下痢の原因はジャガイモの天然毒素による
下痢には急性と慢性があります。その多くは口から入るものが原因のようです。急性の下痢の中で一過性でのものは、下痢の原因となる食べ物をやめれば治まります。
細菌感染による急性の下痢はしばらくその余波が続き、体内での有害菌が排出されるまで数日かかり、またその後遺症として、食欲不振、嘔吐、更にひどくなると死に至る場合もあります。
ここでは身近にある下痢の原因として、ジャガイモの例を挙げてみます。なぜジャガイモが下痢の原因にと思われるかもしれませんが、ジャガイモのどの成分が下痢の原因となるのでしょうか。
ご一緒に考えてみましょう。
ジャガイモの栄養成分は
ジャガイモは、南米のアンデス高地原産のナス科の一年生作物。馬の首につける鈴に似ていたので「馬鈴薯(ばれいしょ)」とも呼ばれています。
主成分はでん粉ですが、ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ビオチン)、ビタミンC、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、マンガン、リン、食物繊維などを含みます。
ジャガイモの特徴はビタミンCが豊富(みかんを上回る)で、熱で破壊されにくいことが特徴です。抗酸化作用、免疫力強化作用、脂質や糖代謝に関与し、動脈硬化などの生活習慣病を予防し、肥満防止にも効果があるといわれています。
下痢になるジャガイモの成分は
ジャガイモは栄養豊富なのですが、微量の天然毒素が含まれています。ジャガイモは古くなると芽が出たり、光があたってジャガイモ全体が緑色なります。
ジャガイモの芽と芽の根元や、皮(特に光が当たって緑色になった部分)には、天然毒素であるソラニンやチャコニンがたくさんあります。
こうした天然毒素は下痢の原因となり、小さなジャガイモや、日光を浴び、皮の部分が緑色になってしまったジャガイモに含まれていることが多いのです。
また、家庭菜園などで作られた未熟で小さいジャガイモも、全体に天然毒素、ソラニンやチャコニンを多く含んでいます。
食中毒になるジャガイモとは
学校の菜園などで栽培したジャガイモは、未成熟で小さなものが多く、また、土がしっかりとかぶせられていないためにイモ部分が地面から出てしまい、日光を浴びることで天然毒素が増えてしまっている可能性が高いのです。
ジャガイモによる天然毒素の食中毒は、学校だけではなく、家庭の菜園などで栽培したものでも起こる可能性があります。
また、スーパーで買ったものであっても、起こりますので、できる限り、安全な保管方法、安全な調理方法をとりましょう。
店で販売されているジャガイモに、食中毒を起こすほどの量のソラニン等が含まれていることはまずありませんが、自家栽培の未成熟で小さなジャガイモや、
日光が当たって皮の部分が緑色になってしまったジャガイモは、100g当り100㎎以上のソラニンやチャコニンが含まれていますので、注意が必要です。
食中毒を起こすソラニンやチャコニンは熱でも分解しない
ソラニンやチャコニンは熱によって分解しないので、ゆでてもその量は減りません。中には加熱すれば大丈夫と言われているようですが、注意しなければなりません。
発芽したら、芽を十分にえぐりとり、皮を厚くむき、充分に水洗いしてから調理しましょう。又青いジャガイモは食べないようにしましょう。
健康な大人であれば、少しくらい食べてもお腹をこわしもしませんが、体調が悪い時や、たくさん食べるとお腹をこわします。もちろん老人や子供の場合、お腹をこわす確率が、
健康な大人より高いので注意しましょう。致死量を摂取する可能性が極めて低いのですが、過去に実際何例かの死亡事故は起きています。
ジャガイモを食べたあとにこのような症状が出たときは、急いでお医者さんにみてもらいましょう。
ジャガイモの天然毒素による食中毒の症状
ソラニンには苦味を伴うエグミがあって、食べればすぐに分かります。ジャガイモによる食中毒は毎年のように全国で起きています。今年も最近のニュースで報道されています。
食中毒の発生時期は6~9月、11~2月ですが、特に7月が多いようです。食中毒は早いときは数分後から症状が出始め、遅いときは数日後に出ることもあるのです。
食中毒の症状は、おう吐、下痢、腹痛、めまい、動悸、耳鳴り、意識障害、けいれん、呼吸困難などで、日本では重症化することは稀ですが、ひどい場合には死に至ることもあります。
体重が50kgの大人の場合、食中毒が発生量は50mg、子供の場合15.6mg~40mgだそうです。通常のジャガイモの可食部分には、100gあたり平均7.5mgのソラニンやチャコニンが含まれており、
そのうち3~8割は皮の周辺にあります。ジャガイモ1個Mサイズで100gですから2個以上食べてしまうと食中毒を起こすことになりますが、皮を厚めにむいて食べる場合にはさほど気にしなくてもいいでしょう。
ジャガイモによる食中毒例
手頃な価格で美味しくてお腹も満足させてくれる素晴らしい農作物であるジャガイモですが、残念ながら毎年のようにジャガイモが原因の食中毒がニュースで流れている現状です。その多くは主に小学校の調理実習などで、毎年起きています。
①2019年の事例
兵庫県宝塚市の市立小学校で2019年7月9日、学校で栽培されたジャガイモを食べた児童が集団で食中毒になった。同県宝塚健康福祉事務所(保健所)によると、
9日にあったこの小学校の5年生の家庭科の調理実習で、児童30人がメークインの大サイズ(長さ8センチ以上)を粉ふきいもにしたほか、
中サイズ(6~8センチ)と小サイズ(6センチ以下)を皮付きのままゆでて食べ、16人が腹痛や吐き気、めまい、手足のしびれなどの症状を訴えた。うち8人が入院したが、いずれも快方に向かっているという。
②2017年の事例
2017年7月14日、広島県安芸高田市の小学校で、校内の畑で収穫したジャガイモによる食中毒が発生。
教師・児童ら17人がジャガイモをゆでて食べたところ、約1時間後に児童9人が嘔吐などの症状を訴えました。
児童たちは病院に搬送されましたが、全員軽症だということです。
③2015年の事例
2015年1月22日、奈良県内の小学校で、校内で栽培・収穫したジャガイモを調理・喫食した51名のうち31名に吐き気、腹痛等の症状が出ました。
なお、残った粉ふきいもを分析したところ、100 gあたり19-39 mg(0.019-0.039 g)のソラニン類が検出されました。
④2010年の事例
2010年にも東京都内の中学校で、ゆでたジャガイモを食べた生徒ら29名中9人に食中毒の症状が出るという事例が見られました。
下痢にならないジャガイモの食べ方
食中毒を防ぐには、緑化したものや小さい未熟なジャガイモは避けて下さい。保存性は高い野菜ですが、日光に当たると芽が出やすく、皮も緑色して、天然毒素のソラニン、チャコニンが増えます。
発芽したジャガイモは周囲を大きめにえぐり取ってから調理し、緑化してしまったジャガイモは廃棄するか、皮を厚く剥いてから調理します。子どもには皮つきのまま出さない方が無難です。
また、そのようなジャガイモは170℃以上で揚げると、ソラニンやチャコニンが分解するので量が減ります。芽が出たから、緑色になったからと言って捨てないで上手に料理しましょう。
また、ジャガイモは、生で食べると下剤の代わりにもなります。 皮をむいたジャガイモのすり下ろした物を布でこし、その汁を1日小さじ1杯朝晩2回空腹時に飲むと便秘に効果があります。
ですから、下痢の方はくれぐれも、火の通っていない生のジャガイモを食べてはいけません。
ジャガイモを安全に食べるためのポイント
・芽が出ていたり緑色になっていたりするところがあるジャガイモは、買わない。
・ジャガイモは、暗くて涼しい場所に保管する。
・買ったジャガイモ、収穫したジャガイモは、長期間保存しないで、早めに食べる。
・ジャガイモに芽や緑色のところがあったら、皮を厚めにむいて取り除く。
・未熟な小型のイモを多量に食べない(特に皮ごと食べるのは避ける)。
・苦みやえぐみのあるジャガイモは食べない。
学校菜園や家庭菜園で栽培する場合の注意
・ジャガイモが地面から外に出ないよう、きちんと土寄せをする。
・十分に熟して大きくなったジャガイモを収穫する。
・収穫するときは、ジャガイモに傷を付けないようにする。
・収穫したジャガイモは、暗くて涼しい場所に保管し、日光にあてないようにする。
・収穫したジャガイモは、早めに食べる。
下痢になる毒素がでないためのジャガイモの保存方法
ジャガイモは、暗くて涼しい場所に保管し、冷蔵庫で保存する必要はありません。
それでも、家庭で保管していて芽が出たり、緑色になったりすることがありますが、その場合には皮を厚くむき、芽や緑の部分だけでなくその周りも多めに取り除けば安全です。
腸内環境を整えよう
脳が死んでも人は生きることが出来ますが、腸が死ぬと人は生きていくことが出来ません。それほど腸は生命活動に重要な役割を持っているのです。
腸内環境が良いと免疫力は高く、健康を維持できます。病気知らずの身体になります。
しかし現代では様々な有害な要因が重なり、腸内環境は非常に悪化しています。腸内が酸性に傾き、悪玉菌がはびこり、結果、病気が慢性化した状態になっています。
「元気の元は胃腸から」と昔から言われている通り、健康になるためには腸が元気、つまり腸内環境が良好である事が必要なのです。
腸内環境が良好だと、有害物質が入ってきても腸内で適切に処理できる力がありますが、腸内環境が悪くなっていると、腸内で正常な活動が行われにくく、症状が発生してしまいます。
私達は毎日食べ物で健康を維持していますが、総ての食べ物が体にとって良い物ばかりではありません。有害なものを食べたり、体内でも有害物質が発生します。
こうした体に有害なものをきちんと排出できる腸内環境を整えておくことはとても重要です。腸内環境を整えるサプリメントがありますので、上手に利用しましょう。