下痢からわかる病気④

下痢の原因・下痢からわかる病気④
同じ下痢でも心配のない下痢、一過性の下痢、慢性的な下痢、緊急を要する下痢などその症状は様々です。

中でも下痢をしていて元気がなく、しかも長期間下痢を繰り返す病気を挙げてみました。

元気がなく、長期間下痢を繰り返す慢性的な下痢

下痢をしていて元気がなく、下痢を繰返し、発熱することもある病気は①クローン病、下痢をしていて元気がなく、下痢を長期間繰返すが発熱しない病気は②食物アレルギー ③胃腸管アレルギー ④クリプトスポリジウム症が挙げられます。

しかし、正確な病気の診断は自己で行わずに、必ず専門医を受信して適切な治療を受けてください。


目次
①下痢の原因はクーロン病  ②食物アレルギーで下痢に  ③胃腸管アレルギーが下痢に  ④クリプトスポリジウム症で下痢に ・腸内環境を強化しよう 

●下痢をしていて元気がなく、下痢を繰返し、発熱することもある①クローン病

クローン病は、口腔内、小腸、大腸など、消化管のいたるところに慢性的な炎症をきたす病気です。潰瘍性大腸炎とならび、代表的な炎症性腸疾患の一つとして知られています。

クローン病は、10歳代後半から20歳代の若年者に好発する病気で、発症年齢のピークは男性が20〜24歳、女性が15〜19歳といわれています。

自然免疫系が関わることが原因

クローン病の発症メカニズムは、2017年現在、完全にわかっているわけではありません。

しかし、遺伝的な要因や環境要因、腸内細菌叢 の変化などが複雑に絡み合い、異常な免疫応答を引き起こした結果、消化管の炎症が起こると考えられています。

発症率に人種差、家系内発症する例が認められ、なかでも、自然免疫系に関わる遺伝子が数多く見つかってきていることから、自然免疫系の異常がクローン病発症に深く関わっていることが示唆されています。

環境因子としては、喫煙がクローン病発症のリスクとなり得ることが知られています。

また、衛生環境や食生活の影響も指摘されています。世界的にみても、早くから近代化が進んだヨーロッパや北米で患者数が多く認められます。

また、日本や中国といったアジアの国においても、西洋の食文化を取り入れるようになって以降、患者数の増加が報告されています。食べ物がきっかけとなる事があります。

クーロン病 繰返す腹痛や下痢症状

クローン病の症状は、炎症を起こした部位によって異なりますが、小腸と大腸に好発するといわれています。たとえば、7〜8割の患者さんには、繰り返す腹痛や下痢が認められます。

また、小腸で炎症が起きることから、消化吸収の異常による体重減少をはじめ、全身倦怠感や食欲不振、発熱、貧血などの全身症状がみられます。
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●下痢をしていて元気がなく、下痢を繰返し、発熱はない②食物アレルギー

ヒトの体には、細菌やウイルスなど異物に対抗するための免疫機能が備わっています。

この免疫機能にアンバランスが生じるとアレルギー疾患などが発症しやすくなります。

食物アレルギーは、食品を摂取することによるものばかりでなく、食品が皮膚についたり、空中に浮遊しているものを吸い込んだりすることで起こることもあります。

アレルギーを引き起こす原因物質をアレルゲンと言いますが、食物アレルギーでは主に食品に含まれるたんぱく質の一部がアレルゲンになります。

アレルギーの原因

最も多いアレルギー症状は蕁麻疹など皮膚への症状ですが、人によっては消化器や呼吸器に症状が現れ下痢になることもあります。

近年、食物アレルギーをもつ子どもは増え続けています。

卵・牛乳・小麦は食物アレルギーの三大主要原因食品といわれており、全体の約60%以上を占めます。

次いで甲殻類・果物類の割合が多いです。

食物アレルギーの症状

食物アレルギーを持っている方がアレルゲンとなる食品を食べると、皮膚症状、粘膜症状、消化器症状、呼吸器症状、神経症状、全身症状、循環器症状などを引き起こします。

具体的には以下に挙げられるような症状です。

・皮膚症状:蕁麻疹、むくみ、かゆみ、赤くなるなど

・粘膜症状:目の充血・かゆみ、涙が止まらない、目の周りが腫れる、鼻水、口や喉の違和感など

消化器症状:腹痛、嘔吐、下痢など

・呼吸器:息苦しくなる、声がかすれる、咳込み、呼吸困難、くしゃみなど

人によってアレルギー症状の生じ方は異なります。

時にアナフィラキシーなど生命に危険が及ぶことがあるので、注意が必要です。

アナフィラキシーは皮膚症状、消化器症状、呼吸器症状が複数同時にあらわれる全身性のアレルギー反応をアナフィラキシーといいます。

さらに血圧が下がったり意識が朦朧(もうろう)となったりするなどの生命を脅かす危険な状態をアナフィラキシーショックといいます。

アナフィラキシーは食品以外にも薬物やハチ毒が原因で起こることもあり、迅速で適切な対応が重要です。
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③胃腸管アレルギー

胃腸管アレルギーは、アレルギー抗原となるたんぱく質を含んでいる食品を摂取することが原因となって胃や腸といった消化器官にアレルギー症状が発生する病気のことです。

アレルギーを引き起こす原因となる食べ物を摂取すると、まずは口の中やくちびるに何らかの違和感や異常が発生することがあります。

次に、吐き気や嘔吐、その後で腹痛や下痢などの症状があらわれます。

また小児が胃腸管アレルギーを発症した場合、体重増加不良や体重の減少、成長障害、貧血といった症状が現れることもあります。

そして症状が重い場合には、血性の下痢便が出たり、下血を引き起こしたりする食物過敏性大腸炎や慢性の下痢や脂肪便を引き起こすセリアック病などを発症してしまうことがあります。

胃腸管アレルギーの原因

アレルギー抗原となるたんぱく質が消化管の粘膜に侵入すると、これを”外敵”と判断したマクロファージ細胞がその情報をリンパ球に伝えます。

そうすると次にそのたんぱく質が体内に侵入したとき、リンパ球がこれを攻撃するようになります。

そしてリンパ球がたんぱく質と闘ってしまう結果、様々なアレルギー症状が引き起こされるというわけです。

どの食品が原因となるかは人によって異なりますが、主に鶏卵や牛乳、小麦、大豆、魚介類等が多いようです。

特に乳幼児に関しては消化管の機能がまだまだ発達していないため、原因となっている食品に含まれているたんぱく質を上手に分解したり消化したりすることができず、胃腸管アレルギーを発症してしまうことが多くあります。

アレルギーの原因となっている食べ物が何なのかということを調べ、その食べ物を食べないようにすることが改善策です。

また抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬を投与することによって、その症状を軽快させることができる場合もあります。
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④クリプトスポリジウム症

クリプトスポリジウムはウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ネズミなどの腸管寄生原虫です。

人への感染は1976年にはじめて報告されました。

感染経路は、水道水、飲食物や手指を介した経口感染です。

米国のボランティアによる経口投与実験では、原虫数10個で発症した例があります。

潜伏時間は2~10日程度で、水様性下痢、腹痛、嘔吐、軽度の発熱が伴うこともあります。

下痢は1日数回程度から20回以上の激しいものまで多様で、数日から2〜3週間持続し、自然治癒します。

クリプトスポリジウム症の実際例

英米両国では1980年代中頃から頻繁に、水系汚染に伴う集団発生が報告されるようになっている。

その中で、1993年に米国ウイスコンシン州ミル ウォーキー市では、40万人を超える集団感染しています。

日本では、1994年に神奈川県平塚市の雑居ビルで460人 あまりの患者が発生し、1996年には埼玉県入間郡越生町で町営水道水を汚染源とする集団感染が発生し、8,800人におよぶ町民が被害を被っています。

近年では水 泳プールを介した集団感染も注目されています。

発病数は多くても年間10例程度ですが、例外的に2002年には北海道を舞台とした集団感染が発生しており109件となっています。

下痢を回避するためのクリプトスポリジウム症の予防

1.症状が改善した後、或いは無症状であっても感染源となる原虫は排泄されるので、2次感染を防止するため、十分な手洗いをすること。

2.飲用水は1分間以上沸騰する。氷をつくるときも、湯冷ましを使用すること。

浄水器を使用する場合も、全ての機種が除去に有効ではなく、カートリッジに蓄積されるので使用の手引きに従って、カートリッジの交換を適宜行う等使用については注意すること。

3.生ものは避け、加熱調理すること。

4.食器も良く拭き、乾燥させること。

5.家族に患者がいる場合は、家族内感染を防ぐために、患者の入浴は最後にすること。

6.患者の糞便に汚れた下着やおむつは熱湯をかけてから洗濯すること。
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腸内環境を強化しよう

私たちの身体には免疫という機能が備わっています。

有害な細菌やウイルスなどの異物が侵入した場合、この免疫が体を守ります。

腸内には免疫細胞が60~70%も存在しています。

腸内環境が良好であれば、腸内活動が正常に行われ、病気にならないように健康を保つことが出来ます。

もちろん下痢の改善にも非常に有効です。

まずは腸内環境を整えましょう。

腸内環境を整えるサプリメントがありますので、上手に利用しましょう。