高齢者は免疫力が低いので感染すると発病しやすいです。
わずか10個程度に触れただけでも感染する可能性があるのに、感染者の嘔吐物には1g中に約100万個、便には1g中100万~10億個ものウイルスがいるのです。
ノロウイルスが集団発生した施設を調査した報告によると、トイレの便座には1平方センチメートル当たり520~1万5000個、ドアノブには同120~270個ものウイルスが付着していたそうです。
10個程度触れただけでも感染しますので、少しでも触れば十分感染する量となります。
子どもはトイレまで行けずに室内で吐いてしまうことも多いので、嘔吐物の掃除も慎重に行わなければなりません。
ウイルスが大量に含まれているので、不用意に触ると簡単に感染してしまうからです。
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●下痢の二次感染を防ぐ汚物処理の方法
①使い捨ての手袋とマスク、エプロンを着用
②同じく使い捨ての布やペーパータオルで外側から内側に向けて拭き取る
③その後、嘔吐物が付着していた場所を0.1%以上に希釈した次亜塩素酸ナトリウムを染みこませた布で拭く
④次亜塩素酸ナトリウムを含む家庭用の塩素系漂白剤でも代用できます。(アルコールでは駄目です。)
感染者の嘔吐物などを掃除した人が感染する可能性もある。1日か2日後に激しい下痢などの症状が表れた場合、感染したことを自覚して人との接触を控えるようにしよう。
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●下痢にならない有効的な手洗いの順序
ノロウイルスは少量でも感染しますので、ノロウイルスをつけないよう手洗いを徹底することが有効です。
☆下痢を防ぐ衛生的な手の洗い方
1. まず、流水で手を洗う
2. 洗浄剤を手に取る。固形石せっけんは菌やウイルスが付着するので液体のほうがいい
3. 手のひら、指の腹面を洗う
4. 手の甲、指の背を洗う(骨と骨の間に沿うように、シワを伸ばすように洗う)
5. 指を交差して、指の側面や股の部分を洗う
6. 親指と付け根のふくらんだ部分を洗う
7. 他方の手のひらをひっかくように、爪と皮膚の間が触れるようにして指先を洗う
8. 手首を洗う
9. 流水で洗浄剤をしっかり洗い流す
10. 手を拭く。タオルの共用はしないこと。使い捨てのペーパータオルがベスト
11. できれば最後にアルコールをスプレーする
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☆下痢にならない手洗い以外の注意
外出先から帰ってきたとき、トイレに行った後、ゴミに触れた後など、ウイルスが手に付く可能性が高い具体的な場所は次のようなところです。
①便座のふた
②トイレの水洗レバー
③ドアノブ
④テーブルや椅子
⑤手洗い場の蛇口とシンク
⑥エスカレーターの手すり
⑦エレベーターボタン
⑧汚物処理室
⑨車いすの押手
⑩浴室
このようなところに触れた時は特に念入りに洗いましょう。
ただし、せっかく手を洗っても、洗い残しがあっては台無しです。多くの人が洗い残しやすい部分があります。
つまり手洗いの死角部分があるのです。
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☆下痢を招く手洗いの死角部分
トイレの後、お尻を拭くと手のどこが汚れやすいかというと、指先、親指の付け根、そして袖口だそうです。
つまり、汚れやすくて、洗い残しが多い部分は指先、爪と皮膚の間、手のひらのシワ、親指の付け根、手首、このようなところが特に洗い残しやすい部分です。
下記の画像はノロ対策の手洗いに死角、思わぬ洗い残ししやすい部分です。念入りに洗いましょう。
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☆洗い残しのない手の洗い方で下痢の感染が防げる
ご存じの通り、手洗いは風邪やインフルエンザの予防にもなる。
30の研究を分析した論文によると、手洗いによって風邪など呼吸器系疾患の発症率が21%減ることが分かったそうです。
自分がつらい思いをするだけならまだしも、ノロウイルスは感染力が強いので、いったん感染してしまうと家族や同僚をも巻き込みかねません。
免疫力が強い人の場合、不顕性感染といって症状が出ないまま感染し、自分でも気づかぬうちにウイルスをまき散らしてしまうこともあります。
ウイルスを体内に入れないため、しっかり、菌を残すことなく手を洗うことに心がけましょう。
皮膚と爪の間はタワシ、あるいは歯ブラシなどでこすると良いでしょう。
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●下痢になった時は脱水を防ぐことが最も重要
ノロウイルスの感染はウイルスに汚染された食品を加熱が不十分なまま食べることで、まず冬期の食中毒として発生することが多いものです。
潜伏期間は1日程度、感染すると、激しい下痢や吐き気といった症状が表れます。その後、感染者の下痢や嘔吐(おうと)物を介して周囲の人も感染します。
ウイルスには抗生物質が効きません。
治療は基本的に対症療法で、自然に治るのを待つしかないです。
体内にいるウイルスを早く追い出すため、下痢止め使わないようにしましょう。
ノロウイルスは下痢と嘔吐が激しいので、最も重要なのは脱水症を防ぐことです。
体を潤すだけでもだいぶ症状が改善しますので、少しずつでも水分を摂取するようにしましょう。
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腸内環境を強化しましょう
同じ環境で同じものを飲食しても発病する人と発病しない人がいます。
免疫力の強い人は軽症ですむのに、免疫力が低下している人は、時には命さえ落とす人がいます。
私達の周りには有害な微生物やばい菌がたくさんいます。
健康でいられるのはこうした有害なものから守る免疫システムが備わっているお陰です。
免疫細胞の70~80%は腸内にあります。だから腸内環境が整っていれば病気になりにくく、又なっても回復しやすいのです。
ですから下痢をはじめ、何らかの不調を抱えている人は早急に腸内環境を強化しましょう。
そうすると自然と身体は回復力が増し、病気が改善されていきます。
今では「9割の病気は腸で治せる」といわれるほど「腸」は生命に直接かかわる大事な器官です。